忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「老人と宇宙」 読書感想

「老人と宇宙」(文庫版)
著者 ジョン・スコルジー
文庫 431ページ
出版社 早川書房
発売日 2007年2月1日

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<< ここ最近の思うこと >>

近い内に新しい職場へ赴くおじさんの気持ちはまさしく初陣へ出撃する新兵そのもの。
現在は不安いっぱいな気持ちをお酒で紛らわすために、晩酌をして過ごしている今日この時間( ;´Д`)
こんな時はもっと過酷な状況を想像してみよう。
そうすれば自分の状況はまだマシだって思えるようになるはずなんだい!
てなわけで今回はこの小説を読んでみたよ~。


<< かるーい話のながれ >>

75歳以上から入隊可能なコロニー防衛軍というのが存在している未来の世界。
若い肉体が手に入る代償として遠い惑星での兵役とか、二度と地球に帰れないとか、色々アヤシイ規則がある。(兵役が終わればどこかの惑星で入植民になってそこのコロニーに住むことが出来るようだ)

主人公はジョン・ペリー。
愛する奥さんは急病で先立ってしまい、一人になった彼は75歳の誕生日に防衛軍に入隊した。
そして老人達を乗せた宇宙船は地球を離れ、その道中の船内で新しくて若く強靭な肉体を手に入れて、新兵訓練地がある惑星へ向かう。
そこからは良くある軍隊物語と同じで、訓練地でしごかれる日々、初めての対エイリアンの戦場、兵士としての日々、とんでもない敗退とリベンジといった感じでストーリーは進んで行く。

二度と同じ宇宙には変えれないスキップ航行とか、予期せぬ妻との再会とか、超ハイテク・テクノロジーを持つプレデターみたいな奴らとか、好奇心をそそるSF内容がおじさんの心をときめかせるぜ。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

精神年齢75歳以上の美男美女ばかりで行われるセックスパーティーも印象が強いけど(;^ω^)
やはり戦争モノらしい場面を。

ジョンと同期入隊して一時的に恋人でもあったマギーと言う女性兵士。
彼女は戦闘中に宇宙空間に投げ出され、救援も期待できず酸素の残量も尽きかけた時に自殺を選択した。
敵の戦艦に向けてロケット弾を撃ち、その反動を推進力にして眼下の惑星テンペランスに落ちていくんだけど、その時にジセイの句を読んで流れ星になった場面。
(その句と死に様を最後にジョンや他の同期達に送信して絶命した)
熱い死に様だよねぇ。
他にも戦死した同期は数人いたけど、どれもあっけなく死んだり酷い死に様だったりでやるせない(´-ω-`)

続いて印象に残った部分で。
ララエィ族というエイリアンがいる。
彼らはコーラルという惑星を侵略して、そこにいた地球の入植民達を全員食用に解体しちゃうんだ。
そればかりかララエィ族のセレブとかも呼んで一流のシェフが人間をどう調理するのが最も美味しく頂けるか?っていうTV放送まで流しちゃうのがとてもインパクト強しだった!
相手はエイリアンだし当然そうゆうのも出てくるよね、人類も色んな肉の調理番組をやっている訳だし。
当然CDF軍は激おこプンプン丸で占領されたコーラル奪還に向かうのだが・・・・・まさかあんなことになるなんて・・・。

最後はこのキャラクター!
謎に包まれた最強戦闘集団の通称「ゴースト部隊」その隊員の一人ジェーン・セーガン。
六歳にして優秀な指揮官だけど、ジョンにとっては命の恩人であり特別な女性でもある。
感情に流されやすい部分もあったり、寝ている相手をつついて起こすなどなど、愛らしいキャラクターなんですわ(*´ω`)
(表紙に描かれいているムチムチ美女がジェーンなのかな?)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

ジャンルはSFだけど、メインは軍隊&戦争モノだからソレ系が好きな人、興味ある人じゃないとあんまり楽しめないかも。
内容も主人公のジョンがダイナミックな活躍をしたっていう訳でもないし。
とにかく一兵士として戦争に参加したってだけなストーリーで・・・・・次回からはもっと主人公的活躍をするのかな?

あと疑問に思ったことなんだけど、あれだけ高度なテクノロジーがありふれたCDF軍なら超強力な兵器とかあるのが当たり前だと思うんだけど、その辺はどうなんだろ?
わざわざ白兵戦をする理由が何かあるのかな?
(『宇宙の戦士』にはパワードスーツがあったようにね)


<< 読み終えてどうだった? >>

なんだかんだで言ったところで、SFミリタリー作品はおもしろいんだよね~(=゚ω゚)ノ
シリーズ物の小説で、次もすぐに読んでみたいって思った作品は初めてかも(あ、粘膜シリーズがあったわ)

老人のみが許される軍隊ってのが面白いね。
たとえ肉体が人類とはかけ離れて子孫も残せないとしても、人類の未来を守ろうとする精神が老人だからこそ育まれて備わっているってのがなんだかじ~んと来たよ。
おじさんだったらどうかなぁ、片道切符でも老いた肉体からチェンジしたいって思うようになるのかな?
でもそのかわりに未知のエイリアン達と戦うなんてのは絶対無理だから、今のところはナシの方向で。
(いやでも寝たきり要介護老人になるよりかは、いやでもでも・・・・・うにゃむにゃむぅぅぅ)

結末はハッピーエンドだけど次回はさらに過酷な戦場がありそうなワクワク感を醸しつつ、おじさんに多少なりとも新天地に飛び込む活力を与えてくれたような気のする読了感。
色んなエグさもありつつ、戦闘やSF要素が美味いことミックスされてて面白かった!
それに海外小説なのに読みやすかったから大満足だったよ!


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

「老人と宇宙」は2006年のジョン・W・キャンベル賞受賞作なのだ!

214Pより。
―――贖いという単語が何度もくりかえされるあいだ、ワトスンの頭のかけらは涙のようなしずくとなってコンス―の胸部を流れ落ちていた―――
「あがない」
贖いは賠償の古語で一般には罪を償う、もしくはそれと同じことを行うという意味らしい。

184Pより。
―――海兵隊ライフル信条だけはまともだ。一部を紹介してやろう―――
「ライフルしんじょう」
海兵隊信条はウィリアム・H・ルーパテス准将によって1942年3月14日に定められたらしい。
戦争映画とかでよく聞いたことあるかな。
映画「フルメタル・ジャケット」でもみんなで叫んでいたような気がする。

191Pより。
―――人間との友好よりも人間をハンバーガーにすることを望むような世界では、神人同型論なんてものは通用しないんだ―――

「しんじんどうけい」
宗教上の擬人観のひとつで、信仰の対象である神に人間の持っている形姿・性質を備えさせる考え方。
例えば古代ギリシャの神が、人間と同様に喜怒哀楽の感情を持つとされたことなど、ってことらしい。

327Pより。
―――ジェシーもわたしも、タキオンがなんなのかを知っていたら、もっと興奮できるんだけどね―――
タキオンは超光速で動くと仮定されている粒子のこと。
現在においても存在は確認されていなくて、語源はギリシャ語の「ταχύς(速い)」に由来するとか。
SF作品中で超光速通信の手段として用いられたり、疑似科学の世界でタキオングッズとして「製品化」されたりしているみたいだね。(どんなグッズなんだか)

370Pより。
―――グッドールは、上向きにさっとナイフを突き出して、コンス―のキチン質の脚を一本切り取った―――

「きちんしつ」
節足動物甲殻類の外骨格すなわち外皮、軟体動物の殻皮の表面といった多くの無脊椎動物の体表を覆うクチクラや、キノコなど菌類の細胞壁などに含まれるムコ多糖。
キチンとキトサンの総称とのこと。
蟹とかエビの外皮のことみたいだね。

361Pより。
―――あのストロベリー・ルバーブパイを食べると、天にものぼる心地になったものだ―――
ストロベリーとピンクのセロリみたいな野菜のルバーブを使ったパイらしいね。
けっこう酸味がありそうだけど、アメリカだし味付けはやっぱり激甘なのかな?


<< 登場したモノ・道具・姿・形などの気になった画像 >>

老後の趣味を増やす為に絵の練習を兼ねて、今回から描いたモノを載せていこうかと・・・(^^;)
表紙の画像より。
CDF軍が標準仕様にしているMP-35歩兵用ライフル。
↑このライフルってカタチ的に見てもイギリス軍のL85だよね。
作者かデザイナーがこのライフル好きなのかな?
てなわけで今回は実在するL85をカキカキしてみた。
先端部分を交換すればグレネードを発射できるようにもなるのだ。

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