忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

ミサイルマン 読書感想

タイトル 「ミサイルマン」(文庫版)
著者 平山夢明
文庫 349ページ
出版社 光文社
発売日 2010年2月9日

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<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・「独白するユニバーサル横メルカトル」
・「メルキオールの惨劇」
・「ダイナー」


<< ここ最近の思うこと >>

突然だけど、「ミサイルマン」と言えば何を思い浮かべるだろうか?
ハイロウズ」の歌だったり、お笑いコンビの「ミサイルマン」だったり、おじさんの場合はソフィアの曲を真っ先に思いついたんだけどあの曲は「ミサイル」だったようで。
(でも歌詞では「ミサイルマン」と言っているし)
でもでも、次からは平山夢明の小説だ!って答えちゃう。
ワクワクしかない短編集第二弾!
期待しちゃっても大丈夫、間違いなくその期待を超えてくれる小説だから。
いざ、いざいざ、魂を鷲掴みされちゃう世界に飛び込むぜ~(=゚ω゚)ノ
(なんか食わせろ なんか食わせろ なんか食わせろ~~~!!)


<< かるーい話のながれ >>

「テロルの創世」
バグと呼ばれる殺人鬼が神出鬼没している街。
そこに住むミカゲは学校で特講というモノを受ける。それは十歳になった子供達がみな受ける抗議で、クラスメイト全員がこの世界の成り立ちと、自分達の存在理由を教えられたのだった。
現実味の無い話を真剣に考えることよりも、ミカゲ達にとっては夜の祭りと花火大会のほうが重要だ。
ミカゲ、シメジ、ミチル、ちかこの四人は秘密の特等席で花火を見物するが、そこで恐ろしいモノと出くわしてしまい・・・。
小説『わたしを離さないで』とか映画『アス』を連想しちゃう内容のお話だった。
(飴屋の災難が笑えるんだけど、とろとろの飴はその後しっかり落とせたのだろうか?)

「ネックサッカーブルース」
幼い頃の火傷によって酷く醜い顔になってしまった男。
「あんたみたいに醜い男を好きな美人がいる」という言葉に誘われて、小さなスナックを訪れた。
そこに居たのはブルーという絶世の美女。
彼女は言う「ただは厭なの」 「血が欲しいの」と。
男の血を気に入ったブルーと蜜月を過ごすが、幸せな時は長く続かない。
アイツがやって来たのだ・・・。
あの有名な童話オチか(笑)
おじさんもブルーに「ヒャッホゥ」されてドンッっと毛穴をドン開きしたい(*´ω`)

「けだもの」
自身の死を願う老人はその手伝いを息子のテオに頼むのだが、毎回実行されることはなかった。
何度目かの処刑中断の時、テオは娘が殺されたと打ち明ける。
手掛かりの無い事件で進展は望めず、さらにテオに疑いの目を向けられる始末。
憔悴しきった姿を見兼ねて、老人は自身の処刑を条件に犯人捜しを手伝うことを約束した。
老人の持つ異能の力で犯人を見つけようとするのだが・・・。
珍しくも勧善懲悪系なお話だったね。
ニコライ・ダルチムスキー・・・・・って誰よ?
調べたら1977年の映画『テレフォン』に出てくるキャラクターっぽいね。
電話だからこのネーミングチョイスなのか?

「枷」
女性の死の瞬間に発現する超常現象の結果を収集するのが生きがいの男。
子持ちの女と婚姻関係のない夫婦生活をして、普段は役者の仕事をして、条件に合った標的が現れたら攫って嬲り殺す。
男はある日、自身の演じるキャラクターについて演出家に問われる。
「この男は最愛の人を拷問できると思うかい?」
そして思いもよらないビッグハプニングが起こってしまった・・・。
死の瞬間に現れる奇跡・・・・・映画『マーターズ』を感じるぞい(; ・`д・´)
それにしてもコレクターが自身に付ける枷の話になるほどだわ。
皆も際限なく収集しないよう、無意識に設定したりしてるのかな?

「それでもおまえは俺のハニー」
何の価値もない飲んだくれポンコツ男は、突然現れた美女に誘われて一軒家に住まわせてもらう。
衣食住の世話をしてもらうヒモになった男。
彼を養っている美女は耳が聞こえなかったが、なぜか家にはそこら中に黒電話が設置してあった。
まるで無数の虫のように存在している黒電話について彼は問う。
美女は答えた。
聞こえる人には聞こえない電話を待っているのだと・・・。
箸休め的な恋愛系のお話だったね。
でもそこは平山小説、「下痢のポタージュ」「トーストに塗った糞」「腐ったマン臭」などなどおよそ恋愛物語とは思えない単語がずらずらと(笑)

「或る彼岸の接近」
リストラされた主人公はなんとかタクシー会社に再就職して妻と息子を養っている。
節約のために一軒家へと移り住もうとする。
不動産屋に紹介された一軒家は運良く格安で好条件な一軒家だったが、それには理由があった。
庭の一角にトタンで仕切られた部分があって、そこは誰のものかわからない墓があるのだと言う。
そこだけは家主の土地でもないので構うことはできないのだが、放置してもらって良いとのことだった。
それくらいなら問題ないだろうと納得して移り住んだ一家だったが、ある日から妻の行動や言動がおかしなものになっていく・・・。
辛うじてバッドエンドではなかったけど、ハッピーエンドでもないわなぁ。
本当に災難としか言えないわ。
(この主人公はホラー映画とか見たことないのかな?よくありそうな展開だったけど。カーナビも無い時代の話だからまだ一般的ではなかったとか?)

ミサイルマン
ツヨシとシゲは定期的に女を拉致してきては殺すという鬱憤晴らしにハマっていた。
ある日、シゲは以前殺した女に財布を盗まれたままだったことをツヨシに伝える。
それだけならば放っておいても良いのだが、死体を埋めた場所が心霊スポットになってしまい、その周辺で被害者の皮も見つかってニュースで話題になってしまっていたのだった。
埋めた遺体を発見される前にシゲの財布を取り返さなければならない。
2人はすぐに遺体を掘り返しに行くのだが、腐りかけた遺体の状態は凄まじく、そして恐ろしい罠が仕掛けられていた・・・。
自動販売機の新規営業方法がリアルにありそうって思えちゃう。(あの社長も良いキャラクターだったなぁ)
それにピカチューって(笑)
表題作になるに相応しい面白さの物語だったよ。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///まさに死を願うほどの絶望///
「ネックサッカーブルース」より。
欲望のままに突き進んだ主人公に訪れる最悪の状況にガクブル(゚Д゚;)
85Pより。
―――「どこまでおめでたい奴なんだ。おまえが行くのは便所のなかに決まってるだろう。明日の夜には下水管を旅してるはずだ。意識を持ちながらな・・・・・」―――
下水管の中を意識を持ったまま旅するって、どーゆーことよ!?
しかも肉塊になった状態でってことだよね・・・・・いや、もう肉塊でもない状態なのか。
想像もできないし、想像もしたくない、でも面白かった!

///世知辛い親子の会話になぜかほっこり///
「枷」より。
地下鉄にて偶然居合わせた血縁関係のない父と娘の会話。
165Pより。
―――「わたしは・・・・・」一瞬、顔を曇らせるがあなたを見上げて
「おとうさんと一緒なら帰る」
「好きにしろ」
「暗いね・・・・・なんか」
「面白いことなぞあるものか。生きてるんだぞ」
「ほんとだよ。ほんとだね」
あなたたちはそのままやってきた電車に乗り込むと並んでつり革に掴まった―――
家に帰らなくなった不良女子学生と連続殺人鬼の義理父、そんでもってこの短い会話で伝わってくるやるせない感情が乾いた心に染みこむ平山夢明節なわけですよ(←おじさんの個人的感想です)
そしてこの後、ちょっと和んだと思ったらあんなことになるなんて(゚Д゚;)

///個人的ベストグロテスクシーンはコチラ///
ミサイルマン」より。
醜く太った女を殺して埋めたのだが、ある理由からもう一度その死体を掘り返すことになった場面。
310Pより。
―――おれとシゲはさっきからヘドを撒いていた場所へジャンプすると並んでもどした。二人とも口を開けてもケェェという音がでるだけで煙も立たなかった。
「辛いよ、ツヨシさん。俺、本当につらいよ」
「死人ってのは無敵だなぁ」―――
吐かずにはいられない臭気、腐肉から作られる液体溜まり、死体から溢れる害虫の群れ・・・。
今まで読んできた平山作品の中でも屈指のレベルな描写だったね。
間違いなく酷い表情で読んでいたと思う、出先で読まなくて本当に良かったわ(笑)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///鼓膜という器官について///
「それでもおまえは俺のハニー」より。
鼓膜を突き破って騒音をシャットダウンした主人公だったが、その後も聴力は回復していないようで。
210Pより。
―――いまだに唇が読めないので筆談なのが玉に瑕だが耳のことはさほど気になりゃしない。―――
自作耳栓をもうちょっと工夫していたら大分マシになったのではないかと思う。
(経験上ティッシュではまったく役に立ちません)
むかし読んだマンガ『ろくでなしブルース』に鼓膜は破れてもまた再生するって書いてあったような気がしたけど、どうなんだろ?再生するにはけっこう時間がかかるのかな?

///わかる人にはわかるのでしょうか?///
ミサイルマン」より。
殺した女の首を切り落として、その顔をいじくりまわして遊んでいたツヨシとシゲ。
2人はいじくっていた女の顔が誰かに似ていることに気づく。
286Pより。
―――オンナの顔は海外進出だとか言っては外人チンポばかり追っかけている嘘泣きオバサン歌手にソックリだった。
「こんな顔のババア歌手いたな」―――
海外進出・・・嘘なきオバサン歌手・・・だれなんだろ?
ネットで調べても、もちろんでてくるワケがない(笑)
(でもそれっぽい人はなんとなく・・・・・いやいや、まさかね~)


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
7話ある短篇のすべてが男性主人公の視点から語られていた。
だから『独白するユニバーサル横メルカトル』と比べると、カラフルな印象は少ないかも。
その代わりという訳ではないと思うけど、今回は人間だけでなく怪物や悪霊関係の話も入っていた。
そのせいで雰囲気が崩れるかと思いきや、まったくそんなことはなく平山ワールドは完璧なクオリティーで仕上がっていたよ。

///話のオチはどうだった?///
とりあえず表題作の「ミサイルマン」のオチ感想を。
相変らず不思議な気分にさせてくれるね、内容なんて血も涙もないクズばかりのお話なのに読み終わりの後味は悪くない。
友情だけが光っていたよ・・・・・ってそんなしんみりと考えるようなもんじゃねぇ!
ハイロウズの曲を聴け!聞けばわかるさ!ノリと勢いが大切なのよ人生って(゚Д゚)ノ
(尖った頭で久しぶりにセガサターン星人を思い出しましたわ)

どうしようもない生き物の人間達、そんな彼らが見捨てることのできない魅力を醸し出す瞬間がある。
その一瞬を見事に描いてある短編集だったんじゃないかと思った。
(マンガ『闇金ウシジマくん』に近いモノがあるっぽい?)

///まとめとして///
ハズレ無しの短編集が読みたいだぁ?だったら平山夢明しかないっしょ!
普段から短編集を読まないおじさんだけど、この作家の作品ならばどんどん読んじゃうって決めちゃいましたわ。
こんなに強烈な作品ばかり書いちゃう平山夢明って人は、一体どんな人生を送ってきたのか?どんな作品を観てきたのか、おじさん気になります!

期待を裏切らない見世物小屋、恐ろしいモノを読みたい知りたい大人はどうぞ寄っといで、見ておいで。
今回も恐怖と興奮の魅力にがっしり心を掴まれてしまったので満読感9点!(10点満点中)
さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

40Pより。
―――二人とも六十近い。もう無理かもしれん。癈疾の噂が出ていた。―――
「はいしつ」
身体障害を伴う回復不能の病、とのこと。

64Pより。
―――「ひどく醜いわ。ジャコメッティの下手なパロディね」―――
アルベルト・ジャコメッティはスイスの彫刻家で絵画や版画の作品も多い。
もっともよく知られている作品群は、大戦後に作られた、針金のように極端に細く、長く引き伸ばされた人物彫刻みたい。
なるほどこれはかなりのスレンダーな人物彫刻だね。巨神兵を連想してしまうシルエットだわ)

91Pより。
―――丁度、麓への道を下りてくる杣がいたので山ほどの肉を毟ってやろうと牙を立てたが、彼奴めの力のほうが強く叶わず。―――
「そま」
古代・中世の日本で国家・権門が所有した山林。
上記の杣において働いている人のことをそまびと、とまとり、などと呼んだようで、近世・近代の日本では転じて林業従事者一般の意味で用いられるようになったとか。

138Pより。
―――「先生は是非、あなたに今回の芝居の主役級の役をお願いしたいと仰ってるのです。『悪霊』のピョートル役が先生の脳裏に灼きついて離れないそうでして・・・・・」―――
『悪霊』は、フョードル・ドストエフスキーの長編小説。
無政府主義無神論ニヒリズム、信仰、社会主義革命、ナロードニキなどをテーマにもつ深遠な作品でピョートル・ステパノヴィチ・ヴェルホーヴェンスキーのモデルはモデルは、革命家のセルゲイ・ネチャーエフとのこと。

174Pより。
―――「注射の跡。女は頭に打つの。目立たないから。舌や膝裏も使うけれど。シャブ中とかは顕現しないのかしら」―――
真偽のほどは不明だけど、妙にリアリティがあるように感じるぞい(; ・`д・´)

282Pより。
―――給料日にはナイタイを買い、何かの弾みで商売を忘れて俺に惚れそうなオンナを見つけると予約し、並んで、チンポをシゴイて貰い、金を払った。―――
Naitai magazine (ナイタイマガジン) は風俗情報誌みたいね。
1988年設立のナイタイ出版にて作られていたけど出版不況から売り上げは落ち込み、債権者に破産を申し立てられたらしい。

287Pより。
―――「あんな風に整形し過ぎると死相に近づくんですよ。あるじゃないですかピーリングとかって、顔の薄皮、薬品で溶かして剥がしたりするのが。化粧でごまかしても皺だの顔の癖だのを消せば段々、表情はなくなっちまいますからね。―――
ケミカルピーリングとは薬剤を使用して創傷の治癒に従って皮膚再生を促す施術、術式のこと。
美容や治療を目的として、酸性の薬剤を皮膚の表面に塗布し、新陳代謝の悪くなった角質層の結合を緩めることで自然に剥がす治療法みたいね。
美への探求心たるや凄まじいわ。

292Pより。
―――「私があんたらの頃は殴られ、イビられながら死ぬ思いで仕事をしましたよ。それに比べあんたらはオンバヒガサで極楽浄土ですよ」
週に焼肉を五日は食うという社長は近寄ると便所芳香剤なみに炭火とニンニクの臭いが盛大にした。―――
「オンバヒガサ」
乳母日傘は幼児に乳母をつけたり、強い日に当たらぬように傘を差しかけたりすること。
子供が大事に育てられることにいうらしい。

317Pより。
―――シゲはそれから、ドラキュラを完全に滅ぼすには、‶とねりこの杭‶で胸を突き刺した上で首を切断しなければならないんだと力説した。―――
トネリコ(梣)は キク亜綱- ゴマノハグサ目- モクセイ科に分類される落葉樹であるトネリコ属中の、日本列島を原産地とする1種。
「戸に塗る木」という言葉が訛って「トネリコ」と呼ばれるようになったとか。
ドラキュラに打ち込む杭となる木は主にトネリコ、ビャクシン、クロウメモドキ、セイヨウサンザシ等が使われるほか、ロシアではポプラが用いられることもあるとか。


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
ピアスに光のエフェクトを入れようと思ったんだけど、全然それっぽく描けない。
もっと暗い画面じゃないと輝いて見えないのか、ただ技術がないだけなのか・・・・・技術だな(笑)
(ちなみにピアスとイヤリングの違いってわっかるかな~?おじさんはこの年になって初めて知りましたわ)

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165Pより。
―――「おとうさん・・・疲れすぎ」マリコは甘えるように体をぶつけてくるが目は叱られないか顔色を窺っているようなところがある。
「ねえ。シェークスピアって、おかしいよね」あなたは無言でいる。
マリコは隣の客が読んでいる本を盗み読みするとあなたの耳元で囁いた。―――

ミサイルマン

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ミサイル

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向日葵の咲かない夏 読書感想

タイトル 「向日葵の咲かない夏」(文庫版)
著者 道尾秀介
文庫 470ページ
出版社 新潮社
発売日 2008年7月29日

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<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・今回の「向日葵の咲かない夏」だけ


<< ここ最近の思うこと >>

今回の小説もあるイベントで知り合った人にオススメされた一冊。
本屋で何度も目についた小説だったけど購入してみようって気持ちには至らなかった訳で。
人間の証明』や『アリス殺し』に続いて、この小説もおじさんに新鮮な感性を味あわせてくれるのか?

リーンカーネーションの輪の中で何度生まれ変わっても・・・と、嘆いていたのは『埼玉ゴズニーランド』を歌う大槻ケンヂ
オン アミリティ ウン パッタ 軍荼利・・・と言えば、『ベルセルク』の仙将ダイバ。(果たして完結はいつなのか?って思っていたら、まさかねぇ)
さあ、道尾秀介の描くもう一つの夏休みに飛び込んでみようぜ(=゚ω゚)ノ


<< かるーい話のながれ >>

夏休みを迎える終業式の日。
小学四年生のミチオは欠席していた同級生のS君にプリントを届けに行くが、S君は自宅で首を吊って死んでいた。突然の状況に混乱したミチオは学校へ引き返し、教師らにS君の自殺を報告するとすぐに帰宅させられた。

翌日、ミチオの家にやってきた刑事達と教師は言う。
「Sの死体なんて、なかったんだ。どこにも」
わけがわからないミチオだったが、さらに理解できない出来事に遭遇する。
自殺したはずのS君が現れたのだ、変わり果てた姿になって。
S君はミチオに告げる。
「僕は殺されたんだ」

2つの共通した特徴、S君がいた、あの嘘のこと、臭いが、悪い王様、体を見つけて欲しいんだ、性愛への審判、向日葵のこと、ポラロイド写真、普通じゃない形が、見つかったんだ、トコお婆さん、許さないから、もう一つの可能性、私じゃないんだ、食べちゃいな、三毛猫、がりがり、言わずもがな、今夜かぎりの話にするよ、3年ぶりの事だな、平気だよ・・・。

S君の無念を晴らすために、ミチオとミカは協力して犯人と消えた死体を捜索することにした。
なぜS君は殺されなければならなかったのか?
消えた死体はどこにあるのか?
連続する犬猫変死事件と、S君の殺人事件は繋がりがあるのか?
同級生の自殺をきっかけにして、絶望の夏休みが始まる。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///ミチオ少年はシックスセンス持ちなの?///
S君の死体が消えた後、自宅にて夕食を食べ終えたミチオは自室に戻ろうとするも、ドアの向こうにナニカの気配を感じたので隙間から中を覗いてみた場面。
72Pより。
―――すぐ鼻先に、顔があった。眼を大きく見ひらいていた。口が、何か大声で叫んでいるように縦にあけられて、その上下に、並びの悪い歯の先が、ぎざぎざに覗いていた。
僕はそのままゆっくりとドアを閉めた。―――
いや待て!怖すぎるだろ!
目の前にこんな光景があったらぜったい悲鳴を上げるわ(;^ω^)
パニックにならずゆっくりとドアを閉めるミチオはこーゆーことに慣れているのか?
(もしくはミカと一緒だから強がっているのか)
その場面を想像してみると、怖いけどシュールで笑えてくるね。

///ハラハラドキドキの侵入展開///
S君を殺してその死体を隠したであろう人物の部屋に侵入してみるミチオとS君。
部屋の主が出かけた隙を狙って中に入ると、そこには予想外のモノが・・・。
182Pより。
―――「ミチオ君、何だろう、あの写真・・・」硝子の天板の上に、まるでトランプの一組のように、大量の写真が散らばっているのだった。僕は硝子テーブルに近づき、身を屈めた。普通の写真の形と、少し違う。縦長で画像が上側にずれている。
「ポラだね」S君が言う。―――
映画とかでもそうだけど、ヤバい人物の部屋に入る場面はいつもドキドキさせられる。
そこで一体どんなヤバいモノが発見されるのかって展開がまたワクワクさせられる。
さらに部屋の主が帰ってきちゃった日にゃあアンタ・・・もうハチャメチャよ!

///ミチオ少年、ヤバい///
色々な出来事が起こって、ミカとS君の仲良し具合にも嫉妬して、ストレスの限界に達してしまったミチオはとんでもない行動に出た。
298Pから299より。
―――「そうそう、S君にプレゼントがあるんだ」「え、何、何?」「はい、これ」
僕は、それまで背中に隠していた右手を、さっと目の前に差し出した。その瞬間、S君はぴくりと身体を硬直させて息を詰めた。
「新しい友達、ほら」―――
子供らしい残酷な八つ当たり。
とはいえ、相手は自分と同級生だった元人間なのに、こんな事を思いついて実行するなんて・・・。
いい意味でも悪い意味でも、子供には無限の可能性がありますな(・・;)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///小学生の考え方じゃねえ(笑)///
S君の自殺現場を発見してしまったことを父親に報告したいミチオ。
しかしそのことを言えば母親から目を付けられてグチグチ言われるのは明白。
そこでミチオは微妙なニュアンスで伝えることを思いついた。
68Pより。
―――「人は、死んだらどうなるの?」
こういった話し方なら、お母さんも余計なことは言わないだろうし、お父さんも、あとでS君のことを知ったとき、僕がこのとき何を言おうとしていたのかわかってくれるだろう。上手くすれば、「友人が死んでしまったという事実にショックを受けて、感受性の強い息子はそのことを直接話すことができなかったのだ」と思い込んでくれるかもしれない。我ながら、見事なアイデアだった。―――
小学生がここまで深く考えてモノを話すのだろうか・・・・・でも泰造じいさんもミチオのことを頭のいい子って言っていたし、思考能力に個人差もあるだろうからありえなくもないか。
三歳児の妹であるミカも利発すぎだよね(すべて読み終えてから納得したけど)

///若手とベテランの理由///
S君の事件を捜査するために泰三の元へやってきた谷尾と竹梨という刑事。
88Pより。
―――ドアをあけると、そこには背広姿の見知らぬ男が二人立っていた。親子かな、と思った。父親に見えるほうは、頬のこけた男で、上目遣いにこちらを見る表情が、なんだか卑屈な印象だ。息子らしきほうは、額の広い、顔のつるつるした男だった。―――
映画『天気の子』でもそうだったけど、若手新人刑事が年配のベテラン刑事とコンビを組むことって警察業界では当たり前のことなのかな?
お互い歳が近いほうがいいような気もするけど、なにか理由があるのかね。
まあ、ふつーに考えればベテランがルーキーを教育するのは当たり前なんだけどさ(^^;)


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
大体はミチオの視点で語られているけど、たまに泰造の視点からも語られている。
新潮文庫は1ページの文字数も多いし、小説も470ページもあるのにぜんぜん退屈しなかった。
予想できない展開と、次々に出てくる真実と仮説と嘘が常に読者の心をザワつかせてくるからなのか?

個人的には、舞台が夏の小説ならばやっぱり夏に読んだ方がもっといろんな部分で共感できると思うし、イメージもしやすかったんじゃないかと思った。(おじさんは真冬の一月に読んでしまったのだぁ)

///話のオチはどうだった?///
『向日葵の咲かない夏』という題名と、新潮文庫というイメージから予想していた、ちょっぴり悲しくもスッキリ感のあるンディングを期待していたけど、あれまびっくりぜんぜん違っていたわ(゚Д゚;)
とてもジメっとした救いのない結末だったから少し驚きよ。
(いやでも、最後はマトモになったみたいから100%のバッドエンドではないぽい?)

終盤に近づいてから怒涛の展開が待ち受けていたんだけど、そこでの「嘘」と「ほんとう」が繰り返される会話が読んでいて理解するのが手こずってしまった。(ほんとは理解できずに流し読みしたり・・・)
細かい部分は流し読みしちゃったけど、恐怖と狂気の結末に向かって突き進んでいく物語は充分おじさんを熱中させたのは間違いなし。

///まとめとして///
2020年の年末に映画『ミッドサマー』を観て、2021年1月3日に祖父が逝ってしまって、その日の内に『向日葵の咲かない夏』を読み終えたのよ。
輪廻転生を重んじるコミューンがあったり、七日間ごとに生まれ変わる命もあれば、神となって家と家族を守ってくれる命もある・・・・・なんだか巡り合わせを感じた年末年始だったなぁ。

さてでは今回の小説!
狂った街でまき起こる、狂ったひと夏の事件と悲しい結末。
夏だからこそ熱くて辛い料理を食べるが如く、夏だからこそジメジメに狂ったの物語を読んでみるのもアリじゃないでしょうか!?ってな訳で、満読感7点!(10点満点中)
さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

60Pより。
―――「このあいだの、あれは解決したの?線路の音の問題は」トコお婆さんの質問に、僕は大きくうなずき返した。―――
電車のレールは繋ぎ目の部分に隙間が作ってあって、そこを通過するときに「ガタンゴトン」と音が鳴るみたい。
季節によって繋ぎ目の隙間が閉じたり開いたりするから音も変わるらしい。
最近では繋ぎ目のないロングレールというモノもあって、それだと音がしないから静かみたいね。

69Pより。
―――「中有の状態にある魂には、七日ごとに、生まれ変わるチャンスがめぐってくる。最初の七日目でだめだったら、次の七日目、それでも駄目だったら、また次の七日目ってな」―――
↑インド古来の四十九日に対する考え方ってことかな?
宗教の種類や宗派によって考え方がいろいろあるみたいだけど、基本的には七日ごとに生まれ変わるとか裁きを下されるとか、そーゆー感じみたいね。
(もう一度生まれ変わったら、家族を連れて、埼玉ゴズニーランドに行きたぁ~い!)

308より。
―――僕たちがそんな会話をしていたら、ミカが口を挟んで、蚊取り線香と線香花火はぜんぜん違う形をしているのに、どうしてどちらも線香なのかという質問をした。―――
蚊取り線香はもともとまっすぐな形だったらしいけど、燃焼時間や火災の危険性から現在の渦巻き型に変化したみたい。
線香花火については、竹ひごや藁で作られたすぼ手(元祖線香花火?)は現代のように手に持つ物ではなく香炉の灰に立てて鑑賞していたようで、この様子が線香を立てているように見えた事から線香花火と呼ばれるようになった。

346より。
―――その日、泰造は山の中で一人膝を抱えて過ごした。母の出棺をみることも、僧侶の誦経を聞くこともなかった。―――
「ずきょう」
経文をそらで覚えて唱えること。僧に経を読ませること。


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
383Pより。
―――踵を返す。家のある方向へと、林道を戻りかけたとき───。
「よかった、ここにいたんだ」
声がした。虚を衝かれ、泰造は顔を上げる。
「家に行ったら、いなかったから。ここかなと思って」
「きみは───」―――

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森とか林とか描くのはしんどいです(>_<) (いや、描くのにしんどくないモノも無いんだけどね)
もう勢いでだぁーっとやるしかないじゃない!
めんどくさがらず丁寧に描くことを身につけなければ。
わかってるのよ、わかっちゃいるけど・・・・・出来ないのが人間、じゃなくておじさんなのよよよ。

埼玉ゴズニーランド

埼玉ゴズニーランド

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女戦士・フレア伝(3) 虚空の要塞島(アルバロン) 読書感想

タイトル 「女戦士・フレア伝(3) 虚空の要塞島(アルバロン)」(kindle版)
著者 友成純一
紙の本の長さ 246ページ
出版社 アドレナライズ
発売日 1991年7月1日

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<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・「凌辱の魔界」
・「獣儀式」
・「ナイトブリード」
・「肉の儀式」
・「肉の天使」
・「獣革命」
・「女戦士・フレア伝(1) 邪神殿の少女」
・「人獣裁判」
・「宇宙船ヴァニスの歌」
・「女戦士・フレア伝(2) 絶海の黄金郷(エルドラド)」
・「宇宙船ヴァニスの歌(2) 恐怖の暗黒魔王」


<< ここ最近の思うこと >>

最近アレ食べてないな~って思うことあるよね?
二回続けて食べるのはきついけど、二ヵ月に一度くらいのペースで食べておきたいモノ。
例えば豚骨ラーメンの山岡屋・・・・・初めて行った時は全部食べきれずに友人の助けを借りてしまったが、次回こそは必ず全てを堪能してやるからな(`・ω・´)
おじさんにとって友成純一作品とはそーゆーモノなんです、山岡屋なんです(意味不明)

そうです、今回はフレア伝シリーズの第3弾だす!
飛び散る血飛沫、響き渡る悲鳴、躍動する美しい美女の肉体・・・。
今回はどんな冒険がフレアを待っているのか、さっそく飛び込んでみようぜ(=゚ω゚)ノ


<< かるーい話のながれ >>

北方蛮族とアマゾネスの間に生まれた女剣士フレア。
彼女は滅ぼされたアマゾネスの残党と合流する為、魔剣イスカンダルと共に旅を続けていた。

旅の途中で滞在していたオクエウの港町にて、連日行われていた祭りにのせられて不覚にも泥酔してしまったフレア。
その夜、運悪く海賊団がオクエウに侵入して街は炎と殺戮の大混乱になってしまう。
美しく魅力的なフレアはもちろん海賊団に目を付けられて襲われそうになるが、持ち前の戦闘力でその場を切り抜けようとする。
しかし泥酔による絶不調で敵にやられてしまい、気を失ってしまう。
そして目を覚ましたフレアは、自分が空中に浮かぶ巨大な島にいることに気づき驚愕した。

不思議の国ブニイプス、潜航艇、放火と殺戮、捕獲成功、飛行要塞、なんと醜いのだろうか、アトランティス族の末裔、高貴なる野蛮人、グチュッと、はるかにロマンチストだった、好機到来、もう尻に敷かれてる、興国の志士、白い狼人間、魔剣、多勢に無勢・・・。

美貌と色気と強さを備えたフレアと魔剣イスカンダルの冒険第3弾。
超古代文明を操る連中、秘密兵器を駆使する海賊団、空中の怪物、よからぬことを企む王族と神官長などなど、今回も波乱に満ちた運命を切り開いて、フレアはアマゾネス達を探し求める。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///呑み過ぎだよフレアさん///
オクエウの祭りが一番盛大になった夜、酒場で飲み比べ勝負に連勝して路銀をたっぷり稼いだフレア。
しかしさすがに飲み過ぎたのか、足元がおぼつかなくなってしまう。
周りはフレアの金と肉体を狙う男達が溢れているのに・・・。
位置№ 314より。
―――フレアは意味もなく可笑しくなって、歩きながらケラケラと笑った。そして跳びはねたり、くるくる回転してみせたりした。
「あら、酔っ払っちゃった・・・・・あたし、酔っ払っちゃったわ」―――
珍しくも酒に酔っ払ってしまうフレアがカワイイったらありゃしない。
1巻、2巻からは想像できないようなへろへろフレアたんにおじさんもメロメロっちゃいそう。
にしても体重と同じくらいのアルコールを摂取してしまうって、どんだけ飲んだのよ(笑)


///やはり海賊たちはこうでなくちゃ///
海賊団の頭領がコロコロと方針を変えることに不安を募らせる船員たち。
挙句の果てには今まで稼いだ財産をアマゾネス国の建国資金にすると言う。
さすがに着いていけない、と思う船員たちだったが・・・。
位置№ 2224より。
―――フレアに協力して流される血は、すなわち国造りに結びつく。そして抱ける女は・・・・・ぐふ、ぐふふ・・・・・・アマゾネス。
フレアをすっかり気に入ったコックが、止めのひと言。
「アマゾネスの残党、百数十人いるって頭領は言ったな。俺たちは、幽霊島に残して来た仲間も合わせて、四十人そこそこ・・・・・一人につき、少なくとも、アマゾネスが三人だ」―――
頭領の夢に気前よく付いていく精神、分かりやすいぐふふな考え方、どこか憎めない海賊たちがイイね。
(おじさんもアマゾネス国の建国に投資したいです!利益還元をオナシャス!)

///さぁ~て、今回の殺戮グロシーンはいかほど///
ブニイプスの女王と皇太子が悪魔召喚の為に町から連れて来た若い処女たち。
全裸に剥かれてこれから何をされるのか、彼女達は何も知らないまま不安に怯える。
位置№ 1557より。
―――乙女たちの内に、深刻な不安が目覚めた。私たちは、本当に用がすんだら帰れるのだろうか。まさか皇太子様、私たちを。―――
八人の女たちが受ける凌辱と苦痛。
全てはブニイプス再興の為、しかしその結果は・・・・・なんという無駄!


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///人知の及ばざる剣は一体何を考えているのか?///
宿泊していた宿にて、海賊団の襲撃を受けたフレア。
海賊の頭領であるグラントにイスカンダルを奪われしまう。
位置№ 533より。
―――グラントの困惑など、剣の知ったことじゃない。驚いたことに、剣は勝手に動いた。勝手に動いて、フレアを突いていった。
「ああ・・・・・イスカンダル!」フレアが、悲痛な声を出した。―――
なぜイスカンダルは主人であるフレアに攻撃をしたのか?
まあ毛皮の鞘に収まったままだったし、ひょっとして飲み過ぎたフレアに活を入れるつもりだったとか?

///これは天空の城的なイメージ?///
アルバロンの空中森林にて、フレアは金属でできた巨大な人型像を発見する。
位置№ 675より。
―――小さくて丸味を帯びた胴に、関節がなくてやたらにひょろ長い四肢が生えていた。頭は、これまた小さい奴が、申し訳なさそうにちょこんと乗っている。鼻と耳がなくて、目と口が丸く穴を開けている。―――
これは・・・・・おじさんの頭に浮かんだのはラピュタのアイツだね(笑)
表紙に描かれている後ろ姿だとあんまり似ていないけど、文章だと完全にアレなイメージだわ。

///どんだけ丈夫な体なのよフレアさん///
『魔人』に乗り込んで大空の雲の中を漂い続けるフレア。
位置№ 1943より。
―――だから魔人自体はいつまででも空を飛び続けることは出来るが、食料のストックや、疲労回復のための睡眠のスペースはなかった。
二日が経った時には、疲労困憊していた。―――
二日間、いや三日間もずっと『魔人』の中にいて、水分補給は?
そしてトイレは? まさか垂れ流し・・・(゚Д゚;)
ままま、フレアさんはとても強靭だし美人だし(笑)


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
久しぶりの友成作品だったせいなのか、とてもスムーズに楽しく読めてしまった。
シリーズ3作目だからなのか?それともグロ演出少な目でアドベンチャーな展開だったから?
とにかく今回はシリーズを通して一番ワクワクで童心をくすぐられるような内容だったよ。

今まで謎に包まれていたフレアの過去もしっかり描かれていたし。
(しかしまた壮絶な生い立ちだったわな・・・)

///話のオチはどうだった?///
フレア伝シリーズで初の前編・後編のお話だった。
またまた捕らえられてしまったフレアはどーなってしまうのか?
続きが気になる~!
でも次巻でシリーズは最後みたいだね。(ちゃんと完結させていたことに驚いてしまう)

本編後のオマケである電子版のあとがき、今回も実に楽しく読ませていただきました。
バリの痛風アサムラが怖い、そして関節軟骨も大切よ、尻タブから穴が覗くようになったら死ぬ時、そんでもって最後はしんみりさせる終わり方・・・・・まったくジャンルの違う読み物が2つ収録されていてお得感が2倍だわ。

///まとめとして///
直し方は知っているけど新しく作ることはできないアトランティス文明のテクノロジー
これってなんだか製造系の中小企業にありがちだな~って思ったのはおじさんだけ?
まあそれは置いといて、キマイラVS魔人の空中戦たるやなんと好奇心をそそる展開か・・・・どうして魔人に武器を持たせないのか?
いや武器を持たせない戦い方だからこそ面白かったのかも。
総合的に考えてとても楽しめたんだけど、ちょっとエログロが物足りないのも事実。
(シリーズ作品ではなく、1作読み切りのドギツイお話を読んでみたくなった)

グラントの恋路は? 海賊たちのぐふふ計画は? 囚われたフレアの運命は!?
次巻はシリーズ最終巻!!
今回は控え目だった血飛沫と殺戮とエロスをたっぷり期待しておりますってな感じで満読感7点!
(10点満点中)
さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

位置№ 523より。
―――形といい色といい、象眼してある宝玉のみごとさといい・・・・・大変な代物だぜ、こいつは。―――
「ぞうがん」
金属・陶磁製の器物などに、他の材料をはめこむこと。

位置№ 1292より。
―――グラティフン山脈だけが高層建築のように高々とそびえ立っているが、その東側は急激に標高を下げ、延々と緑の沃野が続いている。―――
「よくや」
地味が肥えた平野。

位置№ 1423より。
―――夜が更けてから一時間、いや二時間も、塑像のようにじっと坐っていただろうか。そして息子イトバールのことを考えつつ、夜空を見上げていた。―――
「そぞう」
粘土や石膏を材料として作った像。青銅像などの原型としても作られるらしい。

位置№ 2890より。
―――魔人の動きは、中風の発作で痙攣を起こすのに似ていた。―――
「ちゅうふう」
中気ともいうようで、後天的な半身不随,顔面,腕または脚の麻痺,運動障害などの症候群をいう。
普通は脳卒中の後遺症として現れるものをさすらしい。

位置№ 3027より。
―――バリの名物豚料理バビ・グリン(Babi Gring)は最悪・・・・・全部、私の大好物だ。―――
バビ・グリンとは豚の丸焼きのことで、「バビ」が豚肉を意味しているらしい。
豚の色々な部位を一度に楽しむことが出来る料理とのこと。
痛風はほんとに怖いねぇ・・・)


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
ついにアップルペンシルを購入してみた!
やっぱり先の細いペンは見やすいし使いやすいね。
だけど良いモノを使ったからと言って、技術が向上する訳ではない・・・・・もっと描くしかないなぁ。
いやまずはアップルペンシルでどんなことが出来るのか調べるのが先か。
位置№ 501より。
―――黒装束の二人の突きを、フレアはひょいと首を曲げ、上体を反らせていとも簡単に躱した。―――

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