忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「天獄と地国」読書感想

タイトル 「天獄と地国」
著者 小林泰三
文庫 436ページ
発売日 2011年4月30日
出版社 早川書房

第43回星雲賞賞受賞作


<<かるーい話のながれ>> 
上にはゴツゴツとした岩ばかりのとてつもなく広大で果ての無い「天井」が広がっていて、下は無限の宇宙空間が広がる所が舞台。
そして重力は何故か無限の宇宙空間側に向かって働いているので、何とかして天井に張り付いておかなければ宇宙へ真っ逆さまに落ちて行ってしまう。その世界では人々はずっと宇宙服を着て狭い宇宙船(大体一人乗りが普通)の中で日々を過ごしている。
中には天井に張り付いて村や都市を作って貧しい生活を送る人々もいるみたい。
そんな世界で小競り合いや紛争の「残飯拾い」的なことをして生きている人達がいて、その中のカムロギという青年が主人公だ。
ひょんなことから危機的状況に陥った時、崩れ落ちた天井の中からとんでもなく大きな巨人を見つけて、カムロギはその巨人の体内へ侵入していく。
巨人兵器をカムロギが得たことによって、拮抗の取れていた世界が壊れてそれぞれの勢力が保有する超兵器が、カムロギの元へやって来る。
果たしてカムロギは、生き残ることができるのか!?
そして戦いと冒険の果てに到達した真の世界とは!!?

初っ端から資源も空気もないカツカツの厳しい生活をカムロギ達は強いられていて、読んでいて良く生きていられるなぁってしみじみ思う。
生まれてから風呂一度も風呂に入ったことが無い生活とか、この宇宙空間マジ恐ろしい(; ・`д・´)


<<読み終えてどうだった?>>
うん!これは予想外に面白かった!!
序盤は結構理系な文章や説明が続いているんだけど、ほとんど流し読みでもなんとなーく分かるから大丈夫。
(でも理解できた方がもっと楽しめたかも知れないね)
巨人が発見されてからは面白さが加速度的に上がったし、内容も分かりやすくなったから助かったわ。
最初とは打って変わって途方もない規模の戦闘描写が満載!というか序盤以外はほとんど戦闘の連続なんだけどね。
ストーリー展開もどんどん面白くなっていくし、ちゃんと落ち着くべき結末?というか目指していた場所には到達出来た様子で。
だけど最後の最後、ラスト数行の文章は一体何なんだ!?
結局広大な天井はなんだったのかとか、判明していない疑問点も色々ありまくりで終わった。
主人公達のその後が気になります!続きがあるなら早く作ってよ!!
(間違いなく続編なんて出ないだろうけど・・・)
っていうかこの作者、「玩具修理工」を書いた人だったのか。
ホラー作品以外にもこんなに面白い物が書けるなんて、他の作品も色々読んでみようかな。
2016年の夏の終わりに良いSFアクション小説が読めて良かった。
読了感は最後のオチでもやっとするのもあるけれど、それまでが十分面白かったので満足!


<<印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど>>
良かった部分!!
それはやっぱり男子だからね~、人型?巨人生体兵器「アマツミカボシ」が登場したところかな。
戦場の残飯漁りだったカムロギ達が、世界の三大勢力と同等の力をいきなり手に入れる。その力を持って彼らは何をするのか!?
ワクワクしてくる展開がたまらない!
新たな兵器の出現によって均衡が崩れてなし崩し的に「アマツミカボシ」が全ての勢力と大迫力宇宙戦闘をおっぱじめるのは熱中して読んじゃうよ。
(倒した敵を吸収して、より強力になったりするのも良い設定だ)

あと謎の人物である「ザビタン」というキャラクター。
三大勢力の一つで、巨大な赤ん坊タイプの兵器を操る。
文章だけでは分からなかったけど、オジサンはまるっと騙されましたわ。
いや~とても良い設定だね(*´ω`)


<<気になった・予想外だった・悪かったところ>>
前にも書いたけど、もう何と言っても最後のオチ!!
あんな終わり方にしてほったらかしなんて酷過ぎる、気になるじゃんよー!
続き書いてよぉぉぉ( ;´Д`)

その他にも・・・・・。
人類はなんであんな囲むような天井を作ったのか?天井内に埋もれている超兵器は一体何なのか?人類はどんな歴史を送って来たのか?
謎はっきり知りたいタイプな読者であるオジサンんはその辺が気になってしまうよ。

作中で語られる「コリオリ力」とは。
~「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」「「コリオリの力」より引用~
コリオリの力コリオリのちから、仏: force de Coriolis)とは、回転座標系上で移動した際に移動方向と垂直な方向に移動速度に比例した大きさで受ける慣性力(見かけ上の力)の一種であり、コリオリ力転向力(てんこうりょく)ともいう。1835年にフランスの科学者ガスパール=ギュスターヴ・コリオリが導いた。
回転座標系における慣性力には、他に、角速度変化に伴うオイラー力と回転の中心から外に向かって働く遠心力がある。
(なるほどなるほど。そういうことだったのね~。さっぱりわからん!)


<<挿絵で見たい場面や物な>>
もちろんアマツミカボシのフォルムだよね。
全長約650メートル。
頭は男性器みたいで複眼が左右対称七個ついていて、首は管やら骨やらいろいろなモノで繋がっている。
口は縦割れでなんか色々はみ出ており、背中から尻尾まで内骨格が飛び出ていて、皮膚は細かな鱗っぽいものに覆われている。
手足の関節は二つ多くて全身から触手が伸びており、腹部は内臓と粘液が剥き出しみたいな造形。
脇と脇腹から特に大きな吸盤付き触手が伸びていて、背中には骨翼がある。