忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「マッチメイク」読書感想

タイトル 「マッチメイク」
著者 不知火京介
文庫 480ページ
出版社 講談社
発売日 2006年8月12日

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<< かるーい話の流れ >>

プロレス団体に所属する雑用係りで下っ端の山田が主人公。
彼は最後までリタイアしなかった唯一の同期である本庄をライバル視しながら日々新大阪プロレスの公演を手伝いつつ、一人前のレスラーになる為に厳しいトレーニングに励んでいる。

ちなみにこの主人公、プロレスラーを目指しているのにプロレスの事は全然知らない。
(プロレスの裏事情とか)
そして技術も強さも無い。
あるのは恵まれた体格(プロレスラーとしては普通くらい)と真っ直ぐな精神だけと言ってもいいくらいだ。

そんな彼が所属する団体の会長が、試合中に毒殺されたことから物語は始まっていく。
といってもそこからは推理というより山田の成長物語がほとんどなんだけどね。
何だかんだで山田と本条は事件を独自に調べていくんだけど、二人の行動のせいで新たな犠牲者が発生してしまい・・・・・って言ってもほぼ山田のせいだんだけど(^^;)
今回の小説は分厚いから読み終えるまでちょっと時間がかかったな~。


<< 特に良かった部分・良かったセリフ・シーンなど >>

中盤にて本庄が先輩のパフォーマンスを真似して、真剣にプロレスをやらない山田をリングの上でしばきまくるシーンだな。
詳しくは書かないけど、おじさんにしては珍しくその部分だけ読み返してみた。
読むの二回目なのに、心にググッとくるものがあったよ。
この小説の中で一番記憶に残ったシーンと言ってもいいくらいに。

次は道場破りに来た柔道達人の坂田と、万年前座の雑魚プロレスラーである丹下が試合する場面。
団体で一番弱いプロレスラーに負けるようでは、道場破りなんて絶対に無理だよな?ってことで坂田と丹下が戦うんだけど・・・。
こういう設定に男の子は弱いのよ!
いやーかっこよかったわぁ。同時になるほどね~って思った。
実際のプロレス団体とか道場関係でもこういうシステムになっているのかな?


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

予想外だったのが犯人だな。
途中まで怪しいな~、絶対コイツだろって思っていたんだけど読み進めていくと、あれ?違うっぽいぞって思い始めて最終的にはまたもや予想外な展開になった。
相変わらず展開に振り回されてしまうおじさんですわ。
(でも最後まで楽しめたからいいんじゃい!)

殺人現場の描写を読んで思わず浮かんだのは、シルベスタ・スタローン主演の映画「ロックアップ」だ。
殺人に使われたスミスマシンっていうトレーニング器具があって、それの描写が沢山出てくるんだけどやっぱり使ったことのない人には今一つピンと来なくてわかり辛かった。
ネットで画像を見てみたけれど、う~ん・・・・・モノを見ても用途不明だな。
(使い方によっていろんなトレーニングが出来る装置みたいです)


<< 読み終えてどうだった? >>

主人公の山田はとにかく色んな部分が未熟で無知なんだけど、佐々木会長の死をきっかけにしていろんなことを知っていって、中盤から所属団体で最強の存在になることを自分で選択する。

はっきり言ってミステリーっていうより青春成長ストーリーだなこれは。
だけどつまらないってことは無かった。
殺人事件と格闘、成長とプロレス業界の裏事情ってな具合にいろんな要素が詰め込まれているからね。
その中でもプロレス業界の暗黙のルールだとか、ショービジネスとして、その反対にストロングスタイルのプロレスとしての葛藤だとか格闘業界の道場破りだとか、そういう知らなかった部分が読んでいて面白かったよ。

あとおじさんはプロレスはよく知らないし普段もまったく観ないんだけど、試合のシーンは読んでいてどうしても熱くさせてくれるんだなぁ。
(山田が最強を目指して肉体改造とか筋力トレーニングしている場面とかも燃えるぜ)

話の結末としてはミステリー要素少な目なせいかあっさり終わってしまった感じなんだけど、最後のほうで山田は一人前のプロレスラーになったんだと思う。
その証拠に盛り上がるマッチメイクを無意識に考えていたからさ。

読了感はショービジネスと純粋な熱意は水と油な関係なのかなぁーって考えながら、真の最強とは常に孤独なのだということをしみじみ感じたような気分になった。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

この小説は第49回江戸川乱歩賞受賞作とのこと。

話の中に沢山のプロレスラーが登場するんだけど、実在する人物をモデルにしているからファンが読めば誰をモデルにしているかすぐにわかるらしい。
だけど残念ながらおじさんには全然わからないのです(´;ω;`)
これを機会にプロレスをちょっと見てみようかな。
ちらっと深夜に見た海外のプロレス番組は面白そうなんだよね。
完全にエンターテイメント・ショーとして作ってあるから、展開や演出やストーリーがめちゃくちゃなんだけどそこが好奇心をそそる(笑)

この小説は1円でアマゾンから購入したんだけど、中に変なメモが挟まっていたのよさΣ(・ω・ノ)ノ!
登場人物達の名前がボールペンで書かれている。これって以前の持ち主が書いたメモとかかな?

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<< 挿絵で見たい場面や物など >>

やっぱりここでしょ!上でも書いた場面。
前座試合で本庄の技を喰らってリングに倒れる山田。
心ここにあらずで腑抜けな試合をする山田に怒りを込めた攻撃を加える本庄、
気が済むまで攻撃すると客達に向かってマスキュラーポーズでアピールする。
沸き上がる観客達の歓声と野次。
会場全ての人達が「彼」の死を偲んでいる場面がすごく印象に残る。