忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「宇宙船ヴァニスの歌」 読書感想

タイトル 「宇宙船ヴァニスの歌」(キンドル版)
著者 友成純一
紙のページ数 214ページ
出版社 アドレナライズ
発売日 2015年9月8日

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この作者の作品で既に読んだもの
「凌辱の魔界」
「獣儀式」
「ナイトブリード」
「肉の儀式」
「肉の天使」
「獣革命」
「女戦士・フレア伝(1) 邪神殿の少女」
「人獣裁判」


<< ここ最近の思うこと >>

最近「ザ・プレデター」っていう映画を観たんだよ。
こりゃダメだろうなぁ~って思いながら観てみたら、すっごく面白かった!
プレデター」、「プレデター2」は完全にSFホラーって内容だったけど、今回のはコメディ的な雰囲気なのにバッチリ人は死にまくりの血飛沫飛びまくり!
そしてキャラクター達がとても個性的で魅力的!
おじさんはやっぱりこーゆー系の作品が好きなんだなぁ~って再認識させられたわ。
って訳で今回はこの作品!
毎度恒例の友成ワールドを堪能するぜ(=゚ω゚)ノ
(「AVP」?・・・「AVP2」?・・・「プレデターズ」?・・・う~ん、知らないなぁ)


<< かるーい話のながれ >>

あちらこちらの辺境惑星で開拓民相手の売春を生業とする政府公認娼婦宇宙船ヴァニス。
ヴァニスを統べるのはセクシーで全身サイボーグのリリーという女将(推定年齢百歳以上)
男性乗組員は船を動かす船員として、娼婦達は貴重な商品として、互いに隔離された環境。

あっちの惑星では謎の生物に体を乗っ取られた娼婦がいたり・・・。
こっちの惑星では宇宙空間に絶世の美女が素っ裸で漂っていたり・・・。
女将の座を狙うナンバー2の撫子や、いつも騒動に振り回される変態ドクターを載せて、今日もヴァニスは欲求不満の男達へ向かって宇宙を進む。

惑星ケンプにヴァニスがやって来た時、大乱闘への幕が上がった。
ニールという男は妻のマルタそっちのけで、毎晩ヴァニスの娼婦達と連続乱交。
嫉妬に狂ったマルタは肉切り包丁とスパナを持って、ヴァニスの着陸艇に向かう。
娼婦船ヴァニスVS惑星ケンプの娘子軍・・・・・女同士の戦争はここから始まるのだった!!


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///リリーの特製ボディーが壊れる刺激って、どんだけなのよ?///
位置№ 585より。
―――ファック・マシンのけたたましい動きから、リリーが何をしていたのかをひと目で見抜き、ドクターは悪態をついた。「ファック!」―――
恐らく百歳を超えるであろうヴァニスの女船長リリー。
脳以外は特注のサイボーグボディで、その強さは未知数。
そんな彼女が自慰の為にファックマシンを弄って最狂レベルにした結果、特注ボディでさえ耐えられないほどになってしまった。
そしてオチがドクターの「ファック!」って、今作はギャグ路線かな(笑)

///なんだかんだで一番まともそうで振り回されるドクターの扱い///
位置№ 980より。
―――ドクターのセンズリかく姿は、変態というより狂態に限りなく近かった。
どんな具合かというと―――。
他人事ながら余りにみっともないので、書かずに置こう。―――
男性乗組員で唯一、娼婦居住区に出入りできるオイシイ役どころ。
でもいろんな感情がガチガチに凝り固まって、完璧に理想通りの女性でないと興奮出来ない残念男。
悪態ついてもちゃんと仕事するから悪い人間じゃなさそうだけど、それにしてもこの扱いは(笑)
ここまでギャグネタが入った友成作品は初めてだよ。
でも、こういうの・・・・・嫌いじゃない(*'▽')

///今回のグロ描写は女だらけのお仕置きシーンだ///
位置№ 1410より。
―――お蝶が怒声をあげながら、鎖を一気に引き抜いたのだ。「濡れギヌでしょ、それを言うなら濡れギヌ、このヴァカ!」―――
素っ裸で手足を一本ずつ鎖で繋がれて、仰向けで吊るされている様はまるで豚の丸焼きみたいな恰好のマルタという女性。
サディストという言葉が甘すぎるってくらい残虐な美人娼婦三人にこれからどう調理されるのか・・・。
まな板の上の鯉な状態で、ネチネチと会話を続ける描写はまるでタランティーノの映画を彷彿させる。
た、たまらんよこの緊張感・・・(; ・`д・´)

///殺しちゃいないんだから別に良いでしょ!って価値観なのかな?///
位置№ 1762より。
―――「誰が、だれがこんな平和な旅回りの慰安船に、攻撃をしかけてくるの・・・・・」撫子は大慌てで頭を回転させながら、わめき散らした。指を二本、まだ陰部に突っ込んだままなのも忘れて。―――
撫子さん、客としてきた旦那を去勢して、嫉妬して怒鳴り込んできた奥さんを切り刻んで・・・・・・・コレのどこが平和な旅回り慰安船なんでしょうか(笑)
クールだけど熱い野心家でちょっと残念な撫子。
スタースクリーム的ポジションで個人的には一番好きなキャラクターよ(´▽`)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///今まで以上にかる~いストーリー・・・君は、耐えられるか?///
これまで読んできた作品はギャグみたいな展開ではあっても、一応の雰囲気としてはおどろおどろしいホラーな空気を醸していたと思う。
だけど「ヴァニスの歌」はギャグ要素がかなり多く感じられるし、実際にはちゃめちゃな展開でもう陰鬱な印象は残らない。
こーゆーのが受け入れられる読者なら楽しめるけど、そうじゃないと途中で投げ出すかも(;^ω^)

///サイボーグ化したのに感度調節機能が無いなんて、ポンコツだなぁ///
リリーにしろマルタにしろ、このSF世界の技術力はどうなっているのか?
せっかく機械の体になったのに刺激を調整する機能が付いていないなんて。
技術的に無理ってのならわかるけど、少しでも感じることが出来るのなら調整も出来ると思うけどね。
(・・・・・・でも出来ないほうがストーリー的に面白そうだから、良いんだけどさ)

///「虚人の呼び声」の元ネタはアレかな?///
生身で立ち入り禁止の部屋に入ってレズ行為をしていたら、その部屋を中心にワープが始まっちゃった!
その結果・・・中にいた娼婦2人はとんでもないことに( ゚Д゚)
これはあれだよね~「フィラデルフィア実験」が元ネタっぽいよね。
最終的にあの2人は死んじゃったのかと、気になった。


<< 読み終えてどうだった? >>

こらまたエネルギッシュな作品だったわぁ~。
今まで読んできた友成作品で、一番コミカルでストレスなく楽しめた。
(グロ描写や酷い展開はあるけど、あっさりしていて後に残らないって感じ?)

面白いB級作品とつまらないB級作品ってどうちがうのかな?
設定や理屈、オチとか過激描写は取り敢えず置いといて、まず第一に愛嬌あるキャラクター達を作れるかどうかってことかな~って思った。
どいつもこいつも無茶苦茶な人間ばかりだけど、どこか憎めないこの感じ。
B級だからこそ、そこだけはしっかり作らないとアカン!・・・・・かもね。

先が読めない行き当たりばったりな娼婦宇宙船モノ。
エロ有りグロ有りコメディ有り!だからこそ頭空っぽで楽しめる(=゚ω゚)ノ
いつか撫子と愉快な仲間達が、最強サイボーグ船長リリーに下剋上する日が来るのか!?
娼婦船ヴァニスの明日はどっちだ?ってなわけで、今回の点数は~~~満読感88点!
(自分で付けといてアレだけど、採点基準がふわふわになってきた今日この頃)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

位置№ 318より。
―――もう終わりかな―――そう思った頃、突然、バチンと鳳仙花のように肉がはじけた。こなごなになった肉片が、部屋一杯に飛び散った。―――
「ほうせんか」
ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草。東南アジア原産。
開花した花びらの下側が大きく広がっている・・・・・花びらみたいに破裂したのかぁ。

位置№ 344より。
―――政府に絶対に大丈夫と健康を保障されているにもかかわらず、ゼナで働いていた男と判ると、たちまち女が逃げてしまう。オカチメンコの売れ残りか、危険なセックスに情熱を燃やすマゾ女しか、相手にしてくれなくなった。―――
「おかちめんこ」
目鼻が潰れた様な整っていない顔の女性という意味。
使い古して絵柄がわからなくなったメンコが由来になったらしい。

位置№ 980より。
―――シールドの蓋をあけ、ドクターは女体をじかに目のあたりにした。激しい性欲が、股関を爆発寸前に昂ぶらせていた。たまらなくなり、末成りの全身を剥き出しにする。―――
「うらなり」
顔色が悪くて弱々しく元気のない人を嘲る言葉、みたいだね。

位置№ 2274より。
―――瀕死の床で、自身が凶器と化してシャトルを破壊する妄想に囚われるらしい。マルタは痛む手脚を振り動かし、罵詈を発しながら暴れようともした。因幡の白兎もかくやという状態にされたマルタ。―――
「いなばのしろうさぎ」
昔話に出てくる白兎のこと。
皮をむかれて騙されて海水に浸かって、とても苦しんでいた白兎は最後に大黒様に傷を治す方法を教えてもらって、元の綺麗な白兎に戻れたお話。

電子版あとがき
位置№ 2596より。
―――私の最愛のSFは、いやSFに限らず、生涯で読んだ本で最も面白くて興奮した本の一つは、アルフレッド・ベスター「虎よ!虎よ!」です。ハードSF的には、無茶苦茶だと思うよ。―――
復讐劇のSF小説、なのかな?
レビューを読んだ感じだと、これも中々にぶっとんだSFっぽい。
こりゃ買うしかないね(=゚ω゚)ノ

位置№ 2684より。
―――昔貼られた"官能作家"のレッテルは、未だについて回っていて、迷惑この上ない。―――
最初に官能作家として売りに出されちゃったから、小説の表紙絵も選べず美女の裸体がでっかく描かれたモノばかり。
そして出版社は営利団体で、編集者も作家も利益が出るなら搾り取って、出なくなったらゴミ箱へポイ。
などなど、今まで受けてきた仕打ちへの感情が溢れ出てきているのが読んでいて面白い。
毎回「電子版あとがき」を楽しみにしているおじさんがいる(´▽`)


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた。
ロボットを描くのはやっぱり楽しいよね、だって心は男の子やもん(笑)
とにかく勢いで描いたけど、どうやって飛行形態に変形するのよ・・・(;^ω^)

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位置№ 2263より。
―――「マルタ?サイボーグなの、これが・・・・・惑星戦闘用のロボットじゃない、まるで・・・・・ほんとに、マルタ?」
豆タンク・茶子が、呆然と呟いた。
「マルタ」という呼び声に応えるように、そいつはゆっくり頭を持たげ、腰を起こしていった。―――

宇宙船ヴァニスの歌(1)

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  • 発売日: 2019/06/05
  • メディア: DVD