忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「殺人鬼――逆襲編」 読書感想

「殺人鬼 逆襲編」(文庫版)
著者 綾辻 行人
文庫 329ページ
出版社 角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 2012年2月25日


<< かるーい話の流れ >>

前作「殺人鬼」を読んで続きが気になったので購入したのよさ(=゚ω゚)ノ
双葉山の惨劇から三年後が舞台。

今回は前回の生き残りを襲いに来たのではなく、偶然にも殺人鬼と遭遇して一命をとりとめた主婦を狙って彼女が集患された病院にやってきた殺人鬼。
その病院には過去に双葉山にて殺し損ねたが植物状態になってしまった白河誠二郎もいた。
殺し損ねた獲物が居ると分かった殺人鬼はさっそく行動を開始。
病院内は死体が次々と作られていく。

そして今回の主人公は、白河誠二郎の息子であるマミヤという少年だ。
彼にはある発作があって、突然意識が飛んでその間は誰かの目を通した景色を眺めているという不思議な能力がある。

はっきり言ってなんの役にも立たなそうな能力だが、少年は果たして殺人鬼から家族を守り切ることが出来るのか!?


<< 特に良かった部分・良かったセリフ・シーンなど >>

初っ端から赤ん坊をミンチにして母親に食わせるという外道鬼畜な殺し方をした今回の殺人鬼だけど、一番インパクトがあった殺し方は156Pの部分。
看護師である静子が殺されるシーンだな。
殺人鬼はやられたらやりかえす。倍返しだ!!ってことじゃないけど、倍返しよりも万倍返しでエグい。
塩酸と漏斗を使って・・・消火器を使用した後・・・とどめの一撃で漏斗からぶしゃああああ!
ふぃ~、エゲツない殺し方をするもんだねぇ( ゚Д゚)

前作に続いてなんだけど、ただ人々が怪人に殺されるだけじゃない。
それだけじゃ「13日の金曜日」そのまんまになっちゃうからね。
終盤にはちゃんと驚きなネタを仕込んでいてくれた。
そんでもって見事に騙されていたっていうか、予測がつかなかったおじさんはネタ晴らし部分を読んでとても満足感を得ることが出来ましたわ。
これだから「殺人鬼」は最後まで面白く読めるんだよねぇ(≧▽≦)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

今回はネタバレ注意!! 知りたい人は反転させて読んでね。

「殺人鬼」の波動を受けいれると植物状態で寝たきり人間でもキャプテンアメリカみたいになれるのか?
驚異的なパワーと驚異的なタフネス・・・・あれかな、肉体のリミッターが外れた状態的な。

もう一つはラストまで沼の底に沈んでいた殺人鬼は、やっぱり今までの傷を癒していたのか?
(299Pにはマミヤ少年の予測で↑のように書かれているね)
肉体を休める為に意識を飛ばして別の体を乗っ取り、最終的には元の肉体に戻った。
だからマミヤ少年は空っぽになった肉体を操れたの?



<< 読み終えてどうだった? >>

いやいや~今回も息つく間もないくらいのスプラッター&エンタメ満載な内容だったわ。
やっぱり意識して作ったのかな?
13日の金曜日・ジェイソン、ニューヨークへ行く」みたいな感じがしたんだけど(^^;)

前回に引き続き、今回も相変わらず殺される人々は平和ボケと恐怖心からか、その場での最善な行動が出来ずにどんどん殺されていくし、殺人鬼は全くの理解不能な行動原理で予測不能なタフさと怪力でやりたい放題。
そして最後に立ち向かうのは、次々と起こる惨劇を目の当たりにしながら何も出来なかった主人公。
予想外だった驚きのネタ。
もちろん、ちょっと待てよと思うツッコミ所は色々あるけど、楽しめたのならそれで良しって思えちゃうのがおじさんなのだ。

この「殺人鬼 逆襲編」では前回と違って、登場人物達がなんとかして立ち向かおうとする場面がしっかり描かれていたので良かった。
長身で有能な男性刑事、剣道有段者青年+木刀、剣道有段者女性+防具+竹刀などなど。
とにかく命の危険が迫ったときに、ありあわせの物を使ってなんとか立ち向かうって展開は熱くて好きよ(*´Д`)

話のオチとしては相変わらずなエピローグだけど、まあそれは仕方ないか。
ホラーエンタメのお約束だよ(笑)
読了感としては前作よりかはさっぱりした感じかな。
やりたい放題だった殺人鬼に一矢報いることが出来たんだし。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

107Pより。
―――植物状態ゆえの「視覚認識不能」とはすなわち、網膜に映った外界の映像を情報として処理する能力が欠損している、という意味である。―――
ってことなら、視えてはいるけど脳が活動していないから視覚情報を認識できないってことか?
目としての機能はとりあえず働いているから、マミヤ少年の能力が通用したんやね。

あとがき321Pより。
―――名作ホラーの続編はたいていファンから手厳しい文句を言われる(笑)―――
さすが分かっておらっしゃる。
なんでそうなっちゃうんだろうね?続編が駄作になり始めたのっていつぐらいからなんだろう?
しかしこのあとがきを読む限り、「殺人鬼」のさらなる続編はちょっと期待できないかもなぁ(^^;)

あとがき325Pより。
―――八十年代の終わりに発生した東京・埼玉連続幼女愉快殺人事件の犯人部屋からホラービデオが見つかったからってだけでホラー作品のバッシングが始まったらしい。―――
へえ~そんなことあったのか。
ホラー映画持っている犯罪者よりもホラー映画見たことある人のほうが圧倒的に多いだろうに、っていうかヤル奴は何を持っていようがいまいが実行しちゃうんだからさぁ。
いい加減何かに濡れ衣を着せて解決したようにみせるのは止めようよぉ(;´・ω・)

92Pより。
―――とにかく「ア・プリオリに」と言ってしまっても良いだろう――暗闇が苦手、なのだ。―――
アプリオリとは、経験的認識に先立つ先天的、自明的な認識や概念。
ラテン語のa prioriに由来する言葉のようで。
日本語では先天的とか、超越的って意味で使われるとのこと。


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

殺人鬼の圧倒的暴力を前にして、深夜の剣道場に逃げ込んだ愛香。
覚悟を決めた彼女は防具の面と胴を付けて竹刀を中段に構える。
そして扉を打ち壊して入って来た全身黒ずくめで右手に斧を持つ殺人鬼と相対する。