忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「二階の王」 読書感想

「二階の王」(kindle版)
著者 名梁 和泉
紙の本の長さ 385 ページ
出版社 KADOKAWA
発売日 2017年9月25日

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<< かるーい話のながれ >>

デパートの文房具店でアルバイトをしている朋子は、同じデパートで働いているメガネ屋の加東(イケメン)と何の前触れもなくいい雰囲気になってウキウキハッピーな気分。
だが朋子には秘密にしていることがある。
実家で部屋に引き篭もっている兄の存在だ。
家族にヒキニートの兄が居ると知られたら、愛しの加東になんて思われることやら・・・。
最近は兄の部屋から不快な悪臭がしてくるし、アルバイトの将来の展望は明るいとは言えないし、いろいろと大変そうな毎日を送っている主人公の朋子。(おそらくなかなか可愛らしい外見っぽい)

一方、同じデパートで「ニート枠採用」になった冴えない気弱な青年の掛井。
バックヤードで物流の振り分けバイトをしながら、いつも鬱陶しい先輩にいじめられる日々を送る。
そんな掛井には特殊能力があり、悪魔に洗脳された人間?【悪果】を見つける能力があるのだ。
そして掛井の他にも悪果を見つける能力者達がいて、彼らは団結して街中をパトロールして悪果の増減を観察しているのだった。

かつて砂原という人物の書いた「侵攻者の探索」という本には、空に予兆が現れた後にこの世を滅ぼす王【悪因】が受肉して現代に現れる。
そして悪果を増やしていき、世界は滅びるというようなことが書かれていた。

果たして朋子の恋の行方は?
掛井達は世界を救えるのか?
引き篭もりの兄は部屋を出ることができるのか!?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

まずは位置№ 2780より。
大学内にて澪と掛井が悪果の集団に襲われそうになるんだけど、その中には掛井のバイト仲間でもある松木(逞しい青年だが掛井のような弱い男が嫌い)も悪果となって立ちはだかっていた。
でもってもう捕まって謎の腫瘍を植え付けられちゃうって時に、化け物の顔をした松木が二人を守るように悪果集団に立ち向かった!?
ついに精神力で悪果に打ち勝つ人間が現れたのか!
なんだかんだ言って性根は腐っていなかったのか松井!!
そう思って良いキャラじゃんってなったんだけどね。
うん、なりかけたんだけどねぇ・・・真相は読んでのお楽しみってことで。

次は位置№ 138より。
引き篭もりの兄が部屋を出る時に毎回とある音楽を響かせて、これからちょっと移動するから誰も近寄らないでね~って注意を家族に対して促しているみたいなんだけど、その曲がローリング・ストーンズの『悪魔を憐れむ歌』なんだ。
聞いてみるとおじさんがかつてやっていた「COD ブラックオプス」で流れていた曲やん!
ベトナム戦争時代に作られた曲かな?)
メロディとしてはやけに陽気な音楽を選択したもんだな(笑)
この曲はおじさんも大好きだから、結構あのお方と気が合うかも?


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

ジャンルはホラーになっているんだけど、恐怖というより不気味って感じが強かったかなぁ。
読んでいてゾクゾク怖くなるホラーではない感じ。
にしても毎回思うんだけど、悪魔や悪霊が悪さをするお話で神様サイドはなんにも助けてくれない設定が多いのよね。(最終的に信仰心で勝つっていう系は多いけど)

そんでもって気になる所。
終盤のアノ場面にて、何故昔に死んだ同級生の戸山友里恵が現れたのか?
考えてみたけどおじさんには分からなかった(ノД`)・゜・。

あともうひとつ。
でもこれはちょっとネタバレになっちゃうから知りたい人は反転して読んでね↓
王が受肉したのは生身の肉体にってことだよね・・・・・けっきょく誰の肉体に入ったんだろ?
気になる御方はさっそく読んでみればヨロシ↑


<< 読み終えてどうだった? >>

現代社会に予言通りのことが起こってこの世の破滅がはじまっていく。
こういう設定はワクワクして好きだから楽しめた。
(ちょっと思い出したのは『エンド・オブ・デイズ』っていうシュワちゃんの映画。まあまあ好き)
個人的には主人公である朋子と掛井にもうちょっと頑張って活躍してもらいたかったかな~。
ほとんど本人達はただ起こる出来事に流されるままだったから。
(あ、でもラストは活躍してたしカッコイイ場面もあったわ)

この小説はグロイ描写も無いし、難しい描写や説明もほとんどない。
だからホラーやスプラッタ苦手な人でもストレスなくスラスラ読んじゃえると思うよ。
あまり小説を読まない人にもすごくオススメな一冊だと思う。
(おじさんはもうちょいコアでディープで汚いのが好きかな)

でも最後にはしっかりどんでん返しもあったし、王を巡る結末もしっかり描かれつつ、な~んか怪しいラストもあって物語は終焉した。
読了感としては引きこもりの方々の気持ちに共感しつつも、もっと勇気出してやるときゃやっちまえよ!って勝手に思ったりした。
(他人事だから強気な考えを持てるんだよねぇ~。明日は我が身だぞ!王様ですら引きこもる世の中だからな)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

「二階の王」は第22回日本ホラー小説大賞(優秀賞)受賞作なのだ。

位置№ 1911より。
―――この次、トラブルを起こせば馘首もありうる。―――
「かくしゅ」
雇い主が使用人を辞めさせること、解雇や免職など。

位置№ 2612より。
―――市販本でも砂原岳彦の文章は晦渋でまわりくどく、分かりやすいとは言いがたかった。―――
「かいじゅう」
言葉や文章がむずかしく意味がわかりにくいこと、らしい。

位置№ 1471より。
―――相貌失認、って知ってますか。他人の顔の見分けがつかなくなる病気。ブラッド・ピットがカミングアウトして話題になりましたね。―――
「そうぼうしつにん」
脳障害による失認の一種で、顔を見てもその表情の識別が出来ず、誰の顔か解らず、個人の識別が出来なくなる症状ってことみたい。
↑ネットで調べたら確かにブラピも自己申告しているね。

位置№ 1430より。
―――心霊治療、ってフィリピンやなんかでやるやつですよね。豚の内臓を仕込んでおいて幹部を摘出しました、とか。―――
他にもブラジル、メキシコ、タイとかで有名らしいね。(マンガ『スプリガン』にも使い手がいたなぁ)
個人的にはやっぱりトリックのような気がするけど・・・(;^ω^)
たまたま病気が治っちゃった人の声だけが大きく響いているだけでさ。

位置№ 1310より。
―――ゴダールの「ワン・プラス・ワン」って映画があって、ローリング・ストーンズがこの曲を録音してるところを延々と撮ってるんだけど」―――
1968年に製作・公開されたジャン=リュック・ゴダール監督によるイギリスのドキュメンタリー映画
ザ・ローリング・ストーンズのスタジオでのレコーディングについてのドキュメンタリーと、社会運動にかかわるドキュメンタリーめいたフィクション部分が交差する内容みたいだね。

位置№ 1294より。
―――「だから『悪魔を憐れむ歌』じゃ意味が通らないんだよ」―――
邦題「悪魔を憐れむ歌」の訳には否定的意見もあるようで。
当時、洋楽の日本語タイトルは安易に付けられるケースが多く、レコード会社の担当や親しいファンクラブの人間などが思いつきで決める場合もあったらしい。
本曲もその例に当たると思われていて、「悪魔に賛同する歌」っていう邦題のほうが近いみたい。
↑なるほど。たしかに『Sympathy for the Devil』だからね。
それにしてもwikiでこの曲を調べてみたらすっごく長い説明や逸話が沢山あるのねΣ(・ω・ノ)ノ!

位置№ 2556より。
―――『ギミ―・シェルター』を唄うミック・ジャガーの裏声が癇に障り、僕はヘッドフォンを引きむしった。―――
「ギミー・シェルター」(Gimme Shelter)は、ローリング・ストーンズの楽曲。
作詞・作曲はミック・ジャガーキース・リチャーズ
1969年のアルバム『レット・イット・ブリード』に収録されている曲とのこと。
なるほど、作者の名梁さんはローリング・ストーンズが大好きなんだろなぁ(笑)

位置№ 4366より。
―――「キシュに舞い戻ったのかもしれない」―――
キシュは、古代メソポタミアの都市、もしくはそこに起こった国家。
現代名はテル・アル・ウハイミルで、イラク共和国バービル県内のバビロン遺跡の東12kmに位置する。
20世紀初頭の発掘によって宮殿跡やジッグラト、墓、書記学校の跡が発見されている。
古代メソポタミア時代の初期において特殊な意味合いをもっていたらしいけど、特殊な意味合いとは?


<< 登場した地域・道具・姿・形などの気になった画像 >>

クライマックスな場面にて。
右手の肘から先が黄色い角質で覆われて、三本の歪曲した鉤爪と向かい合う一本の爪、つまり猛禽の下肢になってしまった朋子。
極限状態で部分的に悪果の力を得た朋子さんが周りの悪果達を引き裂いて薙ぎ払うシーン。
心まで侵食されそうになった朋子様は「おいで。引き裂いてやる。」と心の中でつぶやく。
うん、なかなか熱くてカッコイイ場面だったよ。
(でもやっぱりこれ、ホラーっていうよりデビルマン?)

「復活の日」 読書感想

復活の日」(文庫版)
著者 小松左京
文庫 452ページ
出版社 角川春樹事務所
発売日 1998年1月1日


<< かるーい話のながれ >>

舞台は1970年代の地球。
イギリスの極秘細菌兵器研究所から持ち出された細菌兵器サンプルが、不運な事故により極寒真冬のアルプス山中で大気中に飛散してしまう。
数か月後、世界中で変異したインフルエンザウイルスが大流行。
致死率はどんどん上がってバタバタと人や動物が倒れていく。
しかし感染者を殺している原因は、インフルエンザと同時に流行していた例の細菌兵器ウィルスだった。

爆発的な増殖力と抹殺能力を巧妙に隠し持つこのウィルスは、数年前に宇宙空間から採取された微生物を元に作りだされた凶悪な細菌兵器だ。
だがそのことを知る者は数少なく、色々な偶然からその情報にたどり着けず、研究開発関係者も次々とぽっくり死んでしまう。

誰も原因を掴めないまま、水中以外の生物は死滅していき、(蛇とか虫は大丈夫みたい)最終的に生き残った人類は南極観測基地にいた一万人だけになってしまう。
残された者達は南極でなんとか生き抜いていこうとしていた矢先、人類が自分達で作り上げた憎悪によって自身を滅ぼす危機に襲われる。
果たして残された人類に復活の日はやって来るのだろうか!?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

まずはコチラ。
南極昭和基地の無線に届いた、ニューメキシコ山中にいる五歳の少年からの救難無線。
しかしそれを聞いた辰野と住吉は救難無線に応えてはいけないと分かっている故に葛藤するシーンが印象に残った。
もし生き残っている感染者達が無線を聞いたら、南極なら助かると思って押し寄せてくるだろう。
そうなったら人類は完全に絶滅してしまうんだよね。
家族もペットもみんな死んでしまった家でただ一人救助を求める五歳児、だが誰も返事を返してはくれない世界になってしまったことを悟ったその子供は・・・。
おじさんに子供はいないんだけれど、こういうのは心にずしっと来ちゃうんだよ(ノД`)・゜・。
無線を聞いていた辰野と住吉は返事を返そうとする者と、応答してはいけないという者で取っ組み合いの喧嘩になっちゃうんだ。
助けを求める者をただ何もせず放っておくしかないって状況は、辛いよね。

続いてコチラ。
ヘルシンキ大学の文明史担当ユージン・スミルノフ教授」による最後のラジオ放送の場面。
結局何が言いたいのかあんまり良くわからなかったけど、軽くまとめるなら・・・。
人類はここまで知性を持って文明を築いてきたんだから、その知性を持って哲学的精神も発展させて相互理解していく努力をもっとしていくべきだった・・・的なことを言いたかったんじゃないかと。
ホントに細かいこと覚えてないし、言っていることも難しくて理解できないことが多かったんだけど、この教授が最後に語る魂の叫びに作者の激情を感じて打ち震えましたわ(´-ω-`)
(映画「インディペンデンス・デイ」の大統領演説シーンみたいな感じの熱意?が伝わってきた)

最後にコチラ。
このセリフも記憶に残る、というか笑える場面の無い作品だからこーゆー言葉がやけに面白く感じる。
400Pより。
―――セックスが人生の重大事みたいに考えるのは、小説家の迷蒙ですよ―――
決死隊として出発する前夜。
特別に接触を許された女性なんだから、おじさんなら何も考えずにルパンダイブで飛びつきます(笑)
しかしこれは作者の自虐ネタなのかな?
あぁ、でも南極生き残りの男達は女性達のことをずっと「ママ」とか「おふくろ」って呼ぶことになっているから、やっぱり最後は親孝行したかったっていう気持ちのが強かったのかもしれないね。


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

MM-88細菌やインフルエンザ・ウィルスの仕組みとかの説明が本当に難しかったわ!
ミクソウィルスである新型インフルエンザ・ウィルスにMM-88が感染、ソレが生きている細胞に入るとMM-88が自殺細胞化する核酸を出して感染者を殺す。
感染者が死亡して細胞が活動を停止するとMM-88は溶解して消える?だっけ?
うーむ、おじさんの頭ではこんくらいが限界です(;^ω^)

続いてコチラ。
最終的に南極にいて生き残った一万人。
その中で女性は15人しかいなかったんだけど、その人数で人類はこれから数をふやしていけるのか?
男女比が逆転していたら簡単に増やせそうだけど、女性が少ないと負担も大きいだろうなぁ。
この状況で思い出すのは映画「博士の異常な愛情」の場面だ。
ハーレム計画を語るストレンジラブ博士の言葉に流されて、甘い妄想の世界に入ってしまうお歴々方。

最後にコチラ。
一応この小説は人類が衰退していく様をじっくり書いてあるお話なんですわ。
だから人類が知恵と勇気と努力で未知のウィルスに打ち勝っていく様を描いたサクセス・ストーリーじゃないからご注意を。
(医学関係者の方が読んだらどんな感想を語るのか、ちょっと気になったり・・・)


<< 読み終えてどうだった? >>

なんだか海外の翻訳SF小説を読んでるみたいな気分だったかなワールド・ウォーZの影響かも)
パニック災害物の映画と違って世界中の一人一人の視点で生物が絶滅していく様を描かれているから、とんでもないことが地球規模で起こっているっていう緊迫感が読んでいてすごく伝わって来たよ。


作中で語られていたところで、新聞やメディアで目にする何百、何千、何万人の死者報道を流し見ていて、ふと周りを見てみると病人だらけに。
自分もいつからか軽い咳が出ている。
そして気がつくと自分も死者数字の中にいるんだってことに気づかされる文章がゾクっときた。
細菌兵器って怖いよぉ。目に見えないし気付けないから余計怖い(; ・`д・´)
ちょうどインフルの流行る季節に読んでいたから物語に浸りやすかったのかもね(笑)

おじさんは昔から宿題を最終日ギリギリまでやらなかったけど、んでけっきょく出来なかったけど、人類も絶滅の縁に立たされないと協力し合うことが出来ないのかねぇ。
でも何度も幾つも大きな戦争や病気や災害があったのに未だに理想社会になれないのは悲しいことだよ(ノД`)・゜・。
この小説内の人類には明るい未来を創る理性があると祈りたいわ。
読了感は長くて難しい言葉連発の物語をよくぞ最後まで読み切ったぞ!っていう、やり遂げた感で一杯だ。(夏休みの宿題も頑張って終わらせていたら、こんなに気持ち良い気分になれたのかなぁ)

ちなみにふと考えたんだけど、「復活の日」ってのはひょっとして人類自身がもう一度「最初の状態」からやり直す意味だったのかな?
以前の世界よりも、もう少しマシな世界を作っていく始まりの日ってことだったのかもね。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

20Pより。
―――諦めの熱い皮膚の下に、もはや燠ほどのぬくみも感ぜられぬようになったと思われた、あの懊悩だった。―――
「おうのう」
悩み悶えるっていう意味らしい。

294Pより。
―――治安などと――つまり従容として死ねという意味ですか?―――
「しょうよう」
ゆったり落ち着いている、または急いでいても慌てたりしないことかと。

326Pより。
―――私が学者として、知識人として、根源的に怯懦であったことに対する罰にほかなりません・・・―――
「きょうだ」
臆病で気の弱いこと、らしい。

116Pより。
―――中国は朝鮮事変の時、アメリカ空軍によって細菌兵器の攻撃をうけた。―――
英国や旧ソ連などの科学者からなる国際科学委員会は1952年に、朝鮮戦争アメリカは日本軍の731部隊のデータをもとに細菌戦を実施したって言っているらしい。
歴史家のキャサリン・ウエザースビーはこれを北朝鮮ソ連、中国が捏造したプロパガンダだって言ったみたいだけど、中嶋啓明(ジャーナリスト)は実際に旧日本軍のデータに基づく細菌戦が行われたと主張しているようで。
うーむ、あくまでも個人的な感想だけど・・・・・どさくさに紛れてやっていたに一票。

127Pより。
―――1957年、アメリカ東部のノースカロライナ州上空で、訓練飛行中のB47爆撃機から、あやまって、水爆が投下されてしまったことがあった。―――
パロマレス米軍機墜落事故。
1961年ゴールズボロ空軍機事故。
1958年3月11日、サウスカロライナ州上空を飛行中のB-47から原爆が落下した事故。
あわや大惨事っていう爆弾落下事故がけっこう頻繁に起こってますやん。
こんなの怖すぎるわ(゚Д゚;)
やっぱりどんだけ安全設計しても人間が扱う限り事故は起きてしまうんやねぇ。

135Pより。
―――CIAの中東支部は、つんぼ桟敷だった。―――
江戸時代の劇場で、正面2階桟敷の最後方の席。
舞台から遠くて役者のせりふがよく通らないらしい。
あとは関係者でありながら情報や事情などを知らされていない状態ってことかと。

405Pより。
―――コバルト60を線源にしたガンマ線照射はたびたびやってきたが、大したものはえられなかった。―――
コバルト60!これはまさか映画「博士の異常な愛情」で紹介されていた元素かな?
って思ったけど、映画に出てきた元素は「コバルト・ソリウムG」という半減期93年の放射性元素でした(;^ω^)


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

263Pに描かれていた「アウシュビッツ作戦」または「バナナ作戦」が凄い光景だ。
ガスマスクを付けた自衛隊員達がそこら中に転がっている死体をブルドーザーで集めて山にしたら、ガソリンなどをかけて火炎放射器で燃やし尽くす風景。
もはや丁重に扱うだけの人員も行政もままならなくたった末期状態の日本の日常。
あちこちから新興宗教に縋りつく人々が唱える読経が聞こえる中、死体がどんどん掻き集められては次々に焼かれていく梅雨の東京。

「獣革命」 読書感想

「獣革命」(キンドル版)
著者 友成純一
出版社 アドレナライズ
紙の本のページ数 223ページ(新書版)
発売日 2014年11月21日

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<< かるーい話のながれ >>

いきなり自衛隊が空から降下して陸から現れて首都圏の人々を次々に殺しては建物も破壊していく。
このクーデターの首謀者が大尉と呼ばれる毛むくじゃらで常にアーリータイムズを飲んでいる巨漢なオッサン(正体不明)で、彼曰く無政府主義革命を起こしたと、乗っ取ったTV放送で宣言した。
クーデター目的は破壊と殺戮以外なにも無くて、クーデター隊も指揮系統が無いからみんな好き勝手に行動して、時には互いに殺しあっている無茶苦茶な状態になった首都圏。

この小説の中で主な登場人物を上げるとしたら、自衛隊を率いる大尉。
あとは一般人から。
お互いに気になっている兄妹の伸之(平凡なサラリーマン)と明日香。(可愛い少女)
後は視点が被害者だったり加害者だったり変わるんだけど、どちらにせよ大体すぐに死んでしまうのだ。

革命後のストーリーとしては日本は世界各国から放置されて衛星により監視だけされている。
激しい体験により淫魔的存在になった明日香、魅力に囚われた大尉が明日香を連れ去って終始イチャイチャしまくる。
そして石のように固まったままだった無双(元伸之)が、自身に快楽を与え続けてくれていた明日香を探し求めて大尉達を追いかけていく・・・。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

まずはココ!
大尉率いる部隊が進学中学校を襲撃!
教師も生徒も虐殺したあとで、肉体の成長がイイ感じのキレイな女子達を連れ去っていくシーン。
その連行のやり方がエグイ!!
全裸の女子生徒全員の両掌に穴をあけてそこにロープを通す、そしてゆっくり走るジープに繋いで連行!
転んだり体力が尽きたりしたら・・・・・そのまま放置ですねはい( ゚Д゚)
女子生徒達は痛みと不安で「あー!あー!」と泣き叫びながらジープの後ろを走ってついていく。
シュールだなぁ・・・どっかの絵画で描かれていそうな光景で頭の中で想像しやすかったわ。
たぶん、むか~しとかに外国で行われていたんだろうなぁ。
いや、いまでもどっかの紛争地帯とかで実際に行われている気がするし(/ω\)

もうひとつは終盤での宴で行われる残酷シーン。
さてさて今回の友成・ショー(意味不明)はいかほどか・・・?
毎夜おこなわれる残酷な宴にて。
一人の女を二人の男が前後に刺してハッスルしているんだけど、足を上に回し過ぎて女性の股関節が外れちゃっている状態。
それに飽きると二人の男はバイクに乗って女性の両足首にロープを通し、それぞれのバイクに結ぶ。
もうお分かりの「股裂き」デス!
引っ張るにつれて女性の前と後ろの穴が広がって行って、それを抑えようと女性は逆さ刷りの状態で股間に手を持っていくが無意味ですね。
結末はぱっくり綺麗に真っ二つではないけど、二つに裂けて殺されてしまいます(>_<)

その一方で違う女性は、針金で亀甲縛りにされて木に吊るされるんだけど、ひとしきり犯した後が酷い。
亀甲縛りからはみ出た肉の部分をナイフでそぎ落とす男達。
その度に女性は鳥の悲鳴のような叫び声を上げる。
ちなみに女性達は最終的に全員殺して食料にされるから男達は女が死のうが苦しもうが関係なしで嬲る。
う~むむ・・・その他にも悲惨な描写がたっぷりで、相変わらず凄まじい想像力でした。


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

友成作品にありがちなんだけど、今回は特に色々なことの説明が無かったわ。
クーデターを引き起こしたであろう人物の大尉は一体何者だったのか?
在日米軍達はなんにもしなかったのか?
そもそもどうやったってこんな大規模で無計画なクーデターを起こせたのか?
(どう考えても事前に情報漏えいして失敗するだろうに)
上げていくとキリがないけど、まあ・・・・・もう慣れたかな( ̄▽ ̄)

それともう一つ。
無双(伸之)と明日香は人間やめちゃった存在なの?
無双の方は憤怒のあまり血流が頭に廻りすぎて脳が溶け出した後で、青銅の様な光る肌を持つ筋骨隆々な巨漢怪力男になっちゃうし、明日香は犯されぬいた後で痛みさえも快感に感じてしまう淫乱美女(相手を魅了する能力持ち)になっちゃうし。
なんでこの二人だけが怪物化したのかまったくわかんなかったなぁ。
(あとこの二人は獣革命の物語に必要だったのでしょうか・・・?)


<< 読み終えてどうだった? >>

いや~~~、今回も案の定なぶつ切りエンドですわ(´・ω・`)
明日香を追いかける無双から逃げ続ける大尉と、されるがままの明日香で終わり。
大尉としてはこんな状況をずっと求めていたと言うか、これはこれで悪くないって感じで逃げ続けている心境なようで。(思い浮かぶのはマンガ『殺し屋1』のロマンチックな追いかけっこの場面)
ちょっと今まで読んできた作品に比べると雑な感じがしたかなぁ?
でもまぁたま~に全部ぶっ壊したくなるくらいストレスの溜まったアナタ!!
そんな時に読むと結構スカッとするんじゃないかと(笑)

個人的には「獣儀式」みたいに意思疎通が出来ない化物に蹂躙されるほうが面白いと思うんだよね。
っていうか範囲が日本国内だけになって、鬼の変わりに自衛隊が人々を蹂躙する「獣儀式」だった。
ままま、もともと何かを期待して読むような作品ではないと思っているから、これはこれでアリかぁ。

読了感としては、ぶつ切りエンドだしクーデターの元凶である大尉も生きているし色々な疑問がほったらかしだし、あんまり良くはないかなぁ。
でも「キンドル版のあとがき」が面白かったから、これはこれで宜しいじゃないですかって感じで(笑)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>


202Pより。
―――逃げろ。おい!歩兵戦闘車だ。あれは、M2ブラッドレー・・・―――
M2ブラッドレー歩兵戦闘車は、アメリカ合衆国で開発された歩兵戦闘車
車内に歩兵を搭乗させることが出来て、自身も積極的に戦闘に参加できるように強力な機関砲だとかミサイルだとかが搭載されている戦車みたいな兵器。

841Pより。
―――立川駐屯地を発車した列車砲エレファントは、前に仕えた中央線の橙色の車両をブレードで弾き飛ばしつつ、暴走を続けた。―――
エレファント重駆逐戦車は、第二次世界大戦で使われたドイツの駆逐戦車ってことみたいだけど、線路の上を走るようには出来ていないと思うけど。
かといってグスタフとかあんな無茶苦茶な古い兵器が出てくる訳ないし・・・わからん(・・;)

1029Pより。
―――その鼻歌は、よく聞くと、「インターナショナル」だった。―――
「インターナショナル」は、社会主義共産主義を代表する曲らしい。
ソビエト連邦では十月革命(1917年)から第二次世界大戦(1944年)まで国歌になっていて、日本でも労働歌として歌われていたとか。

423Pより。
―――しかし中学に進学し、そろそろ番茶も出花の年頃が近付くと、事情がまるで違って来た。――
番茶でも入れたては香りが高くておいしい、どんな女性でも娘盛りは美しいものであるというたとえ、らしい。

685Pより。
―――男子生徒が十一人いたわけだが、彼らのうち何人かは、兵士の気紛れで衆道の契りを結ばされた。―――
衆道とは日本における男性の同性愛関係(男色)の中で、武士同士のものをいう、みたい。
いわゆる男性同士の性行為ということですか、怖や怖や(/ω\)

1265Pより。
―――清楚で大人しい明日香、無邪気な子供っぽさこそあれ、女らしさやコケットリーには全く無縁だった明日香が決して持ち得なかった笑いだった。―――
コケットリーは、女性特有のなまめかしさのこと。フランス語のcoq(オンドリ)に由来しているらしい。

あとがきより。
右傾化して合衆国の付録という立場をますます鮮明にしつつ、恥知らずな資本主義=議会制民主主義という悪の道に走っている日本をぶっ壊すという、完全にテロリストな願望でこの小説は書かれているみたいだね(; ・`д・´)
ここまでぶっちゃけたあとがきはなかなか凄いわぁ。
(このあとがきはお酒飲みながら酔っぱらって書いていたのかな?)

もう一つ。
トロツキーの「テロは、弱者が強者に対抗しうる唯一の、そして強力な手段である」という言葉は本当だと思っている。って書いてあるけど、確かにそうだと思うけどさぁ・・・でもでも、一般人を巻き込むんだからどんな酷い報復を受けたとしても文句は言えないよねぇ、テロ側も。

最後にコレも。
ベトナム戦争でベトコンが使用したトンネル戦術は硫黄島の戦いで日本軍が発明した戦い方で、それを人民解放軍が改良してベトコンに授けたって書いてあるんだけど、なるほど確かに抵抗する側で戦うのならば日本はかなり強いのかもしれないね。
(前の大戦も侵略戦争じゃなけりゃ勝てたってことかな?よく知らんけど・・・)


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

序盤で説明されていた地獄の堕天使事件。
デパートからぶら下がる七十体近い首吊り死体、建物内には武装集団の男三人女二人のテロリストが重武装で立て籠もり、最終的に若い女性の人質八十人ほどが捉えられていた。
突入作戦が実行されて特殊工作専門の警備員達がデパートに踏み込み、犯人達を全員射殺したのだが、人質は誰一人として救出されなかった。
デパート内部は調理器具や大工工具によって散らかされた肉片(人質)まみれの地獄絵図だったから。
これをきっかけに警備会社は武装化していって、日本国民の銃器所持も暗黙の了解になっていった。

「残穢」 読書感想

残穢」(文庫版)
著者 小野不由美
文庫 359ページ
出版社 新潮社
発売日 2015年7月29日


<< かるーい話のながれ >>

ホラー関係の作家をしている「私」(おそらく小野不由美自身)のもとに久保さんという読者から恐怖体験の手紙が届く。
その恐怖体験を「私」はどこかで読んだことがある気がして過去の手紙を漁ってみると、やはり同じような内容の手紙が見つかった。
送り主は「八嶋」という人物で、久保さんと同じマンションに住んでいるようだ。
「私」と久保さんは気になって八嶋さんの部屋を調査しようとするのだが・・・。

怪奇現象があった場所に住んでいた住人を調べていく内に、現象の内容が人によって違っていることが判明してきて「私」は部屋ではなくその土地に原因があるのではと思い、土地の歴史をどんどん遡って調べていく。
その過程で怪奇現象の原因らしき事件・事故などは判明するのだが、根本の原因には今一つ届かない。
そして調査を進めていく「私」の身の回りにも、原因不明の現象が起こり始めてしまう・・・。

住人が次々に出て行ってしまうマンションの部屋と、同じく住人が定着しない団地の建売住宅には何の因果があったのか?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

ホラー小説なんだから、やっぱ怖~いシーンでしょ!
まずは57Pにて。
久保さんの前に204号室に住んでいた梶川と言う人物。
すでに彼は違うアパートに引っ越していて、そこで自殺してしまったと判明する。
自殺する前夜にアパートの大家の家へ梶川らしいモノが来訪して来た場面。

静かな深夜、窓越しに伊藤おばあさんに話しかけてくる梶川の声。
「すみません」と「申し訳ありません」ばかり繰り返し、次の瞬間には玄関へ瞬間移動た梶川の声はさらに謝罪を続けて、やがて気配は消えた。
ガラス越しにシルエットは見えるんだけど、なにやら異様な雰囲気がある存在がぽつぽつと謝罪し続ける場面は恐怖じゃないんだけど不気味だ。(いや、どうかんがえても恐怖だわこりゃ)
虫の知らせ系な話はありきたりなんだけど、この小説だとなーんか背中がゾクゾクするんだよねぇ。
これが読ませる文章力なのだろうか?

もうひとつ、219Pにて。
マンションから始まって穢れた土地をどんどん遡り調べていく「私」と久保さん。
しかし久保さんは部屋を引っ越したにも関わらず、以前に聞こえていた畳を擦る音がまた聞こえ始めた。
同じく「私」の新居にも電気センサーが勝手に反応したり、飼い猫達が不意に明後日の方向を凝視するなど奇妙なことが起こり始める。
穢れを持った話は、それに関わるほどその穢れを呼び寄せてしまうということらしいが。
でも奇妙な現象に対して「私」は「なんだろうね?」と飼い猫に問いかけるだけで済ませちゃう。
さすがホラー作家だ(笑)
恐怖心というか警戒心がちょっと足りないのかOFFにしてるのか(^^;)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

とにかく登場人物が多いのよ!
歴史を遡るにつれて土地の所有者がどんどん変わっていくもんだから、読んでいてこの人が一体何に関係している人なのかってことが頭の中で整理出来ないまま読み進めることも多々ありまして。
(人名を覚えるのが苦手なおじさんだからなのかもしれないけど)
遡る時代も今世紀から明治大正期までじっくり掘り下げていくから、一気読みしたほうが話の流れを理解しやすいかも。


あと主人公がホラー作家で恐怖に物怖じしない女性(おまけに超常現象とかをあまり認めないタイプ)だから、語られる文章もとにかく淡々としているんだよね。
そんでもって分かりやすい山場とかが無い展開だったから、エンタメ好きなおじさんにはちょっと物足りない感じで終わったかな~。
でもなぜか今まで読んできたホラー小説の中で群を抜いてゾクっとさせられた場面が多かったよ。


<< 読み終えてどうだった? >>

いやはやなんとも、今回は初めて読むタイプのホラー小説だったね。
分かりやすい展開とか山場とか、グワッとくる怖さじゃないんだよ。霊が出てきて人間を襲う訳でもないし、原因とか対処法とかもある訳でもない。
基本的に起こった怪奇現象の原点を探っていくだけな内容ですわ。

でもエンタメ性を削った分、現実味がグッと増して怪奇現象がすぐ隣で起こりそうな気分にさせられる。
現実味を増している理由は他にもあって、登場する人物達が実在する人が多かったこともあると思う。
あと実際に起きた事件や怪奇現象も取り上げられていたし。
(中にはお話を聞いただけで穢れを貰ってしまうような危険な怪談も・・・それは後ほど)

そんなわけで、淡々と進んで行く物語は熱気が無くとにかく冷たい感じで、その冷気が読者であるおじさんの背中や肩をヒヤっとさせてくる。
霊が現れた部分や不可解な現象が起こった場面を読んでいる時なんて、自分の上下左右に目を向けることさえちょっと怖かったくらいだ。
(一人で読んでいたせいもあるかな?でも消音でTVも付けて部屋も明かりばっちりだったのにねぇ)

―――「書物の中の恐怖が現実を侵蝕し、読者の日常を脅かす」―――
この小説の紹介文に書かれていた言葉だけど、なるほど確かにこの小説はおじさんの日常を十分に脅かす穢れを持っていたわ。
(夜の犬の散歩が怖くなってしまったわわわ・・・)

読了感としては、一見ハッピーエンドみたいな感じでエピローグが語られていたんだけど、最後の一文でしっかりおじさんの心に残穢を刻んでいったね(;´Д`)
なのでこの小説は読み終わってから読者の心に、いや~なしこりを残してしてくれる作品ってことで。
(ホラー小説として良い後味だしてるって意味でのいや~な感じね)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

56Pにて。
―――店子の中には建て替え前からいる住人も多い。―――
家を借りている人とか、借家人って意味みたい。

172Pにて。
―――綺羅星のような執筆陣も嬉しい。―――
きらきらと光り輝く無数の星。地位の高い人や明るいものが多く並ぶようすのたとえ。らしい。

213Pにて。
―――鶴瓶落としに陽は沈んでいく。―――
釣瓶を井戸の中へ落とすときのように、まっすぐにはやく落ちること。
季節が秋だと夕暮れから日没までがほんとうに早いよね。

327Pにて。
―――外連味の無い箱型の建物が立ち枯れた雑草の間に埋もれていた。―――
はったりを利かせたり、ごまかしたりするようなこと。らしい。

207Pにて。
書くと障りがあるから書けないので、一部を封印してやっと書ける最恐のお話が「現代百物語 新耳袋八甲田山」らしい。
マジですが?怖くて調べたくありませんが、物凄く気になる!でも怖いから調べたくありましぇん!!

266Pにて。
―――「私宅監置、って知ってますか」―――
明治期から終戦直後まで制度として存在していた私宅監置。精神病患者を自宅に監置するいわゆる座敷牢とのこと。
まあそういうのがあっても全然不思議じゃないわね。ドラマとか映画とかでもこういう監禁ネタは色々使われているし。
きっと裕福な家庭だけがそういうこと出来たんだろうなぁ。

310Pにて。
障りのある土地を調べていくにつれて、「私」を含めて色々な人達に何かしら良くないことが起こり始めたことに対して、まあこーゆーことが全くないってことでもないし、ただの偶然でしょって感じで「私」自身を納得させた場面にて。
―――だからこそユングは「共時性」などという概念を発明する必要に迫られた―――
ユングが提唱した概念で「意味のある偶然の一致」日本では「共時性」とも呼ばれるみたい。
虫の知らせみたいなもんで関係の無い二つの事柄が似ているんじゃないか?関連があるんじゃないか?と考えてしまうこと、みたいな?

2016年に竹内結子主演で『残穢 -住んではいけない部屋-』という実写映画にもなっているね。
うーむ、一人で観るのはちょっと怖いな(;一_一)


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

終盤の335Pにて。
門に囲まれた広い庭のある平屋作りの真辺邸(廃墟)にて。
神頼みでも払えなかった穢れを消すために最終手段で骨董屋から曰く付きの品々を集めていた真辺氏。
しかし結果は・・・。
あちこちに神棚や仏壇、丸盆にコップと盛り塩が置かれて、庭には社や地蔵が並べられ、雨戸の裏側には沢山の角大師の札が張られまくった廃家を探索する一同。
原因不明の病のせいで首にコルセットを付けた「私」、好奇心で付いてきた久保さん、そしてホラー作家の平山氏と福澤氏。

「七回死んだ男」 読書感想

「七回死んだ男」(文庫版)
著者 西澤保彦
文庫 360ページ
出版社 講談社
発売日 1998年10月7日


<< かるーい話のながれ >>

かつては自堕落な生活をして家庭をないがしろにしていた渕上零治郎。
妻が先立ってしまったことによりますます腑抜けになってしまい、残された三姉妹は早々に零治郎の元を去ろうと考える。
そして長女と三女は素早く結婚して、絶縁同然に零治郎と二女を捨てて家を去った。
それから数年後、零治郎はギャンブルや株で大儲けして大金を手に入れて現在では全国規模の飲食チェーン店の会長になっていた。

金持ちになった頃から始まった年始恒例の渕上家お泊り会。
(長女一家と三女一家が数日間泊まりに来て飲めや食えやの宴会三昧)
零治郎と暮らし続けている次女が独身者で子供もいないので、会社グループを継ぐ者は決まっていない。
そこへ長女一家と三女一家がそれぞれの子供達を連れて零治郎の家にやって来る。
どちらも今回は何故か夫が来ていない。
もうお分かりだと思うが、どちらの家庭も自分の子供を次女の養子にして会社の跡取りにしようと計画しているのだが、零治郎は長女と三女に対して勝手に出て行った恨みがあるので、秘書や運転士まで含めた跡取り争奪戦を計画する。
そんな中、初日宴会の次の日に零治郎は撲殺された死体となって発見されたのだが・・・。

主人公は長女家族の末っ子である久太郎という高校生だ。
彼はある能力を生まれながらに持っていて、それは自分の意思とは関係なしで特定の一日を七回繰り返してしまうのだ。
零治郎が死んだ日が丁度その繰り返し日になってしまった久太郎は、何とかして祖父を死なせない様に努力するのだが・・・。

一応SFミステリーなジャンルになっているらしい。
突飛な設定があるんだけどちゃんとした推理モノなんですわ。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

まずはこの小説のヒロインと言ってもいい次女の秘書である友理さんがすごくタイプでっす(#^^#)
77Pの場面にて。
久太郎の母親が血縁者以外を養子候補に入れるなんてとんでもない!と零次郎に意見するんだけど、またその言葉が本当に笑えるくらい酷いんだわ。そしてこれでもかと馬鹿にされた友理さんはいつものニュートラルな表情が崩れ、怒りを露わにしたレーザーみたいな眼光を見せる!
あまりの迫力に皆が固まってしまうんだけど、ここが読んでいて思わずニヤついてしまった。
そのあとで最初は辞退したいと言っていた養子候補に、心変わりしたから立候補すると宣言する友理さんらしい仕返しもチャーミング(笑)

もうひとつはコチラ。
240Pの大乱闘座布団&クッション投げ合戦のシーン。
第六週目に久太郎は全員を集めて長女家族と三女家族の男女を結婚させて子供を作り、その子供で零次郎を釣って子供達を養子にしようという案を皆に提案する。
これなら両家とも幸せになれる案であった。
だけどまたしょーもないことがきっかけで口喧嘩が始まりだして、運悪く今回は全員が居合わせた為に雪だるま的な連鎖で大乱闘が始まってしまう。
みんながみんな相当に口が悪く感情が高ぶっているせいか下衆なことを言うわ言うわ(笑)
そこから豪邸の中で柔らかめの物を使用しての投げ合い合戦(たぶん柔らかい物は軽くてみんな投げやすいから?)
仲裁しようとしてぶっ飛ばされた久太郎でさえ、眺めていたら楽しそうだから自分も参加してみようかなって思っちゃうくらいの様子は、読んでいるこちらも参加してみたいって思えてくるのだ(*‘∀‘)
しかしみんな濃い性格というか、面白おかしい人ばかりな一族だわ渕上家の人々は。


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

全体的に小難しくて聞きなれない表現言葉が多かったから結構飛ばし読みしちゃいました。
でもなんとなーく意味は分かるから良しってことで。
高校生の主観でこんな小難しい言葉ばかり使って考えはしないだろ!とツッコミそうになったけど、考えてみたら過ごした日数だけなら久太郎はもう30歳くらいになってるんだから、アリっちゃアリか。

ラストのネタ明かしで数字が沢山出てくるとちょっと理解できずに読み進めてしまう部分があったかな。
(じっくり落ち着いて読めばわかるけど、結末を早く知りたい派のおじさんは急いて読み進めてしまう性分なので・・・)
この事件は間違いなく誰かが同じ能力を持っていて、ソイツが全てを操っていると予測した!
でも真相はまったく違っておりましたわわわ(;´Д`)


<< 読み終えてどうだった? >>

なーんか堅苦しい雰囲気の推理小説かな~って思っていたんだけど、読んでみたらキャラクターがどいつもこいつも個性的で、常に楽しく読めちゃったよ!
(久太郎の母親が口悪すぎて実際にフフっと噴き出した)
話の展開は同じ一日を合計八回繰り返しているだけなんだけど、主人公が違う行動をとる度にキャラクター達がどんどん予想外な一面を出してくるから飽きずに読み進めていける。
あの人があーなったり、あの2人があんなことになっていたり、新事実が明らかになっていくのがイイ。
(リメンバー・エンドレスエイト


この話を読んでいてすぐに思い浮かんだのは映画の「バタフライ・エフェクト」だ。
主人公の行動で色々変わるけど結局良い結果にはならずに毎回悩んでしまうところは同じで、最終的なオチとしてはあの映画とはほとんど関係なく、ちゃんとしたミステリー推理小説になっていたからご安心。

読了感は何故か良いラブストーリーを読んだあとみたいにほっこり気分。
(久太郎君が羨ましいわぁ・・・)
それと、おじさんもお酒はほどほどを心がけるようにしようか・・・なんてね(;^ω^)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

64Pにて。
―――厭味ったらしい流眄をくれる。―――
「りゅうべん」
流し目、または流し目で見ることって意味らしい。

73Pにて。
―――絶対的ヘゲモニーを握る立場に陶酔でもしているのだろうか。―――
「へげもにー」
指導的な立場とか、主導権って意味かと。

あとがきにて。
作者が本作を書こうと思ったきっかけになったのが「恋はデジャヴ」という映画らしい。
我らがビルマーレイ主演の1993年制作映画だ。
この映画は恋愛成就がきっかけで反復現象から抜け出したみたいなんだけど、そのせいで「七回死んだ男」もちょっとラヴなテイストがあるのかな?(そう感じたのはおじさんだけ?)
だから友理さんがあんなに魅力的に描かれていたのかと。
最後のディナー・デートのシーンも良いよねぇ(*´▽`*)
なんにせよ、この映画はちょっと観てみたいなぁ。

文庫版あとがきにて。
この作品は安槻という架空の街が舞台になっているんだけど、匠千暁という学生探偵が主人公のシリーズ作品と繋がっていて、その小説でも同じ安槻が登場するようだ。
さらにさらに「七回死んだ男」と同じ登場人物もいるらしい。
実は作品の舞台を全て同じ安槻にしようという計画があったようだが、早くも崩れたとか(笑)


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

上でも書いたけど、240Pの渕上家大乱闘シーンから。
(手あたり次第の物)投げ合戦を少し離れて眺める久太郎と、吹き飛ばされて倒れた彼を抱きかかえる友理さんの場面だね。
友里さんが久太郎を抱きしめているのは、ムズムズと好奇心を掻き立てられて乱闘に参加しようとした彼を引き止める為でもあるのだ。

「ロケットガール1 女子高生、リフトオフ!」 読書感想

ロケットガール1 女子高生、リフトオフ!」(文庫版)
著者 野尻抱介
文庫 352ページ
出版社 早川書房
発売日 2013年11月8日(ハヤカワ文庫 JA 版)


<< かるーい話のながれ >>

さっぱりとした性格で、しかし小ずるくもあり、ポジティブで負けん気の強い女子高生ゆかりが主人公。
彼女は母子家庭で、父親は新婚旅行の最中に突如姿を消したまま消息を絶った。

ゆかりはどうしても父親を見つけたくて、連休を利用して父親が消えたアクシオ島にやってくる。
そこでは世界初の一人乗り格安ロケットの実験が日本人達によって行われており、何度も失敗をしていて計画自体が打ち切り寸前の状態だった。
人権無視的な訓練に逃げ出すパイロット、ロケット打ち上げのネックは重さで、ひょんなことからその一団に合流した適正体型のゆかり。

現地での父親捜索協力と、小柄で体重の軽いパイロット、互いの思惑が交わった時ゆかりは世界初の女子高生ロケット・パイロットへの道を歩き出したのだったぁ~。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

発射予定日までスケジュールの無い中、新型燃料を使用して飛ぼうとする開発者の素子とロケットチーム。そんな危なっかしい物に乗るゆかりはファースト・パイロットなので当然反対するが、聞き入れてもらえそうにない。
遂にキレたゆかりは一人で新型燃料反対のハンストをすることにして、説得に来る者を全てつっぱねる。
そこへ現れたゆかりの母親が、妥協案を提示してハンストをすんなり解除させた。
そしてゆかりに言った言葉が印象的に残る。
187Pより。
―――「ハンストだけど、あんなにしちゃ上出来だったわ」
「自分から動かなきゃ、仕事は楽しくならないものよ。自分の枠をはみ出すぐらいにね」―――
いやもうこれは間違いなくその通りですよ。
現状を変えるにはそれなりの、もしくはそれ以上の行動を起こすしかない!・・・・・・・とりあえず自分のできる範囲からでいいから。
ゆかり母の粋な言葉がビシッと来た(`・ω・´)

もう一つはコチラ。
打ち上げで宇宙に出ることには成功したものの、デブリによる衝突で帰還不能になってしまったゆかり。
そこに奇跡的に現れたロシアの宇宙ステーション。
当然助けを求めるが、ロシア政府からは救援活動を了承しないという回答が。
ゆかりが直接ロシア宇宙飛行士に訴えた時の(脅しをかけるつもりで)相手の返事が思わずうるっときそうになった。
283Pより。
―――「我々は君と同じ、誇り高き宇宙飛行士として行動する。下の連中の指図などくそくらえだ」―――
まさに超王道なんだけどここでのこのセリフは誰でもグッとくるものがあるだろう。
むしろなんでゆかりがこの瞬間に惚れなかったのか不思議なくらい。いや、中身が普通の女子高生じゃないから惚れたりしないのかな?

そしてその後の展開でこのカッコイイロシア宇宙飛行士が・・・(;゚Д゚)
あの展開にびっくりだったわ(笑)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

個人的にはもう少し登場人物達の心境とか内面の描写がほしかったかな~。
元々この作品はラノベ?だったから仕方ないんだけど、ちょっと話の展開が二転三転し過ぎてダイジェストを観ているみたいに感じたかも。
逆に登場人物達の内面描写が少ない分、次々に変わる展開に力を入れていたのかもしれないけどね。

あと気になったと言えば、とにかく普通じゃない人が多すぎる気がした。まあこんな計画に人生賭ける人間なんだから、まともな人なんてほとんどいなくなっちゃうんだろうけど。
(最初に逃げ出した男性パイロットみたいに)
宇宙やロケットなどの情報がかなり詳しく描かれていてリアリティがあるからこそ、ぶっ飛んだ設定のキャラクター達が浮いちゃっていると感じたのかも。
と言ってもそもそもライトノベルなんだし、有人自作ロケットを打ち上げようとする人達なんだから変わり者ばかりになるのは当然かもね(;^ω^)


<< 読み終えてどうだった? >>

思っていたよりも、というか予想外なくらいに大きな問題が起こってもかる~くお話は進んで行く。
まるでマンガを読んでるみたいだったなぁ。

物語をストレスなく読み進めさてくれるのは間違いなく主人公ゆかりちゃんのおかげだと思う。
魅力的な性格の彼女がとても主人公って感じに活躍してくれるから深刻な場面でもストレス少な目で読み進められるんだ。
(流石に命にかかわるトラブルの場面では緊張したけどね)
ライトノベルとは言ってもロケット技術の説明は物凄く作り込んであるから読むのが大変だ。
はっきり言ってロケットの技術的な部分とか科学的説明とかは全然理解できなかったのに、不思議と最後まで楽しんで読み進めたよ。
理解できない部分があっても楽しく読める、これこそがライトノベルの形なのではないかと。

読了感は炭酸ジュースをキューっと飲み終えた感じでスカッとする気分。
だから珈琲の濃い~い味が好きな人には向かないかも。
毎度のことだけど、SF小説はやっぱり真夏に読むのがオススメなんだよなぁ~。
(ちなみにこの小説は9月に読んだから十分に夏気分だったよ!)

<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

12Pより。
―――CCV実験機のテストパイロットをしていた。―――
運動能力向上機(CCV、Control Configured Vehicle)というのはとにかく運動性能を優先して作られた航空機で、搭載電子機器にて姿勢制御とかして従来機では出来ない姿勢で空中機動とかしちゃうみたい。

324Pより。
―――曙光は刻一刻と輝きを増していった。―――
「しょこう」
夜明けに、東の空にさしてくる太陽の光。暁光。
そのほかには物事の前途に見えはじめた明るいきざし、など。

あとがきより。
2003年のコロンビア号空中分解事故によりNASAシャトルからカプセル型宇宙機の復活に取り掛かったらしい。
この作品でも一人乗り用小型格安カプセルが開発されていたね。
コロンビア号事故・・・聞いたことあるけど、怖くてwikiで調べられない(;´Д`)

同じくあとがきより。
「宇宙服MIT」
希薄な大気のある火星でなら実用になるかもしれないらしい。
本作でもゆかりとマツリが着ていた宇宙服だけど、画像検索したらなるほど確かに体にピッタリした宇宙服で、パツキンのチャンネーモデルさんが着ているのを見るとセクシーですな。


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

163Pのところから。
夜中の海辺にて、隠れ食いで揉めているゆかり(中華の出前)とマツリ(儀式で魚獲り)は、偶然そこで月光浴をしていた数学教師の木下に鉢合わせてしまい、パイロット候補から外される為に「逆ダイエット」をしていたことを知られてしまう。
(マツリはただ純粋に食事が足りないので魚を喰いに来てただけ)
その時に二人は、木下が過去にパイロット候補に志願していて、検査の結果不整脈が見つかってしまい、候補から落ちてしまったことを打ち明けられる。
この時からゆかりのパイロットに対する心境が変わり始めた。

「殺人鬼――逆襲編」 読書感想

「殺人鬼 逆襲編」(文庫版)
著者 綾辻 行人
文庫 329ページ
出版社 角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 2012年2月25日


<< かるーい話の流れ >>

前作「殺人鬼」を読んで続きが気になったので購入したのよさ(=゚ω゚)ノ
双葉山の惨劇から三年後が舞台。

今回は前回の生き残りを襲いに来たのではなく、偶然にも殺人鬼と遭遇して一命をとりとめた主婦を狙って彼女が集患された病院にやってきた殺人鬼。
その病院には過去に双葉山にて殺し損ねたが植物状態になってしまった白河誠二郎もいた。
殺し損ねた獲物が居ると分かった殺人鬼はさっそく行動を開始。
病院内は死体が次々と作られていく。

そして今回の主人公は、白河誠二郎の息子であるマミヤという少年だ。
彼にはある発作があって、突然意識が飛んでその間は誰かの目を通した景色を眺めているという不思議な能力がある。

はっきり言ってなんの役にも立たなそうな能力だが、少年は果たして殺人鬼から家族を守り切ることが出来るのか!?


<< 特に良かった部分・良かったセリフ・シーンなど >>

初っ端から赤ん坊をミンチにして母親に食わせるという外道鬼畜な殺し方をした今回の殺人鬼だけど、一番インパクトがあった殺し方は156Pの部分。
看護師である静子が殺されるシーンだな。
殺人鬼はやられたらやりかえす。倍返しだ!!ってことじゃないけど、倍返しよりも万倍返しでエグい。
塩酸と漏斗を使って・・・消火器を使用した後・・・とどめの一撃で漏斗からぶしゃああああ!
ふぃ~、エゲツない殺し方をするもんだねぇ( ゚Д゚)

前作に続いてなんだけど、ただ人々が怪人に殺されるだけじゃない。
それだけじゃ「13日の金曜日」そのまんまになっちゃうからね。
終盤にはちゃんと驚きなネタを仕込んでいてくれた。
そんでもって見事に騙されていたっていうか、予測がつかなかったおじさんはネタ晴らし部分を読んでとても満足感を得ることが出来ましたわ。
これだから「殺人鬼」は最後まで面白く読めるんだよねぇ(≧▽≦)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

今回はネタバレ注意!! 知りたい人は反転させて読んでね。

「殺人鬼」の波動を受けいれると植物状態で寝たきり人間でもキャプテンアメリカみたいになれるのか?
驚異的なパワーと驚異的なタフネス・・・・あれかな、肉体のリミッターが外れた状態的な。

もう一つはラストまで沼の底に沈んでいた殺人鬼は、やっぱり今までの傷を癒していたのか?
(299Pにはマミヤ少年の予測で↑のように書かれているね)
肉体を休める為に意識を飛ばして別の体を乗っ取り、最終的には元の肉体に戻った。
だからマミヤ少年は空っぽになった肉体を操れたの?



<< 読み終えてどうだった? >>

いやいや~今回も息つく間もないくらいのスプラッター&エンタメ満載な内容だったわ。
やっぱり意識して作ったのかな?
13日の金曜日・ジェイソン、ニューヨークへ行く」みたいな感じがしたんだけど(^^;)

前回に引き続き、今回も相変わらず殺される人々は平和ボケと恐怖心からか、その場での最善な行動が出来ずにどんどん殺されていくし、殺人鬼は全くの理解不能な行動原理で予測不能なタフさと怪力でやりたい放題。
そして最後に立ち向かうのは、次々と起こる惨劇を目の当たりにしながら何も出来なかった主人公。
予想外だった驚きのネタ。
もちろん、ちょっと待てよと思うツッコミ所は色々あるけど、楽しめたのならそれで良しって思えちゃうのがおじさんなのだ。

この「殺人鬼 逆襲編」では前回と違って、登場人物達がなんとかして立ち向かおうとする場面がしっかり描かれていたので良かった。
長身で有能な男性刑事、剣道有段者青年+木刀、剣道有段者女性+防具+竹刀などなど。
とにかく命の危険が迫ったときに、ありあわせの物を使ってなんとか立ち向かうって展開は熱くて好きよ(*´Д`)

話のオチとしては相変わらずなエピローグだけど、まあそれは仕方ないか。
ホラーエンタメのお約束だよ(笑)
読了感としては前作よりかはさっぱりした感じかな。
やりたい放題だった殺人鬼に一矢報いることが出来たんだし。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

107Pより。
―――植物状態ゆえの「視覚認識不能」とはすなわち、網膜に映った外界の映像を情報として処理する能力が欠損している、という意味である。―――
ってことなら、視えてはいるけど脳が活動していないから視覚情報を認識できないってことか?
目としての機能はとりあえず働いているから、マミヤ少年の能力が通用したんやね。

あとがき321Pより。
―――名作ホラーの続編はたいていファンから手厳しい文句を言われる(笑)―――
さすが分かっておらっしゃる。
なんでそうなっちゃうんだろうね?続編が駄作になり始めたのっていつぐらいからなんだろう?
しかしこのあとがきを読む限り、「殺人鬼」のさらなる続編はちょっと期待できないかもなぁ(^^;)

あとがき325Pより。
―――八十年代の終わりに発生した東京・埼玉連続幼女愉快殺人事件の犯人部屋からホラービデオが見つかったからってだけでホラー作品のバッシングが始まったらしい。―――
へえ~そんなことあったのか。
ホラー映画持っている犯罪者よりもホラー映画見たことある人のほうが圧倒的に多いだろうに、っていうかヤル奴は何を持っていようがいまいが実行しちゃうんだからさぁ。
いい加減何かに濡れ衣を着せて解決したようにみせるのは止めようよぉ(;´・ω・)

92Pより。
―――とにかく「ア・プリオリに」と言ってしまっても良いだろう――暗闇が苦手、なのだ。―――
アプリオリとは、経験的認識に先立つ先天的、自明的な認識や概念。
ラテン語のa prioriに由来する言葉のようで。
日本語では先天的とか、超越的って意味で使われるとのこと。


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

殺人鬼の圧倒的暴力を前にして、深夜の剣道場に逃げ込んだ愛香。
覚悟を決めた彼女は防具の面と胴を付けて竹刀を中段に構える。
そして扉を打ち壊して入って来た全身黒ずくめで右手に斧を持つ殺人鬼と相対する。