忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「イマジナリ・フレンド」 読書感想

タイトル 「イマジナリ・フレンド」(文庫版)
著者 ミタヒツヒト
文庫 352ページ
出版社  早川書房
発売日 2016年7月22日

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この作者の作品で既に読んだもの
・今回の「イマジナリ・フレンド」だけ


<< ここ最近の思うこと >>

孤独でいるのは良くないよね~。
プライベートな時間は別として、日常生活や仕事関係でも一人ぼっちで他人と関わらない状態が続くと考え方が捻くれてきちゃうわ。
そんな時はイマジナリ・フレンドでもいいから話し相手が欲しいと思うこともあるさ。
しかもそれがカワイイ美少女とかすんごい美女とかだったら、最高だわなぁ~。
ますます他人に興味が向かなくなりそうだけど(^^;)


<< かるーい話のながれ >>

コミュニケーションが苦手でいつもぼっちだった大学生のヤマジ。
彼にしか存在を認知できないイマジナリー・フレンドのノンノンという金髪美少女が唯一の友人だ。
小さい頃からずっと一緒の二人は何も無いながらも平和な大学生活を送っている。

ある日、ヤマジの将来を心配したノンノンはイマジナリー・フレンド持ちが集まる「空想ともだちカンパニー」なる所へ行ってみないかと彼を誘う。
渋々ながら行ってみると、そこにいる人達は確かにノンノンを認識できて会話も出来るようだった。
さらにヤマジはノンノン以外のイマジナリー・フレンドにも初めて出会う。

ある種の才能を認められてカンパニーで働くことになったヤマジ。
フレンドと別れようとする人やお互いに納得して送別会をする人、フレンドに関するルール、消えてしまった彼らを助ける方法など色々な経験や知識を身につけていくヤマジは、自身も知らぬ間に人間として成長していた。

ノンノンは理解していた。
成長したヤマジにはもうフレンドは必要ないということを。
そして送別会を行う前に消えてしまったノンノン。

イマジナリー・フレンドに関する全てを失ったヤマジは今まで通り続けてきた一人の大学生活を送っていくのだが、何かが足りないと感じている。
ある日、ヤマジの元に謎の手紙が届く。
中身は一枚の便せんで「ずっと待ってる」と書いてあるだけ。
そして「ノンノン」という署名のみ。
イマジナリー・フレンドから卒業して自立できる人間になったヤマジは、これからどのような決断をしていくのか?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

197Pより。
―――「自分でわかってるならそれは欠点じゃねえ、弱点だ。欠けてる点はどうにもならねえが弱い点は鍛えることができる・・・・・と、俺は思う・・・・・が、ちょっとクセエな」―――
↑このセリフなかなかグッときたよ。
チワワのくせにカッコイイこと言うじゃないの、男気ありすぎな言葉がギャップ萌えやん。
(おじさんも視力の衰えを最近感じてきて、目の筋肉を鍛えているのだ・・・・・ちょっと違うか)

ヤマジという主人公、コイツは感情が高ぶって興奮状態のピークになると上半身裸になって後先考えない奇行に走る癖がある。
ラソン大会で暴走して出場停止になったり、熱中症になりかけて暴走したり、女の子に振られて暴走したり、最初の内は読んでいて「う~ん、このノリは寒キツイなぁ」って思っていたんだけど、中盤で「ドア」に突き進むシーンではちょっとアリだなと思った。
そんでもって終盤にて、一人残されたノンノンを見つけたヤマジはキャストオフして彼女の元へと・・・・・ここんとこはカッコイイとさえ思っちゃった。
(あのアニメで「行けよ!ビルドダイバーズ!!」って言ったあのヒトみたいな気持ち?)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

主人公であるヤマジはかなりのヘッドホン好きで音楽鑑賞も好きって設定だけど、だいたいこーゆー青春恋愛系の男主人公は音楽が好きだよねぇ。
まあそれが悪いってことはないんだけどさ、なーんか読んでいて「あ~、またか」って気分になっちゃう(・・;)

145Pより。
―――「賢二くんはね、昔からこのカンパニーみたいな仕事を個人でやってて、その時の貯金で、わたしたちはこうして食べていられるし、やまじくんにもお給料が払えてるんだよ」―――
過去にはそんなに大勢のイマジナリ・フレンド持ちがいたってことなのかな?
それともとんでもない金持ちが客だったことがあったのか?
なんにせよかなり稼いでいたってことになるけど、世間に認知されないイマジナリ・フレンドでどうやって大金を稼いだのか気になるな。

イマジナリ・フレンドの正体とか、アッチの世界の仕組みとか、細かいことはいつも通り不明なままで終わったのが残念。
(イマジナリ・フレンドを使って悪用とか考えるようなヤツは・・・・・いやいや、善人にしかフレンドは発現しない現象なんだろうきっと)


<< 読み終えてどうだった? >>

内容は主人公ヤマジの成長物語だね。
何だかんだでノンノンとしんみり別れて終わりってやつかと思っていたら、まったく予想外の展開になっていったのが驚き。
あの扉に飛び込んで行った辺りからラストの展開が読めなくなってきたな。

それにしてもヤマジのキャラクター設定が、まぁ~青臭いったらありゃしない!
空回りなセリフや行動がね・・・ほんとにまぁ~、もぉ~~、夢を失った中年オジサンにはキッツイキッツゥイ(;´Д`)
でもこれ系が好きだった時期もあったのよ。
「ネガティブハッピーチェーンソーエッジ」とか「神様のパズル」とか、昔は好きだった。
映画の「ネガティブハッピーチェーンソーエッジ」で使われたGReeeeNの「BE FREE」を久しぶりに聞いて若い感性をちょこっとだけ思い出したわ。
いつから青臭いのが苦手になっちゃったんだろうねぇ。

さてさて読了感は・・・。
あのオチじゃあ結局なんにも変わんないじゃんって?
いやいやそんなこたないよ!
自分で考えて、決断して、実行したヤマジの急成長に拍手を送りたいくらい爽やかな後味だったな。
(この作品もいつか実写映画化しそうな気がする・・・)


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

15Pより。
―――それらの情報はおれが無意識に得たものであり、それをノンノンという靴下人形(ソックパペット)を使って代弁させているだけではないだろうか。―――
ソックパペット」は中身のない人形が人形遣いと腹話術で会話するその姿から付けられたネットスラングのようで、自作自演的な行為の事を言うみたい。

105Pより。
―――「・・・・・僕は、幸せだったよ。まさるがいてよかったと思うことは、今も昔も枚挙にいとまがないさ」―――
「まいきょ」
いちいち数え上げること。一つ一つ数えたてること。

287Pより。
―――その場にいるはずもないし実際は黒い体毛らしいフランダースの犬にレポートの完成を告げると、おれは一瞬だけ万年床に倒れ込んで、そして弾かれるように起き上がる。―――
調べてみると原作のモデルになったのは「ブービエ・デ・フランダース」という犬らしい。
画像を見ると確かに黒いくせ毛に覆われた姿をしている。
ただこの犬種じゃなくて別の犬だっていう意見もあるようで、ホントのところは分かりません(´・ω・`)


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

今回は風波見京子のフレンド「ねぎとろ」を描いてみた。
全くの想像で描くのは今回が初めてかも?
ちなみにキズモではありません・・・・・グレムリンでもありません( ;∀;)

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155Pより。
―――身長はおそらく、四十センチにも満たないだろうか。オーバーオールを着て、涼しい顔で二足歩行する、ピンクのチワワだった。―――

(しまった・・・尻尾を描けばもっとチワワらしく見えたかもしれないのに)