タイトル 「なぎら☆ツイスター」
著者 戸梶圭太
文庫 598ページ
出版社 文藝春秋
発売日 2012年2月10日
<< かる~い話のながれ >>
切れ者ヤクザ桜井(主人公)の部下、そして桜井のライバルヤクザの部下。
その二人が一千万円を持ったまま田舎町で行方をくらませた。
ライバルヤクザは腹を刺されて入院中の為、桜井が部下一人をお供にして田舎のなぎら町へと向かう。
なぎら町を仕切る田舎ヤクザや田舎暴走族、失業親父達にビッチギャル達!
様々な奴らが痛快ドタバタコメディ?にしてはあまりにも血なまぐさく暴力に満ちたショーを繰り広げる。
あ、地元有名店「銀寿司」の奴らも忘れちゃいけないな(笑)
調べていくにつれて桜井の部下が金を持ち逃げしたんじゃないかってことになって、田舎ヤクザ達から追われる身になる桜井。
そして桜井の活躍を阻止するべく、なぎら町に侵入してあれやこれやと画策するライバルヤクザ。
さらにさらに、なぎら町で蠢くイカレた狂気と巻き込まれる人々。
いや~、とにかくポンポン話が展開していって予想外な展開になったり、しょーもないことになったり、グロテスクなことになったり・・・飽きることの無いエンターテイメント小説だったね。
<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>
桜井が風俗で働くギャルの背中に将棋の駒の入れ墨を発見して、その夜に彼女の家に押しかけて将棋の対戦相手をしてもらうシーン。
冷酷非道で超クールな桜井が実は大の将棋好きで、どこへ行くにも将棋盤を持ち歩いていてるって設定がなんか和むわぁ。
そんでもって対戦相手の風俗嬢が将棋めちゃ強くて桜井がうむむ、と悩む場面がまたギャップ萌えって感じ(笑)
かと思えば、対戦途中に催涙スプレーと化学防護マスクの戦いが始まったり、将棋の邪魔をされた桜井の怒涛の暴力展開も迫力満点!
あと最後のほうで全てが終わった後に桜井が「銀寿司」にお礼参りするところは笑ったよ。
(仕返しと言うにはかなりやり過ぎな方法だけど、基本的に冷酷なヤクザだしね)
<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>
二つほど気になったところがある。
一千万円を持ち逃げしたのが結局誰だったのか、そいつがどうなったのかがあんまりよく分からなかった。
持ち逃げ犯の視点で語られていた部分もあったんだけど、幸運と不運が重なって真実は明るみに出ずに終わった感じ。
二つ目は田舎の動物病院に嫁いだ美人奥さん。
めちゃめちゃ美人でナイスバディ!!
不運にも押し入って来た桜井のライバルヤクザに犯されまくってグッタリ・・・・・。
かと思ったらなんだあの展開Σ(・ω・ノ)ノ!
何者なんだよ彼女は!?
前作とかの小説に出ていたキャラクターとか?
う~ん、気になりまくりだわ。
<< 読み終えてどうだった? >>
この小説は単純明快に、古き良きハリウッドアクションムービーみたいなノリで楽しめたね。
視点がころころ変わるのがちょっとめんどくさかったけど、慣れれば全然気にならない。
それよりもどんどん予想外な方向へ広がっていくストーリーに夢中になってしまう。
お肉の千切り拷問とか眼球刺しとか色々グロかったり、痛々しいシーンが多いのに読了感はスッキリ気分。
愉快痛快って言葉がよく合いそうな小説でおじさんは楽しめたよ。
(心の清い方は読んでいて不快になるかも・・・)
文章が特徴的とか文学的とか、そういうのは特に感じなくて読了後もなにか心に来るモノがあるという訳でもない。でもその代わりにインパクトのあるシーンがいくつも頭に残っている。
この感じはクエンティン・タランティーノ監督の映画に通じるものがあるのかもしれない。
なーんて思った読了後。
<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>
原作者である戸梶圭太は「溺れる魚」を書いた人みたいだね。
この作品はずーっとむかーしにレンタルで一度見た覚えがあるんだけど・・・全然内容を覚えていない。
歌手のIZAMが出ていたことは覚えているんだけど、あとモーニング娘。の「ハッピーサマーウェディング」を脅された会社役員達が路上で歌わされていたような・・・・・。
ちなみに原作者本人もラストに路上でみかん箱を机に執筆する人物で出演しているらしい。
(言われてみればばそんな場面もあったような気もするが・・・・・うーむ、うろ覚え)
それと戸梶圭太は1999年、『闇の楽園』で第3回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しているようだ。
「なぎら☆ツイスター」も面白かったから、今度はこっちも読んでみようかな。
<< 挿絵で見たい場面や物など >>
上記に書いた将棋対戦シーンも良いんだけどねぇ。
だけど他にも面白くて迫力のあるシーンが沢山ありまくるからなぁ。
とりあえず見てみたいのは空条丈太郎のような男、切れ者インテリヤクザの桜井だ。とにかくかっこよすぎ!
イケメンで長身でクールで筋肉質、護身用にはナイフ(どっかのアーミーナイフだったっけ?)
目の前で一般人が酷い拷問をされていても表情を崩さず、でもトラブルになったら愛人の身を案じたり、そして敵に対しては容赦ない暴力を振るう。
極めつけは将棋盤を持ち歩き、対戦相手を見つけたら勝負を始めちゃうほど将棋好き。
でも実はあんまり強い方ではないみたい(笑)