忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「探偵の探偵」読書感想

タイトル 「探偵の探偵」
著者 松岡圭祐
文庫 304ページ
出版社 講談社
発売日 2014年11月14日


<< かるーい話の流れ >>

序盤は探偵養成所の所長である須磨視点で話が進んで行って、生徒としてやってきた玲奈との出会い、玲奈の探偵に対する執念と辛い過去、そして須磨が玲奈を探偵として育てて雇う決意をするまでが描かれている。
研修が終わって正式に須磨の事務所で働くことになった後は悪徳探偵を暴く探偵(対探偵課)として、危険な仕事を黙々と続けていく玲奈。
ある日、新しく入って来た何も知らない一般ピープルの琴葉を助手に付けられた玲奈は、二人で血と暴力と悪意に満ちた悪徳探偵狩りに出向いていく。
(須磨としては暴走する玲奈のブレーキ役として琴葉を助手にしたようだ)
次第に明らかになってくる大手探偵事務所の思惑やら、用意周到な罠やら、過去の事件やらが絡んで行ってモリモリ盛り上がっていくのだ。


<< 特に良かった部分・良かったセリフ・シーンなど >>

細身の美女が主人公の探偵小説とは思えないほど、暴力と格闘(何でもありの喧嘩)に溢れた内容だったのが驚き。
玲奈が次第に「ダイ・ハード」のジョン・マクレーン見えてくるくらい、痛々しい暴力を喰らいまくる美女。
(痛めつけられる系はなんでもマクレーンに見えちゃう中年なんです)
対する彼女も対探偵課になる前から体を鍛えて格闘技を修練したり、様々な知識・技術を学んで一人でもしっかり戦えるように備えている。
弱いのなら弱いなりに色々と備えて挑む設定、おじさんは結構好きなんだよね。

あとは記憶に残ったセリフ。
事件が全て終わってから、敵の暴力で大怪我を負った琴葉を見舞いに行きたい玲奈。
だけど自分のせいで巻き込まれたこともあって、珍しく迷っている玲奈に同僚の桐嶋が言った言葉がコチラ↓。
「うちのじいさんがいってた。人生は片道切符だって。時間を大事にしろよ」
んまったく、タフだけど心が弱っている美女に対してこんなキザなセリフをサラッと言えるなんて・・・・・相当な女っ垂らしに違いない( `ー´)ノ


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

気になったところと言ったら、いくら日本が武器を持ちにくい国だとしてもヤクザの方々なんかは銃器にナイフ、爆弾に色々持ってる人は持っているんだし、何度も命を狙われている玲奈はそれなりに護身用具くらい持ったほうがいいんじゃないかと思った。
ただでさえ美人なんだから、多少の護身道具は警察に見つかっても納得してもらえると思うんだけど・・・催涙スプレーとかなんかペン型のアレとかさ。


<< 読み終えてどうだった? >>

いや~探偵小説っていうか、予想外だったけどおいちゃんは楽しめたよ!
裏世界の裏事情とか色々出てくるし、知識を使った変則技で危機を乗り越えるシーンも多々あり、なにより美女が主人公なのにハードボイルドな雰囲気をプンプン出している物語が気に入った。
シリーズ化しているので続きもぜひ読みたくなってしまうのだが、ヒロインが受ける暴力もどんどん過激になっていくのかと考えると、読んでみたいような読まずにスルーしていきたいような(^^;)
何だかんだで主人公達が上手く状況を好転させるって分かっていても、男達の卑劣な罠や策略や暴力に絡めとられて苦労する様は読んでいて辛い気持ちにもなるんだよね。
玲奈と琴葉がイイ女だから尚更ねぇ(*´ω`)
とにかく読み終わっての感想を一言で言うなれば・・・・・。
美女版ダイ・ハードだった!(やっぱりマクレーンになってしまうおじさんの貧しい感性)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

「探偵の探偵」は北川景子主演でドラマにもなっているみたいだね。
うーん・・・・・まあ、いつか機会があれば見ても見るのもありかな。
この作者は実写映画にもなった「催眠」を書いた人だったのか。
新潮文庫から出ている「ミッキーマウスの憂鬱」も書いている。
いつか読んでみたいと思っていた作品だから、次にまとめ買いするときに注文リストに入れておこうと思う。

以下、作中で気になった部分をいくつか。
13Pより。
―――「赤の他人の居場所を調べてほしいという依頼が、年々増加傾向にあるからです」―――
↑財力のあるストーカーさんにとっては探偵に頼ったほうが楽に情報が手に入る訳か。

80Pより。
―――「ナイフすら持ち歩けない国だ、手足そのものを武器にするしかない。だからヤクザはこぞって武術を習得したがる。悪徳探偵業者ってのは、そいういう下地を持つ奴らなんだ」―――
↑これが本当ならとても恐ろしいことですよよよ(;一_一)
(肉体を武器にしてしまう、範馬刃牙シリーズみたいな思想だなぁ)

136Pより。
―――「ドライヤーをかけても消せる。三種類の色素成分の組み合わせが摩擦熱で変化、インクが透明になる。六十五度以上の熱で色が消える。逆にマイナス二十度まで冷やせば元通り」―――
↑ボールペンインクの話ね。
試してはいないけど、どうもほんとに復活するみたいだね。

217Pより。
―――「別れさせ屋を謳ってるけど業務の実態はない。工作員なんてひとりもいない。依頼を受けて二、三か月後に工作完了の連絡を寄越し、請求書を送りつけるだけ。どうせカップルが分かれかどうかなんて五分五分だし」―――
↑十万円で依頼を受けてカップルが別れなければ十五万返金。だけど複数から依頼を受けていたら、全カップルが仲睦まじく継続するっていう結果以外、別れさせ屋は損失しない仕組み。ほぼ何にもしなくても金が入る。まさしく悪徳なり!!

221Pより。
―――ちからと入力して変換。感じとカタカナを混ぜて力ジノ。検索開始のアイコンをクリックすると、おびただしい数の項目が出現した。―――
↑なんとも巧妙な隠し方!
あと関係ないけどグバナン大使の「カジノ!?カジノデキナイヨ!」っていうセリフが頭から離れなくてね(^^;)



<< 挿絵で見たい場面や物など >>

色々ドラマチックな場面があったけど、やっぱり終盤でのココが見てみたい。
刑事と監禁されていた少女を残して、炎と煙の中に消えていく玲奈が呟く。
「探偵は、事件なんか解決しない」
美女ヒロインがこんなにハードボイルドでいいのか!?
良いんですっ!!