忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「殺人鬼」読書感想

「殺人鬼」(文庫版)
著者 綾辻行人
文庫 349ページ
出版社 角川書店
発売日 2011年8月25日


<< かるーい話の流れ >>

老若男女が会員のTC会メンバー男女八人が過去に中学生惨殺事件のあった双葉山にて三泊四日のキャンプに来たのだが、初日の夜どこからか急に筋骨隆々な殺人鬼が現れる。
(眠っていたモノが覚醒したのかな?)
そして次々と惨たらしく殺されていくメンバー達、果たして主人公っぽい茜ちゃん(大人しい女子大生?ちょっと幻聴が聞こえがちな子)は生きて双葉山から生還することが出来るのか!?
序盤の語りで2名の生還者と書かれていたがおじさんの予想は毎度同じく見事に外れた。


<< 特に良かった部分・良かったセリフ・シーンなど >>

一番印象に残っているのは最初の犠牲者の二人。
大八木と千歳が二人で野外セック〇している時、木の杭を使って二人を串刺しにした殺人鬼。
繋がったまま腰を串刺しにされて動けない二人、意識がある状態でじわじわと破壊されていく描写がものすご~くぅエゲツナイ!!

いろいろ残酷な小説を読んできたきたけど、この小説の殺害描写にはとにかく極上の悪意が込められていたと思う。
この他にも犠牲者はみんなあっさり殺してもらえるなんてことはない。
殺人鬼は相手が苦しむ様を見たいのだから(´;ω;`)

あと良かった部分と言ったら、ただのスプラッター小説だと思っていたんだけど実は予想外の仕掛けが用意されていたこと。
最初からそのことにも作者が説明していて、注意して読んでみようと思ったんだけど最後までさっぱり分からなかったよ。
(章が変わる度にAとかBとかあったんだけど全然分からん。てか描写がショッキング過ぎてとても考えていられないのよ)
現実的なトリックなどではなく、超常現象が絡む仕掛けなのでそこんところを注意していてくだされ。


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

個人的には色々なことを全部はっきりまるっと説明してほしい性格だから、殺人鬼の正体がはっきりしなかった部分が不満なところかと。
まあ続編があるみたいだから、そこではっきりしてくれたら満足なんだけどさ。
(なーんとなく続編でもはっきりしないような気がするなぁ)

それとあえて挙げるとするならば、連絡を獲れる機器を誰も持ってきていなかったのかな?
山小屋にもなんにも通信機器など無かったのか?

あと個人的には敵(殺人鬼)が狙ってきているんだから、狙われる者達は武器とか作ったり備えたりしてほしかったな。
いやでもあんな状況では恐怖心が強すぎて冷静な思考は無理か。
それにこういうホラー作品にそういうこと言い出すのは野暮ってやつだね(;^ω^)


<< 読み終えてどうだった? >>

とにかく展開が物凄く早い!
最初の殺人が始まってから立て続けに残酷殺人ショーが展開されていくんだけど、その殺人描写が実に丁寧に描かれていて思わず顔をしかめてしまうシーンが多々ある。
あるんだけど、気が付くとその殺人ショーをちょっと楽しみにというか、好奇心たっぷりに待ちわびている自分がいることにビックリだ。
(おじさんはストレスけっこう溜まっているのかな・・・)

ラストの展開はビックリネタもあって予想外の結末で二度おいしい!みたいな(笑)
2人生き残るって書いてあったけど、まさかあの2人だったとはねぇ。ネタとしてはそんなのアリかよって思う部分が無いとは言わないけど、十分に楽しめる伏線と内容だったからアリかなぁって思う。
(にしても落雷でも死なない人間ってハンマユウジロウくらいしか知らないぞ)

読了感は「やっと終わったぁ」って思わずほっと溜息が出てしまう安心感?
そんでもってホラー作品にありがちな後味の悪さはもうお約束。
しかしまあ、久しぶりにグイグイ一気読みしたくなるエネルギッシュな小説だったわぁ( ̄▽ ̄)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

もうおわかりだけど、殺人鬼Ⅱがある!
今度は病院内にて繰り広げられる「復讐編」とのこと。
一体どっちがどっちに復讐するんだろうねぇ。こりゃワクワクだわ。

あとがきにて、自称暴力絶対反対派という作者。(こんな作品書いといて(;^ω^))
創作物で人の嗜好が変わるなんてありえないとの主張が書き綴って合った。
おじさんもその意見には大賛成だな。
何かやらかす奴は趣味嗜好関係なく、いつかその時が来たら実行するんだから。
(↑なんのこと言ってんのか自分でもよくわからないけど・・・)

フィクションだからこそ安心して楽しめるってことを絶対に認めたくない人達がいるんだよね。
十人十色だから生理的に無理な人も必ずいるけど、そういう人達は自分からホラー、スプラッターを見に行かないようにすればいいだけじゃん( `ー´)ノ

最後に気になったこと。
本書の最初に書かれていた↓
―――「双葉瞬一氏に捧げる -あの頃の奇妙な情熱を懐かしみながら-」―――
って誰のことなんだろう?
ネットで調べてもまったく分からなかったよよよ。


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

雷雨の収まった夜明けの山頂尾根にて、茜達に襲い掛かるカミナリ焦げ焦げ殺人鬼!
そしてその殺人鬼に体当たりしていくカミナリ焦げ焦げの大男。
生き残るのは果たして誰になるのか!?