忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「虫とりのうた」読書感想

 

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タイトル 「虫とりのうた」
著者 赤星香一郎
新書 256ページ
出版社 講談社
発売日 2009年8月7日

<< かるーい話の流れ >>

小説家を目指している主人公の赤井は、ある日河川敷で少女に助けを求められる。そこへ男がやって来て少女は自分の娘だから連れて帰ると言うのだが、少女は赤の他人だと言って赤井に助けを求める。
やがて数人の大人が加わって、結局少女の我儘に手を焼く父親なのだろうという意見が通ってしまい、赤井は少女を自称父親に引き渡してしまう。
後日、その少女が自称父親に殺されたことを知る赤井。
責任を感じて葬儀会場へ向かう赤井、そこで少女の同級生から「虫とりのうた」という唄を知ることとなる。
やがて「虫とりのうた」をなぞるように殺人が起こっていくなか、赤井は困惑しながら犯人がどんな奴なのか考えていくのだけれど、途中からもうどんどん思考が混乱していって流れに身を任せるままになってしまう。
やがて赤井の周りで起こる奇妙な事件は、妻の家系が特殊な能力者の血筋というこに関係しているのではと考えてその筋を調べてみるのだが・・・。


<< 特に良かった部分・良かったセリフ・シーンなど >>

序盤の助けを求める少女が自称父親というアヤシイ男に連れていかれる場面にて。
なんだか怪しい男だなと思う赤井だったけど、周りの人々に言い包められて助けを請う少女を自称父親に渡しちゃうんだけど、その瞬間に女の子が呟いたセリフ。
―――「おかしいで、ほんま・・・・・」―――
今までずっと標準語で話していたのに急に関西弁で意味深なことを呟く少女。
この予想外な言葉はきっと後々に面白い展開が待っているに違いない!って確信した瞬間だったね。
(あくまでもおじさんが勝手に思ったことだから、なんの根拠も無かったんだけど)

それと話が進むにつれて、よく分からないけど自分の息子がなーんか怪しいんじゃないかと赤井が思い始めるあたりから話がぐっと面白くなっていったわ。
ミステリ要素よりもホラーな部分が非常にうまく醸し出されていて、次の展開が気になって早くページを捲りたいって思う部分も多々あったし。
むかーし見たホラー映画の「ペット・セメタリー」のような感じでこういう子供めっちゃ怖え~ってガクブル気味で読んでた。



<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

うーむ、やっぱり不満な部分はココかな。
とにかく主人公であるはずの赤井が何にもしないし、全然活躍しないこと。
家族が居るのに会社を辞めて小説家を目指すだけの行動力があるにもかかわらず、肝心な時には全然決断力がなかったり行動力がなかったり・・・。
あえてダメダメなキャラクターに作っているんだろうけど、もうちょっと・・・せめて最後のほうとか頑張ってよと思ってしまう。
ラストも予想外だったなぁ。(どちらかと言うと悪い意味で)
まさかあんな風に終わるとはねぇ・・・・・な~んともすっきりしないねぇ。



<< 読み終えてどうだった? >>

けしてつまらなくはないんだ!これは断言できる。
中盤あたりからどんどん好奇心をそそる展開になっていって物語に引き込まれたし。
だからこそ、いろんなことをはっきりさせない終わり方は残念でならない。
ちゃんと作者の頭の中では色々な設定が作られていたのかな?
(おじさんの予想だと恐らく何も考えていないんじゃないかと思ってる)
作中の疑問や意味深な謎を残したまま終わるのはとてもモヤモヤするんだよ( `ー´)ノ
物語の終盤までがとても面白かっただけに、なんとも残念な読了感なり!



<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

この小説には作中にある秘密が隠されていて、その秘密に気づいた読者はなぜ事件が起こったのか知ることが出来るでしょう。
↑なふうに作者のコメントが書かれているんだけど、当然おじさんにはわかりませんよ。
つーわけでネットで調べてみたけど、誰もはっきりした「秘密」ってのを見つけていないみたいだね。
もー、誰か教えてよ!
この「秘密」についても作者が何にも考えていなかったら、ちょっと嫌いになるかもしれんわ。



<< 挿絵で見たい場面や物など >>

220Pより。
何者かの気配を感じて自宅を捜索する主人公。
そして襖が少しだけ開いている押し入れを一気に開けてみると、中には鉄パイプを持っておどけた表情で舌をでろりと出しながら「ばあ」と言う息子の真樹男がいた。
「僕寂しかったんだよ」と言いながら鉄パイプを引きずりつつ、主人公にじりじりと近寄ってくるのがゾクゾクさせられた怖い場面。