忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「忘れないと誓ったぼくがいた」 読書感想

「忘れないと誓ったぼくがいた」(文庫版)

著者 平山瑞穂
文庫 331ページ
出版社 新潮社
発売日 2008年7月29日

f:id:mitemite753kakuyo:20200222094830j:plain f:id:mitemite753kakuyo:20200222094842j:plain


この作者の作品で既に読んだもの
・今回の「忘れないと誓ったぼくがいた」だけ。


<<ここ最近の思うこと>>

やってきました恋愛作品特集の第二段!
今回はどうかなぁ・・・・・中年おじさんにも共感できるような内容かなぁ。
もともとはこの感想文書き書き習慣も、むかーし読んだ小説の内容を忘れていたことがきっかけで作り始めたものなんだよね。
まさかこんなに長く続くとは自分でも思っていなかったけど(;^ω^)
「忘れる」系の作品はいろいろあるよね、「エターナルサンシャイン」とか、「レテの支流」とか、「メメント」とか。
「恋愛」×「忘れる」これは期待できるんじゃないかと!


<<かるーい話の流れ>>

「絶対に消すな」と書かれたDVC映像に写る謎の少女を主人公が眺めている場面から始まる。

メガネショップで織部という女性店員に一目ぼれする主人公の葉山タカシ。
後日、その女性店員が自分と同じ高校に通う一学年下の織部あずさだと判明。
運の良いことにタカシはあずさに誘われて学校をサボリ遊園地デートへ。
カフェで休憩中にいつの間にかあずさはいなくなっていた。

なぜ急に彼女がいなくなったのか分からずモヤモヤしたままのタカシ。
あくる日、突然あずさからディナーに誘われてそこで彼女の秘密について打ち明けられる。
理解できない現象に戸惑いながらも、あずさを消さないために様々な記録を残そうとするタカシ。

しかし人知の及ばぬ現象に対抗でき訳もなく、症状は深刻になっていく・・・。
謎のDVC映像を見終えたとき、タカシは何を思いどんな決断をするのか?


<<印象に残った部分・良かったセリフ・シーン>>

200Pのところから。
あずさの存在を何とかして消させまいと意気込むタカシに対して、まるで他人事のように冷静に厳しい現実を説くあずさ。
そんな彼女の態度に怒って興奮するタカシを気遣って落ち着かせようとするあずさ。
タカシの手を取り、「私のために一生懸命になってくれて、嬉しい」と言った。
あまりの無感情な口ぶりに思わず笑いながら「棒読みだよ!」とツッコんでしまうタカシ。
とにかく問題をどーにかしようと頑張って空回りする男子と、そんな彼を冷静に優しくなだめる女子ってシチュエーションがキュンとくるのよ。
この感じ、わっかるかな~(*´▽`*)

どんでん返しって訳じゃないけれど、良い演出だったのがココだね。(ベタだけどさ(笑))
紛失したと思っていたDVCが手元に戻って来て、「知識としてのあずさ」しか覚えていないタカシが映像を観るところは鳥肌モノだったわ!
もっかい言うけど、ベタなんだけど、やっぱりグッとくるんだよねぇ~。
詳しくは言えないから、気になる方は是非読んでみるといいかと。

博士である茂木健一郎さんが小説の解説を書いているのが意外だった。
自由意思と無意識の説明とか「忘れない」を繰り返していくこととか、何気に今まで読んできた解説で、一番わかりやすくて最後までしっかり読んじゃう内容だったのがグッド。
解説とかあとがきとかって、あんまりしっかり読まないからさ(^^;)
それなりに面白ければちゃんと読むんだけどね。


<<気になった・予想外だった・悪かったところ>>

タカシはなんであずさのことを友人のヒロトに相談しないのか!?
そしてなんであずさのことを覚えている可能性がある用務員ジジイに相談をしないのか!?
こーゆー恋愛物語にありがちな非アクティブ系主人公なのでね、ガツガツズバズバいけないのはわかるけど、惚れた女のためならばどんなことでもやっちゃるっていう気合いは欲しかったなぁ。
(まあ相談しても聞いてみても、結局謎の力には抗えずに次の日にはみんな忘れちゃうんだろうけどさ)

最後まであずさが消えてしまう理由は判明しないまま、モヤモヤを残すエンディングだったのが残念。
不思議な現象には理由があったり辻褄とか合わないと、どーにもムズムズしちゃう性格なのよ(;´・ω・)
(消える理由としては、人間関係を疎かにし過ぎた罰が当たったのかもってあずさが言っていたが、うーむどうなんだろ?)


<< 読み終えてどうだった? >>

うん、さすが新潮文庫の恋愛小説。安定のクオリティを感じました。
高校生の話だから、それらしい雰囲気は良く作り込まれていたと思う。
帰国子女のことを「キコッキー」って呼んだりしていることとか、彼らが日本語と外国語の入り交ざった言葉で会話してるとか、先生達のネタ的な特徴だとかちょっとナマイキな元カノキャラとか思わず懐かしさを感じちゃう描写は上手いわ~。

最終的に主人公の成長が描かれている終わり方は、前回読んだ「八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。」と似ているかな。
というか、話の展開としてはかなり似ているわね(^^;)

読了感としては、少し不思議で綺麗な青春恋愛小説・・・・・なんだけど中年のおじさんにはもっとも~っと、苦みとか渋み成分がほしいかなって感じた。
小説にも大体の対象年齢とか書いといてもらえるとありがたいかも、なんてことを思っちゃったっス。
それにしても、こーゆー全力で没頭しちゃうような恋愛、したいよねぇ(ノД`)・゜・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

62Pより。
―――父親が今度は同じフランスのアンジェという学園都市の大学に、客員教授として呼ばれた。―――
フランス西部にあり世界遺産にも指定されているロワール渓谷がある。
名門アンジェ・カトリック大学がある大学都市でアンジェ城やサン・モーリス大聖堂などの観光スポットも充実しているみたい。

85Pより。
―――彼女はフランスにいたからフレンチ・ポップか、というとそんなことはぜんぜんなく、どっちかと言うとブリットポップにハマってるみたいだった。―――
ブリットポップまたはブリットポップ・ムーブメントは、1990年代にロンドンやマンチェスターを中心に発生したイギリスのポピュラー音楽ムーブメントのことらしい。
ブリティッシュ・インヴェイジョン、グラム・ロックパンク・ロックなど、イギリスのロック黄金期の影響を受けたバンドが多くデビューし、イギリス音楽界を盛り上げたとか。

181Pより。
―――着メロはドアーズの「ピープル・アー・ストレンジ」。ジャケット写真が気に入って買ったアルバム―――
1967年にリリースされたドアーズの曲。
歌詞を見てみたけど、結構暗い感じの曲だね。
落ち込んだり気持ちが沈んでいる人のことを歌った曲なのかな?
(疎外感や孤独感を歌った曲という見方もあるみたいね)

235Pより。
―――そいういった若さゆえの蹉跌や葛藤を経ないで大人になった人間にろくな奴はいない。―――
「さてつ」
物事がうまく進まず、しくじること。
挫折とか失敗とか。

この作者が書いた日本ファンタジーノベル大賞受賞の「ラス・マンチャス通信」を読んでみたいね。
鈴木光司氏の絶賛を浴びた異形の成長小説ってことみたいだけど、あらすじ紹介を読んでみてるとなんだか不穏なお話系?

2015年に村上虹郎早見あかりの主演でこの小説の実写映画がすでにあったのか!
これはぁ・・・・これはぁぁぁ・・・。
うん、まあ、機会があればいつか観るかね(;^ω^)


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

今回はズバッと2個描いてみた。

5Pより。
―――今、これを書いているぼくの手元には、一本のDVCテープがある。ラベルには、油性ペンで大きく「絶対消すな!!」の文字。―――

f:id:mitemite753kakuyo:20200222094851j:plain
VHSテープならわかるけど、DVCテープなんて見たことないし存在も知らなかったわ。


177Pより。
―――「これはポトスっていうんだ。おまえ、これひとつ持ってけ」―――

f:id:mitemite753kakuyo:20200222094900j:plain
原産地はソロモン諸島及び東南アジアの亜熱帯と熱帯雨林らしい。
比較的少ない光量でも生育するから室内での栽培が容易とのこと。

「オリエント急行殺人事件」 読書感想

オリエント急行殺人事件」(文庫版)
著者 クリスティ・アガサ(翻訳:田内志文)
文庫 368ページ
出版社 KADOKAWA
発売日 2017年11月25日

f:id:mitemite753kakuyo:20200209155428j:plain f:id:mitemite753kakuyo:20200209155435j:plain

この作者の作品で既に読んだもの
・今回の「オリエント急行の殺人事件」だけ


<<ここ最近の思うこと>>

この小説、少し前に映画になったみたいでよくCMを目にしたんだよね。
そして地元のラジオ番組でもこの小説が紹介されていて、これは神様が「いい加減、海外有名作品を少しは読んでみなさい」と言っているのかもって考えて手を出してみた。
でもなぁ~・・・昔の推理小説で、しかも海外作品ってだけでもう目を逸らしてしまうおじさんなんだ。
ちゃんと最後まで読めるかなぁ、どうか読みやすい内容でありますように!


<<かるーい話の流れ>>

名探偵ポアロはたまたま乗った列車で友人でもあり列車会社重役でもあるブークと乗り合うのだが、途中で大雪に見舞われた列車が立ち往生してしまう。
ポアロは乗客のラチェットという悪人顔にボディーガードを頼まれたのだが、気に入らないからと断る。
翌日、ラチェットは不可解な刺殺体で発見された。

調査をしてみると、なんとラチェットは過去に残忍な児童誘拐事件を繰り返していた人極悪人だった。
ブークに頼まれて好奇心もくすぐられたポアロは事件の捜査を引き受けるが、色々な遺留品や様々な証言はグチャグチャでまったく解決の糸口は得られない。
それに乗客達が目撃した「謎の車掌」や「緋色のガウン女」の目撃情報も出てきて、一緒に調査しているコンスタンティン医者もブークも完全お手上げ状態。

でもご安心、名探偵ポアロは確かな真実と証言からじっくりと事件の全貌を考える。
そして推理を披露する時、ポアロは皆に二つの答えを考えたと伝える。
これから話すことを全て聞いてから、みんなで真実を決めようと。


<<印象に残った部分・良かったセリフ・シーン>>

登場人物達がけっこう酷いこと言うのよね(笑)
けどそこが人間味あるキャラクター設定で親しみやすかった。
アメリカ人のハバード夫人が娘の写真をポアロに見せるんだけど、その娘を見たポアロの感想が「珍しいほど不細工な子供の写真」って表現しているのが笑っちゃう。
ポアロさんの感想はユーモアがあるのか毒舌なだけなのか?(ここも良く出来てるのがさすがです)

アントニオというイタリア生まれのアメリカ人男性を疑うブークもまた偏見が酷い。
アントニオを疑う根拠が「それにほら、イタリア人が使う武器と言えばナイフだし、一度どころか何度も刺すんだ」とか「それに大嘘つきだ!イタリア人は、まったく虫が好かんよ」ってところでまたしても呆れた笑いがでるわ。
なんだろう、当時はイタリアマフィアの影響が凄かったせいなのか?

↓この人もなかなかだったね。
ポアロに言われて集めた証言から事件の真実を推理をしてみる場面にて、ブークは言わずもがな、コンスタンティンという医者までもが推理からかけ離れて奥さんのことを考え出し最終的に「やや卑猥な空想」までしちゃうとは(笑)
ストレスが溜まっていたのだろうか?まあこんな状況じゃあ空想に耽るのも仕方ないよねぇ。
一番まともそうな人だと思っていただけに、そのギャップが面白いよ。

261Pの場面にて。
取り敢えず思いついた推理で事件を解決させようとするブーク。
それに対してポアロはまだ真相は分からないと言う。
やけに慎重だなとブークに言われたポアロが返した言葉が印象に残った。
―――「人は一歩ずつ前に進むべきなのですよ。」―――
なるほど、急がば回れってやつかと。
おじさんも忙しいとすぐに結論を急いじゃうからねぇ、これからはこの言葉を思い出して、じっくり考えてから結論を出すように心がけたい。


<<気になった・予想外だった・悪かったところ>>

91Pの焦げた紙片を金網で挟んでアルコールランプで炙ったら文字が浮き出て来たって部分が謎だ。
黒く焦げた部分に文字が浮かんできたってことなのかな?

いろんな部分でフランス語のフリガナがついているんだけど、これは必要なのかね?
雰囲気を出す為の演出とかかな。

なんで一等客室には隣室への扉が付いているんだろ?
避難用って訳じゃないよね、二部屋を借り切って使うとかする人もいるとか、とにかくお金持ち用の部屋であることは間違いなしかと。
っていうか現在のオリエント・エクスプレスでもこの仕様なのか!
画像を見る限り、豪華でヨーロピアンな隠れ部屋って雰囲気がイイね。


<< 読み終えてどうだった? >>

話が良い感じの長さで区切られているし、続きが気になる区切り方だからトントン読めちゃった。
推理小説としては・・・・・どーなんだろうねぇ、正直終盤のネタ明かし場面まであまり盛り上がりは無かった感じかな。
でもだからこそ最後があれだけ印象的だったのかもしれない。

お騒がせお母ちゃんことハバート夫人の告白シーンで、偶然にも店内BGMで「アメイジング・グレイス」が流れてきた時は、思わずうるっときちゃったよ。
当たり前なんだけど、しっかり作られている小説だねぇ。

さてさてまとめとして。
無駄をそぎ落としたお堅い推理小説なのにキャラクター達が魅力的で面白いから、読んでいて楽しめたし心に残る事件内容だった。
読了感としては・・・。
読み応え良し、満足感良し、オチを知らない人なら衝撃の結末ってのがバッチリ味わえるよ。
デイジー・アームストロングという人物がどれほど愛されていたのか・・・。
ひしひしと読者に伝わってくる悲しいお話だった(ノД`)・゜・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

129Pより。
―――アスピリンの瓶が一本、便秘薬として使うグラウバー塩がひと包み、鮮やかな緑色をしたセルロイドのペパーミント入りチューブが一本―――
ヨハン・ルドルフ・グラウバーは、ドイツ-オランダの薬剤師で化学者。
1625年に硫酸ナトリウムを発見したため、これを「グラウバー塩」とも呼ぶようになったらしい。

158より。
―――「十三番だ。ふたりでトランプを出して、ピケットをしていたのさ。―――
ピケットとは2人用のトランプゲームで、ジャンル的にはトリックテイキング。
フランス語では「ピケ」という発音になり、こちらで呼ばれることも多いとのこと。
(うーむ、ルールを調べてもさっぱりわからん)

165Pより。
―――英国王室の勅許を受けたイギリスの船舶会社―――
「ちょっきょ」
天皇の許可。勅命(天皇の命令)による許可ってことみたい。

171Pより。
―――「ちょうどスターリンの五カ年計画は完全に失敗に終わりそうだね、などと話しているときに匂いがしたからさ。―――
五か年計画とは、一般的には政府及び地方自治体、あるいは各企業・事業団体が経済運営や事業計画について、5年の期間で達成すべき目標とその手法について定めた長期的な計画の事。
世界恐慌の時にソビエト連邦はこの政策を行い、世界恐慌から逃れることができたとのこと。

193より。
―――冷静で狡猾、そして慎重な頭脳の持ち主の痕跡が、この犯行には見えています。アングロサクソン的な頭脳の痕跡がね。」―――
アングロ・サクソン人は、5世紀頃、現在のドイツ北岸からグレートブリテン島南部に侵入してきたアングル人、ジュート人、サクソン人のゲルマン系の3つの部族の総称、らしい。

272Pより。
―――「我らが旧友、ユークリッドの原理でいう不合理というやつですね」―――
アレクサンドリアのエウクレイデス(英語: Euclid(ユークリッド))は、古代ギリシアの数学者、天文学者とされるようで。
数学史上最も重要な著作の1つ『原論』ユークリッド原論)の著者で、「幾何学の父」と称されるとか。

40Pより。
―――「ご覧なさいな、こんな変なお釣りまでよこして、ディナールとかいったかしらね。まるでごみ屑の山だわ。―――
ディナールは、アラブ地域などの多くの国で使われている通貨。
アラビア語では「ディーナール」と発音されていて、これは以下の各国で使われているが、それぞれ独自で発行されているため価値はそれぞれ異なるとのこと。
↑なんだろね、通貨としての価値が低いからお釣りが沢山だったってことで、「ごみ屑の山」って言っているのかな?


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

10Pより。
―――「セント・ソフィア寺院は必見ですよ」デュボスク中尉は、自身一度も訪れたことのない寺院の名を口にした。―――

f:id:mitemite753kakuyo:20200209155446j:plain

今回は「セント・ソフィア寺院」を描いてみた。
トルコに旅行する人なら必ず訪れるのが、イスタンブルの 聖ソフィア大聖堂って言われるほどとか。
現在は博物館として開放されているのかな?
なんにせよ・・・建物の風景画って、難しいんだなぁ(;^ω^)

「想師」 読書感想

「想師 上・下巻」(キンドル版)

著者 狂気太郎
紙の本の長さ 125ページ(上巻) 136 ページ(下巻)
出版社 キリック
発売日 2012年1月1日

f:id:mitemite753kakuyo:20200125170606p:plain f:id:mitemite753kakuyo:20200125170615p:plain


この作者の作品で既に読んだもの
・今回の「想師」だけ


<<ここ最近の思うこと>>

ちょっと前に孤独になる人についての四コマみたいなのをネットで見た。
人づきあいが苦手な性格だから自分から孤独に向かってしまう。
そしてだんだんと異性や他人を憎むようになるらしい。
またまたちょっと前に、友人達と観た映画でも「一番よくないのは孤独でいること」と女医が言っていたのを覚えている。
この小説を読んで、どれほどの孤独による絶望も他人の暖かさには敵わないんじゃないのかと思ったよ。
独りぼっちは寂しいからねぇ(ノД`)・゜・。


<<かるーい話の流れ>>

世界の視方を変えることによって様々なことを知ることができ、さらにその異世界内で行動することによって現実世界で奇跡を起こすことができる者を想師と呼ぶ。
主人公は想師の草薙という成年で、力量の計り知れない師匠や弟子、謎の仕事仲介人や天使のような彼女に囲まれてリア充な暮らしぶり。
想師の力を使って超常現象を起こしたり、時には悪人を殺したりして生計を立てている。

上巻では地上げヤクザ達に娘を凌辱されて殺された父親の依頼を受けて、草薙がヤクザ達を殺す仕事の話と、意識不明の女子高生を助けたことがきっかけで謎の術者ユウラシキとの戦いまでが描かれている。

下巻では噴火した火山の活動停止依頼から始まって、奪われた超凶悪殺人ウィルスの奪取&師匠をも凌駕する想師クキトウジンとの人類存亡を賭けた戦いが描かれている。

読み始めてみたら↑に書いた以上にエンタメ成分増し増しのデカ盛りで、熱読しちゃった(*´▽`*)


<<印象に残った部分・良かったセリフ・シーン>>

今回はイイねシーンが盛りだくさんだったから箇条書きで簡単に。

・まずは草薙が自宅に置いてるサボテンの「キンコウマル」というキャラクターが面白い。
サボテンのくせに生意気な口をきいて(想師などにだけ聞こえる?)ビールを要求したり、謎の忠告をしたり、最後の最後で窮地になった草薙達を必殺の攻撃で助けたり、他にもいろいろな秘密がありそうなキャラクターだわ。

・ちょいちょい出てくる霊能力者タレントが毎回いろんな所で散々な目に遭うのが笑える。
まあ主に草薙の邪魔になるようなことばかりしているから自業自得っちゃそうなんだけどね。

・想師が力を使い過ぎて、現実の肉体がだんだんと想像上の化物に変わってしまう設定は面白い。
人々が想像する力がUMAなど架空の生物を作り出してきたって話はよく聞くから、あ~こうして怪物達は生み出されてきたのかぁって納得できる。

・全人類の存亡を賭けた九鬼と草薙の最終決戦を前にして、死者のカバリストであるゲールが用意した面会シーンが熱い!
草薙の人生で縁のあった死者達を集めてそれぞれ会話をする場面なんだけど、こーゆー溜めの展開が戦いを熱くさせるし読者も共感しやすくなるから良いよね~。
特に草薙に魂を救われた少女がお礼を言う場面は目頭が熱くなりそうになる(ノД`)・゜・。

・最後にシッキーっていうキャラクター。
コイツは本当に意外な形で関わってきたな・・・・・まさかあんな奴がこんなことになるなんてねぇ。
キンコウマルと同じで憎めない奴だよ(笑)
それにしてもあの小汚い人形で「シッキー」って、元ネタは某有名ホラー映画の「チャッキー」か?


<<気になった・予想外だった・悪かったところ>>

・ユウラシキを倒すために既に死んだ術者へ話を聞きに行く場面。
ここでの説明展開がけっこう長かくて分かり辛かったかな。
基本的にはカバリストであるゲールと草薙の会話で、カバラ術と想師の技の説明が相互に交わされるんだけどこれが中々に・・・(^^;)
ちょっとだけ眠気に流されそうになっちゃったわ。

・この小説は設定が設定だけに、ご都合主義も甚だしいって展開が多々あるんだけどファンタジーとかも似たような感じだからねぇ。
でもそーゆー系がキライって人にはあんまり楽しめないかも。
おじさんもご都合ファンタジーとかはあまり好きじゃないけど、この小説は超展開とキャラクターが面白いから楽しめたのよ。

・グロ系でオススメされていたから読んでみたんだけど、予想していたよりもグロさエグさは薄口だったかな。(WEB版ではもっと激しい描写らしい)
死体はいっぱい出るし暴力描写もあってグロイんだけど後に残る感じはしなくてさっぱりしている。
大抵は術とかで治せるからって設定があるから?


<< 読み終えてどうだった? >>

まさかあの近江さんがΣ(・□・;)
ユウラシキ、予想外の号泣!
な、なんてしぶとい奴なんだ!!
などなど、いや~~~楽しく読ませてもらったわ!

とんとん話が進む度に戦いの規模が大きくなっていく作りもおじさんの感情を盛り上げてくれる。
こーゆー胸を熱くさせてくれるお話はファンタジーだろうがなんだろうが大好きだね。
(ある意味「想師」もファンタジー作品だよね?現実世界と異世界のハリポタ的な)
基本的にサクサク読んじゃえる文章だから、まるでマンガを読んでいるような感覚だったけどライトノベルに近いのかな?

さてさて読了感は・・・。
バンバン人が殺されちゃったし、草薙は親しい人物とも別れがあったりしたけれど、最後はしっかりハッピーエンドでとてもスッキリな終わり方だったから大満足!
でも文章もお話の造りもちょーっと大味な感じがするから、エンタメ好きな人は楽しめるけど濃い口?が好きな読書人には物足りないかも知れない。
おじさんは十分に満足させてもらったけど、思い返すと「とにかく楽しく読めた」で終わりなんだよね。
でもエンタメ作品なんだからそれが一番重要じゃん。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

上巻:位置№ 203より。
―――カバリストがアストラル界を歩くには照応性と自らの経験を用いるが―――
「かばりすと」
カバラカバラーとは、ユダヤ教の伝統に基づいた創造論、終末論、メシア論を伴う神秘主義思想である。独特の宇宙観を持っていることから、しばしば仏教の神秘思想である密教との類似性を指摘されることがある、らしい。

「アストラル界」
アストラル体の存在する世界はアストラル界と呼ばれているようで、これを霊界や幽界とする説もあれば、現実とほとんど同じに見える世界であるとする説もあるとか。

上巻:位置№ 2005より。
―――自分が殺してきた大勢の人々の、怨差の声を聞くのが怖いのではないかと。―――
「えんさ」
うらみ嘆くこと。

―――実はこのところ私は、九鬼のゲヴラーの部分、つまり火星に照応する破壊の力ですが、そこへ少しずつ干渉しているのですよ。―――
「ゲヴラー」
セフィロトの樹を構成する10個のセフィラの一つ。
一般名称は「剛毅」。
対応する数字は「5」。
力・戦い・勇気・残酷・破壊など、力や攻撃的なことをあらわす。
対応する惑星は「火星」。

下巻:位置№ 42より。
―――当初の爆発はプリニー式で、巻き上がった噴煙が成層圏まで達していたそうです。―――
プリニー式噴火は噴煙柱を形成する激しい噴火で、噴煙は成層圏まで達し大量の火山灰やスコリアなどを放出して火砕流を伴うこともあるらしい。
ポンペイを廃虚と化した噴火の情景がローマの博物学者ガイウス・プリニウス(大)と甥のプリニウス(小)によって書き残されていることから、プリニー式噴火といわれるようで。

下巻:位置№ 108より。
―――完全な闇から淡い闇へと変わる過程で、世界から析出するように身体感覚が戻って来た。―――
「せきしゅつ」
液状の物質から結晶または固体状成分が分離して出てくること。

下巻:位置№ 336より。
―――だが、バイクを駆る永次の背中は、凄愴な孤独を映していた。―――
「せいそう」
・悲しみいたむこと。もしくは非常にいたましい様子。


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

上巻:位置№ 300より。
―――俺の腕は、鉤爪の生えた、分厚くゴツゴツした皮膚で覆われた代物に変わっていた。西洋にはガーゴイルという石像の魔物がいるが、それに近い。もうちょっとまともな姿にならないものか。―――

 

f:id:mitemite753kakuyo:20200125170622j:plain

てことで今回は想念世界にいる草薙の変異した姿であるガーゴイルを書いてみた。
基本的には「怪物の形をした雨どい」ってことらしく、聖堂などにあるガーゴイルには訪れた人々の罪を吐き出しているってな意匠も込められているとか。
他にも、悪霊の侵入を防ぐ「魔除け」としての意味があるみたいで。

「八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。」 読書感想

「八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。」(文庫版)
著者 天沢 夏月
文庫 274ページ
出版社 KADOKAWA
発売日 2017年1月25日

f:id:mitemite753kakuyo:20200111164741j:plain f:id:mitemite753kakuyo:20200111164748j:plain


この作者の作品で既に読んだもの
・今回の「八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。」だけ


<<ここ最近の思うこと>>

「登場人物の『死』が重要な作品はとても難しい。慎重に作らないと物語が軽くなりやすいから」
↑てなことを学校の講師がむかし言っていた。
なるほど確かに、自分でも作ってみたりしてみたら分かる。
読者にこのキャラクターは死んでほしくないって思わせないと成り立たないよね。
今回の作品が軽いとかスカスカの内容だとかっていう訳じゃないんだけど・・・。
心の汚れた中年には、どうなのかな~(^^;)


<<かるーい話の流れ>>

高校生の頃に付き合っていた先輩彼女の透子を事故で失った成吾(大学生)が主人公。
大学生になってから一度も帰っていなかった地元に帰って、同窓会や墓参りをして透子の家に線香を上げに行くと、そこで彼女としていた交換ノートを発見する。
成吾はずっと透子の死を乗り越えられず、過去を引きずったままの自分をどうすることも出来ない現状。

思わず日記に「俺はどうしたらいい、透子。」と書いてしまう。
居眠りをして気が付くと、ノートには当時の透子からの返事が書き込まれていた。
そこで成吾は偶然ノートを拾った赤の他人ということにして、未来と過去を繋いだ交換ノートで透子とやりとりをするのだが、成吾はどうしても我慢できずに過去の改変を行おうとする。
初めての海デートを楽しみにしている透子に、海へは行かないでくれと伝える成吾。
透子は一応その警告を聞き入れてくれたのだが・・・。

過去編は透子と成吾の出会いから別れまでを描いており、現代編では未来の成吾と過去の透子が交換ノートを通して思いを交わす。
その二つの物語が混ざりながら話は喪失と再生へと向かっていく。

何故交換ノートは過去と未来を繋いだのか?
果たして透子を救うことが出来るのか?
そして高校生達の純愛ストーリーを読んで、中年のオッサンが共感&感動出来るのだろうか!?


<<印象に残った部分・良かったセリフ・シーン>>

53Pより。
―――「あんたは一生でたった一人を想うことが、カッコイイことだと勘違いしてんでしょ」
「そんな幻想はさっさと捨てて、ちゃんと生きてる人間に恋しときなさい」―――
↑このセリフ、良いも悪いも含めてしっかり生きろって感じがして好きだよね。
こんなことを美人の姉がサラっと言っちゃうのがまたイイ!

成吾の姉貴が主人公よりも主人公らしい設定だった。
東京で女性雑誌の編集者をしていて、傷ついた弟の労り方も分かっているカッコイイ女性。
成吾もオトコマエな姉だと思っている。
そのせいで、主人公のウジウジ加減が一際強調されてしまい、それが良いのか悪いのか(^^;)

あとはラムネ瓶の使い方がいい味出してたし、ベタな展開だけど手紙の所は思わずグッときちゃったわ。
(人目を気にしてなんとか涙を流さないようにした・・・・・っていう程度にうるっと来た)


<<気になった・予想外だった・悪かったところ>>

透子の初代ペースメーカーをいつもポケットに入れて持ち歩いている大学生の成吾。
そのせいで飲み会にてちょっとしたいざこざを巻き起こしたりしちゃったり。
うーむ、そんなに大切なモノなら持ち歩くのはどーなのよ?
持ち歩くにしてもなんか袋とかに入れて大切に扱いなさいよ(;一_一)

最後にゲスイことを言わせていただくと。
透子を助ける為に過去の出来事をノートに書いて教える成吾。
ここでおじさんは思った・・・・・透子の性格を考慮して伝達する情報量を減らしておけば・・・。
うーむむ、ひねくれた考え方だな(笑)
もしそうしたとしても、歴史修正の謎力とかが働いて結局失敗しそうな気もするけどね。


<< 読み終えてどうだった? >>

ははぁ~なるほど、ノートが過去と繋がった理由は描かれないタイプのお話だったか。
全体を通して丁寧に作られて押えるツボはちゃんと押さえた綺麗なストーリーだったよ、うん。

読書に嵌りたてな頃の若者ならきっと泣いちゃってたと思う。
でも現在のおじさんには物足りないかな~(;^ω^)
そう思うのは歳のせいなのか、積み重なった読書経験のせいかのか?
昔なら読む小説は大抵それなりに楽しめていたのに、いつからあの感性を無くしちゃったのかな・・・。
(透子が精神的に強すぎて泣き展開がイマイチ伝わりにくかったせいもあるのか?)

読了感は・・・・・まあこんな感じだよねって終わり方でそれほど衝撃を受けることも無い内容だったかな。これはどちらかというと女性向きな作品だったか?根拠の無い勘だけど(笑)
この小説を読み終えて、自分が無くした感性のことを考えてちょいナーバス気味だわ。
「八月の終わりは世界の始まりに似ている」って書いてあったけど、おじさんも読書を続けることによっていろいろ失いながらも、たくさん新しいモノを見つけて行こうって思った。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

この作者の作品である第19回電撃小説大賞の「サマー・ランサー」を読んでみたいと思った。
爽やかそうな内容で、今のおじさんが求めているモノはスッキリ・サッパリ系な気がするから。

23Pより。
―――サイダーとラムネ、確か中身は同じだったはずだ。―――
ビー玉入りの瓶の形をしているのがラムネ、それ以外はサイダーという。
どちらも中味の違いはないようだ。
サイダーはリンゴ酒のシードル(Cidre)が語源と言われ、ラムネはレモネード(Lemonade)がなまったものと言われているとか。

72Pより。
―――ぼちぼち光化学スモッグ注意報が出そうだなとぼんやり思う。―――
光化学スモッグとは、オゾンやアルデヒドなどからなる気体成分の光化学オキシダントと、硝酸塩や硫酸塩などからなる固体成分の微粒子が混合して、周囲の見通しが低下した状態をいうらしい。
健康に影響を及ぼすことがある大気汚染の一種。
夏の熱い日の昼間に多く、特に日差しが強く風の弱い日に発生しやすいみたいね。

25Pより。
―――確かにラムネの味がするけれど、その後は炭酸の泡が波濤となってすべて洗い流していく感じだった。―――
「はとう」
大きな波っていう意味らしい。

107Pより。
―――ものすごく胡乱げな顔をされた。生田の授業が甘いことは、ウチの高校ではけっこう有名だ。―――
「うろんげ」
どうも胡散臭い様子だ、胡乱な気配がする、などを意味する語。
「胡乱」に、そういう様子・気配があることを示す「げ」がついた表現とのこと。

201Pより。
―――「パロデジュビア」その名前はスペイン語だが、確かアフリカ発祥の楽器だ。―――
レインスティックは、スペイン語で「PALO DE LLUVIA(パロデジュビア)」と言う名前で、雨の音がする棒って意味らしい。
中が空洞のサボテンに釘をいくつか刺して、その中に多数の小石を入れて線をした楽器で、傾ける度に小石が釘に引っかかりながら移動する。
それがなかなか綺麗な音を出すみたい。


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

148Pより。
―――で、これが幼稚園のときに入れてもらって、小学五年のときに取り出したやつ。初代ペースメーカー」―――

f:id:mitemite753kakuyo:20200111164755j:plain
てことで、ネットでテキトーな画像を検索して書いたのがコチラ↑のペースメーカー。
作中ではいつも持ち歩いている訳だから、コードの類は外してあるんだろうけどね。

「墓地を見おろす家」 読書感想

「墓地を見おろす家」(文庫版)
著者 小池 真理子
文庫 330ページ
出版社 角川書店
発売日 改訂版 (1993年12月1日)

この作者の作品で既に読んだもの
・「沈黙の人」

f:id:mitemite753kakuyo:20191228163506j:plain f:id:mitemite753kakuyo:20191228161119j:plain

<<ここ最近の思うこと>>

ふと思ったのよさ。
どうしてこんなにもホラー小説やグロ小説等を求めるのだろうかって?
最近妙にホラー系にハマっているのは、一人暮らしをしていた時に怖くてなかなか読めなかった反動かと思ったけど、なんか違う。
そういえば、むかーし小学校へ登校する前だとかに、北海道から移り住んできた親戚のおじさんが動物の死体を啄むカラスを見たとか、不気味な妖怪話?だとかをよく聞かせてくれたなぁ、それが原因かも。
(昔はよくTVでホラー&ショッキングな映画とか放送してたから、子供時代からそーゆー系に慣れていたとか?)

これを書いている時にそのおじさんは肺癌で余命数日らしい。
だからなんだってことじゃないというか、なんていうか・・・・・。
親戚おじさんから語られるいろんな不気味でちょいグロなお話が、おじさんに「人生を楽しむコツ・その一」ってのを作ってくれたのかなぁ~?なんて思っている今日この頃な訳なのです。
とにかく、一生懸命生きた親戚おじさんの残りの人生が、苦しみ無く安らかに過ぎていくことを願って。


<<かるーい話の流れ>>

時代はおそらく昭和62年。
主人公の加納一家は格安で売られていた高級マンションを購入してウッキウキで引っ越してきた矢先、飼っていたピヨコが突然死してしまう。
実は一家が購入したマンションは墓地、寺、火葬場に囲まれた立地だったので格安だったのだ。
現在は入居している人も少なく、管理人を入れても数組しかいない。
まあそんなこと気にもならんわガハハっと、現実合理主義な夫の加納哲平は言い放ち、新しい暮らしは始まったのだが・・・・・。
(ちなみに加納家は哲平と美沙緒と玉緒(娘)とクッキー(雑種犬)とピヨコ(既に他界)の家族構成)

しかし奇妙な出来事が徐々に加納一家を追い詰めていく。
謎のかまいたち現象、動作不良を起こすエレベーター、テレビに映る影、不気味な地下室・・・・・。
不安になることばかり起こるマンションだから、少ない住人達もどんどん引っ越していってしまう。
現実合理主義な加納哲平もようやく引越しを決意するのだが、そこからさらに予想外の展開が始まる。

このマンションで起こる現象は一体何なのか?
墓地と寺と火葬場に囲まれた土地に原因があるのか?
果たして加納一家は無事に引越しをすることが出来るのか!?


<<印象に残った部分・良かったセリフ・シーン>>

ホラー物でよくある展開が閉じ込められて外へ逃げられないって状況。
この小説でもマンションから出られなくなってしまうんだけど、誰もが考える対策がある。
ガラスとか割って出ればいいじゃんよ!!
視聴者、読者が必ず考えても登場人物達はなかなか実行しないことが多い。
だがこの小説ではちゃんとやってくれた!しかもデカい金槌を使って思い切り窓ガラスを叩き割って・・・・・でも割れない。
ガラスはどれだけ叩いても固いゴムのように、揺れるだけでまったく破壊できない。
なんとう力技を使ってくる敵(悪霊?怨霊?)なんだ、こんなやり方は初めて出会ったぜ(; ・`д・´)

出られなくなったマンションでわたわたする加納一家。
そこに引越屋が来て助かったと思う場面。
開かないガラス扉に困惑している引越屋達、しかしそのあとで短い悲鳴が聞こえたかと思ったら、彼らはいなくなったように静かになってしまった。
哲平と達二は続けてやって来る電気屋と電話局に希望を託す。
二人がマンションの屋上から観察していると、異変を知った電気屋と電話局員の自動車が一瞬まばゆい光の洪水で見えなくなったかと思ったら・・・・・・。
なんなんだコレは( ゚Д゚)
新手のスタンド使いによる攻撃か!?
一体何の仕業か分からないけれど、あまりにも力技すぎやしませんか(笑)
ホラー小説から一気にジャンルがぶっ飛んだ感じ。(でもこの超展開・・・嫌いじゃない、嫌いじゃないのよ)


<<気になった・予想外だった・悪かったところ>>

超個人的なことなんだけど、動物好きで現在犬を飼っているおじさんとしては、クッキーが酷い目に遭わないか心配で心配で落ち着いて読めませんでしたわ(>_<)
怪しい所や良くないモノを察知できる雑種犬のクッキーは、人間達が恐怖に慄いて固まっている時でも野生剥き出しで臨戦態勢バッチリ!
でも玉緒や加納夫婦には飼い犬としての癒しをしっかり与えてくれるめっちゃ出来た犬様なんですわ!

いろいろ怪奇現象が起こったりした後で、ちょいちょいバラバラに行動する加納一家と弟夫婦。
普通はあんな予測もつかない状況になったら、出来るだけまとまって動いたほうがいいと思うけど、まあ完全にパニックになっちゃっているからそういう考え方も出来ないってことか。
(よりにもよって、クッキーを忘れて行こうとしたことはイタダケナイゾ。ちゃんと気づいた玉緒ちゃんは偉い!!)

マンション内は自由に動けて屋上にも出れる状況、あくまでもマンションから出られないってことなら・・・・・屋上で何かしてはどうか!?
火を燃やして狼煙を上げるとか、ロープ的なモノ用意して一回ずつベランダとかに降りていくとか、もしくは火災報知器とか作動させては!?
なーんてこと考えちゃうのはひねくれ者の思考なのかな(笑)
でもこんなことを妄想して楽しむのもアリっしょ。


<< 読み終えてどうだった? >>

まさかこーゆー終わり方で来るとはねぇ。ホラー小説だからこそアリと言えばアリなんだけど・・・。
結末は読者さんのご想像にお任せしますってことでいいのかな(^^;)
まあなんつーか、とにかく主人公の加納一家に同情するほかないってお話だね。
玉緒やペット達に関してはなーんにも悪いことしていないのに、ただただ原因不明の災難に巻き込まれるだけだから、霊的な奴らに怒りすら覚えるわ!

当たり前なんだけど、以前読んだ「沈黙の人」とはまったく違うガチホラー小説だから、改めて小説家ってすんごいだなぁ~と再認識。

では今回の読了感で。
衝撃のラストシーンから最後のページへ。
そこには無機質な募集広告の描写が・・・。
う~む、このイヤ~な感じの終わり方が後味を悪くさせるぜ(>_<)
でも終盤からの超展開連続には驚かされたし、恐怖感も充分に味あわせていただけたから、ホラー好きなら楽しめること間違いなし!


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

39Pより。
―――ぱらぱらと目次をめくっていて、『霧笛が俺を読んでいる』というタイトルに目が止まった。赤木圭一郎。古い歌だ。―――
赤木 圭一郎は日本の映画俳優。通称、トニー。
1960年の主演映画『霧笛が俺を呼んでいる』では、同名の曲が主題歌として使用されているらしい。

61Pより。
―――栄子という女は雑駁で、その雑駁さが彼女の魅力でもあったのだが、小さな子供をあの地下室に置いたままにして目を離すとは、どう考えても美沙緒の理解を越えることだった。―――
「ざっぱく」
雑然として統一がないこと。

73Pより。
―――つい三日前、弟の達二夫婦が訪ねて来た時も、直美は墓地であることを忘れているような口調で「借景ね」と溜息をついていたものだ。―――
「しゃっけい」
日本庭園や中国庭園における造園技法のひとつ。
庭園外の山や森林などの自然物等を庭園内の風景に背景として取り込むことで、前景の庭園と背景となる借景とを一体化させて景観を形成する手法、とのこと。

75Pより。
―――運転手が窓から首を出し、いまにも飛びかかりそうな形相をして「すべた!」と怒鳴った。―――
「すべた」
不美人な女性を罵っていう語。
一説にはスペイン語「espada」に由来するらしい。

86Pより。
―――戸はぎしぎしと音をたてながら、レールの上をぎこちなくすべっていった。「安普請だな、まったく」彼は溜息をついた。―――
「やすぶしん」
安い費用で家を建てること。または、そういう粗雑なつくりの家。

111Pより。
―――「玲子さんのことと、メディテーションをして、偶然にしろエレベーターを動かした人がいることとは、話が別。そうでしょ?」―――
メディテーション
瞑想(Meditation)とは、心を静めて神に祈ったり、何かに心を集中させること、など。

151Pより。
―――哲平はジーンズのポケットに片手を突っ込みながら軽く口笛を吹いた。曲は『君の瞳に恋してる』。―――
「君の瞳に恋してる」は、フランキー・ヴァリが1967年に発表した楽曲。
作詞・作曲はボブ・クルーとボブ・ゴーディオ。
この歌は彼らの作品の中でも最もヒットした代表作の一つとなったようで。

―――学生時代、よくディスコで踊った曲だった。ずっと後になって美沙緒と見に行った映画『ディア・ハンター』の中でも使われていて、―――
ディア・ハンター』は、1978年公開のアメリカ映画。
製作はユニバーサル映画で、主演はロバート・デ・ニーロ
1960年代末期におけるベトナム戦争での過酷な体験が原因で心身共に深く傷を負った若き3人のベトナム帰還兵の生と死、彼らと仲間たちの友情を描いている。

裏表紙より。
―――「モダン・ホラー」―――
小説や映画のジャンルの一つ。
現代社会の闇や他者の不条理に由来する恐怖を描いたものを指す。
米国の小説家アイラ=レビンによる「ローズマリーの赤ちゃん」や、1970年代に米国の小説家スティーブン=キングが発表した一連の作品に代表される、とのこと。


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

↑ではなくて!!
今回は珍しく挿絵がいつくか描かれていたので、そちらをチラ見せで。

f:id:mitemite753kakuyo:20191228161134j:plain f:id:mitemite753kakuyo:20191228161127j:plain


雰囲気のある挿絵が読者のハラハラ・ドキドキを一層高めてくれるぜ!


「女戦士・フレア伝(1) 邪神殿の少女」 読書感想

「女戦士・フレア伝(1) 邪神殿の少女」(キンドル版)

著者 友成純一
紙の本の長さ 177ページ
出版社 アドレナライズ
発売日 2014年4月16日

f:id:mitemite753kakuyo:20191214154538p:plain

 

この作者の作品で既に読んだもの
・「獣儀式」
・「凌辱の魔界」
・「ナイトブリード」
・「肉の儀式」
・「肉の天使」
・「獣革命」


<<ここ最近の思うこと>>

以前に前の仕事の上司から「暴力の人類史」とかいう本を渡されて読んだことがる。
まぁとにかく難しくて半分も読めなかったけど(^^;)
その中に剣や弓で戦っていた時代の日常がどんなものかってことが書かれていて、そこら中に死体が転がっているわそこらじゅうで暴力が溢れているわ、今の時代から考えられないくらいに無法な日常が当たり前だった的なことが書かれていたと思う。
ファンタジー作品ってだいたいが剣とか弓を使っている文化レベルの時代設定だよね。
だからこれくらいショッキングな内容が盛り込まれていた方が、リアリティあっておじさんは楽しめるんだけど。
ってことで今回はコレ!
この小説家の作品で初めてのシリーズモノ第一弾だ!!


<<かるーい話の流れ>>

アマゾネスの末裔で、長身ナイスバディの色白黒髪剣士フレア。
彼女は覇剣イスカンダルと共に、故郷と仲間を求めて一人旅をしている。
現在はソドムという街にて、四大士族の娘であるシャラに雇われて期間限定のボディーガード業務に励んでいた。

シャラは好色家な美女なので、今宵も聖ヴァン寺院に行って僧侶達とムフフな神事に励む。
しかしそこにシャラの婚約者で彼女が処女だと信じていたギュゲスが部下と共に乗り込んできて、シャラの痴態を知ったショックから彼女に濃硫酸を掛けてしまう。
寺院内の香水やら麻薬やらに酔っていたフレアは、シャラから離れてしまっていた為に彼女を守ることが出来ず、しかしギュゲスと数名の部下をきっちり殺して素早くソドムの街から出て行った。

ギュゲスの母親ベラとシャラの父親コットスは勿論フレアをほっておくわけがなく、タクハエト大僧正と100人の部下達と共にフレアを追いかけることにした。
追いかけるついでに立ち寄る街を略奪して回るおまけ付きで。
タクハエトの繰り出す魔術がフレアに襲い掛かったり、略奪に巻き込まれて性奴隷にされた商隊長の娘が酷い目にあわされたり、捕まったフレアがコットスからムフフな悪戯をされたり、最後はソドム軍対フレア&商隊軍の攻防戦になったり、ファンタジー要素盛りだくさんな物語。

果たしてフレアは欲望丸出しのソドム軍やタクハエト大僧正から逃げ切ることが出来るのだろうか!?


<<印象に残った部分・良かったセリフ・シーン>>

「死者の荒野」にて。
三人の魔術師?であるババア達のキャラクターが強烈だ!
荒野の真ん中で全裸の姿、三百年フレアが来るのを待ち続けていた、全員目玉無し、一つの目玉を奪い合っては指でつまんでフレアを眺める、困った時のお助けアイテムを自らの肛門からほじくり出して渡してくれる。
用事を終えたら煙のように消え去ってしまう。
敵ではないからそれほど気味悪くはないが(いや十分気味悪いけどさ!)フレアもよく素手でアイテムを受け取れるよな(笑)
こーゆーぶっ飛んだキャラクターがいてこそ、ファンタジー小説だよね(^_^)

「廃墟に巣食う怪物」にて。
廃墟に陣取って籠城するソドム軍、城壁の外にはフレア達500人の討伐隊。
ソドム軍の僧侶達が魔術で嵐と稲妻でフレア達を攻撃してきたので、フレアは銃を持った数人と一緒に城壁へ近づいて僧侶達を狙撃してもらう。
銃使い達は優秀な腕で僧侶達を射殺して、すると嵐はすぐに消え去った。
見事な結果に歓喜して、フレアは胸元までしかない猿顔の小男達と抱き合ってキャーキャー喜ぶんだけど、小男達はどう考えても別な意味で喜んでいるよね!!
フレアの巨乳に顔を押し付けながら抱き合えることを喜んでいるよね!?
まったくうらやまけしからん( `ー´)ノ

「電子版あとがき」にて。
―――「アトムがお腹を開けて、中に詰まっている機械を垣間見せるコマには、リビドーを刺激された。―――
リビドーを刺激されたって訳じゃないけど、おじさんもこの感じはちょっとわかるな。
ロボットとかの装甲の下にあるメカニカルな構造にはカッコイイと思っちゃうからさ。
しかし作者さんは幼い頃から内臓に興味があって、人体解剖図の類に異様な興奮を覚えたとかなんとか・・・・・さすが斜め上ですな(゚Д゚;)

友成さんの作品だからグロ描写が名物だっしょ!
てことで一番インパクトあった場面。
「死霊の手招き」より。
街の略奪に巻き込まれて、ソドム軍の奴隷として毎日犯されて続けたカルミラという少女。
彼女は脱走したフレアをおびき出すために、術の生贄にされたのだがそのやり方が酷い。
魔法陣が描かれた地面に全裸で大の字に磔されて、一日中砂漠の灼熱で焼かれたあとは夜の冷気で冷やされて、飲まず食わずで何日も死ぬまで苦しめ続けられるカルミラ。
彼女の苦しみが強いほど、その精神はフレアをこの場所に連れてきてくれるらしい。
手足の縄は肉を破って骨まで食い込み、全身の皮膚は焼かれてひび割れて、顔は目鼻口の区別がつかないくらいに酷い状態。
彼女に出来ることは、商隊の父親とフレアに助けを願うことだけ。
こいつはキツイぜよぉ・・・・・・・なんて悪趣味な魔術なんだ、反吐が出るぜ。


<<気になった・予想外だった・悪かったところ>>

ギュゲスはずっとシャラが処女だと信じ込んでいたみたいだけど、巷で噂になるほどの淫乱娘なら誰かが事前に教えてあげれば良かったのに。
ソドム四大士族なら子供の婚約者の素行調査くらいしそうなんだけどね。
まあ、真実をギュゲスに告げても信じたかどうか怪しいけど。

物語の展開に関することだけど、ご都合展開なのは仕方ないよね。
どうしようもない場面では不思議な力でカヴァーしてもらう。
まあそれがファンタジー物ってやつだからそれほど目くじら立てることじゃないけどさ。

個人的には、出来ればソドム軍の指揮官コットス&ベラと兵士達には散々やってきたツケを払うような、酷い結末を用意してほしかったかな。
ベラは・・・・・・うん、悲惨な状態にはなったけど。


<< 読み終えてどうだった? >>

こーゆー暴力が溢れたファンタジーは好きだな~。
文明レベルが低いなら『力こそ正義』が満ち溢れているのが当たり前だと思うんだ。
今回の作品はストーリー性に力を入れている分、グロ展開はそれほどインパクトがあるものではなかったけどそれはこの物語成分のメインじゃないからおじさんは十分満足だったよ。
(今までよりは控えめだけど、じゅうぶんグロイ描写は満載だったし)

むしろ予想していたよりも面白くてしっかりしたストーリーだったのが意外だった
(失礼なこと言ってスミマセン)
謎に包まれた凄腕ナイスバディな黒髪色白長身美女フレア。
彼女は覇剣イスカンダルと共に故郷を目指して旅をする。
フレアのいる世界では暴力と凌辱と魔術がはびこっていて、美しい肉体や宝剣を常に狙わているが彼女はくじけず負けず、立ち向かい切り伏せて旅を続けていく・・・・・。
男なら興味をそそられて当然な設定だよ!
(サバサバしてるだけじゃなく、風呂が嫌いで入れられると思わず泣きべそかいちゃうギャップがまた可愛いフレアたん!)

読了感としては・・・・・。
勧善懲悪とは言えない終わり方で、タクハエト大僧正に鉄槌を食らわせられなかったのが残念だったけど、まあソドム軍は倒したしフレアの体も無事だったからスッキリ読了感。
今後もフレアの貞操が守られるのかソワソワしながらも、ちょっとその場面も見てみたいなぁなんて思ったり思わないように努めたり・・・・・とにかく次の惨劇と冒険とお色気が気になる物語だった(*´▽`*)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

位置№ 615より。
―――相手は、ソドムの屑どもだ。野育ちのフレアには、文明人の極とも言うべきソドムの退廃人士は虫が好かなかった。―――
「たいはいじんし」
うーむ、この言葉はなんだろね?ネットで探しても見つからないや(;´Д`)

位置№ 2387より。
―――この女に似合いそうな服を。高価な、隆と押し出しの強くなるような物をな―――
とりあえず「隆」の意味だけしか見つからなかったから。
「地面が隆起する」「事業が隆興する」など、「隆」を使った言葉からは成長して上に突き出す力強さを感じさせる、とのこと。

位置№ 2552より。
―――斥候に出て来たフレアたちが尻に帆を掛けて逃げ帰ったのを見届けると、奴隷女を二人、城壁の上に連れて来させた。―――
「しりにほをかけて」
意味は「あわてて逃げ出す。」ってことらしいね。

位置№ 3007 あとがきより。
―――福岡の自室にて。三寒四温・・・・・昨日から冬に逆戻り・・・・・―――
「さんかんしおん」
冬季、三日間ぐらい寒い日が続き次の四日間ぐらいが暖かく、これがくりかえされること。

位置№ 345より。
――― 一つは普通の時計で、一つは黄道十二宮だった。そして三つ目は、幾本もの円環の重なった天球儀とも呼ぶべき物。―――
現在では専ら西洋占星術においてのみ用いられる「黄道十二宮」は、星座そのものではなく等分した黄道上の領域のことをいう、とのこと。

「てんきゅうぎ」、またはアーミラリ天球儀、または渾天儀とは、天球を象った模型ってことみたい。

位置№ 572より。
―――名剣イスカンダル。女のベラでも、その噂は耳にしたことがあった。持ち主は、世界を支配するに足る富と、権力とを手に入れるという―――
イスカンダルは、アレクサンドロス3世のペルシア語・アラビア語における呼称。
聞いて思い出すのはアニメ「Fate/Zero」に登場したあの英霊だね。
彼が使っている剣が何か特別なモノだったのかな?


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

位置№ 15より。
―――フレアは与えられたチュニックを着ているだけ。しかも化粧っ気がなく、香水すら使ったことがなく、街の女のお洒落とは全く無縁ときている。―――

位置№ 40より。
―――身長は男並みで、一メートル八十あった。胸はキュトンを持ち上げて豊かに膨らみ、尻と腰がはっている。―――

f:id:mitemite753kakuyo:20191214154549j:plain

左のドレスみたいなのがキュトン(キトン)で、一枚の布を留め具と紐でドレスみたいに着こなしてる。
右はチュニック。バイキングとかが着用している気がする。
いずれもフレアのナイスバディ(巨乳)モデルが着ている風で書いたから・・・うん(;^ω^)

「戦闘妖精・雪風(改)」 読書感想

戦闘妖精・雪風(改)」(文庫版)
著者 神林長平
文庫 413ページ
出版社 早川書房
発売日 改訂新版 (2002年4月1日)

f:id:mitemite753kakuyo:20191123171729j:plain f:id:mitemite753kakuyo:20191123171841j:plain


<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・今回の「戦闘妖精・雪風(改)」だけ


<<ここ最近の思うこと>>

むかーし中古で衝動買いして、そのまま数年間放置しちゃっていた小説なんだよね。
なぜなら少し前にネットでネタバレを読んじゃったんだよ、読まないだろうな~って思って。
だから読み終えて貯まった文庫を売りに行くついでに、コレも一緒に売っちゃおうかって思ったんだけど、でも暇だし発注した小説が来るまでのつなぎとして読んでみることにしたんだわ。
そして読んだ結果・・・・・・うーむ、こういう経験は以前に一度あったなぁ。
むかーし読んだ『西の魔女が死んだ』という小説でおじさんは読書に嵌ったんだ。
この小説も読んでいる途中で酒浸しになっちゃってそのまま捨てようとしてたんだよね。
友人が干してくれたので、せっかくだから最後まで読んだけどさ。


<<かるーい話の流れ>>

南極大陸に突然現れた地球とフェアリイ星を結ぶワープホール。
そこからジャムと呼ばれる敵がやって来て地球を攻撃してきた。
さいわいにも地球の軍事化学力のほうが少し進んでいたので、ジャムを押し返して現在はワープホールの向こう側であるフェアリイ星に戦場が移動している。
未知なる惑星にて、地球人は空軍基地をホール周辺に建設。
対ジャム用の独自進化した戦闘機で日々戦い続けている。
(この小説は連作短編なので簡単に各話のあらましだけ)

「妖精の舞う空」
深井零というスーパーシルフ雪風パイロットが主人公。
ある日、戦闘データ収集からの帰り道で姿形は味方の戦闘機なのに、友軍信号を出していない戦闘機と出くわし、なんとかその不明機を撃墜するも自身も被弾して怪我をする。
療養と裁判の間、零は唯一の友人であるブッカ―少佐と一緒に地球からの将軍視察に備えてロボット儀仗兵を用意しようとするのだが・・・・・・。

「騎士の価値を問うな」
零がバーで酒を飲んでいると、自慢の新開発無人戦闘機と勝負しろと開発者のグノー大佐に言われて無視するも上官に命令されて仕方なく模擬戦闘をすることになった。
結果は無人戦闘機の勝利に終わったが、データ収集機とドッグファイト機の戦闘に意味など無いので零は気にしていない。
その後に行われる大規模攻撃作戦で無人戦闘機フリップナイトと共にグノー大佐も参加することになったのだが・・・。

「不可知戦域」
フェアリイ空軍基地を取材に来た記者のランダー。
彼を雪風に乗せて軽い飛行体験をさせろと上官に言われて仕方なく飛ぶ零。
しかし飛行中にジャムに寄る何かしらの攻撃を受けて、気が付くとフェアリイ星とは違う別の場所に飛ばされてしまっていた。
トラブルにより不時着した雪風
零とランダーは周辺の偵察に行くのだが、そこで二人が見つけたものとは・・・・。

インディアン・サマー
フェアリイ空軍の巨大飛行空母が、戦闘を終えて帰投してきた味方達を攻撃・撃墜する事件が起きた。
乗組員は全員脱出して無人になった巨大空母は、ジャムに乗っ取られたのかそれとも同じ人類の仕業か?
調査の為に零はアビオニクスの天才と言われるトマホーク・ジョンと一緒に雪風で巨大空母に乗り込む。

「フェアリイ・冬」
フェアリイ空軍の中でも最底辺の飲んだくればかりが集められた雪かき部隊で毎日基地の雪かきをする天田少尉。
ある日、天田に勲章が贈られることになるのだが彼には全く見当がつかない。
その送られる勲章がとにかくすんごい勲章なので、他の人もなんで雪かき部隊の男が選ばれたのか全く理解できない。
身に覚えのない勲章に選ばれて孤独になっていく天田少尉。
彼は偶然出会ったブッカ―少佐に勲章授与の真相を突き止めてほしいと願う。
機械のような零とは違う天田少尉の「人間らしさ」に同情してブッカ―少佐は真相の調査に動き出す。

「全系統異常なし」
ジャムが新型高速ミサイルを戦場に投入した為に、現行の戦闘機ファーンでは対抗できなくなってきた。
そして開発されたファーンⅡの性能テストをするために試作無人化した雪風が相手をすることとなった。
ファーンⅡにはエリートパイロットのオドンネル大尉が乗り込む。そして性能試験の模擬戦が開始されるが、新型機のテストをジャムが黙って見ている訳がなく・・・・・。

「戦闘妖精」
『ジ・インベーダー』という本を書いたジャーナリストのリン・ジャクスンは、エンジンを新型に変えた雪風の地球大気内飛行テストが行われることを知ってワープゲートのある南極にやって来ていた。
ブッカ―少佐から受け取ったメールに興味を惹かれて、なんとか彼にインタビューする為に軍に同行したのだった。
まるでジャムの攻撃に備えているかのような厳重警戒態勢の中、雪風は地球に姿を現したのだが不意を突かれてジャムの戦闘機も一緒にやって来てしまう。
リン・ジャクスンの乗る空母アドミラル56に突撃してこうようとするジャムを止めることが出来るのは、飛行中の雪風しかいない。

「スーパーフェニックス」
有人タイプ雪風のラストフライトミッションに向かう零。
このミッションが終わったら雪風無人機に改修されて零を必要としなくなる。
作戦終了間際になってジャムの不意打ちにやられそうになるが、パイロット達を強制射出して無人になった雪風がジャムを狩る。
戦闘に巻き込まれた零は、気が付くと見知らぬ基地内で看護されていた。
その基地は以前のジャムによる攻撃で廃墟となったはずの基地で、そこにいる上官やナースはどこか奇妙でやたら雪風へのアクセスを進めてくるのも怪しい。
現状を理解するために、手渡された端末から雪風にアクセスしてみると返答はすぐに帰って来た。
<・・・ジャムを捜せ・・・>
零はこの基地がジャムの作りだしたものだと判断して行動を開始するのだが・・・・・。


<<印象に残った部分・良かったセリフ・シーン>>

「妖精の舞う空」より。
日本空軍参謀司令官の視察に備えて儀仗兵を立てることになったんだけど、フェアリイ基地の人間は誰もやりたがらない。
仕方ないから零とブッカ―がロボット儀仗兵を作り出すんだけど、その兵士達の顔が死んでいった仲間達の顔で作られていたんだ。
クーリィ准将は名誉の戦死者を偲んで作ったらしいんだけど、零が「悪趣味の極みですね、准将」って言うところが笑える。
零も人間味の無い変わり者なんだけど、クーリィ准将おばさんも相当イッてる思考をお持ちの方だ(笑)
あとその出来上がった儀仗兵がまたね(;^ω^)
式典で参謀司令官に出身地を聞かれても「はい閣下、光栄であります」しか言えないし、小銃を使ったパフォーマンスをしたら後列の儀仗兵の両腕が落ちるハプニングがあったり、ポンコツな人形。
幸いにも参謀司令官には気づかれなかったみたいだけど。

「全系統異常なし」より。
ジャムの新型高速ミサイルに狙われた雪風。零は自身の能力では撃墜されると判断してエンジンリミッターを解除、さらにコントロールを全て雪風の判断に任せる設定をした瞬間に雪風がとった行動が凄い!
機体をくるりと回して亜音速でバックしながら、向かってくるミサイルをバルカンで撃ち落とす場面。
文字通り人間業じゃないね!そしてパイロット達は当然Gに苦しめられてそのまま失神・・・・・。
現実の戦闘機ももう性能が上がり過ぎて、パイロットを乗せられないからあえて性能を落としているって聞いたことがあるけど、無人戦闘機かぁ・・・・・恐ろしいね(; ・`д・´)

「全系統異常なし」の273Pより。
―――「可能性はある。雪風は恋人なんかじゃない。娘だ。彼女は成長した。いつまでもおまえの言うなりにはなっていないぞ。覚悟しておけ。おまえはいずれ、雪風にとって邪魔者になる。無理解で馬鹿な父親など無用だ」―――
何故か男は機械や道具に女性という性別を与えたくなる。
そしておじさんもその考え方はアリだと思っている。ガンダム・センチネルのアリスちゃんとかイイネ!)
愛機に不要とされる零の気持ちは分かるよ(ノД`)・゜・。
感情がないだけで、現実世界のAIとかコンピューターはいまや完全に人間以上の性能に進化しているもんねぇ。


<<気になった・予想外だった・悪かったところ>>

・敵であるジャムの正体ははっきり説明されないまま終わったのがちょっと消化不良気味。
でも続編が何冊かあるみたいだしネタバレで読んじゃったオチとは違う終わり方だったから、続きを読めば描かれているのかな?

・戦闘描写や専門用語が分からない部分が多すぎる!
特に色々なスイッチ類を弄っている描写とか、戦闘シーンでの描写とか、素人のおじさんにはほぼ想像できないところが多かったね(>_<)

・撃墜したジャムの機体とかジャムの遺体とかは手に入っていないのかな?零とかの一般兵士達には極秘扱いなんだろうか?
もしくはコンピューターが人類に秘密にしているのか・・・・・。これも続編を読むしかないね!

・最後に「フェアリイ・冬」のところで。
グレーダーの歪んだドア隙間には、なにか衣類とか布を押し込んでおけば寒風を防げたのではなんて思っちゃったり。
まあ、あれだけ飲んだくれていれば酔っぱらってまともな判断が出来ないか(;一_一)


<< 読み終えてどうだった? >>

内容は連作短編になっているから飽きずに読み進めていけちゃう。
難しい長編SFは途中で中だるみしやすいからねぇ。
雪風」も最近ラノベ界で流行っている異世界ものになるのかな?(転生はしてないけど)
未知の惑星で未知の敵ジャムと戦い続ける人類、手持ちの兵器と技術でどーにかこーにか戦い抜いていくっていう展開は面白い!
雪風がチートみたいなもんだけど、まままぁ苦戦することもあるしさ)

人間の作りだしたコンピューターが人間を越えた存在になって、人類から独立していくっていうのは『ガンダムセンチネル』と似たものを感じさせるよね。
こーゆーの読んでいると人類はAIを作り出すために存在していた?って考えちゃう時がある。
AIが独立進化していった後の人類はどうなるのってことは・・・・・・あんまり考えたくないよねぇ。
願わくば、疲れることは機械に任せて人類はみんなでのんびり穏やかに暮らしていける未来が来てほしいけどさ。

さてさて読了感は。
意外とあっさりとした終わり方だったね、まあ続編があるからあーゆー終わり方でも問題ないか。
でもでも、ちょーっと人類VSジャム戦争の今後には不安が残る後味。(ジャムの戦術も日々変化しているし)
メインヒロインの雪風ちゃんの今後も不安だ。
人間と言う枷から解放されて自由にジャムと戯れる妖精を零達はただ眺めることしか出来ない。
もしも彼らが結託したり、ジャムと雪風と人類が三つどもえの戦いになったりしたら・・・・・なんて考えて怯えてしまうのは人間だからなのかな?


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

短編「スーパー・フェニックス」(『戦闘妖精・雪風』に所収)が第15回(1984年)星雲賞、『戦闘妖精・雪風』は第16回(1985年)星雲賞、『グッドラック―戦闘妖精・雪風』は第31回(2000年)星雲賞を受賞している。
いくつも受賞するなんてスゴイね( ゚Д゚)

65Pより。
―――日本空軍参謀司令はフェアリイ空軍将校を一人従えて幽霊戦士のほうへ歩き出す。胸を張り、しかし腹のほうが威厳がある。
「さあ・・・・・うまくいったらおなぐさみ」―――
その場の楽しみ、座興、たわむれや皮肉の気持ちを込めていう言葉。

239Pより。
―――フェアリイに来る取材屋の対応スケジュールを調整する者、コンピュータコンソールに向かっている者、映話、インターカム、書類の山をさばいている者、者。―――
「映話」
どうやら映像を使用したやりとりとか会話とか、そんな意味みたいだね。

266Pより。
―――機の重心を中心にして、雪風は独楽のように機体をぐいと一八〇度回した。進行方向に機尾を向けて、エンジンパワーをアイドルへ。―――
「こま」
くるくる回して遊ぶ玩具ね。今更だけど、こんな字を書くのかぁ。

268Pより。
―――「脾臓破裂。命は取り留めるだろう。おまえは以前脾臓を摘出していたっけ」―――
脾臓(ひぞう)は、循環器系内に組み込まれた臓器。
脾臓の重要な機能も循環器系の一部で機能の代替が行えるから、手術等によって脾臓を失ってもただちに致死することはないらしい。

343Pより。
―――雪風はそれをまちかまえていたかのように急反転、インメルマンターン、機体をひねって射撃サイトに敵をキャッチ、撃墜。―――
インメルマンターンとは、航空機のマニューバの一つ。
第一次世界大戦初期に活躍したドイツのエースパイロット、マックス・インメルマンが世界で最初に行ったことからこの名で呼ばれているみたい。
ジェットコースターの一回転宙返りの半分バージョン、みたいな感じ?


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

プラモデルの画像を参考にして描いてみたスーパーシルフ雪風

f:id:mitemite753kakuyo:20191123171847j:plain

作中に登場する新型戦闘機のファーンⅡもなかなかインパクトある御姿だ。
こんな形でちゃんと飛べるのか?と不思議に思っちゃう形状。