忘れないでね 読んだこと。

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「ダブルブリッド」 読書感想

タイトル 「ダブルブリッド」(文庫版)
著者 中村 恵里加
文庫 288ページ
出版社 メディアワークス
発売日 2000年02月

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この作者の作品で既に読んだもの
・今回の「ダブルブリッド」だけ


<< ここ最近の思うこと >>

昔なにかの予告で見た「ブライト」っていう映画が気になっていた。
ファンタジーの存在と人間の世界が繋がった現代のロサンゼルスが舞台。
警官のウィルスミスと初のオーク警官がコンビになって犯罪に立ち向かうって感じのストーリー。
異色のコンビ刑事物ってけっこう好きなのよね~。
(ちょっと違うけど「NY心霊捜査官」も割と好き)
ってことで今回はこの小説を読んでみたよ(=゚ω゚)ノ
むむむ、この感じは全年齢版ナイトブリードな設定かなぁ?


<< かるーい話のながれ >>

妖怪やモンスター、通称「怪」が世界中に突如として現れ始めた現代の地球。
中でも日本では出現数も多く、珍しい種類の怪も存在している。
当然それらに対応する為の組織も存在しており、怪の捕縛や捕殺を行うEAT部隊に所属している新米隊員、山崎太一郎が主人公っぽい。
世にも珍しい甲種の怪で「怪」のみで構成される特殊警察、通称「第六課」に所属している見た目は十代中身は25歳の女性、片倉優樹がヒロイン。

東京国際空港のヨーウィー捕り物で出会った二人は、相互理解を高める交流としてしばらくの間、共に仕事をすることとなった。
片倉と山崎しかいない第六課の退屈な日常や、脱走した凶悪怪&謎集団の襲撃、特異遺伝子研究所内で再び暴れ出したヨーウィーの捕縛要請・・・・・。
しくまれた脱走と襲撃の真相とは?
裏で操る黒幕の正体とは?
ダブルブリッド(人と怪から生まれた存在)を中心に世界が動き始めた!


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///悩める山崎に対して片倉が言った言葉///
195Pより。
―――「いいんじゃないの?反省して、それを明日の糧にすれば、たまに悩む時は、今みたいに第三者に聞けばいい。自分には見えないものが他人には見えるかもよ」―――
人型の甲種怪を正確に射撃した山崎は、相手が人間であったとしても迷いなく撃ってしまうのでは?と考えてしまい自分の行動が正しかったのか片倉に問う場面。
こんなことサラッと言えるなんて・・・・・片倉はん、アンタはええ先輩やわぁ(*‘∀‘)
ガンダムUCの『赤い彗星の再来』さんも似たようなこと言っていたよね)

///ちょっと成長?変化?とにかく一皮むけた新米山崎の発言///
279Pより。
―――「『なぜ、君はあたしを怖がらないの?』・・・・・どうです、俺も先読みができるようになりましたよ」―――
あのガチガチに凝り固まった情熱馬鹿で石頭な山崎が、まさかこんな言葉を言うようになるなんて。
片倉の真の姿を見た後でこの対応・・・これは男心にもちょっとグッとくるものがある。


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///内容とイラストがちょっとタイプ違い過ぎている気がする///
やっぱりライトノベルってのは絵も大切だと思う訳ね。
この「ダブルブリッド」の内容には藤倉和音さんのデザインだと、ちょ~っとイメージがかけ離れ過ぎているんじゃないかなと思った。
(とても優しいキャラクターデザインだからさ、顔半分切り開いて弾丸を抉り取る片倉さんとかイメージ出来ないのよよよ)

///警察小説だけどハードボイルド系ではないかな///
現代の日本で化物達と戦う警察の特殊部隊・・・・・これはもう完全に男の子向けな話でしょ。
だけど読んでみたら予想とちょっと違った。
人間の山崎と怪である片倉の交流をメインにしたストーリーって感じ。
(でもしっかりアクションもバイオレンスも描かれているから、おじさんでも十分楽しめたよ)


<< 読み終えてどうだった? >>

いやまあ読書歴もけっこう長いし、先の展開や物語のオチもほぼ予想の範囲内でわかるよ?
・・・・・・・でも、こーゆーお話は嫌いじゃないの(笑)
新米熱血警官と先輩女捜査官?のコンビが活躍するって設定はどうしても好奇心をくすぐられる。
山崎と片倉、二人の関係が今後どんなふうに変化していくのか気になるぅ~。
(新米熱血女警官と先輩少年捜査官バージョンがあったら読んでみたい)

知らぬ間に妖に操られている日本、彼等が進めているの謎の計画、日本の組織や米国にも研究サンプルとして狙われる片倉優樹、妖と人間の未来は今後どうなってしまうのか!?

ラノベだと高を括っていたけれど、意外にも読みごたえのあるストーリーだったな。
あとがきにて、「この作品の根底にあるものは愛です!」と言った作者の当時の担当さん。
なかなかどうして、心にすっこり嵌り込む感想だと思います。
そんなこんなで今回は・・・満読感85点!


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

ダブルブリッド」は第六回電撃ゲーム小説大賞 金賞 受賞作。

なんと全11巻(本編10巻+短編1巻)・・・・・こんなに出ていたのか。
でもこれくらいの巻数くらいでちゃんと完結しているってのは好印象だね。

101Pより。
―――「・・・・・自分は、退屈で死にそうです」『退屈は神々をも殺す』と言ったのは誰だったか。―――
え~~~わからない。
ネットで調べてもわからない。
よく聞く言葉な気がするんだけどねぇ(;´Д`)

122Pより。
―――「・・・・・怪は普通の病気にはかからない。でも、病原菌を運ぶ時があるの。だからEATの防護服はNBCのB・・・・・細菌に対する備えがあるんだよ」―――
核(nuclear)、生物(biological)、化学物質(chemical)
↑この三つがNBCってことらしい。

24Pより。
―――「在日豪州大使だ。豪州は大阪条約を批准しているからな。そう言う権利がないこともない・・・・・そう、怒らないでほしい」―――
「ひじゅん」
この条約に同意しておりますよーって意味かと。

138Pより。
―――刹那、優樹は脳に銘じて神経中枢を賦活させる。神経の一体化は即座に完了した。―――
「ふかつ」
活力をあたえたり、活性化させることかと。

191Pより。
―――彼はよろめいたが、スピードを落とすことなく逃げていく。一人で深追いするほど、太一郎も猪武者ではない。―――
「いのししむしゃ」
後先考えずに敵中に突進する武士、状況を考えないで、がむしゃらに事を行う人って意味らしい。

222Pより。
―――これはあなた方人間の言うところの、『冥土の土産に教えてやろう』という奴です。しかし、実はこれは本来の使われ方とは違うのです。本当の意味は・・・・・」―――
冥土へ行くときに持っていく土産で、ソレを手に入れたら安心して死ねますよっていう物事など、とか。
(へえ~、はじめて知ったわ)


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

今回も二つ描いてみた。
まずは山崎が愛用しているショットガン。
(個人的には折り畳みストックが付いているタイプがベストかと)
85Pより。
―――緊急捕縛部隊正式採用銃器、レミントンM870散弾銃とベレッタ95F半自動装填式拳銃がその姿を見せる。これらの銃器は他部署では使われない。―――

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続いてはオーストラリアで語られている架空の生物「ヨーウィー」です。
もともとはアボリジニの伝承に登場する架空の生物を指す語であったとか。
37Pより。
―――見た目はでかい蜥蜴ですが、脚が虫みたいなんで生理的に気持ち悪いかもしれません―――

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胴体はでかい蜥蜴で六本の脚は節足動物みたいに細く筋くれ立っていて、針金のような剛毛がびっしり生えているらしい。

 

ダブルブリッド (電撃文庫)

ダブルブリッド (電撃文庫)