忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「連続殺人鬼カエル男」読書感想

タイトル 「連続殺人鬼カエル男」
著者 中山七里
文庫 411ページ
出版社 宝島社
発売日 2011年2月4日


<< かる~い話のながれ >> 

女性、老人、子供と、何の関係もないただの一般人が無差別に殺されて、その遺体が子供の悪戯のごとく壊されて晒される連続殺人事件が起こっていた。
そして犯行現場には遺体とともに、子供の作文のようなメッセージが書かれた紙が添えられている。
犯人は通称「カエル男」と呼ばれており、精神的に幼稚な部分のある者、もしくは精神異常者の可能性が高い。
警察の捜査も虚しく殺人は繰り返され、市民は次の被害者は自分か?それとも家族か、ひょっとすると子供達かもしれないと怯えてパニック寸前に。
挙句の果てには、被害者の法則性がゲスい記者に悟られて対象となるすべての市民は恐怖のせいで暴徒化!
暴走した市民は市内にいる精神異常者をあぶり出そうとする。
そして警察署に精神異常者のリストが存在しているという噂に流された一部市民達が、武器を持って街の警察署に押し寄せる大混乱!
果たしてカエル男とは一体誰なのか!?
ちなみに主人公は若手の熱血系刑事「古手川 和也」だ。
イジメられていた軽い自閉症?の少年を助けて、イジメッ子の親である自衛官と路上で乱闘しちゃうような熱血刑事さんです。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

一番衝撃的だった殺人を紹介。
それは「解剖」で殺された被害者発見のシーンだね。
その被害者ってのが本当に予想外でショッキング過ぎる。
おじさんが珍しくも、なんて酷い展開をもってくるんだよこの作者は!って思ったくらいに(>_<)
(その他にもショッキングな殺人と死体晒しがあるのでお楽しみに)

あと盛り上がった展開は不安に駆られた市民達がリストを奪う為に警察署へ集団で押しかけてきて、少数の警官と刑事だけで防衛するシーン。
銃も武器も市民相手には使えないので、基本的に盾で防御するだけの警察側。
市民達は角材や棒などを持って無数に押し込んで来ようとする。
ゾンビものとはまた違った押し寄せる恐怖ってのが伝わって来たね。

そして印象に残ったセリフはこれだ。
先輩刑事が後輩の古手川に言う言葉で、「復讐するのは神だ。人間じゃない」っていうセリフ。
良いねぇ~。静かだけど中身は熱い刑事の言葉だ。
(聖書の言葉らしいけど、映画「レヴェナント」でも同じような言葉を聞いた気がする)

<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

主人公の古手川刑事がタフすぎやしませんか(笑)
もう「ダイ・ハード」のジョン・マクレーンみたいに傷つきまくり!
だけど立ち上がる、何度でも!!
いや熱い展開なんだけど、あまりにも痛めつけられてなんだか途中からちょい無茶あるよって思えちゃう(^^;)

あと気になったのは警察署襲撃シーンがかなり長かったね。
他の読者も気になった部分として書いていたけど、ちょっとくど過ぎになっている感じがする。というか、あんな暴動が起こったら間違いなく警察側は一人二人死んでいるんじゃないのかな?


<< 読み終えてどうだった? >>

いやや~、予想以上に面白かったよ!
上記で上げた悪い点がどーでもいいと思えるくらいにのめり込んで読んでしまった。
カエル男の凶行、主人公の熱い刑事魂、万能先輩刑事、女神のような保護観察者の女性、それに激しいアクションの連続!
さらには終盤のどんでん返し!
おいおいまだ行っちゃうの?え!さらにその先へ行っちゃうのかい!?的な(笑)
読了感は大満足でっす。

茶店で読んでいて残りページがあと少しだけど、ここで中断して帰ってから読み始めても現在のこの興奮は少なからず冷めてしまうと思って最後まで一気に読み終えた。
この判断は大正解だったわ。
鉄は熱いうちに打てと言いますが、小説ものめり込んだ状態で読み終えろという教訓を学びました今日この頃。
(それにしても事件の真相はとても酷い話だったなぁ。そして最後のオチもまさしく復讐するのは神って感じが素晴らしい)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

これを書いている現在、巷で上映されている「ミュージアム」という日本実写映画。
内容はカエルの変装をした殺人犯と、それを追う刑事の物語のようだけど、今回の小説とかなり似た設定になっている。
実際勘違いされている方々も多いようで。
調べてみると「ミュージアム」はマンガ原作、そして「連続殺人鬼カエル男」は小説だけ。
つまりこの二つの作品は全くの別物とのこと。
さらに言うなら「連続殺人鬼カエル男」のほうが先に世間に出版されていたらしい。
でも「ミュージアム」もなかなか面白そうな感じがするから、レンタルが出たら見てみようかな~。
(数か月後、おじさんは実際にレンタルで観てみたが、う~ん良く言えば日本版の「セヴン」だったよ)



<< 挿絵で見たい場面や物など >>

暴動が起こる警察署で、少女を護る婦人警官が不届き暴徒市民に繰り出した正拳突きのシーンだね。
あそこは主人公と同じ気持ちになって、喫茶店の席で一人メラメラと熱くなってしまったぜよ!