忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「獣革命」 読書感想

「獣革命」(キンドル版)
著者 友成純一
出版社 アドレナライズ
紙の本のページ数 223ページ(新書版)
発売日 2014年11月21日

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<< かるーい話のながれ >>

いきなり自衛隊が空から降下して陸から現れて首都圏の人々を次々に殺しては建物も破壊していく。
このクーデターの首謀者が大尉と呼ばれる毛むくじゃらで常にアーリータイムズを飲んでいる巨漢なオッサン(正体不明)で、彼曰く無政府主義革命を起こしたと、乗っ取ったTV放送で宣言した。
クーデター目的は破壊と殺戮以外なにも無くて、クーデター隊も指揮系統が無いからみんな好き勝手に行動して、時には互いに殺しあっている無茶苦茶な状態になった首都圏。

この小説の中で主な登場人物を上げるとしたら、自衛隊を率いる大尉。
あとは一般人から。
お互いに気になっている兄妹の伸之(平凡なサラリーマン)と明日香。(可愛い少女)
後は視点が被害者だったり加害者だったり変わるんだけど、どちらにせよ大体すぐに死んでしまうのだ。

革命後のストーリーとしては日本は世界各国から放置されて衛星により監視だけされている。
激しい体験により淫魔的存在になった明日香、魅力に囚われた大尉が明日香を連れ去って終始イチャイチャしまくる。
そして石のように固まったままだった無双(元伸之)が、自身に快楽を与え続けてくれていた明日香を探し求めて大尉達を追いかけていく・・・。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

まずはココ!
大尉率いる部隊が進学中学校を襲撃!
教師も生徒も虐殺したあとで、肉体の成長がイイ感じのキレイな女子達を連れ去っていくシーン。
その連行のやり方がエグイ!!
全裸の女子生徒全員の両掌に穴をあけてそこにロープを通す、そしてゆっくり走るジープに繋いで連行!
転んだり体力が尽きたりしたら・・・・・そのまま放置ですねはい( ゚Д゚)
女子生徒達は痛みと不安で「あー!あー!」と泣き叫びながらジープの後ろを走ってついていく。
シュールだなぁ・・・どっかの絵画で描かれていそうな光景で頭の中で想像しやすかったわ。
たぶん、むか~しとかに外国で行われていたんだろうなぁ。
いや、いまでもどっかの紛争地帯とかで実際に行われている気がするし(/ω\)

もうひとつは終盤での宴で行われる残酷シーン。
さてさて今回の友成・ショー(意味不明)はいかほどか・・・?
毎夜おこなわれる残酷な宴にて。
一人の女を二人の男が前後に刺してハッスルしているんだけど、足を上に回し過ぎて女性の股関節が外れちゃっている状態。
それに飽きると二人の男はバイクに乗って女性の両足首にロープを通し、それぞれのバイクに結ぶ。
もうお分かりの「股裂き」デス!
引っ張るにつれて女性の前と後ろの穴が広がって行って、それを抑えようと女性は逆さ刷りの状態で股間に手を持っていくが無意味ですね。
結末はぱっくり綺麗に真っ二つではないけど、二つに裂けて殺されてしまいます(>_<)

その一方で違う女性は、針金で亀甲縛りにされて木に吊るされるんだけど、ひとしきり犯した後が酷い。
亀甲縛りからはみ出た肉の部分をナイフでそぎ落とす男達。
その度に女性は鳥の悲鳴のような叫び声を上げる。
ちなみに女性達は最終的に全員殺して食料にされるから男達は女が死のうが苦しもうが関係なしで嬲る。
う~むむ・・・その他にも悲惨な描写がたっぷりで、相変わらず凄まじい想像力でした。


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

友成作品にありがちなんだけど、今回は特に色々なことの説明が無かったわ。
クーデターを引き起こしたであろう人物の大尉は一体何者だったのか?
在日米軍達はなんにもしなかったのか?
そもそもどうやったってこんな大規模で無計画なクーデターを起こせたのか?
(どう考えても事前に情報漏えいして失敗するだろうに)
上げていくとキリがないけど、まあ・・・・・もう慣れたかな( ̄▽ ̄)

それともう一つ。
無双(伸之)と明日香は人間やめちゃった存在なの?
無双の方は憤怒のあまり血流が頭に廻りすぎて脳が溶け出した後で、青銅の様な光る肌を持つ筋骨隆々な巨漢怪力男になっちゃうし、明日香は犯されぬいた後で痛みさえも快感に感じてしまう淫乱美女(相手を魅了する能力持ち)になっちゃうし。
なんでこの二人だけが怪物化したのかまったくわかんなかったなぁ。
(あとこの二人は獣革命の物語に必要だったのでしょうか・・・?)


<< 読み終えてどうだった? >>

いや~~~、今回も案の定なぶつ切りエンドですわ(´・ω・`)
明日香を追いかける無双から逃げ続ける大尉と、されるがままの明日香で終わり。
大尉としてはこんな状況をずっと求めていたと言うか、これはこれで悪くないって感じで逃げ続けている心境なようで。(思い浮かぶのはマンガ『殺し屋1』のロマンチックな追いかけっこの場面)
ちょっと今まで読んできた作品に比べると雑な感じがしたかなぁ?
でもまぁたま~に全部ぶっ壊したくなるくらいストレスの溜まったアナタ!!
そんな時に読むと結構スカッとするんじゃないかと(笑)

個人的には「獣儀式」みたいに意思疎通が出来ない化物に蹂躙されるほうが面白いと思うんだよね。
っていうか範囲が日本国内だけになって、鬼の変わりに自衛隊が人々を蹂躙する「獣儀式」だった。
ままま、もともと何かを期待して読むような作品ではないと思っているから、これはこれでアリかぁ。

読了感としては、ぶつ切りエンドだしクーデターの元凶である大尉も生きているし色々な疑問がほったらかしだし、あんまり良くはないかなぁ。
でも「キンドル版のあとがき」が面白かったから、これはこれで宜しいじゃないですかって感じで(笑)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>


202Pより。
―――逃げろ。おい!歩兵戦闘車だ。あれは、M2ブラッドレー・・・―――
M2ブラッドレー歩兵戦闘車は、アメリカ合衆国で開発された歩兵戦闘車
車内に歩兵を搭乗させることが出来て、自身も積極的に戦闘に参加できるように強力な機関砲だとかミサイルだとかが搭載されている戦車みたいな兵器。

841Pより。
―――立川駐屯地を発車した列車砲エレファントは、前に仕えた中央線の橙色の車両をブレードで弾き飛ばしつつ、暴走を続けた。―――
エレファント重駆逐戦車は、第二次世界大戦で使われたドイツの駆逐戦車ってことみたいだけど、線路の上を走るようには出来ていないと思うけど。
かといってグスタフとかあんな無茶苦茶な古い兵器が出てくる訳ないし・・・わからん(・・;)

1029Pより。
―――その鼻歌は、よく聞くと、「インターナショナル」だった。―――
「インターナショナル」は、社会主義共産主義を代表する曲らしい。
ソビエト連邦では十月革命(1917年)から第二次世界大戦(1944年)まで国歌になっていて、日本でも労働歌として歌われていたとか。

423Pより。
―――しかし中学に進学し、そろそろ番茶も出花の年頃が近付くと、事情がまるで違って来た。――
番茶でも入れたては香りが高くておいしい、どんな女性でも娘盛りは美しいものであるというたとえ、らしい。

685Pより。
―――男子生徒が十一人いたわけだが、彼らのうち何人かは、兵士の気紛れで衆道の契りを結ばされた。―――
衆道とは日本における男性の同性愛関係(男色)の中で、武士同士のものをいう、みたい。
いわゆる男性同士の性行為ということですか、怖や怖や(/ω\)

1265Pより。
―――清楚で大人しい明日香、無邪気な子供っぽさこそあれ、女らしさやコケットリーには全く無縁だった明日香が決して持ち得なかった笑いだった。―――
コケットリーは、女性特有のなまめかしさのこと。フランス語のcoq(オンドリ)に由来しているらしい。

あとがきより。
右傾化して合衆国の付録という立場をますます鮮明にしつつ、恥知らずな資本主義=議会制民主主義という悪の道に走っている日本をぶっ壊すという、完全にテロリストな願望でこの小説は書かれているみたいだね(; ・`д・´)
ここまでぶっちゃけたあとがきはなかなか凄いわぁ。
(このあとがきはお酒飲みながら酔っぱらって書いていたのかな?)

もう一つ。
トロツキーの「テロは、弱者が強者に対抗しうる唯一の、そして強力な手段である」という言葉は本当だと思っている。って書いてあるけど、確かにそうだと思うけどさぁ・・・でもでも、一般人を巻き込むんだからどんな酷い報復を受けたとしても文句は言えないよねぇ、テロ側も。

最後にコレも。
ベトナム戦争でベトコンが使用したトンネル戦術は硫黄島の戦いで日本軍が発明した戦い方で、それを人民解放軍が改良してベトコンに授けたって書いてあるんだけど、なるほど確かに抵抗する側で戦うのならば日本はかなり強いのかもしれないね。
(前の大戦も侵略戦争じゃなけりゃ勝てたってことかな?よく知らんけど・・・)


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

序盤で説明されていた地獄の堕天使事件。
デパートからぶら下がる七十体近い首吊り死体、建物内には武装集団の男三人女二人のテロリストが重武装で立て籠もり、最終的に若い女性の人質八十人ほどが捉えられていた。
突入作戦が実行されて特殊工作専門の警備員達がデパートに踏み込み、犯人達を全員射殺したのだが、人質は誰一人として救出されなかった。
デパート内部は調理器具や大工工具によって散らかされた肉片(人質)まみれの地獄絵図だったから。
これをきっかけに警備会社は武装化していって、日本国民の銃器所持も暗黙の了解になっていった。