忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「少女禁区」読書感想

タイトル 「少女禁区」
著者 伴名 練
文庫 173ページ
出版社 角川書店
発売日 2010年10月23日

第17回日本ホラー小説短篇賞 大賞受賞作


<< かる~い話のながれ >> 
「chocolate blood,biscuit heart」と「少女禁区」の短篇二つが入った小説。
一冊でかなり薄いので、2つの話はもっとページ数が少ない。けれど内容はしっかりみっちり詰まっているよ。
最初のchocolate以下略、のお話は他の読者達の感想と同じように、おじさんにはちょっと物足りないかなといった感じだった。
決してつまらない訳ではないんだけどね(^^;)
まあ本命はもう一つの「少女禁区」のほうだから別にいいんだけどさ。
本番前の食前酒みたいな感じ?といったところかな。(←意味不明)

呪術が普通に存在している世界?村?でのお話で、その中でも歴代で一番術力が強くて性格が鬼畜のような少女(ヒロイン)と、その子に玩具として扱われる少年(主人公)のお話。
定期的に行われる祭りにて、神様によって選ばれた一人は生贄として神社の白大蛇様にその身を捧げることになっているんだけど、今回の生贄は主人公の少年が選ばれてしまう。
本当にとことん良いことない運命を背負っていると思われた少年だったのだが・・・。
感想を書いていて思い返してみたら、全体的にあまりホラーって感じじゃなかったかな。
ショッキングなシーンとかもあるんだけど、設定がおとぎ話というか昔話というか・・・・・うーむ、ホラー小説の定義ってなんかあるのかな?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>
ちょっとネタバレになってしまうけれど、良かったところは終盤で生贄に選ばれた少年に少女が「お前は私の玩具だからな」と言った後で、蝶の紙切れが真っ赤になって舞い上がるシーンがもうね。
なんちゅー展開にしてくれたんだ!おじさんの心を見事にがっちり掴みましたわ。

あとは最後のシーンも良かったね。
医者が見つけた老人(主人公)の指にできた傷跡のようなモノ・・・そしてそれをずっと撫で続ける老人。
我々はその意味を知っているけど、このお話の中にいる登場人物達は知らないからねぇ。
あ~これ以上は言えません!!


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>
分からなかったところは、なんで少女は主人公に酷いことばかりしたのかなってところ。
何かそういう風にしなければいけない理由があったのか?それともただの拗れた性格ゆえなのか?
彼女には親殺しの噂もあって他人とも全然交流を持とうとせずに、不気味なオーラを纏って常に孤独だった。
なーんか理由があったようななかったような、その辺が思い出せないんだよねぇ。


<< 読み終えてどうだった? >>
とりあえず少女禁区だけでの感想を。
惨殺死体あり、恐ろしい呪術あり、拷問的痛みあり、生贄制度あり、これだけ恐ろし気な設定が詰まっているお話なんだけど、読み終わってみたら驚きだ!
こりゃホラー小説っていうよりジャンルとしてはアレなのでは!?
ホラー小説を読んだけどあんまり怖くない、だけどつまらない訳じゃなくてむしろほっこりした幸せな気分に。
なるほど、こういうどんでん返しもあったのか。
さすが日本ホラー小説短篇賞作品!!

なんだか近い将来に実写映画化しそうだなぁ~、やだなぁ~怖いな~、実写化したほうがおじさんにとってはホラーになりそう(;一_一)
な~んてことを思いながら、読了感はほっこり胸キュンな大満足だった。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>
このお話が大賞を取った時は「遠呪」という作品名だったらしい。(この題名のほうが内容に合っている気がするけどね)
しかし本として出版する時はタイトルが「少女禁区」に変更されたようで、なんでなのかな?
(少女の心の中は、何人たりとも立ち入り禁止なのよって意味合い・・・・・なわけないか!)
ちなみにネットで「禁区」の意味を検索してみたところ、日本語では存在していないっぽい。
中国語辞典だと、「立入り禁止区域」だとか「聖域」だとか「タブー」だとか。

あとはこんなのも↓
~「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」「禁区」より引用~
「禁区」(きんく)は、日本の歌手中森明菜の楽曲。この楽曲は彼女の6枚目のシングルとして、1983年9月7日にワーナー・パイオニア(現:ワーナーミュージック・ジャパン)よりリリースされた (EP: L-1662)。


<< 挿絵で見たい場面や物など >>
祭りの夜にて。
蝙蝠落とし屋台で呪術に長けた少女が紙飛行機的な呪符を使って蝙蝠を落とそうとするんだけど、まったく当たらない。
試しに玩具扱いの主人公がやってみると、簡単に蝙蝠を落としてしまう。
それを見て普段から不気味で鬼畜な少女が思わず「ぐぬぬ・・・」ってする場面。
いや~萌えますなぁ(*´Д`)