忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

横浜ではまだキスをしない  読書感想

タイトル 「横浜ではまだキスをしない 」(文庫版)

著者 樋口有介

文庫 346ページ

出版社 角川春樹事務所

発売日 2018511日

 

 

 

<< この作者の作品で既に読んだもの >>

・「風の日にララバイ」

・「遠い国からきた少年」

・「少女の時間」

・「風景を見る犬」

・「魔女」

・「夏の口紅」

 

 

<< ここ最近の思うこと >>

ひっさしぶりに思い出したけど、2016年の9月に『窓の外は向日葵の畑』っていう小説を読んだのよ。男子高校生が主人公で、いきなり姿を消した女子生徒を探す夏のお話なんだけど、浮かんでくるイメージは明太チーズもんじゃと日焼け少女の真夏ちゃんだけ()

細かい部分は全然覚えていないのが寂しくなるねぇ~。っじゃあなんで読んだ日付を覚えているかって?このブログ開始前に感想は書いたけど没にしたモノがいくつかあって、その一つが『窓の外は向日葵の畑』だったってことですたい。それならなんで急に思い出したの?って聞かれると、今回の小説を読んだせい・・・かも。

 

そんなこんなで樋口作品です。

2021年に作者が亡くなってから最新刊の『うしろから歩いてくる微笑』を読む前に、既刊本を読み漁るぞプランの第二弾。あらすじを読んでコレはぜひ夏に読みたいと思っていたけど、タイミングがズレたか何かでもう10月。でも温暖化現象のせいか、日本の気候がオカシクナッテいるのか、まだまだアホみたいに暑いから無問題。

それじゃあ、黄金町の大岡川沿いにある元畳屋から始まる、美女と陰謀と不思議な猫に振り回された男子高校生の夏休みに飛び込んでいこうぜ(=ω)

 

 

<< かるーい話のながれ >>

高校二年の夏休みが始まったばかりの桐布アキオは、離婚して出て行った父親にある事を頼まれた。父親曰く、能代早葉子なる警察官が父親の実の娘だと告げてきたらしく、アキオにその真偽を見極めてほしいという依頼だった。父親は過去に警察に煮え湯を飲まされ、今では別の妻を持ち子供も生まれそうなのでなるべく騒ぎ立てたくないらしい。

能代の話がもし本当ならアキオの実姉になる人物で、父親から高額のおこづかいまで貰ってしまったアキオは仕方なくその依頼を引き受けた。

 

それが父さんの宿命だよ、歓呼堂、幽霊はなぜ夏に出るのかしら、冒険の旅に出たいです、フィーリングだよ、合格点、今年の夏休みは楽しくなる予感がしたの、たまたま、やはりなにかの確執がある、事件も解決したようなもの、怒っても無駄、幸運のピークか、自分の階級、もう事件には関わるな、背中の悪寒、負け犬の遺伝子、お前に大事な話がある、あると思うのは人間の感傷、宿命としてのご縁、キスもしていないのよ。

 

年上の人妻と秘密のアルバイト、ネジのぶっ飛んだ美少女と探偵ごっこ、そしてどこの誰ともわからない女性と謎の死を探る真夏の時間・・・。

今年も去年のように退屈だけど平和な夏休みなると思っていたアキオは、今まで生きてきた中で一番忙しくて運命的な夏休みを送ることとなる。

 

 

<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///IQ135のぶっとんだ美少女///

アルバイト中に寄った港の見える丘公園で、アキオは小学生ぶりにクラスメイトの村崎メイと再会する一見お嬢様風な美少女だが、その中身は予想外のモノだった。38Pでは腰の後ろで腕を組み、憂うような瞳で首を傾げる仕草って、もうこれだけで可愛いと分かるメイの描写。

なのに話してみると43Pでは、早く歩けないのと告げる彼女はもしかして病弱な身体?・・・・・かと思ったら歩けるんかい!ただ単に疲れるからって理由が()

そんなメイの挙動で一番驚かされたのはココかな。

ミケと赤レンガ倉庫へ行った後、山下公園でメイと待ち合わせをしたアキオ。

やって来たメイにミケの事情を説明するのだが、どうにも彼女は信じられないらしくいきなり強硬策を実行した。

141Pより。

―――「でもアキオくんにだけ話をするのは不自然すぎます」

言ったかと思うと、もうメイはこぶしを握り、知らん顔で目を閉じているミケの頭に、ガツンと拳骨を入れる。

ミケがギャッとわめき、メイの腕から跳びおりてベンチに着地し、そこからぼくの肩にジャンプして、震えながらキャップにしがみつく。

「メイ、おまえ、どうした?」―――

いきなり拳骨はヤバイよメイちゃん、そして拳骨した理由もなんつー無茶苦茶な()

これはアレだね、西尾維新の物語シリーズに出てくる戦場ヶ原ひたぎみたいな感じのキャラかな。その他にもクレイジー系美少女の奇抜な言動&行動が満載だから、気になる方は読んでみるとヨロシ。

 

///親子の持論がおもしろい///

メイと二人で野毛山の動物園にやって来たアキオ。

久しぶりに訪れたチンパンジーの檻の前で、メイが買ってきたソフトクリームを食べながらアキオは動物園の魅力について語る。

100Pより。

―――「アキオくん、チンパンジーがお好きなの?」

「特別にチンパンジーが、ということもないけどさ。動物たちを見ているといろんなことを考えさせられる」

「たとえば?」―――

アキオが気付いた進化論の嘘になるほどなるほど、言われてみればそうだよなぁ~。

たまたま特異な個体が生き残ってきただけってのは、ロマンはないけど救いはある説って感じか。人間や動植物はこの先どうなっていくのかなぁ?
なんて途方もないことを一瞬考えちゃった()

それにしても動物園よ、もう何年行ってないのかなぁ。

久しぶりに行ってみたい気もするが、でもおっさん一人は行きづらい(;´Д)

 

続いてアキオの母親の持論。

自宅にて母親が仏像を木彫りする作業を眺めているアキオ。

作業が一段落したところでアキオは大学進学についての打診をしてみたが、意外にも一番問題となっていた資金面についてはあっさりと解決した。しかし母親は大学で学ぶ事についてこだわりがあるようで。

126Pより。

―――「だけどアキオ、政治とか経済とか、ああいう汚い学部はダメよ」

「分かってる」

「哲学とか心理学とか、詐欺みたいな学問もダメ」

「そうだね」

「文学部もダメ。文学なんて自分で本を読めばいいんだから」

「うん、一応ね、自然科学系を考えている」―――

子のアキオが面白いことを考えるのなら、母親のほうも独特な学問感を持っていたね。

汚い学部に詐欺みたいな学問て()

そして文学なんざ本を読めば良いんだからって、確かにそうかもしれないけどさぁ(;^ω^)

こんだけスパッと言い放てる大人に憧れるよね、たとえ間違っていたとしても惹かれるものがあるわ。やはり自信のある人間は魅力的ってことか。

 

///新説!官僚システムの成り立ち///

大学受験勉強の合間に、メイから送られてきた過去の週刊誌記事を読み始めたアキオ。父親の書いた官僚利権を追求する記事は、確かにユーモラスで鋭く切り込まれた面白いものだった。

200Pより。

―――面白いのは「日本の官僚誕生物語」という記事で、一般的に官僚システムの成立は明治以降とされているが、親父の見解は徳川時代。―――

なるほどこれは確かに分かりやすくて納得してしまう説だわね。

でもお侍の時代なら必要なくなった人員はお上の一声で簡単に切り捨てられそうだけど、そーゆー訳にもいかなかったのかな?用済みでクビは理不尽すぎるってことで反乱でも起こされたら面倒かもだけど。

しかし勤め人の為に必要のない仕事を用意するなんて、羨ましすぎる立場ですなぁ(;´∀)

海外にも官僚に似た存在ってあるんやろうか?

 

 

<< 気になった・謎だった・合わなかった部分 >>

///乙女が恋する理由とは///

なんで村崎メイは桐布アキオにベタ惚れしたんだろう?作中ではもう愛してるってレベルの惚れ具合。確かにアキオがモテる系男子であることは詩帆との関係から想像できるけどさ、それでもねぇ(;´ω)

実は小学生の頃にメイが先に好きになって、転校後ずっと死んだと思っていたら港の見える丘公園で偶然に再会。さらにメイの自宅にあるランプシェードはアキオ母製の物、こりゃもう運命でしょって感じで盛り上がったのか?

メイ自身も中身がぶっ飛んでいるにしても、外見は美少女だし実家が太いんだから狙う男は多そうだけどね。

まぁ、それを言ったら大抵のラブコメ作品は成立しなくなっちゃうけどさ()

 

///季節と共に移りゆくもの///

歓呼堂の詩帆からアルバイトを依頼されたアキオは、誘われた軽井沢の話を頭の隅に置きつつ届け物を持って出発した。届け先の客層は社会的立場のある者がほとんどらしく、信頼と秘匿性が重要視される業務だった。

35Pより。

―――こんなアルバイトが一週間もつづくことがあるし、月に一、二度のこともある。去年の例からして夏は暇だろう。―――

なぜ夏はアレの受注が少ないのか?やはり立場ある人たちが顧客なら、夏季休暇の時期は家族サービスとかであちこち出かけるから?

寒くなってくると人肌恋しくなるから欲も沸き立つってのは共感できるけど、現実市場でも冬の方がアダルトな動画の売れ行き良いのだろうか。

自身の経験から考えてみるとぉ~・・・・・一年を通して変わらないけどなぁ(;^ω^)

 

///気づいてた?気付かなかった?///

保士ヶ谷にある能代早葉子のマンションへ電撃訪問したアキオ。
早葉子が出生するに至った経緯や、本当の血縁関係を知った後の選択などを聞きながら、彼女が信用できる人物かどうか判定する。

73Pより。

―――「それで母に、それとなく聞いたの。そうしたら『実は』と。気にはしなかったのよ。能代の父は凡庸だけど善人だし、私も海産物問屋のお嬢様でいたほうが楽だったもの」―――

早葉子は両親の血液型OとBからA型の子供は生まれないと知り、自身の出自に気付いたようだけど、親父さんのほうはどうだったのか?

自分の子供の血液型って知らなくても普通な事なのかね?

まぁ世の中には自分の血液型を知らないって人が何人かいたけどさ(;´∀)

血の繋がらない早葉子のパパさんは仕事一筋で子供に関してはそれほど気にしないタイプだったのか、はたまは善人だったから知っていたけど知らないふりをしていたのか・・・。

 

 

<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///

2016年に単行本の『ぼくはまだ、横浜でキスをしない』が刊行されているから、恐らく20142015年くらいの時代設定だと思う。

いつものように全てアキオの一人称視点で語られている作り。すっかり脳に馴染んだこのスタイルが落ち着くわぁ。

 

今まで読んで来た樋口作品には珍しい点があって、主人公とその父親がしっかり登場してお互いに会話をしているのがおやっと思った。

それに樋口節的な独特表現が少ないような、万人向けにマイルドになっているようにも感じたね。この作者の作品を読み慣れたおじさんには、ちょいと物足りない気もした。

あとなんか実写のフォトがちょいちょい載っていて、電動自転車と美少女のモデル(おそらく村崎メイ役)が物語の想像を助けてくれる。

でも作中のメイはショートヘアーだったはず・・・。

 

///話のオチはどうだった?///

ビックリするような展開もあったけど、最後はなんやかんやで大円団。

いささか全てがうまくいき過ぎなハッピーエンドに物足りなさを感じるのは、やはり中年読者の感性の問題か?

まあ高校生の夏物語なんだからこれくらいが丁度いいのか。

7月後半くらいの夏の始まりに読むのが一番オススメな物語だったね。

 

そして気になるアキオとメイの関係ね。

大学受験を控えた二人はこの先どうなっていくのか?

負け犬の遺伝子が発動してしまうのか、メイの気まぐれが夏休みと供に終わってしまうのか、それとも五十年後も二人でこの場所にいるのか?

ワタシ、気になります!・・・・・・・いや、でもやっぱり知りたくない気もする()

 

///まとめとして///

今回の小説に書かれていた変態小説家と黄金町、たしか前回読んだ小説は友成純一の髑髏町奇譚・・・。これまさしく奇妙な偶然か?

まあそんなことは置いといて()

あっさりテイストの文体、若者向け青春ラブコメファンタジー?、洒落た電動自転車、美少女モデル起用のフォト画像、ひょっとして『横浜ではまだキスをしない』は若い世代を取り込むために、色々とコラボして作られた一冊だった?

もしそうだとしたら、販売結果はどうだったのかなぁ。個人的に無責任に考えたけど、読書しない人に寄せるより読書家は何故読書を楽しめるのか?ってことを探求していけば、その先に読書人口増加の何かが見つかるかも?なんてこと思った今日この頃です。

 

なんだか話が逸れたから締めとしませう。

男の子なら誰しもが憧れてしまうボーイミーツガールな夏休み。童心に帰ってアオハルな香りを嗅いだ気がしたよ。

この一冊を読み終えて、2024年の夏は終わったわ( ˘ω˘ )

高校生に戻って、夏の日差しを浴びながら電動自転車で横浜をゆったり走りたくなる満読感、頂きました。

さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。

241012日の土曜日。朝晩はすっかり冷え込むのに日中は26℃まで熱くなるヘンな天気の日に読了。

 

 

<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

14Pより。

―――親父のほうは東京のマンションで普段はまるで没交渉だから、隠し子の一人や二人出てきたところでぼくにどんな禍根が残る。―――

「ぼっこうしょう」とは、交渉がないこと、無関係、という意味らしい。

 

23Pより。

―――「北海道の函相寺、新幹線ができて観光客が増えてるらしいわ。私は作品さえつくれれば文句はないけどね」―――

北海道の函相寺というのはネットで検索しても見つからないから、これはフィクションということか。まあ、像のお顔を色っぽくお願いする寺を実名で出したりするわけないし当然よね()

 

29Pより。

―――なにかの催事に「伊勢左木町ブルース」とかいう歌謡曲が流れることもあるが、ここ以外では聞いたことがない。―――

「伊勢佐木町ブルース」は青江三奈の楽曲で、196815日に発売された7枚目のシングル。

伊勢佐木町は神奈川県横浜市中区の繁華街であり、当曲は同場所のご当地ソングとしてもよく知られているとのこと。

2001年公開の映画『ウォーターボーイズ』では、劇中の挿入歌としても使われたらしいけど全く分からない。だからYouTubeで探してみたら・・・・・あぁ~、このイントロ!!

 

77Pより。

―――警察官の能代さんが親父に「また罠を仕掛ける」可能性も考えられないし、それどころか親父の汚名を雪ごうとまでしている。―――

汚名を「そそぐ」とは、不名誉や汚名を、名誉・功績によって消し去るという意味。または恥や、よごれを洗い落とす。「すすぐ」とも言うらしい。

そそぐと聞くと流し入れているみたいで、汚名を追加しているのかと思っていたわ(^^;)

 

89Pより。

―――「フグは食べられないでしょう」

「餌から毒が蓄積されるだけでフグ自体に毒はない。おれは食べるために飼ってるわけじゃないけどさ」―――

フグが毒を持つのは、餌によって体内に毒が蓄積するためで、自ら毒をつくり出している訳ではないようで。 どうもフグは偶然に餌から毒を蓄積しているのではなく、餌としてテトロドトキシンをつくる海洋細菌を食べている巻貝やヒトデ類を好んで食べているからってことらしい。

実験的にフグを卵から人間の手で管理し、人間が与えた餌のみで育てると無毒のフグとなるだってさ。養殖のフグなら免許なしで素人でも調理して良いんだろうか?いやしないけどさ(;^ω^)

 

136Pより。

―――「アキオねえ、ワタシ、赤レンガ倉庫へ行きたいな。あそこのバシャミチアイスって、ものすごく美味しいよ」―――

明治2年に横浜・馬車道通りで町田房蔵という人物が日本人ではじめてアイスクリームを製造販売したといわれていて、「横濱馬車道あいす」はその風味をイメージして仕上げたらしい。

ちょっと懐かしい味わいのアイスかぁ、ソフトクリームかと思ったら以外にもカップアイスだったのね。赤レンガ倉庫で馬車道アイスを食べる夏休み、過ごしてみたいねぇ。

 

147Pより。

―――元町のメインストリートにブティックが多い理由は、昔元町カジュアルとかいうファッションが流行った名残りだという。―――

「ハマトラ」とは、1970年代後半から1980年代前半にかけて、横浜・元町界隈で流行したトラディショナル・スタイルのファッション。「横浜トラディショナル」を略して「ハマトラ」と呼ぶらしい。
横浜・元町界隈に集う女子大生たちの独特のコーディネートを指し、主に女子学生やその年齢層の若い女性に好まれたってことみたいだけど、コレが「元町カジュアル」ってことなのかな?


338Pより。

―――「泊っているグランドマウンテンビューというホテルに、よさそうなレストランがあった。アキオ、今夜の七時でどうだ」

「お父様、あのホテルには『奥信濃』という料亭が入っています。おすすめは霜降り肉のしゃぶしゃぶで、おつまみには馬刺しも珍味です」―――

ネットで探してみたところ、グランドマウンテンビューなるホテルも奥信濃という料亭も見つからなかった。どこかを参考にして造ったのかな?逆玉の輿なアキオが羨ましいねぇ~。

 

 

<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=ω)

268269Pより。

―――お袋の木槌がとまり、メイが腰をあげ、そのロングスカートが妙に決然と、僕のほうへ歩いてくる。いつもはぼんやりした感じの目が、今夜はぼくの顔に焦点を結んでいて、なんだか、怖い。

「やあ、来ていたのか」

「来てはいけないの」―――

畳屋と言えば、人生で一度だけ店内に入っていったことがあるのを思い出した。

めっちゃ若い頃にバイト仲間で呑み会をした時に、酔いつぶれてダウンした後輩の実家が畳店だった。ダウンした彼を数人で担ぎ運んで、その様を見たご両親は「ご迷惑をおかけしてすみません」と謝られていたけど、コチラこそご迷惑をおかけしてほんとごめんなさいだったわ。急性アルコール中毒とかになっていたら洒落にならんもんね。
マジお酒は適量を楽しみましょうってことよ。

遠い思い出だなぁ・・・・・歳をとってしまったなぁ(´-ω-`)

 

髑髏町綺譚 読書感想

タイトル 「髑髏町綺譚」(Kindle版)

著者 友成純一

紙の本の長さ 255ページ

出版社 アドレナライズ

発売日 2014102

 

<< この作者の作品で既に読んだもの >>

・「凌辱の魔界」

・「獣儀式」

・「ナイトブリード」

・「肉の儀式」

・「肉の天使」

・「獣革命」

・「女戦士・フレア伝(1) 邪神殿の少女」

・「人獣裁判」

・「宇宙船ヴァニスの歌」

・「女戦士・フレア伝(2) 絶海の黄金郷(エルドラド)」

・「宇宙船ヴァニスの歌(2) 恐怖の暗黒魔王」

・「女戦士・フレア伝(3) 虚空の要塞島(アルバロン)」

・「殺戮摩幻楼」

・「宇宙船ヴァニスの歌(3) 血飛沫電脳世界」

・「暗黒細胞」

・「女戦士・フレア伝(4) 殺戮の魔大陸(ブニイプス)」

・「宇宙船ヴァニスの歌(4) 戦闘娼妓伝」

・「淫獣軍団(1) 凌辱都市」

・「淫獣軍団(2) 爆殺都市」


<< ここ最近の思うこと >>

トー横とは「トーホーシネマズ横」の略であり、東京都新宿区歌舞伎町にあるTOHOシネマズ(東宝ビル)の周辺地区の俗称と言われている。良くない印象が強いあの場所だ。

主に未成年者や若者が何をするでもなくただ集まって、売春やらODやら飲酒やらなんやらかんやらで人生の暇つぶしをひたすらに行う空間。その様を眺める大人たちやら観光客やら。令和の日本の首都にこんな空間が出来るなんて誰が想像したよ?

いたのよ、ず~っと昔に似たようなモンを想像した作家が。

 

つーわけで今回の小説。

末期の癌を患って抗がん剤治療とか緩和ケアとかして、毎日を生きているあの人になんかできないかなと思って資金援助なりをしようかと思ったけど、やり方が判らずグダグダしてしまいサクッと出来る方法としてkindle作品をまとめ買いした。二束三文の援助にもならないかもしれんけど、やらない善よりやる偽善だしねぇ(^^;)

その中から最初に読むのはコレだ!

東京の平和な空間にぽっかり空いてる暗い部分。人はソコを髑髏町と呼ぶ。

恐ろしいけど興味をそそるどん底の底な町に入って、身を焦がすくらいの祝福を受けに行ってみようじゃないか(=ω)

 

 

<< かるーい話のながれ >>

「幻夢を吐く男」

「いい女、いないかなあ」と、同じ言葉を何度も繰り返しつぶやきながら狂助は髑髏町内を彷徨っている。時折、バックマスターのナイフを取り出して怪しく光る刃を眺めてはまた同じ言葉を繰り返す。

ナイフを見ながらうっとりしている狂助の横を、運悪く売春婦の蘭子が通りかかった。金目のナイフを発見した蘭子は、頭のイカレた狂助から奪い取ろうとするのだが・・・。

 

「問答・赤ん坊の造り方」

六十五歳の兼松は髑髏町の哲学者と呼ばれていた。ある日、赤ん坊がどこから生まれるのか?という疑問に取りつかれてしまう。浮浪児の鉄矢が悩み続ける兼松に飽きれて答えを伝えるが、まったく信じてもらえない。

やがて二人は口論となり、あまりにも馬鹿げた賭けを行うのだが・・・。

 

「髑髏町探査行」

髑髏町へと逃げ込んだ殺人容疑者を追って、ベテランと新人の刑事二人が街へと侵入して行く。

深く潜伏される前に捕らえなければ、二度と見つかることはないと知っているから強行したのだ。しかし町内の空気は常人に耐えがたい性質へと変化しており、遭遇する恐ろしい体験も重なって刑事たちの精神は徐々に壊されていく。

そして逃げ込んだ容疑者の和恵はというと・・・。

 

「髑髏町の性科学」

髑髏町内の研究室で猿島博士はついに念願の快楽加速薬を完成させた。

その効果を試す為、近場に倒れいる廃人女に注射してみると想像以上の効果が現れて狂喜する博士だったが、ふとよからぬ考えが浮かんでしまう。博士の凶行はやがて街の住人らを巻き込んでいき、廃人たちの命が次々と消えていく。

その騒動に気付いた者がおり、元凶である博士に向かって駆けていくが・・・。



「髑髏町の支配者」「髑髏町潜入記」「決戦・髑髏町」はタイトルで区切られてはいるけど、一本の繋がったお話

髑髏町がある土地の価値に気付いた有力者たちは、町の排除を計画して実行しようとする。情報を得る為、コネと金と人員を使って髑髏町内の偵察に向かわせるが、帰って来る者はいなかった。

これを好機と考えた計画立案者は消息不明者の救出という体で、警察や自警団に武装させて町を包囲した。

一方で町内では奇跡を目撃した少女が騒ぎ続けており、その歓喜に流された者達が列をなしてついて回る奇妙な行進が行われていた。

そこへ殺気立った武装集団が侵入してきたものだから・・・。

資本主義の力が果たして髑髏町に通用するのか刮目せよ。

 

「春の運動会」

その存在は春の訪れを感じ取り、同時に髑髏町内の人数増加にも気づいていた。

どこからともなくやって来て定住する廃人たちは増える一方で、このままでは町を拡張しなければならない状態になる。

別にそれでもかまわないと考えている存在だったが、とりあえずいつもの調整をするかと動き出す。

穏やかな春の朝日が差し込む中で、廃人たちは声を聞いて目を覚まし町の中に設置された道具を見て歓喜し群がっていく。

廃人だらけの殺戮大運動会が開幕した・・・。

 

 

<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///刑事二人が遭遇する戦慄の悪寒///

「髑髏町探査行」にて。

殺人容疑で逃走した犯人を追いかけて髑髏町へとやってきた二人の刑事。

若手の刑事である高志は一軒の建屋に入り、室内を捜索しようと押し入れの中を確認したところ、朽ち果てた布地の塊を発見した。それは何やら蠢いており・・・。

位置№753より。

―――よく見ると、布地の塊は何やら蠢いている。あちこちに瘤が盛り上がり、波打っている。

―――――何か、隠しているな・・・・・犬か、猫か・・・・・何だろう。

布地を指先で摘まみ、押し入れから引きずり出した。―――

新米刑事の高志が目撃した光景に思わずこちらもウグゥって唸ってしまうわ。

溶けた布地から溢れ出てきたモノも鳥肌ものなのに、それを見つけて次々とアレする廃人もゾゾゾやわ。

もぞもぞ蠢いている時点で離れればよかったのに、汚染された空気を吸い過ぎて脳がやられちゃっていたのかもね。

 

続いてコチラ。

一方、ベテラン刑事の徳馬はとある平屋の中を探索していたが、中にいた死体同然の廃人を見た時に何か違和感を感じ取った。そして室内の捜索を終了した頃にその廃人が誰なのかを思い出す。

位置№1063より。

―――その顔を見て、徳馬は目を見張った。小さくてどこを見ているか判らないと言われる徳馬の目が、大きく拡がり、その男を見つめていた。

思い出したのだ、それが誰だったか。

「・・・・・神崎。神崎だな?お前、まだここに居たのか・・・・・」―――

髑髏町経験のあるベテラン刑事でさえも絶句してしまう光景が、もうね(;´Д)

なーんで表面だけ綺麗に残っていたのか謎なんだけど、インパクト重視の展開として良しとしませう()

ひょっとしたら徳馬もすでに幻覚と現実の区別がつかなくなっていたのかも。

やはり髑髏町内では防護マスクが必要ということか。

 

///その土地に潜む何か///

「髑髏町の性科学」にて。

まともな社会で住む場所を無くした猿島博士は、流れるように髑髏町へと辿り着き自身の研究に没頭した。無秩序で廃人ばかりの空間は博士にとって最高の実験環境であった。殺人でさえ密かに行えば問題ないのだから。

位置№1336より。

―――しかし、いずれも研究室の中で殺したので、住人の誰にも怪しまれずに済んだ。

さもなければ、マチの地底に住むというドクロ町の町長に見咎められ、猿島博士はこの居心地の良いマチを、追放されてしまっただろう。―――

こんな終わった町に町長がいるって?んなバカな()

でももし本当にいるんだとしたら、そんなん絶対ヤバさMAXの奴確定っしょ。

ワクワクするなってほうがムリっしょ。最終話のクライマックスぐらいに登場するのかなぁ。

楽しみだなぁ~(´▽)

 

と思っていたら・・・。

位置№1623より。

―――深夜の町長が、この事態を放置したままでいるはずがなかった。

猿島は、マチの中央に向かってジグザグに迷走を続けている。その猿島に向かい、マチの反対側から迫って来る影があった。―――

ココでもう登場しちゃったよ。

なんなんだこの町長っていう存在は、霊体エネルギーなのか?

そして始まる暴走博士VS髑髏町長の戦い、まあ始まる前から勝敗は見えているようなもんだけどさ。

敗者が一体どんな結末を迎えるのか楽しみだよね。

 

///これもひとつの進化と言える、かも///

「決戦・髑髏町」にて。

武装した機動隊員や自警団らが町の周辺を封鎖する中、髑髏町で生まれ育った少女のホンキーは喚きながら町内を走り回っていた。今しがた自身が体験した恐怖と奇跡の出会いを、なんとかして皆に伝えようと一時間以上も叫び走り回っていた。

位置№2481より。

―――ポン中一家の三代目なわけで、だから生っ粋のヒロポンっ子だった。ポン中も三代目になると、堂に入っている。自分の身体で、覚醒剤を精製できるのである。

自分で覚醒剤を作り、これを自分で消費する。―――

ホンキーの特異体質に驚き&羨ましいかも?ストレス社会で生きていく為にも、あって損はしない能力でしょ。

少なくとも鬱病なんてもんは激減しそうだよね()

一応副作用で寿命が短くなるみたいだけど、年金給付年齢もどんどん引き上げられてるし70過ぎても働かないといけない人生なんて・・・・・ねぇ(;´Д)

 

 

<< 気になった・謎だった・合わなかった部分 >>

///良いのかい?悪いのかい?どっちなんだい///

髑髏町内の治安について疑問を持った部分を紹介。

「幻夢を吐く男」にて。

位置№174184より。

―――ただ、今が永遠に続くだけ。ここでは誰も昨日の後悔をせず、明日の心配もしない。盗っ人も人殺しもなく、みんな停滞した空気を吸い、腐肉を食って生きている。

廃墟の平和が、渡久呂町の上に実現していた。―――

この部分を読んだ限りだと物騒なこともない、全てにおいて価値のない町だから平和と言えば平和なのかなぁって思ったんだけど、読み進めるとこんな記述も↓

「髑髏町探査行」にて。

位置№644より。

―――間違って入り込み、身ぐるみ剥がれて放り出されるのは、お上りさんやよほどのトロい連中ばかりだ。―――

いや身ぐるみ剝がされてるってことは、ぜんぜん治安良くないじゃんよ()

我々が思う「治安が良い」と、髑髏町民が思う「治安が良い」には大きな認識の違いがあるのかもしれない(^^;)

まぁ、ヴァニス・シリーズと同じ系統だと思って、些細な疑問は笑って受け流すのがよろしいてことか。

 

///何もなくてもアレはある?///

「春の運動会」にて。

髑髏町の住人たちはどうやって覚醒剤を手に入れているのかな?町内にはジャンキーがたくさん溢れているけど、みんな効果が切れたらすぐに補給(注射)しているみたいだし。もちろん無職だから収入何てないだろうに。

なんて思っていたら、あの人がポンと与えているような描写が。

でも酒を飲みほしてしまい喚いてる町人がいたから、与えてくれるのは覚醒剤だけなのかね?

まさしく生かさず殺さず、ただソコに在り続けるだけの町だわなぁ。

 

 

<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///

作中では、おそらく1980年代後半から1990年代前半くらいの時代設定じゃないかと思われる。(根拠はないのん)

全話を通して決まった主人公がいる訳でもなく、様々なキャラクターにスポットが当たる三人称視点で語られている。まぁ大体のキャラが死んだり消息不明になっちゃうからねぇ(^^;)

話の規模も髑髏町内だけで話が進むわけではなく、周辺のまともな世界の住人も登場して話に関わってきたりもした。普通の大都会にぽっかり死地が存在しているっていうギャップ感がなんか良いよね。

 

いつものように人がバンバン死ぬしスプラッタもグロテスクもたっぷりあるけど、表紙の恐ろしい髑髏画像に相反して作中の雰囲気は軽く、どちらかというとコメディ寄りかな。気軽にどん底の日常を見てみようって感じ?

 

///話のオチはどうだった?///

ほほぉ~、こういう終わり方なのね。意外にもキリの良いところで終了したなぁ。

髑髏町という異質な空間ががどうやって長年維持され続けていたのかわかったよ。

あの訳知り系な経済界のドン(?)がまた何かしてくる展開も読みたいし、残った快楽加速薬がどうなったのか、作中最強のアイツが一体何者なのか、分からなくて気になる事柄がいくつも残ってしまったね。

未読の作品でこの町がまた登場するのかなぁ。

 

本編終了後のお楽しみ。「単行本あとがき」と「電子版あとがき」もきっちりある。

髑髏町という町が生まれるきっかけとなったインスピレーションが、まさかあの有名な邦画に登場したあの阿片窟だったとはねぇ。おじさんはまだ観たことないから、視聴予定リストに入れとかないと。

それに魅惑の街ロンドンについてのお話も面白かったなぁ。

どんな趣味嗜好だろうとTPOをわきまえて他人に迷惑をかけなければ構わんよってスタンスは大切にしたいわね。

それにそれに、あの超有名な映画の監督がまさかの・・・( Д)

髑髏町で汚染された精神を爽やかに洗い流してくれるオマケのあとがき、良きです。

 

///まとめとして///

ま~ったくとんでもねえ町だと吐き捨てたくなるような髑髏町だったけど、じゃあ現実世界のコッチ社会はバッチリまともか?って聞かれると素直にハイとは答えられないんよね(^^;)

ロシアは今現在もウクライナ進攻を止めないし、イスラエルはガザ攻撃を止めないし、イランは怒ってミサイルを撃ち込みまくるし・・・・・偉そうなこと書いているおじさんはこの歳になってもこんなんだし(;´Д)

ってストーップ!フィクションのコメディ話なんだから、深く考えずたははぁ~って笑って済ませちゃおう。

髑髏町に住む廃人たちのマインドも少しは見習わないとね()

 

ではでは締めとして。

昔はスマホやSNSが無かったからひっそりしていた場所も今ではリアルタイムで状況が見れるから、センセーショナルな空間はすぐに観光地みたいになっちゃうよね。

髑髏町も令和の時代に存在していたらどうなってたんだろう。いやもう既にある、のか?不謹慎だけど、人生一度くらいはトーヨコ見学に行ってみたくなるような満読感、頂きました。

さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。

24921日の土曜日、湿気モリモリで蒸し暑くハッキリしない天気な日に読了。

 

 

<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

位置№29より。

―――空気が淀んでいた。アルコールとアシッドの強烈な刺激臭に混じって、汗とアンモニアの腐敗臭まで漂っている。―――

ACID(アシッド)とも呼ばれる薬物LSDは、幻覚作用があることで知られるドラッグ。

LSDを乱用すると、幻覚、幻聴などの強烈な幻覚作用が現れる。特に、幻視作用が強くほんのわずかな量だけで、物の形が変形、巨大化して見えたり、色とりどりの光が見えたりする状態が812時間続くようで。

アリス症候群みたいな感じなのかね?でも視覚が直で影響を受けるんだから、もっと強烈なのかも。

そんなもんが脳に良い影響を与える訳もなく・・・(>_<)

 

位置№855より。

―――思い切って銃把を握り締め、スナブ・ノーズのリボルバを引き抜いた。官舎の射撃場以外で拳銃を抜くのは、初めてだった。―――

スナブノーズはもともと英語で「獅子鼻」というらしく、つまり低い鼻を指す語彙であり、銃身が極端に短いリボルバー式拳銃の総称・通称として用いられることの多い表現ってことらしい。

遠距離・中距離の射撃精度はかなり低そうだよね、根拠のない想像だけど。

 

位置№1257より。

―――ファッション・マッサージに通うことに始まって、マン・トル嬢を呼んだり、SMクラブへ日参したりするようになった。―――

賃貸マンションで風俗営業をするのをマンショントルコ風呂という。室内を区分けして個室空間をつくり、そこで売春を行うようで、売春を行う女性従業員を「マントル嬢」というらしい。

 

位置№1291より。

―――親類は、猿島がご近所に研究に出ている間に、いきなり転居してしまった。

猿島は、三界に家無しの身となった。―――

「三界」は仏教で、欲界、色界、無色界、すなわち、全世界のこと。

ちなみに「女三界に家無し」ということわざは、女は幼少のときは親に従い、嫁に行っては夫に従い、老いては子に従わなければならないものであるから、この広い世界にはどこにも安住できるところがない。

という意味の様で。女はつらいよ、男もついらい、金持ち以外み~んな辛い(;´∀)

 

位置№1826より。

――― 一昔以上前だったか、「人間、止めますか。それとも、覚醒剤、止めますか」というキャンペーンがあったけれども、このドクロ町の住人たちは間違いなく、人間であることを止め、覚醒剤の方を選んだのだ。―――

「覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?」は、日本民間放送連盟が19832月より開始した、放送による啓蒙広告で「覚せい剤追放キャンペーン」のために考案されたキャッチコピーとのこと。

おぼろげながらになんだか覚えている。リバイバルCMされたのか、何かのメディア作品で登場したのかも。

 

位置№1921より。

―――藤原は、S銀行S駅前支店の、支店長代理だった。まだ三十歳の若手銀行マンだが、敏腕化であり、将来を大いに嘱望されている。―――

「しょくぼう」とは人の前途・将来に望みをかけること。期待すること。

 

位置№2185より。

―――高橋は、呻いた。町内がここまで爛れているとは、想像だにしていなかった。

爛れている。そう、文字通りに爛れているのだ。これではほとんど、ドイツ表現主義だ。―――

ドイツ表現主義は、ドイツにおいて第一次世界大戦前に始まり1920年代に最盛となった芸術運動で、客観的表現を排して内面の主観的な表現で言い表すこと。

建築、舞踊、絵画、彫刻、映画、音楽など各分野で流行し、「黄金の20年代」と呼ばれたベルリンを中心に花開いたらしい。日本を含む世界各地の前衛芸術に影響を与え、現代芸術の先駆となったようで。

 

 

位置№2309より。

―――ドンキーは宙を飛ばんばかりの勢いで、ホイ来たチョウさん待ってたホイ、一心太助のごとく走り出した。―――

「いっしんたすけ」は、小説・戯曲・講談などに登場する架空の人物とされている。

職業は魚屋。義理人情に厚く、江戸っ子の典型として描かれることが多い。三代将軍・徳川家光の時代に、大久保彦左衛門のもとで活躍したとされる。

「来たか長さん待ってたホイ」の長さんとは誰のことなのか調べてみると「買手、店頭に立ち寄る人物のこと。」などの意味ってことらしい。

おじさんは一心太助も長さんも知らなかったんだけど、若かりし頃に流行っていた言葉って、いくつになっても残っているもんだよね。

 

位置№2691より。

―――啖呵を切り、花道を行く歌舞伎役者のように、飛び六法でパン食い競争に参加した。―――

六方とは、歌舞伎・人形浄瑠璃・舞踊の演出のひとつで、六法とも書く。伊達や勇壮なさまなどを誇張したり美化した荒事の要素をもつ所作で、名称は天地と東西南北の六つの方向に手を動かすことに由来するらしい。

元気があってよろしいが、そのパン食い競争は・・・(;´Д)

 

 

<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=ω)

位置№2165より。

―――高橋と四人のマッチョは、ドクロ町の入口に仁王立ちした。真昼の強烈な陽射しを背後から浴びて、五人の姿は町の内部からは、漆黒のシルウェットとなって浮き上がって見えた。

まるで西部劇だった。陽光を背に、悪の砦に殴り込みを掛ける五人の勇士たち。五人は、内部の者に自分たちの勇士を見せ付けようとでもいうのか、思い思いのポーズで、一分ほど立ち尽くしていた。―――

描いていてふと思い出したけど、「髑髏町潜入記」にてゲイやマッチョへの偏った偏見意見を読んでいてフフフとなってしまったわ。きっとジョークとして書いたんだろうけどね。

多様性の時代にドンドンそぐわなくなっていく友成先生の小説は、やっぱりスパイスが効いていて好きだなぁ。

しかし五人並んだ人間を描くのは根気を消費するねぇ(;´Д)

 

髑髏町綺譚

髑髏町綺譚

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禁断領域 イックンジュッキの棲む森 読書感想

タイトル 「禁断領域 イックンジュッキの棲む森」(文庫版)
著者 美原さつき
文庫 384ページ
出版社 宝島社
発売日 2023年3月7日

 



<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・今回の「禁断領域 イックンジュッキの棲む森」だけ


<< ここ最近の思うこと >>

そういやこんなことあったなぁ~って話をひとつ。
高校生の頃、友人が選択授業か何かでボノボを特集した番組を観たようで、その日からVTRに登場していたボノボのモノマネをやりだした。
さらに顔つきが似ているからという理由で、クラスメイトをボノボというあだ名で呼ぶようになったり、時には奇声を上げて鳴き声を真似したりと今思い出しても噴き出してしまうんよ(笑)
ヒィヤァ~!ヒィィヤアァァ~!と甲高く叫びながら両手をブラブラさせて猫背で歩き回る様は、まさしくボノボそのものだったなぁ(おじさんはその授業受けてないからボノボを観てないんだけどね)
そんな彼とももう何年も会っていないなぁ・・・・・元気でやっているのかどうか( ˘ω˘ )

思わず高校時代の些細なエピソードを思い出してしまった今回の小説。
いつものようにTwitterで流れてきて、あらすじを読んでピンと来たので購入してみた。
けれど「このミス」受賞作に何故か微妙な記憶があるおじさんは、なんやかんやで読むのを先送りにしていたけど、未読の在庫も少なくなってきたので遂に手に取る時が来たのだ。
果たして今回の小説は、原因不明の微妙な印象に対してリベンジなるのか!?
ではそろそろ。
未知の猛獣が潜むアフリカのコンゴへ向かい、広大な暗黒大陸に足を踏み入れてみようぜ(=゚ω゚)ノ


<< かるーい話のながれ >>

修士課程の大学院生で霊長類学を専攻する大の猿好き女子の父堂季華。
ある日、季華の教授のもとへ総合建設企業のゴールドフロンティア社員が来訪してくる。コンゴに資源流通経路を建設する計画を立てたが、経路上に希少類人猿であるボノボの生息地域が存在しないか確認するため、生態系アセスメントをしてほしいと依頼してきた。
教授や季華を含めた研究員、社員や現地案内人を含めた大所帯でアフリカへ向かい、コンゴ川をクルーズしてムバンダカから車で移動し拠点となる村へ向かう一同。
道中でスタックを連発して時間を取られたり、迷子の子供をピックアップするなどトラブルに遭いながらも目的地へ向けて着実に進んでいく。

奇抜な生態行動、名もなき水中の殺人鬼、常にサルでいっぱい、求めるのは大発見であり新発見、ライオンイーター、サルの命は人間の命より下です、我らの戦う意味だ、とても不吉な存在なんです、ボノボから学ぶべきところ、ブッシュミート、イックンジュッキ、人類の起源、ビーリャ、全てに勝る情動、アブノーマルな状況だ、ようやく会えた、死地の中での籠城、突拍子もない異説、生きて帰る決意、ここで我々を殺す気だ!、最適な結論、なんで生きてるの、混乱の極み、今度こそ絶対に殺される、モノキ、イックンジュッキの本性、できないわ、コンゴに置いてきた未練、本当にあるべき生命の姿、人間以上に人間らしい・・・。

調査拠点となる村に着き熱烈な歓迎を受けて準備を整えた一行は、ジャングル班とサバンナ班に分かれて調査を開始した。
しかしその日から調査地や村の周辺で不穏な出来事が起こり始めて、サバンナで肉食獣の大量殺戮現場を発見した日の夜、村は何者かの襲撃を受けた。
次々と人間が殺されていく中で、自分たちが狩られる側になっていると気づいた調査チームと村の生き残りたちは、会社へ連絡し救出地点へ向けて出発するのだが・・・。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///父堂季華というメスガキ系キャラクター///
24歳で150センチの童顔、そしておそらくカワイイ系な顔立ちだけど、それ以上に自己中心的な性格が玉に瑕。どれくらいの瑕なのかさらっとご紹介を。
29Pではデータ解析が判らず困っている後輩に対して、さらにプレッシャーを押し付ける嫌な季華先輩。
35Pでは自分の先輩に酷い嫌味を言って、グイグイと頭を押さえつけられる季華後輩。
56Pでも環境アセスメントの出資者に対して嫌味を言って、黒澤教授にグイグイと頭を押さえつけられる季華。ちっこい美女相手にやりすぎ?と思ったけど、この環境を作った季華も大概な人間性だったと知るのがコチラ。
58Pより。
―――打ち合わせが済むと、黒澤は客人を行きつけの居酒屋へと誘った。その場のノリで連行された季華は、酔っ払った振りをして、リューの顔面にカルピスサワーを思いきりぶっかけた。―――
どんな立場であろうと嫌な奴にはサワーをぶっかけても良いとする女(笑)
冒険小説の序盤は退屈しそうな日本の日常パートなのに、季華のおかげで楽しませてもらった。
まさしく掴みはオッケーってヤツかと。

///人類と獣の距離って近いかも///
車移動の前日にムバンダカのホテルで夜を迎えた調査チーム。
論文を読むためにロビーにやってきた季華はヴィクターの気まぐれで雑談に付き合うが、意外にも会話は盛り上がる。
122Pより。
―――「だがな。サルは人とはまったく違う生き物だ。人間じゃない。そんな連中に、君たちは人間の本質を見出そうとしている」
「逆です。人間の本質がサルなんです。知性の高い野蛮な獣です」―――
人間の本質がサルなんだと主張する季華の言葉にな納得させられてしまう。
(樋口有介の『サルの悲しみ』でもそんなようなことが書かれていたか)
文明やテクノロジーが発達する一方で残酷な行いや凶悪な事件は後を絶たないし、知恵を使って悪事はどんどん巧妙化していく。いっそのこと猿付近まで退化していったらだいぶ平和な世界がやってくるのでは?なんて考えたけど、今更この便利な社会を捨てることは出来んて。これからもバーガーキングとか美味しい物たくさん食べたいし、もっと色んなエンタメを楽しみたいし(;´∀`)
二面性のあるヴィクターというキャラも良いんだよね。150Pでも予想外な意見を述べているし。

///絶望的な野生の死闘///
ジャングルの奥地でただ一人、未知の獣と対峙する季華。獣は手傷を負わされ怒り心頭になっており、対する彼女が持つ武器は小さなナイフだけ。死を覚悟して恐怖を理性で押さえ込んだ季華は、人生で最後になるであろう実験を行う。
348Pより。
―――人間とは何か、獣とは何か。何がサルと人を分かつのか。自分で境界を越えて、真理に辿り着くのだ。ここにいる自分と、目の前の大型霊長類がサンプルだ。
「いいわ。これは私の研究、とことん付き合ってもらうわよ」
季華は姿勢を低くし、ナイフを構えた。―――
まさかまさか、最後にこんなマッチメイクが用意されていたなんてね。
もうおじさんの琴線ビシバシ弾かれたわ。
スパッと手早く殺されるならまだ耐えられるけど、あんなことされてとことん利用されながら生きるなんて生き地獄だわな。そりゃ非力な季華だって闘争本能を爆発させるわ。
しかし絶体絶命な戦力差でどうやってこの状況を切り抜けるのか?
気になる方は是非とも読んでみて頂戴よ(`・ω・´)


<< 気になった・謎だった・合わなかった部分 >>

///一度は食べてみたい、ような気もする?///
キンサシャからコンゴ川を遡る汽船がエンジントラブルでストップしてしまい足止めを食らう季華の一行。付近の村民が船で物売りに来る中で、地元食材を物色する季華は予想外のモノを見つけてしまう。
104Pより。
―――「ちょっと、おじさん!これボノボじゃない?」
鬼気迫る表情で季華は舟乗りに詰め寄った。
「そうとも。燻製で食うとうまいぞ。森の珍味だ」―――
ネットでボノボの燻製を検索してみたけど出てくるわけがない、だってド違法ですから!
ならばブッシュミートで有名な猿肉ははたしてどんなんだろうか?と気になっていたら、132Pで一行がシチューにして食べる場面があるじゃないの。
果たしてそのお味は・・・・・なんとジビエ慣れしている季華でさえギブアップするほどの臭気だと!?
おじさんには絶対に無理だな。
以前にスーパーの総菜でよく酢豚を買っていたけど、一度すごく臭う肉を使っていた時があったのよ。
それ以来一切買わなくなったし。
臭くない肉が当たり前の日本に生まれて良かった。

///みんなはどう思う?///
サバンナでの調査を切り上げての期間途中、休憩時間にやって来たウォルフグエノンを観察しながら季華はゴールドフロンティア社員のフィルダウスに、気になった疑問を訪ねてみた。
190Pより。
―――「ねえ、人間と動物の違いって何だと思う?」
「なんですか、いきなり」
「崇高な科学調査よ。一般人の意見聞かせてくれない」―――
人と獣の違いとはなんぞや?
知能ってのが一番の違いなんだろうけど、それでも程度の差だと思う。獣にだって知能はあるんだから。おじさんが思うに、衣服を身につけているor羞恥心があるかどうかじゃないかと。
あ、でも服を着ない人や裸族を目指す人もいるかぁ。羞恥心なんてない人間もいるし(笑)
こんなふうに普段気にもしなかったことに思いを馳せてみるのも一興ってヤツじゃんよ。

///猿がサルを・・・マジですか///
トラブルで停泊中の汽船に集まってくる地元民たちの様々な商売船。
その中で食料品として陳列されるブッシュミートやボノボの死体を眺める季華は、人間も遥か昔は「霊長類を食べる霊長類」だったという仮説を脳内に巡らせる。
105Pより。
―――人類の祖先はおそらく他の霊長類を食べて生き延びてきた。その名残は、現在のボノボやチンパンジーにも見られる。童話の中で巨人が小人を食い殺すように、彼ら大型類人猿は多種の小型サルを捕まえて貪るのである。―――
えぇ、猿って他の猿を食べるの?草食オンリーな動物だと思ってた(´゚д゚`)
じゃあ我ら人類の祖先も他の霊長類を食べて生きてきたってことも、ありうるわなぁ。
猿食文化にしろカニバリズムにしろ、祖先のDNAが刻み込まれているから発現する行為なのかねぇ?
詳しいことはまったく分からんけれど(;´Д`)

あと287Pに書いてあったボノボも・・・って部分に驚いたね、作中では平和の民って感じの扱いだったのにさ。でも厳しい自然の中で生活しているんだから、生き残るために必死にならなきゃいけないのは当然。人間の価値観で考えるのが根本的に間違っているんだけど、そんなことするんだっていうショックは否めないね。


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
季華を中心とした三人称視点で語られる作りで、スマホもドローンも一般に普及している現代が舞台。
何の根拠もなくスルっと短期間で読み終えちゃうだろうって思っていたんだけど、日本から始まってアフリカに行き船と車で移動してジャングルに着いてからヤマ場を迎えてって流れが、ぎっちりしっかり描かれているから思った以上に読みごたえがあった。
どこを読んでいても退屈することなく読み進めれたのが不思議なくらいよ。

思うに退屈にならなかった理由の一つが父堂季華というキャラクターの存在じゃないかと。
個性強すぎで自分勝手すぎる彼女の設定が物語の中で浮いているって感じる人も多そうだけど、おじさんは「柔」な季華と「剛」な物語のギャップが心地良くて飽きずに楽しめたのね。
それにカワイイ系の女主人公が活発に冒険するジャンルって、男の子はみんな好きでしょ(*´ω`*)
性格はありえんくらい酷いけど(笑)

///話のオチはどうだった?///
毎度申し上げておりますが、エピローグがしっかり描かれている作品は大好きなんよ。
大冒険から帰ってきた後で、日常に馴染んでいく時間が少し切なくて眩しく感じてしまう。
362Pでヴィクターから送られてきた物をベッドの上で眺めて感傷に浸る季華の場面とか、胸がキュッと締まる瞬間だ。美しさと残酷さが混ざり合ったアフリカの光景が次々と目に浮かんでくるわぁ・・・・・行ったことないけど( ˘ω˘ )

そして謎に包まれた新種の霊長類であるイックンジュッキ達が辿り着いた新天地ね。
果たして季華の仮説が正しかったのかどうかは、読んでみてのお楽しみにしておきませう。
人間は知恵が伸びすぎたせいか争いが絶えない現状だけど、獣的な部分がもう少し成長したら互いを思いやる世界も夢じゃないかもしれないね。霊長類のトップをひた走りたいのであれば、知恵以外の部分も進化させないとアカンと思いましたわ。
やる気になればいつかきっと出来るだろう、だってあの季華でさえちょっぴり進化したんだからさ(笑)

///まとめとして///
はあぁぁぁ~いいわぁコレ~(´▽`)
頭の中で大大大冒険が繰り広げられちゃったし、おじさんの心の中にアフリカの精神が加わったよ(笑)
『TENGU』、『Ank: a mirroring ape』、『ヤギより上、猿より下』ときて今回の『禁断領域 イックンジュッキの棲む森』でも素晴らしい読書経験をしてしまうとはね。霊長類がらみの作品で今まで外れだったことが一切ないのが凄いわ。もうこうなったら次はアレ行くしかないよね。
そう『ゴリラ裁判の日』です(`・ω・´)
完全に購入決定したわ、間違いなくオモシロいっておじさんの中の獣が叫んでいるのよ(笑)

ヨシじゃあ締めとしよう。
御見それしました「このミステリーがすごい!」大賞。これからは偏見の考えを捨てて、気になる作品があったらすぐに手を出していこうと思います。
久しぶりに童心に戻ったようにワクワクしながら読んじゃったよ。
すぐにでも知人友人にオススメしたくなる、話したくなるくらい刺さった満読感、頂きました。
さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。
24年9月1日の日曜日、台風十号が消えたけど雨雲が散り散りに残った変な天気の日に読了。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

『禁断領域 イックンジュッキの棲む森』は第21回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作なのです!

20Pより。
―――また、季華はとことん自分で試して調べる研究者気質であり、八〇リットル容量の横長プラスチック容器を自宅の庭に持ち込み、カルキ抜きした水と複数種の水生植物を投入し、簡易的なビオトープを造り上げた。―――
ビオトープとは生物群集の生息空間を示す言葉で、日本語に訳す場合は生物空間、生物生息空間とされる。 生物の生息場所を意味するドイツ生まれの概念ということらしい。
人が作った池や草地や森なども、生きものの暮らしを支える場所なので、ビオトープになるそうで。
これは鉄腕ダッシュで観た気がする。
面白そうではあるけれど、こーゆーのは維持管理が大変そうなんだよねぇ。

26Pより。
―――試料のポリメラーゼ反応開始を確認したとき、ドアノブの回る音がした。―――
ポリメラーゼ連鎖反応とは、DNAサンプルの特定領域を増幅させる反応。 一般的には数百万〜数十億倍に増幅する。英語読みもされるけど、その頭文字を取ってPCR法、あるいは単純にPCRと呼ばれることが多いみたいね。
PCRといったら「新型コロナ判定」のアレじゃん。
ポリメラーゼ反応のことだったのかぁ、令和6年になってようやく知ったよ。

29Pより。
―――「お前の共感能力がキツネザルどころかツパイにさえ劣るのはよくわかった。とりあえず、先生の部屋に行くぞ。櫻井には、後で俺が指導しておくから」―――
名前のtupaiはマレー語やインドネシア語で「リス(本目のようにリスのような動物も含む)」を指す語に由来するらしい。
外見や行動はリスに似ているが系統的には全く別の動物であり、昆虫や果実を食べ東南アジアの熱帯雨林に生息している。樹上性で、長い尾を持ち、やや細身のリスのような姿とのこと。
聞きなれない動物を出されてもイメージがわかないのがツライね。実際ツパイの共感能力はどれくらいなんだろうなぁ、おそらくほぼ無いんじゃないかと想像するけど。ツパイ以下の季華って・・・。

64Pより。
―――そんな一流の生態学者も、幻獣の研究に手を染めて、あっという間に頽落する。―――
「たいらく」とは、くずれ落ちること。
積み上げてきた「何か」の上に立っている人物が落ちぶれていく様ってことなのかな?

118Pより。
―――エボラ出血熱のアウトブレイクで話題となったこともあってか、ヴィクターはマスクとラテックス手袋とゴーグルをみにつけた—————やりすぎなほどの重装備で船から下りてきた。―――
『アウトブレイク』は1995年のアメリカ合衆国のパニック映画。
エボラ出血熱を参考に、アフリカから持ち込まれた非常に致死性の高いウイルスによる未曽有の「バイオハザード(微生物災害)」に立ち向かう人々を描いたサスペンス映画。
修学旅行の時に行った東京で、デカデカと劇画調の看板が飾ってあったのを覚えているわ。
当時の情景を思い出すと、セピア色のフィルターがかかっている。

144Pより。
―――そういえば、空家から親子の幽霊が飛び出してくる映画を子供の頃に見て、恐怖のあまり絶叫しながらガチ泣きしたとかいう笑い話を聞いたことがある。―――
おそらくこの映画は呪怨かなぁ?
『呪怨』は2000年に発売された清水崇監督・脚本によるホラーのビデオ作品。また、これを原作とする2003年1月25日に単館系で公開されたホラー映画。劇場版は、2003年8月23日に続編が公開された。
たしかに呪怨はインパクトの強いホラー映画だった。なんつーか、スポーツ競技のように怖がらせて来るよね(笑)

168~169Pより。
―――大木が何本も倒れてギャップとなっている箇所で、豊かな木漏れ日が差し込む広々とした空間だった。―――
林冠を覆う高木(林冠木)が寿命や台風の強風などで倒れると、林冠に空が開き、林床まで太陽光が射し込む明るい場所ができる。この空間をギャップというようで。
薄暗いジャングルの中に陽の光が広く差しこんでいる場所ってことかな?
メディア作品では何度も見た風景だけど、アレを「ギャップ」と呼ぶってことは初めて知ったわ。

367Pより。
―――「メタ分析っていうのが・・・・・今までやったことなくて、見るのも初めてなので」―――
メタ分析は、複数の研究データを組み合わせて、全体としての効果の大きさを推定する統計的手法。
メタ分析は科学的総合の重要な部分だが、メタ分析を理解せずに結論を受け入れるのは危険であるようで。メタと聞いて思い出すのはmeta社。期待のメタバースはどうなったのかねぇ( ˘ω˘ )


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
325Pより。
―――恐る恐る背後を振り返ると、殺気をまとう巨大な獣人が後足で仁王立ちしていた。
オスのイックンジュッキだ。―――


ブラに付けれる護身用ナイフがどんなんだろうって検索してみたけど、そんなニッチなナイフは見つからなかったね。アンドレアがカスタマイズして作ったのかな?
にしても久しぶりのジャングルはやっぱり大変だなぁ(;´Д`)
一度くらいはAIを使って背景を描いてみようかな、少しは齧っておいて損はないと思うし。
でも呪文とか学ぶのめんどくさそうだよなぁ。
はぁ~、年を取るごとにダメダメ加減が加速してゆく今日この頃。

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