忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「ずうのめ人形」 読書感想

 タイトル 「ずうのめ人形」(キンドル版)
著者 澤村伊智
紙の本の長さ 419 ページ
出版社 角川書店
発売日 2018年7月24日

f:id:mitemite753kakuyo:20200823184601p:plain

この作者の作品で既に読んだもの
・「ぼぎわんが、来る」

<< ここ最近の思うこと >>

前回読んだ「ぼぎわんが、来る」があまりにもお気に入りな小説だったから続編を買っちゃった。
今回の小説まとめ買い最後の一冊になるこの小説は、おじさんをどれだけドキドキさせてくれるのか。
そういや「来る」っていう実写映画はどうだったのかなぁ。
特に話題にもならずに消えていった気がするけど・・・。
個人的にタイトルはそのまま「ぼぎわんが、来る」の方が興味持ってもらえたと思うけどね。
ままま、いつか観てみるか。


<< かるーい話のながれ >>

オカルト雑誌の出版社でアルバイトとして働いている藤間が主人公。
連載記事を依頼していたフリーライターの湯水が校了直前で音信不通になり、藤間と同僚の岩田がアパートを訪ねてみると、湯水は両目をくり抜かれた死体となって発見された。
岩田は湯水部屋に残っていた焼き書けの原稿を持ちだして、藤間にも読んでみろと進めてくる。
その内容は都市伝説の投稿作品だった。

やがて岩田も音信不通になってしまうのだが、数日後に岩田のほうから電話がかかってきた。
岩田は藤間に「原稿をちゃんと全部読んだのか?今すぐ全部読んでくれ」と言う。
彼は酷く怯えてた様子だった。
岩田はその後、死体となって発見されて藤間には謎の黒い人形が視えるようになってしまう。

読んだ者を呪う原稿。
藤間は上司の紹介で野崎というフリーライターと、彼の婚約者である比嘉真琴(霊能力者)と知り合い、三人は呪いの正体と解除方法を探すのだが・・・。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///編集長の戸波さんというキャラクターがインパクト強し///
ヘタこいた部下に対して「今更遅いよ、バカ」って笑顔で言っちゃうところとか、3ページの記事依頼だから丁度良いだろって言うところとか、「これで我慢してね」って書き置き残して部下のデスクに熟女モノAVを置いていくセンスとか・・・。
おじさんのイメージはもう完全に高田純次とかリリーフランキー的なキャラクター像が固定しちゃった。
いろ~んな意味で印象に残る、良い意味でも悪い意味でも主人公みたいなお方だったね。

///ドキドキ・こっくりさん大暴走シーンにスッキリ///
来生里穂の投稿作品内にて、いじめグループの女子達が理穂をターゲットにしたこっくりさんゲームを開始して、理穂が手順を踏まずに硬貨から指を離してしまう。
そこから始まるこっくりさん?の大暴走でいじめていた女子達が恐怖に震え上がっちゃうシーン。
ほぼ爽快感の無い本作にて、唯一のスカッとしたポイントだった。
(この部分ではまだ何も知らなかったし、気づかなかったからねぇ・・・)

///あの高名で偉大な僧侶であられる「僧 文是」///
じゃああの不気味な人形は何なのよ?
被害者達はどうして死んじゃったの!?
藤間や比嘉や野崎の周りで起こっている現象は一体なんなんだぁ!!?
このあたりからまったく予測がつかない展開になっていったからドキドキ感がグイグイ加速していく。
おじさんはもう人目を気にせず、凄い形相で読んでいたと思う(/ω\)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///けっきょくのところ、ずうのめ人形とか殺しに来るモノって?///
ずうのめ人形が何なのか?
呪われた人達の目玉をくり抜いて殺しているモノが何なのか?
その辺が判らないまま終わってしまったのがちょっと残念。
せめて前作の「ぼぎわん」くらいの情報は知りたかったけどねぇ。
(赤い糸を使ってアッチからやって来る化物か・・・・・似たような妖怪いたっけかな?)

///怪奇現象やホラー的な雰囲気はちょっと少な目かも///
「ぼぎわんが、来る」のほうは怪奇現象の場面がかなり怖くて楽しめたけど、今回のずうのめは怪奇現象は少な目かと。
そーゆーのが描かれている場面でも、それにそれほど怖くはなかった気がする。
サスペンスな緊張感が強いというか、生きている人間の怖さをメインに描いている感じ。


<< 読み終えてどうだった? >>

いや~~~今回も熱中しちゃったわ(`・ω・´)
「ぼぎわんが、来る」でもそうだったように、序盤と終盤でキャラクターの印象がガラッと変わっちゃう作りは凄いと思う。

狂い始めた両親の姿を子供の視点から見た描写が怖い。
理穂の投稿作品に隠されていた真実が酷い。
目的を達成する為ならどれだけ犠牲が出ても構わない手段をとる人間の狂気。
ずうのめ人形はただのロボットみたいなモンで、被害を拡大させているのは人間自身ってのが呪い系ホラー作品の醍醐味かなと。

命を懸けたご祝儀かぁ・・・・・個人的には最後の大量虐殺シーンを読んでみたかった。
エンタメホラー小説で今の所ハズレ無しの澤村那智さん、次回作も是非読んでみたい。
ここ最近、ゾクゾクっとくる小説が無かったからそれも相まってめっちゃ楽しかった(≧▽≦)
つーことで満読感93点!


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

【電子特典】「ファインダーの向こうに」
今回はオマケ短篇もあって、そちらは感動系のホラー小説だったよ。
藤間と同じ出版社に勤めている周防と野崎、あとかつてのプロカメラマン明神が怪奇現象のおこる物件で写真撮影をしたお話。
クローゼットの中を撮影した写真には、決して写ることのない光景が・・・。
ほんわか系の結末で「ずうのめ人形」のお口直しに丁度良いストーリーだよ(*'▽')

比嘉姉妹シリーズはまだ続いているみたい。
次作は「ししりばの家」というタイトルで、タイトルの通り「家」がメインのホラーモノかと。
もう購入するのは決定だわなぁ。

位置№ 191より。
―――「生き付けのお店とかないんですか」岩田くんが小声で訊く。
「お店?」
「あれですよ、文壇バー的な」
「ないよ。湯水さん飲まないし」―――
「ぶんだんばー」
銀座とか神田神保町周辺にある物書き人達が集まる酒場。
実際は物書き人に限らず様々な客層がやってくる高級バーだとか。

位置№ 614より。
―――『怪奇クラブ』は、もう「白い粉薬のはなし」しか思い出せない。それくらい強烈だった。―――
怪奇クラブ (創元推理文庫) アーサーマッケンという著者の作品だね。
白い粉薬を飲んだが為に体が溶け出す青年の話か・・・・・う~んこれはヤバそう(笑)

位置№ 1129より。
―――僕はクサクサした気分でコンビニ弁当を空け、原稿を読んでいた。―――
気に入らないことがあったり、気持ちが晴れない、イライラしたりしている状態らしい。

位置№ 2005より。
―――「だからおまじない、いっぱい覚えた。ババサレとか」―――
山姥と死神を合わせたような妖怪で、そいつを追っ払うための呪文が「ババサレ」という言葉を三回唱えるってことらしいね。(アニメ『学校の怪談』で有名になったのかな?)

位置№ 4261より。
―――「全部記憶です。覚えていることをそのまま、一気に。推敲もほとんどしていません」―――
「すいこう」
詩とか文章をより良くしようと何度も考えたり作り直して苦心すること、らしい。

最後に書かれていた人物は何者なんだ?
―――山村貞子と鮎井郁介へ―――
山村貞子は始球式をやるくらい有名だから(笑)
もう一人は殊能将之の小説にちらほら登場するキャラクターが鮎井郁介(作家)ということらしい。
ハサミ男」は読んだことあるけど、鮎井郁介が登場する作品は読んだことないと思う。
どんな人物なんだろね?


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

今回は思い切って作中のワンシーンを描いてみた。
保健室のベッドの間に中腰で屈みながら、顔色も真っ青で額にも頬にも汗を浮かべた美晴。
位置№ 2609より。
―――わたしは訊いた。彼女は答えず、わたしをじっと見ていた。足を踏み入れると、彼女はかすかに笑みを浮かべた。そして、「会いたかったよ、サダコ」そう低い声で言った。―――

f:id:mitemite753kakuyo:20200823184646j:plain
保健室ってどんな感じだったのか、もう思い出せなくなっている自分に軽いショックを受けたよ。

怪奇クラブ (創元推理文庫)

怪奇クラブ (創元推理文庫)

 
来る DVD通常版

来る DVD通常版

  • 発売日: 2019/07/03
  • メディア: DVD