忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

ただ、それだけでよかったんです 読書感想

タイトル 「ただ、それだけでよかったんです」(文庫版)
著者 松村涼哉
文庫 280ページ
出版社 KADOKAWA
発売日 2016年2月10日

 



<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・今回の「ただ、それだけでよかったんです」だけ


<< ここ最近の思うこと >>

数年前に『桐島、部活やめるってよ』をレンタルして観たのよね。
観終わってすぐの感想は、本編全部あの歌のPVみたいだったって思ってた。
でも時が経つにつれて映画の印象が変わってきたのよ。
色んな登場人物たちの一瞬を切り取った場面が、学生時代の独特な空気感を上手く表現してあるから、懐かしくも痛々しいセピア色が蘇ってくるんだわ(´-ω-`)
おじさんの学生時代はこの映画のような日常じゃなかったけど、共感するポイントはちらほらあった。

そんなこんなで、似ているようで似ていない作品だけど今回はコチラの一冊。
ラノベの学園モノってことは、もう擦り尽くされたくらいありきたりな内容じゃないの?
ブコメか、ラッキースケベか、SFかオカルトかファンタジーか?
はてさてどんなラノベ的要素が組み込まれているのか、早くも色眼鏡で判断してしまっている自分に愛の体罰的指導を叩き込みつつ、遥か昔の学生生活時代へ飛び込むぜ(=゚ω゚)ノ


<< かるーい話のながれ >>

頭脳明晰、スポーツ万能、コミュニケーション能力抜群の稀有な中学生、岸谷昌也。
彼は自宅で首を吊り、14歳の短い人生を終了させた。
残された遺書には「菅原拓は悪魔です。誰も彼の言葉を信じてはいけない」とだけ書かれていた。
昌也の姉である香苗は、一人の目立たない生徒が複数の人気者達をいじめていたという事件の真相を知るために、単独で調査を開始する。

桁外れな中学生、解剖するんだ、暫定師匠、ソーさん、秘密兵器、モンスター、会ったことがある、地獄ですよね、一世一代の決意だ、革命はさらに進む、欠落お姉ちゃん、拓昌同盟、本当の地獄、悪魔の構造、合格です、第二次革命、何かを隠してる、友だちの重さ、究極の手段、絶叫、ざまーみろ、失敗した、ご苦労だった、僕の望みは・・・。

菅原拓は自身が革命を決意するまでのことを思い出し、一人静かに語り始める。
どうか自分を嘲笑って欲しいと願いながら。
そして真実に近づく岸谷香苗と、現在までを語り終えた菅原拓が出会ったとき、革命はフィナーレに向かって動き出した。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///面白いけどやりたくはない///
自殺事件の調査に動き出した香苗は、まず昌也の通っていた中学校へ出向き藤本校長に「人間力テスト」なる制度の詳細を問う。
人間力テスト」とは、その学校で行われている独自の教育方法だった。
20Pより。
―――評価はさまざまだが、とにかく多くの日本人が注目したのも無理もない。
人間力テストとは——————生徒同士で、他人の性格を点数化するものだから。―――
なぜこんな制度を作ったのか?藤本校長の言葉を聞いてなるほどと思った。
社会人として生き抜く為に作ったのかぁ。たしかに何においてもコミュ力って必要だからね。
思い出すのは『道徳の時間』で語られていた「みんなくん」を使った教育方法。
あれもなかなか面白かった。
ゆとり教育にしろなんにしろ、いろんな方法を模索しているけどなかなか成果は・・・。
日本教育の明日はどっちだ?

///この情景を思い浮かべると、怖いな///
藤本校長に話を聞き終えて帰宅した香苗は、それまでのストレスを爆発させるかのように家の中で騒ぎ暴れる。香苗は在校生だった頃から藤本校長を苦手としていた。
26Pより。
―――「もう、胡散臭いよ!藤本校長の胡散臭さだけで、世界中の香水屋が閉店するよ!」
家に帰ったわたしがまず一番にしたのは、とにかく叫びまわることだった。―――
世界中の香水屋が閉店するって(笑)
てか胡散臭さが強ければ強いほど、香水の需要は高まるんじゃないのか?なんて真面目にツッコミを入れるのは止して。
それにしてもこの岸谷香苗というキャラは個性が強い、強いと言うよりどこか壊れているような気もする。(あ、臭すぎてみんなが香水を買い漁るから閉店しちゃうって意味か)
家で一人喚き散らしながらドタバタ動き回っている時点でヤバイ性格なんだろうけどね(;^ω^)
でもなんか嫌いじゃないのよ、被虐心を誘うというかなんというか・・・ううん、止めておこう。

///なるほどコレにはあっぱれ///
調査を進めて真実に近づく香苗は「秘密兵器」の力を借りて、ついに菅原拓と面会する。
そして今まで謎に包まれていた部分、菅原拓と岸谷昌也の間に一体何が起こったのかを知ることとなる。
210Pより。
―――「そこで、やっと僕が反撃する番になった」―――
なるほどこんなやり方は想像もできなかったわΣ(・□・;)
理屈としてはそーゆー変化が起こることにも納得できるかと。
かなり強靭な精神力が必要になるだろうけど、まさしく「革命」が起きたって訳だね。
まあフィクションの話だから現実に適応できるのかって聞かれるとうーむってなるけど、それでも「あっぱれ」を三つくらいあげちゃいたい。


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///鉄壁の情報漏洩防止能力でもあるのか///
菅原拓のクラスメイトである加藤幸太を紹介してもらい、喫茶店で聞き込み調査をする香苗。
岸谷昌也たちへのいじめが発覚して、加害者である拓がどのような制裁を受けたのかを知って動揺する。
65Pより。
―――「菅原は一週間、土下座させられていたんですよ。学校中を回って」―――
作中ではスマホが当たり前に普及している時代。
いくら構内とはいえそんなことさせていたら、すぐに情報リークされて大炎上間違いなしでは?せめて全校集会で一回だけ土下座謝罪ってくらいにしとけば・・・だとしても噂が広まって確実にバレるわな(笑)

///公共サービスの活用を///
自殺事件の調査を進める香苗は、突然何者かに襲撃され暴力を振るわれる。
そして「これ以上事件に関わるな。今すぐ手を引け」と脅迫された。
しかし香苗は恐怖に屈しず調査を辞めようとはしなかった。
146Pより。
―――もちろん、真実を知ることへの恐怖もあったし、襲撃者への怯えもあった。しかし、それでも、諦めることへの踏ん切りがつかないのが理由である。―――
アイスピックを突きつけられて何度も蹴りつけられて、脅迫までされてなぜ警察に被害届出さないの?
大事になればなるほど、関係者たちが口を閉ざしてしまう可能性があるから?
とはいえ犯人を逮捕できれば、そいつから事件の詳細を吐かせることも出来たかもしれないし。
でも真実を知っている人間は殆どいないから、やっぱり無意味なのかなぁ。

///好奇心に満ちた外野の行動力///
自殺事件が報道されて家の周りをマスコミが囲み、日本中から死ねという念を感じている拓は、部屋に閉じこもり震えていた。
誰もいない一人きりの自宅で過ごす彼は、冴えてきた思考に導かれて一つの答えに辿り着く。
そして深夜に行動を開始した。
170Pより。
―――だから僕は誰にも気づかれないように、深夜こっそりと裏口から家を出て、ある場所へと向かうのだった。―――
話題沸騰のいじめ首謀宅はマスコミに貼りつかれて、おそらく動画配信者や野次馬だって群がるはず。
そんな中で夜中にこっそり抜け出ることが出来るのかなと疑問に思った。
もちろんマスコミに囲まれる経験なんてないし、あくまでも想像なんだけどね。
数日経過したらすぐに世間の関心は別なモノへ移っちゃうのかな?


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
ほぼ全編が拓と香苗の一人称視点で、代わる代わる語られていく作り。
過去と現在がコロコロ変わるからちょっと分かりづらいってのもあったね。
と言っても、思い返すと香苗視点は現在の話で、拓視点は事件の少し前から回想していくって感じだからそれほどややこしくもない作りだったわけか。

拓の語りパートでは斜に構えたラノベ男子学生感が強くて、おじさんとしては読んでいて「うーん、台詞がラノベだなぁ」って苦笑いしちゃう場面もあったり(;^ω^)
まあ中年がライトノベル読んでんだから、感性のズレは当たり前だよね。

///話のオチはどうだった?///
事件の真相も拓の目的も全く読めない展開で、いつどこから今風なラノベ展開になるのかと待ち構えていたけどそんなことは一切起こらず、最後まで普通の人間達による切実な物語だったのが予想外だった。

さらに予想外は重なって、学生青春ラノベでここまで心をえぐられるような気分にされたのが驚きよ。
もちろん無理矢理な部分も多々あるけれど、終盤の物語が加速&加熱していく展開にはすっぽり引き込まれちゃった。
あと個人的にメンタル低空飛行な時期に読んだから、最後は少し涙がポロリしそうになっちゃったり。

///まとめとして///
読む前と読み終わってからの印象がガラリと変わる小説だった。
未読の方は如何にもライトノベルな絵柄と、電撃文庫というレーベルに騙されないよう気を付けて。
おじさんは見事に騙されたよ、まさかこんな物語だったなんて想定外だったし。
大賞を受賞するのも納得の一冊だったわ。

集団が出来れば必ず起こるのが順位付けといじめ。(程度の差はあれど)
被害者は拓のように突飛な策で革命を起こすしかないのか!?いやいやそんなんムリじゃい!!
逃げれば良い。より生きやすい場所を探せば良いのよ。
おじさんの親友も言っていた。
「人生なんてただ生きてるだけで充分なんだ」
んでもって同時に思い出す。
「生きる為に戦うこと、それ以外にモラルなど無い」
他人に立ち向かわなくてもいいんだよ、生きること自体が既に戦いなんだから。
そんな自己愛に満ち満ちた満読感、頂きました。
さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。
(んむむぅ、『道徳の時間』に引っ張られてる感想になっちゃった感)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

ただ、それだけでよかったんです』は第22回電撃小説大賞受賞作なのです!

TUTAYA限定書き下ろしショートストーリーが挟まっているから少しお得な感じがするよ。
内容は本編から少し時間が経過したある日の小さなお話ですわ。

あと応募用しおりが三枚も付いてきた!
三枚も付いてるなんて気前イイじゃないか、よーしやるぞーってもう期限過ぎまくりだよ(゚Д゚)ノ


51Pより。
―――以上は、岸谷昌也が亡くなる二カ月前、街外れのプラネタリウムでの邂逅。―――
「かいこう」とは思いがけなく会うこと、または、めぐりあいという意味。
過去に調べたことあると思うけど忘れちゃってるね。思い出みたいな意味だと勘違いしてた。

164Pより。
―――不遜を取り繕うのだ、と力一杯の努力をするしかないのだけれど。―――
「ふそん」とはへりくだる気持ちがないこと、または思いあがっていること。
同じく過去に調べたことあると思うけど忘れちゃってるわ。

249Pより。
―――現代社会において人々は評価軸を他人に依拠せざるをえない。―――
「いきょ」とはあるものに基づくこと、またはよりどころとすること。


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
もうこれしかないっしょって決めていた180Pの場面。
どんなふうに描こうかな~って思いながら読み終わったとき・・・・・チクショウやられたぜ!
よく分かってるじゃねえか、誰が選んで指示を出したのか知らないが。
つーわけで、第二候補だったコッチにしたよ。
243Pより。
―――「菅原くんか。どうしたんだい?」
当然、初対面ではない。昌也を水筒で殴ったとき、昌也が自殺したとき、そこで二回会っている。直接会話をしたことはあまりないけれど、お互いの顔は知っていた。―――


げげっ!やっちまったぜよ。
拓の服装描写がなかったからパーカーにして描いたけど、制服かブレザーっぽいの着てますやん。
もう描き終わってから気付いてしまった・・・・・まぁ、おじさんのイメージだからご勘弁を(>_<)

 

不死症 読書感想

タイトル 「不死症」(文庫版)
著者 周木律
文庫 384ページ
出版社 実業之日本社
発売日 2016年6月3日

 



<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・今回の「不死症」だけ


<< ここ最近の思うこと >>

2022年の9月にふと思った。
最近、記憶に残るゾンビ映画が少ない気がする。
「ドーンオブザデッド」は素晴らしい仕上がりで「28日後」シリーズも面白い。「バイオハザード」は・・・まあⅡまでならありかなぁ。
でもってゾンビもしくは感染者って獲物を食べているんでしょ?それなのに食害描写や被害が全然ないのはどうかと思う。最近では流血描写さえほとんどない作品も。
まあいろんな人に配慮とか規制とか興行収入の儲けとか、理由はあるんだろうけど合理的になりすぎるのはどうだろうか。
蒟蒻レバ刺しでは満足できない時だって人間あるでしょうに。

そんなこんなで今回はコチラ。
たしかTwitterで紹介されていて、気になったから購入してみた。
ゾンビ系の小説は以前に会社の上司から貸し出された「ワールドウォーZ」しか読んでいなかったと思う。あれはあれで歴史を味わっていくような、初めての内容だったなぁ。世界大戦感はよく伝わってきた物語だった。
なので日本人作家のゾンビ小説は今回のが初めてだね。
ではでは、周木律の作り出したバイオホラー&ミステリーの世界へ飛び込むぜ(=゚ω゚)ノ


<< かるーい話のながれ >>

長野と岐阜の県境にある山村の奥神谷。そこに建つ平成製薬奥神谷研究所で突如、謎の大爆発が起こる。
爆発したのは敷地内にある被験者棟で、その瓦礫の中で泉夏樹は目を覚ます。
自分の仕事や研究に関する記憶を無くしていた彼女は、瓦礫の中から這い出して同じように生き残った生存者たちと状況の確認をする。
その時、新たに現れた一人の生存者が夏樹たちに向かって歩いてきた。
様子のおかしい生存者を不審に思う夏樹たちだが、近づくにつれて進むスピードを速める生存者はついに全力疾走で飛びかかってくる。

人肉食、大爆発、SR班、6人目の生存者、BSL4、人間と似て非なる何か、ぱきん、ウェンディゴ、生き延びるぞ、不老不死、陸上自衛隊、新たな逃避行、テロ、研究棟、ファージ、生還、提案、最初の兆候、被験者棟、新種、首謀者、静かな防衛線、三十五年、泉夏樹、一枚の写真、さようなら・・・。

夜になり、どこからともなく出現してきた者達は夏樹たちに襲い掛かってきた。
訳も分からぬまま戦い逃げ惑う彼らはやがて施設ゲートに辿り着くのだが、そこには想像もしていなかった絶望が待ち構えていた。
被験者棟で夏樹は一体何をしていたのか?
なぜ奴等は襲い掛かってきて、一心に貪るのか?
施設を完璧に包囲している者達の目的は何なのか?
一人、また一人と仲間が倒れていく中で、夏樹は生きて地獄の研究施設から脱出できるのか!?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///人類と菌の終わらない戦い///
襲撃者を撃退し、出入口ゲートを目指す一行。陽の暮れた暗い道を歩きながら信は記憶の欠落した夏樹に奥神谷や平成製薬、当研究施設の業務内容などの情報を教える。
48Pより。
―――菌と抗菌剤とのいたちごっこ———————言いえて妙だと夏樹は心の中で頷いた。―――
いたちごっこになるほどと共感しましたわ。
常に人類側が一歩先を進んでいないと大変なことになるもんね。まさしくコロナがそうだった訳だし。
すぐ成果が出る訳じゃないけど、けして疎かにしてはいけない研究なんだよ。
何でもかんでも予算削ればイイってもんじゃないわな。
それにしても、菌って一体どんなタイミングで様々な耐性を持つようになるんだろうか。

///ゾンビものならやっぱこうでないと///
道中に建つ倉庫の窓に人影を見たと言う棟管理人の蝉塚。
何か事情を知っている人間がいるのでは?と期待して、念の為に身を潜めつつ窓から覗き込む夏樹たち。
生存者の一人である小室井も、夏樹たちと少し離れた別の窓から覗き込むが・・・。
62Pより。
―――踵を上げると———————怪訝そうに窓の向こうを覗き込んだ。
その瞬間。
「うわああっ!」
小室井が絶叫した。―――
先の展開が分かっていてもこーゆー場面はドキドキさせてくれるから興奮したわ。
そして見るに堪えない悲惨な状況・・・これこそ食人ゾンビものだよ。
もし同じ状況だとしても、おじさんなら絶対に見に行かないな。
(つーか、中にいた奴らはなんで走っていたんだろ?)

///一体なんの前触れなのか///
施設内の安全を確認するために視察する自衛隊の松尾。
滅茶苦茶になった施設を復興するために動き回る人々を見て、ふとした違和感を感じていた。
261Pより。
―――問う夏樹に、松尾三佐は僅かに首を傾げた。
「どうも奇妙に思えるのだ。皆、やけに快活に見えることが」―――
あららもう終わっちゃったの?って思っていたら、なんだか妙なことになり始めて・・・。
ここから今までのジャンルとは違うベクトルへ展開していったね。
突拍子もない展開の連続で驚いたけど、こーゆーもんだと受け入れてみれば充分楽しめる後半戦だよ。


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///普段から鍛えていたんですかね?///
襲い掛かってくる集団を廃材で殴り倒し、なんとか生き残った夏樹たち。
しかし第一陣よりも多い第二陣がすぐ近くまで迫って来ていた。
絶望する夏樹たちに向かって、信は持ちこたえてくれと言う。
123Pより。
―――より激しく、よりシビアで、より凄惨な戦闘が再開された。―――
他の読了者も気になっていたみたいだけど、この人たちの体力と戦闘センスはどうなっているんだろうか。
研究者と初老の管理人が何人もの敵を鈍器で殴り(脳を破壊する威力)続けて、さらにもっと多数の敵を相手にするとは。しかも血しぶき一つ自身の粘膜に付着させず戦い続けるなんて。
まぁ、人間死ぬ気になれば予想外の力が出せるってことなのかなぁ(;^ω^)

///ネタバレ注意の疑問///
かなりネタバレな部分の疑問点なので、読みたい人は反転してみてね。
322Pより。
―――分泌するψテロメラーゼこそ不安定だったが、不老不死原虫そのものは強靭で、高い繁殖性を持つ上に、酸の中でむしろ活性化する性質を持っていた。―――
これだけ強い原虫がなぜ今までずっと繁殖もせず、まったく発見されなかったのか?
偶然発見されたのはまだいいとしても、強すぎる原虫がずっと見つからなかった理由は知りたかった。
奥神谷がド田舎過ぎるから発見されなかったとか?
あとマウスで行った実験の結果、老化現象が起こらなかった理由の説明がなかったような気がする。
動物には悪さしないのかな?でも一切の老化はなかったみたいだし・・・なんでやろか。

///いつも気になるところ///
全体を通してなんだけど、感染者たちはどうやって襲う対象を判別しているんだろうか?
視力は弱く音には敏感って、それだけじゃ自分以外の者を手当たり次第に攻撃しまくるだけじゃないの。
作品によっては「重症化する病原菌の有無」だったり「感染者から出る匂い?フェロモン?」から判別していたりと、理由を考えているものもある。
(中にはメイクと挙動だけで仲間と判断される映画作品もあったりね)
ゾンビ映画好きとしてはやっぱり気になっちゃうのよ。


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
主人公である泉夏樹を中心とした三人称視点で物語は語られていく。
帯にも書いてあるように、この小説は「ホラーミステリー」というジャンルになっている。だから終始ゾンビと戦うっていう内容ではない。
大まかに分けて、前半はホラースプラッタ系で後半はミステリーってな構成かな。
未読の人はそのへんを注意しておいた方がいいかもね。

あくまでも個人的な感想だけど、『不死症』という小説は読書経験の浅いもしくは小説初心者にはオススメな作品だと思った。
(あとゾンビ映画を観慣れていない人にもオススメかな)
様々な小説を読んでいる読書歴長めな人には、物足りたいと感じてしまう部分が多々あるかもしれない。
もう一度書くけど、あくまでも超個人的な感想でね(^^;)

///話のオチはどうだった?///
一般的なゾンビ映画のように、結末がはっきりしない終わり方になるんじゃないかと思ったけど、綺麗にスパッと終わらせてくれたらから良かったわ。オチとしては幸せなもんではないけれど、おじさんはけっこう好きな締め方だよ。後味も悪くないし。
美しい、可愛い女性がカッコよくビシっと決める姿ってたまらないのよね(*´ω`*)

まーね、う~ん?と思っちゃう部分もいくつかあったけど、細かいことを深く考えたり、読み終えて何かを学んだりするような話じゃないと思う訳よ。
良作のホラー映画やゾンビ映画もそんなもんじゃん。
一時でもワクワクドキドキ出来て、最後にイイ感じの雰囲気を味わえればそれで良しってことにしよう。

///まとめとして///
改行の多い文章、簡素なセリフや描写、帯の過激な煽り文句や今風のイラスト表紙。
おじさんが想像するに、『不死症』は新規の読書人を増やす為、普段から全く小説を読まない人達に向けて作られた一冊なんじゃないかと思った。
その結果は・・・・・どうだったんだろか?
思い返せば携帯小説ブーム、山田悠介ブーム、毎年騒がれる村上春樹ノーベル文学賞ブーム?と時代を経てきた訳だけど次に来る波はどんなモノになるんだろうねぇ(´-ω-`)

相変わらず新規の増えないどころか、年々減り続けている(気がする)小説の読書人口。
でも諦めずに続けることで、いつかきっと目指すところに辿り着くんじゃないかな。
作中の夏樹ちゃんみたいに。
周木律は『不死症』の他にも『土葬症』と『幻屍症』っていうシリーズを出している。
コツコツと積み重ねていくことが大切!
勝手にそんなこと考えながら、小説文化が永遠に続くことを願ってしまう満読感、頂きました。
さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

9Pより。
―――語彙や知識はきちんとあった。先刻からきちんと日本語で思考しているし、加法定理だって諳んじられる。ただ、彼女自身に関する記憶のみがなかった。―――
加法定理、加法法則、加法公式とは、ある関数や対応・写像について、2 つ以上の変数の和として記される変数における値を、それぞれの変数における値によって書き表したものであり、様々な加法定理が世の中に存在している。
いやぁ~ぜんぜんわからん(笑)

44Pより。
―――「日本列島改造論に湧く当時の世相じゃ、抗いようがなかったんだろうね。―――
日本列島改造論は、田中角栄自由民主党総裁選挙を翌月に控えた1972年6月11日に発表した政策綱領、およびそれを著した同名の著書。
日本列島を高速道路・新幹線・本州四国連絡橋などの高速交通網で結び、地方の工業化を促進し過疎と過密の問題と公害の問題を同時に解決するといった内容でイタリアやアメリカを例にしたものらしい。
北部を工業地帯に、南部を農業地帯にすべきであるという主張や、電力事業における火力発電から原子力発電への転換についても語られていたとか。
グリーンピア施設か、懐かしい名前だ。

―――元々地元を潤わせるっていう下心が見え見えで、そもそも本当に役立つのかっていう疑問も提起されていたからね。侃侃諤諤の後で、結局、ダム建設は中止されたというわけ」―――
「かんかんがくがく」とは遠慮なく直言すること。大いに議論すること。

103P~104Pより。
―――ある種のビタミンが欠乏すると、表情が失われるのだ。あるいは狂犬病の亜種ならば、彼らが音に敏感だという特徴が説明できる。狂犬病患者は、水や音のような刺激をことさらに嫌うのだ。―――
ビタミン不足によって無表情になるってのはネットで軽く調べてみたけどわからなかった。
鬱病の人とかも表情があんまりない気がする・・・あくまでも気がするだけ。
狂犬病に罹った者が音や水の刺激を嫌うのかもわからなかった。
症状に神経過敏があるから、とりあえず刺激全般が怖くなっちゃうのかな?
恐ろしい病気だわ(>_<)

240Pより。
―――だからかは知らないが————————安堵しつつも、夏樹はいつまでも、戦きを隠せずにいた。―――
「おののき」とは恐ろしさ・寒さ・興奮などのために、からだや手足が震えるってことみたい。


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

365Pの夏樹ちゃんの場面を描きたい!って思ったけど、それはあまりにも終盤過ぎるので止めとこ。
108Pの横一列になって走ってくる奴等の場面も印象深いね。まるで映画『28週後』みたいでゾクゾクしてくる。だけど今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ

309Pより。
―――「・・・・・あ、あああ」長い呻き声を漏らした。
夏樹の頭の中で、今、世界がぐるぐる回っていた。
何が起こったのか、何が原因なのか、今のこの事態は何の結果なのか、そもそも自分はどう関わっていたのか。すべてが、ここには書かれていたからだ。―――

 

闇に香る嘘 読書感想

タイトル 「闇に香る嘘」(文庫版)
著者 下村敦史
文庫 448ページ
出版社 講談社
発売日 2016年8月11日

 



<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・今回の「闇に香る嘘」だけ


<< ここ最近の思うこと >>

2022年の八月末。
今年も24時間TVの季節がやってきたね。若いうちは出演者へのギャラの方が高いチャリティー番組なんて辞めちまえって思っていたけど、最近ではそれでもやらないよりはマシかって考えるようになってきている。一切見ていないけど(^^;)
そんでもってこの感想を書いている時にBS日曜アニメ劇場では『おおかみこどもの雨と雪』がやっているじゃないか。これも初めて見た時は微妙だったけど、年月を経た今見てみると妙にしっとり胸に染み込んでくるのが不思議。

そんなトピックスから導き出される今回の小説はコチラ。
乱歩賞受賞作に名前が載っていて気になっていたけどハードカバーしか売っていなくて購入していなかった作品。だけどついに文庫版が出たから購入しちゃった。
あらすじやタイトルから想像するに少しお堅そうな物語かな?でもでもそこは乱歩賞作品。
おもしろさは間違いなく保証されているに違いない、違いないと信じている・・・・大丈夫だよね?
じゃあ行くか、光の消えた闇の世界。
初めての盲目主人公が奮闘する未体験ゾーンへ、いざ飛び込まん(=゚ω゚)ノ


<< かるーい話のながれ >>

悪天候の中で入港した大和田海運コンテナ船。
その積み荷に詰め込まれていたのは死屍累々の密航者達だった。
異常な状況で慌ただしくなる現場から、二名の密航者が運良く逃げだし夜の闇へ消えて行った・・・。

41歳の時に視力を失った元カメラマンの村上和久は、病院で検査の結果を待っていた。
娘である由香里に頼まれて腎臓の透析患者である孫の夏帆に移植をする為、適合出来るかどうかの検査を受けに来ていたのだった。
別れた妻や由香里に迷惑をかけてきた和久は、償いの為にも腎臓移植に賛成していたのだが、結果は落胆するものだった。自身の不甲斐なさに落ち込む和久が家に帰ると、岩手の実家で母親と暮らしている兄の竜彦から電話がかかって来て、久しぶりに帰って来いと誘われる。
その時、和久は思いついた。
兄である竜彦の腎臓なら、まだ望みはあるかもしれない。

全滅だ、生存者、無償の提供、六親等以内の血族なら、不可解な俳句、まるで別人のように、残留孤児の未来を取り戻す会、棄民、剝き出しの増悪、『今』を生きるしかない、ヒ素の小瓶、煙草の残り香、火傷の痕、忠告はしたぞ、東京入国管理局、墓、無言の恩人、卑怯な嘘、もうどうでもいいことだよ、告発、事件性なし、偽装認知、誘拐、墨の匂い、私に力を貸してくれ、動画、真実、心の目、二人目、頼みがあるんだ、本当の家族・・・。

由香里と供に岩手へやってきた和久はさっそく竜彦に腎臓の提供者になってほしいと説明するが、その願いは断られてしまう。結果に関わらず適合検査だけでも受けてくれれば謝礼もすると和久が食い下がってみるのだが、それでも竜彦はきっぱりと拒否した。
岩手で一緒に過ごす間に、和久はある疑心を抱くようになる。
老いた母と暮らしている竜彦は、本物の実兄なのだろうかと。
満州国からの引き上げ時に離れ離れになってしまい、四十年間も中国残留孤児として生きてきて、1983年の訪日調査で帰国してきた村上竜彦。だが実際は別人が成りすましていおり、だから適合検査も拒否するのではないのか?
疑念は強まるばかりで、和久はついに自分で真実を暴こうとするのだが・・・。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///バカでも出来る育成方法///
「残留孤児の未来を取り戻す会」の会長である磯村鉄平に話を聞きに来た和久。
磯村は中国での悲惨な体験と残留孤児らに対して日本政府が行った非道を語る。
95Pより。
―――養父母は厳しかった。棍棒老子——————棍棒の下にこそ賢い子が生まれるという意味の言葉だ。それを信じ、骨が折れるほど私を殴った」―――。―――
嫌だねぇ~、こーゆー躾け方はどこの国でも同じようにあるもんなのか?
最近では体罰や虐待がすぐに周知されて即対応されるようになってきたから、情報化社会になってよかったことの一つだよ。
(もちろん見つかっていない事案も山のようにあるんだろうけどさ)
いつも寝起きが悪く時間にルーズな友人がいるんだけど、そいつを矯正するために「根性精神注入棒」を購入しようか皆で悩んでいたあの頃が懐かしい(笑)
今となっては遠い日の思い出・・・・・イカン、思わず気持ちが脱線してしまった(;´Д`)

///地獄の未来か絶望の死か///
夏帆が透析を終えるまでの間、暇つぶしとして和久は満州での出来事を語り始めた。
若い男が徴兵されて、ソ連兵が迫っていると噂が広がり、和久一家も逃避行へと旅立つのだが道のりは険しくソ連軍の攻撃機に見つかれば機銃掃射を浴びせられる。
それでも歩き続けてきた開拓団員たちだったが、終わりの時はやってきてしまう。
116Pより。
―――武器は団長が所持している拳銃と手榴弾だけだった。
「・・・・・大和魂を見せるときが来た」老いた団長が団員を見回した。―――
生き延びても地獄しかない状況で行われる集団自決の描写が強く印象に残った。
もしも自分だったらどうするのかっていつも考えちゃうけど、バブル期直前に生まれたおじさんだったら自決するなんて怖くてできないなぁ。でも時代と教育によって決断する内容は変わるんだろうけど。
思い浮かぶのは映画『ミスト』だね。もう少し、あと少し早ければ・・・。

///和久に訪れる数々の試練///
岩手の実家で葬式を終えた和久。
先に東京へ帰宅した由香里から連絡が入り、夏帆が小学校から戻ってきていないと告げられる。
その直後、正体不明の人物に襲撃されてしまう。
317Pより。
―――何者かに羽交い絞めにされたのだと分かった。
「な、何をする!」
右腕で肘内を食らわせようとした瞬間、巻きついた腕に反らされた喉元に冷たいものが押し当てられた。―――
吹雪の北海道でもそうだけど、和久にとっては常に死と隣り合わせな毎日が当たり前だもんね。
それなのに健常者でもあぶない事件に巻き込まれていくなんて、どーなるの?どーなっちゃうの!?って、おじさんもう続きが気になってしょうがなかったわ。
この物語でまさか荒事なんて起こらないでしょって舐めてかかっていました、嬉しい誤算てやつだよ。


<< 気になった・謎だった・合わなかった部分 >>

///わかっちゃいるけど止められないのか///
残留孤児支援団体のボランティア女性から、同じ開拓団だった人物を紹介してもらった和久。
兄の話を聞く為に待ち合わせの約束を取り付けてもらった。
そしていつものように、就寝前に酒と薬を併用する。
149Pより。
―――焼酎で二錠の錠剤を飲み下し、ラジオをつけた。―――
つい最近の記憶の欠落も自覚している和久。
大切な目的がある現状で、しっかりしないといけないから酒&薬のカクテルは飲んじゃダメでしょうに。
それとも不安要素が増えたせいで、ストレスも増加してるから飲まずにはいられないってヤツなのか?
まぁ、気持ちはわかるよ。おじさんも残業したり少しでも嫌なことがあると、すぐに肴も無しで晩酌に逃避するし。

///早期治療に賭けていれば・・・///
結婚し、子供も生まれてマイホームも持った和久はカメラマンの仕事で全国へ飛び回る毎日を送っていた。目が霞むようになり、仕事に支障をきたすようになってきてから眼科を訪ねたのだが、診断結果は深刻なものだった。
175Pより。
―――説明を聞いて怖くなり、拒否した。月日をあけ、再び眼科を訪ねたときには手遅れだった。―――
いやなんで拒否なんだよ?
病気放置で失明が決定しているのなら、回復の可能性がある方を選ぶのが当たり前でしょうに。
この状況ならおじさんでも手術受けるわ。だってほぼノーリスクハイリターンの賭けじゃないの。
でも実際その立場になると・・・・・いやぁ~やっぱり手術するでしょ。
個人的には意識のない時にやっちゃってもらいたいから、局所麻酔だと恐怖感半端ないのは共感。

///行政サービスは活用しないと///
犯罪者が潜んでいる可能性が強い場所へ乗り込もうとする和久と由香里。
援軍の必要を感じて、和久は一度断られた入国警備官へ再度助けを求めるのだが。
353Pより。
―――「可能性はある」私は携帯を取り出した。「待っていろ。もう一度、入管に電話してみる」―――
明らかにヤバすぎる状況なんだし、多少ウソついてもいいから警察に通報しても良かったのでは?
まぁ、平常心で安全な立場の読者と切羽詰まった登場人物では冷静さが段違いだからね。
その場で適切な判断が出来ないのはムリもないか。


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
ほぼすべてが和久の視点?主観から語られる作り。
盲目の年老いた主人公が語る世界って、大丈夫かなぁ退屈しないかなぁと不安だったけど、すぐに杞憂だったと思い知りましたわ。
見えないもどかしさがおじさんをドキドキハラハラさせて、時に悶々と焦らしつつ好奇心を煽ってくる。

『闇に香る』は初っ端から衝撃的な場面から始まる。
その予想外で壮絶な展開が一気におじさんの心を掴んできた。まさしく掴みはオッケーってヤツかと。
それに真昼間の街中を歩くだけで命懸けの和久が、どんどん危険な状況に陥っていくスリルな展開も面白い。お堅めで静かなミステリーだと予測している未読者の方々、是非とも強烈な先制パンチを味わってみてくだされ。

///話のオチはどうだった?///
今回も作中で一番のビックリネタはコレかもって想像して読んでいたら、なんと当たってしまった。
でも理屈も推理も一切なしで、物語の構成的に勘で思いついた答えだから、何の自慢にもなりゃしない。
こーゆー読み方はアカンなぁ。
知らないままネタ明かしを迎えたほうがもっと楽しめたのに、もっと衝撃を感じられたのに、勿体ないことをしてしまった。

乱歩賞作品だからと言って、最後の最後に度肝を抜かれる仕掛けがある訳じゃない。
『闇に香る噓』は穏やかな終わり方だったけどそれで良いと思う。
超重量級に仕上がった骨のあるストーリー(どんな感想だよ)と、家族というものの尊さを一時でも感じることができただけで十分なのよ。
おじさんの年齢でこれだけ楽しめたり共感できたりしたんだから、和久と同じくらいの歳でこの小説を読んでしまったらどうなるのか?
きっと滂沱の涙を流してしまうに違いない(ノД`)・゜・。

///まとめとして///
盲目の主人公と、文字だけの読書ってなんか似ているような気がする。
文章だけでいろんな場面を想像していく感じとか。架空の場面を想像する作業とか。
もしも、いつか視覚障害で本が読めなくなってしまったら?
おじさんの数少ない生きる理由がまた一つ減ってしまうじゃんよぉ。
今のうちに点字を軽くかじっておくか、もしくはアマゾンのオーディブルに手を出してみるか。
なんにせよ、テクノロジーの進化は真っ先に障害や病気で困っている人々を助ける為に発展してほしい。

読了してから少ない脳力をギリギリと振り絞って考えてみた。
自身の周りで当たり前にあることはすぐに見えなくなってしまう。
おじさんは沢山の当たり前に囲まれているから、色んなものが見えなくなっているんだろうなぁ。
改めて己の周りをよく見直して、大切なモノをずっと大切にしていこうっていう満読感、頂きました。
さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

『闇に香る噓』は第60回江戸川乱歩賞受賞作品なのです!

『闇に香る噓』は応募時・受賞時のタイトルは『無縁の常闇に嘘は香る』だったらしい。
だけど「タイトルが意味不明」(石田衣良)、「作品のコンセプトを語り過ぎている」(桐野夏生)、「とにかくタイトルを何とかしてほしい」(今野敏)と総じて不評だったようで、改題に至ったっていう小ネタがあるらしい。
うーむ、タイトルって大切だよね~。

7Pより。
―――横揺れを半分以上減衰させるビルジキールも効果がない。―――
ビルジキールは、船体の動揺を少なくするために、船首から船尾まで船底湾曲部に沿って取り付ける板。
船底に付いている小ぶりな突起部分にそんな意味があったとは知らなかった。
ちなみに砕氷船はビルジキールを付けられないみたいで、氷に当たって壊れちゃうからってことらしい。

59Pより。
―――医師の話によると、片方の腎臓が摘出された場合、一時的に機能が低下するものの、時間が経過すれば残ったもう一方の腎臓が代償して八割程度まで回復するという。―――
一つだけになった提供者の腎臓は血流が増えてゆっくり肥大し、最終的には提供前の腎機能と同じくらいになるらしいけど、もちろん一つしかないから病気などになれば透析療法など必要になる。
腎臓が一個でも二個でも、常に健康的な生活を心がけないとアカンのよね。

66Pより。
―――『スンガリーにはソ連の軍艦が待ち構えちょるらしいぞ。子の泣き声は銅鑼も同然だ。口を封じる』―――
松花江満州語でスンガリー)は中国、黒竜江の支流で東北地区の中心部を流れる大河。

94Pより。
―――私たちは難民収容所に押し込められたが、そこではコーリャンの粥一杯が唯一の食事だった。―――
モロコシはイネ科の一年草のC4植物・穀物。外来語呼称にはコーリャンソルガム、ソルゴーがある。
コーリャンの粥か、お米の粥と見た目は同じっぽいけど、味は米よりあっさりしている感じかな?

110Pより。
―――母に聞いたところ、無患子の実を使った羽根は、文字どおり子の無病息災を願う願掛けに使われるという。―――
ムクロジムクロジムクロジ属の落葉高木。
ムクロジの種子の堅牢さは種子の中でもトップクラスの優れもので、水に浸すと泡立つ果皮は薬用や石鹸として役立ってきたらしい。
ムクロジの実を使ってやる羽子板遊び・・・おじさんの覚えている限りでは経験したことないなぁ。

184Pより。
―――私はアルバムを胸に抱き寄せると、滂沱の涙を流した。―――
「ぼうだ」
涙がとめどなく流れ落ちる様子、または雨が降りしきる様子。

190Pより。
―――点字は習得が難しく、読める視覚障碍者は一割程度らしいが、余生を少しでも快適に生きるために挑戦した。―――
視覚に障害のある人のうち60歳以上が全体の約三分の二を占めていて、高齢になって中途失明する人が増加している。なので点字が読める人の比率は年々下がっているのが実状である。
なるほど、確かに若いうちなら新しいことも覚えやすいけど、高齢になってから新しい言語点字を覚えるのは難しい&気力もないから、読めない視覚障碍者が増えるのは当然なのかぁ。

247Pより。
―――「感熱紙じゃあるまいし、写真は消えないぞ」―――
感熱紙(かんねつし)は、熱を感知することで色が変化する紙。
FAXやレシートで使われているのがそうらしい。
長期保存には向いていなくて印字後に湿気や油分、光などによって変色したり字が消えてしまったりするとのこと。

303Pより。
―――昭和九年三月には、農地を奪われた中国人農民が暴徒と化し、三千人が武装蜂起した。土龍山内事件だ。―――
土竜山事件は1934年3月、満州国三江省依蘭県土竜山にて発生した農民武装蜂起事件である。依蘭事件、または謝文東事件とも呼ばれる。
初期は総数6,700名の民衆軍が蜂起に参加したが、関東軍による包囲戦によって孤立化した民衆軍は800名ばかりに減ってしまう。その後、関東軍の襲撃を受けた民衆軍は大きな損害を受け、総司令の謝は依蘭県吉興河の深山密林地帯に逃げ込んだ。

377Pより。
―――満州には広大な畑が余っている、五族協和のため、日本人が頑張るんだ―――
五族協和とは、満洲国の民族政策の標語で「和(日)・韓・満・蒙・漢(支)」の五民族が協調して暮らせる国を目指すってことらしい。
清朝の後期から中華民国の初期にかけて使われた民族政策のスローガン「五族共和」に倣ったものだったようで。


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
満州国ではトウモロコシを良く育てていたって書いてあったけど、書くのが難しそうだったから葉物野菜の畑にしてしまった。
果たして当時の満州国でキャベツや白菜は育てていたのだろうか?
そして書いていてふと思い出した。
この畑って、映画『がっこうくらし』でネット民を驚かせたあの剥き出し野菜畑に似てるんじゃね(;´Д`)


109Pより。
―――熱が引いていた私は、戸を開けて外を覗き見た。青白い月光の下、母は一人、羽子板で羽根を突いていた。地味な色合いのモンペ姿で、黒髪は纏めて手ぬぐいで覆っている。―――