忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「三日間の幸福」読書感想

「三日間の幸福」(文庫版)
著者 三秋縋
文庫 306ページ
出版社 アスキー・メディアワークス
発売日 2013年12月25日


アカンよ!!
最近のおじさんはホラーとかグロとかエロとか、そんなんばっかり読んどるやないか!
ちょっと偏った読書歴を修復しないと。
何事もバランスが大切よ(*‘∀‘)
てなわけで今回はネットの評判を参考に選んでみたコチラだわさ。


<< かるーい話の流れ >>

主人公は20歳のボッチ大学生クスノキ君。
小学生の頃は学年トップの成績で周りを見下しておりそのことを周りも知っていたので、当然のことながら友達などおらず常にボッチでいじめにもあっていた。
そんなクスノキ君はなんやかんやで金欠になってしまい、ついにコレクションの本やCDを売ることに。
(一人暮らしで両親とも最悪な関係なので仕送りはナッシング!)

その時、ひょんなことから寿命を買い取ってくれると言うサービスを紹介してもらう。
生きていても希望が見えないクスノキ君は思い切って三カ月だけ残して、全寿命を売ることに。
獲らぬ狸の皮算用で色々妄想していたが、提示された金額はなんとたったの30万円!!
これまた絶望したクスノキ君はもうどうでもいいやってことで、30万で寿命を売っちゃった。

監視員ミヤギという女性(残り寿命の少なくなった人間が他人様に迷惑をかけないように監視する)クスノキ君の元に派遣されて、二人で残りの人生を細々と過ごしていく。

といっても残り少ない人生が平和に過ぎていくわけがなく、暇なクスノキ君はやることなすこと良くないことになってしまいどんどん打ちのめされていくのだ。
厳しい現実を突きつけられながらも、監視員ミヤギちゃんとなんだかんだで仲良くなっていくクスノキ君は、小学生の頃に唯一仲間のような関係だったヒメノに逢いに行く決心をするんだけども・・・。


<< 特に良かった部分・良かったセリフ・シーンなど >>

この小説のヒロインである監視員のミヤギちゃんが可愛いわ~( *´艸`)
もうね、前半はあんなにクールでサバサバした機械みたいな子なのに後半であんなにもデレデレ、イチャイチャと・・・・・も~けしからんよ(笑)
話を読んでいるとクスノキ君の同級生であるヒメノがヒロインっぽいんだけど、こちらは違います。
(ミヤギちゃんよりも強烈なインパクトはあったけどね)

あと全編を通してクスノキ君の空回り加減と、とにかく終始打ちのめされまくりな人生が笑えるレベルの酷さだったわ。
彼自身が他人に好かれるような性格ではないけど、それだけでここまで酷い人生にはならないだろうて。
ツイテいない星の元に生まれたのかなぁ?

あと最後にヒメノちゃんのキャラクターもなかなか印象に残るわ。
いやぁ~猛毒なでっかい棘を隠し持っていたねぇ。
クスノキ君が手紙を読んでいるところはおじさんも一緒にガクガク震えちゃいそうだった。


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

この小説は全編クスノキ君の視点で語られている。
だからひねくれたボッチ青年の独白文章が苦手は人には最後まで読むことは難しいかもしれないね。
(色んな小説を読みなれている人なら最後まで読めると思う)
おじさんもそれなりにいろいろ読んできた中年なので、途中脱落することは避けられた。
でもちょっと退屈になりかける部分も・・・ね(;´・ω・)

気になったところは、ミヤギのステルス・モードがどのようなものなのか色々試してみたくなった。
実際に触っても他人は気づかない、目の前でコップが持ち上がっても机に静止したままに見える、など。
まあ人知の及ばぬ理な力でそうなっているんだから、どうやってもミヤギを認識することは出来ないんだろうけどさ。


<< 読み終えてどうだった? >>

前半はとにかくクスノキ君がスッコスコに打ちのめされる青春小説で(ちょっと回想多めかな?)後半は切ない系の恋愛小説って感じの作り。
最後に明かされる30万円の妥当性ってのが中々にショッキングで面白かったよ。
クスノキ君はここでもズタボロよ!)

作中の最後の最後にて、題名がココのことなのかーっていう感動はガッツリ喰らいましたわΣ(・ω・ノ)ノ!
こういう終わり方は今まで読んできた小説にはあまりなかったと思うから、とっても新鮮味を感じたしその後の人生を妄想するのも捗りますな(笑)

メディアワークス文庫だからそれほどのものは期待していなかったけど、予想外にグッとくるちょっと不思議な小説だったね。
結末もバッドエンドなんだけど、なんだけどぉ・・・・・だけどクスノキ君にとってはこれ以上ないくらいの最高なハッピーエンドだったので読了感はとても爽やかってことで~。

これからどんどん暑くなりそうな初夏にぴったりな一冊だったよ(*´▽`*)
(2017年の06月後半に読み終えたから)

<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

この作品はもともとはWEB小説だったらしい。
少年ジャンプ+でマンガ連載していたらしいけど、どーなんだろうねぇ。
センスある人が書いてくれると良いんだけど。
そういやミヤギちゃんがロングヘア―になってますな。
(個人的にはショートヘア―のほうが好みなおじさん)

289Pより。
―――不幸に耐えるためにおこなっていた自己憐憫はいつしか―――
「じこれんびん」
自分で自分をかわいそうだと思うこと。自分に対して憐憫の情を抱く事。

これはあとがきに書いてあったけど、馬鹿は自分から不幸になりたがるらしい。
確かに悩んでも仕方ないことをずーっと悩み続けてはストレスを増やしている人が多い気がする。
かくいうおじさんも、色々と人生の諸問題がね・・・(^^;)
島国の日本人特有な病気なのかもって最近思うようになってきた。
欧米人みたいに大らかに生きていきたいなぁ。


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

260Pより。
隣部屋の学生達の飲み会に誘われて、クスノキとミヤギは宴に加わることに。
彼らにミヤギの説明をしたら目の前でキスしてみくれと言われ、リクエストに応えてほろ酔いミヤギにキスするクスノキ
クスノキの一人芝居に嬌声を上げる大学生の男女ら。(彼らにはミヤギの姿が認識できていない)

「肉の儀式」読書感想

「肉の儀式」(キンドル版)
著者 友成純一
紙の本の長さ 162 ページ
出版社 アドレナライズ
発売日 2014年08月12日

f:id:mitemite753kakuyo:20190319213013p:plain



<< かるーい話の流れ >>

「肉の儀式」は山奥の小さな村が舞台のお話。
誰も見たことのない長老をトップとして三人の村長が支配する村では、ある夫婦がシュラと呼ばれる予言的に良くない赤子を産んだので評定と称する若妻凌辱会を行うところから始まる。
このシュラの出産を予言したのが長老一族の予言者なのだけど、預言者は長老にこのままだとシュラに負けてしまうと伝えた。
それを聞いた長老は自らを打ち倒す力を持ったシュラに勝つために、一度作って飲んだ不老不死薬をもう一度作って更なるパワーアップを狙う。
ベルセルクのガニシュカ大帝みたいね)
その秘薬制作に必要な材料は、女や子供を責め抜いて絞り出した体液だった!
次々に拉致されて搾り取られる村の女性や子供達。
果たして村の運命は?
長老とシュラの戦いはどうなるのか!?

「狩人日記」は現代の日本(1990年代くらい?)が舞台。
冴えないキモメン系なSM作家の男が主人公。(SM作家とな・・・)
フラストレーションの溜まりきったある日、彼は死んだ祖父が隠し持っていた実銃モーゼルと実包を使って次々と女や男や子供を脅して殺して死体で遊ぶ狂人へと変貌する。
殺すことでSM小説の筆が進むからもっと殺しを求めるのだが、だんだんと主人公の頭はおかしくなっていって自分の頭の中から、他の自分の声が聞こえ始めてきてもう完全なるキチガイさんになってしまう。
果たして彼の凶行はどこまで続くのか?
日本の警察さん、早くとっ捕まえてください!!


<< 特に良かった部分・良かったセリフ・シーンなど >>

まずは肉の儀式より。
不老不死の秘薬を作ろうとするんだけど、その作り方が雑なんだよねΣ(・ω・ノ)ノ!
女子供と赤子をたっぷり苦しめて、その時に出された体液を混ぜて作るだけ?だったかな。
でもその単純さが逆に面白くて良かったよ。
単純な分、様々な責めや拷問をしながら絞るシーンはもうね(; ・`д・´)
昔に観た映画で「ホーリー・マウンテン」でも錬金術師が似たような方法で黄金を錬成していたことを思い出した。
ちょっとおかしな人達の思考は全世界共通なんだろうか(笑)

またまた同じく肉の儀式より。
オープニングの評定が行われるシーン。
これがかなり良いね!男性だったらグッとくるものがある(笑)
荒縄に縛られて裸体を卑猥に晒す若妻。
三人の長老に言葉責めされながら普段から嫌っている役人達にいやらしく責め立てられる描写は流石ポルノ小説家って感じ。
(長老達は触りたいけど触れない生殺し状態。何故なら若妻は穢れているから役人しかお触りダメってことだから)

山人のクソクライちゃんも可愛かったなぁ。
すごく酷い名前だけど、体を綺麗に洗ったら美少女に変身するってのはやっぱり良いんだよね~。
そんなかわいい子があんな目に遭うなんて・・・友成さんはほんま鬼やでぇ( ;∀;)

あとは狩人日記より。
妊婦の若い男に対する考え方と、主人公の妊婦に対する考え方がなんか面白かった。
まあ程度の問題はあるけどお互いの意見に同意できる部分もあるかなぁ・・・・・・いやいや、やっぱり主人公側に対しては共感しちゃいけないって理性はちゃんとあるよ!
とにかく、こんなの読んだら怖くて外出なんてできませんわ。
世の中どんな危険人物がウロウロしてるかわかんないからね(´-ω-`)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

「肉の儀式」なんだけど、さあこれから面白くなってきたぞ~ってところで物語は終了(;´Д`)
この小説自体が、グロくて嫌~な描写を楽しむのがメインなんだってわかってはいるんだけど、それにしてもあまりにも唐突に終わりすぎだよねぇ。
続きが読みたいなぁ。

狩人日記のほうはとにかく短期間で色々な殺人と鬼畜非道を見せつけられた作品だったけど、ちょっと殺してからの解体っていうパターンが多くて読んでいて慣れてきちゃう部分があったかな。
すぐに殺しちゃうとやっぱり単調になっちゃう気がする。
まあ、このイカレた主人公は死体相手じゃないと好き勝手に出来ないっていう小心者だから仕方ないかもしれないけどねぇ。


<< 読み終えてどうだった? >>

「肉の儀式」はそれなりにしっかりしたストーリーがあって楽しんで読めた。
だからこそ最後までしっかり書き上げてほしかったんだけどなぁ。
しかしエロの描写がなかなか濃厚でグッとくるものがあったねぇ。
序盤の評定シーンにしろ、クロクライちゃんが神の超能力によって観させられた秘薬製造過程にて犯される女性にしろ、拉致された村長の娘が受ける淫らな責めにしろ、ムクムクと沸き上がるモノが(;^ω^)

責めや拷問を行うのも秘薬を作る為っていうちゃんとした理由があるのが良いと思う。
なんの意味もなくただやられるだけだと、読み手も飽きてきちゃうからね。
しかし・・・・・仙人率いる武装村人と神の戦い、しつこいくらいに言うけど読みたかったなぁ。

「狩人日記」はこれまた昔に観た映画の「フォーリング・ダウン」みたいだった。
とくに起伏のあるストーリーって訳じゃないから、警察に捕まるまでの短期間で大暴れしまくるっていう短さが丁度いい感じかな。
しっかし二話連続で妊婦解体の描写がしっかり描かれていたけど、作者はこのシチュエーションに嵌っていたのかな?
こっちのほうは肉の儀式と違ってちゃんと最後まで書き上げていたから読み終わったっていう満足感がしっかりあった。

まあだとしても、どちらの話も読み終わってスッキリ爽快な内容じゃあないからね(^^;)
最後の死体浄化水を飲み続けていた住人達は体調不良とかにならなかったのかな?
この人の作品は月に一冊くらいで読むとちょうどいい感じになるかもしれないと思った今日この頃。
(何がちょうどいい感じなのか謎だけど)

 

<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

電子書籍のあとがきにて、当時の官能メインなポルノ小説界にグロ描写メインでいきなり登場して有名になった作者は、その界隈の大物達に挨拶などしなかったとか諸々の細かい事情で、結構目を付けられたり出る杭を打たれるみたいな感じになったことを後悔しているとのこと。
ポルノ小説業界もいろいろめんどくさくて大変なんだなぁ。

同じく電子書籍のあとがきにて、本人も書いていたけど続きを書かずにほったらかしになっているのが沢山あるようだ。年だし精神的にも肉体的にも辛いかもしれないけど、シリーズの続きをなんとかして書いてほしいよ。
メールでも送ってみようかな?
(っていうかスキューバする体力があるなら肉体的には問題ないだろうに!)

位置№581より。
―――呟きながら、心の中で淫性中音が笑い声をあげている。嬉しそうに身悶えている。―――
なんかこの人の作品によく出てくる言葉みたいだね。意味はネットで調べたけど見つからなかったよ。
ちなみに「中音」は↓
(高くも低くもない音。音楽で、アルトまたはテノールってことなんで、おそらく中性的なイヤラシイ笑い声ってことかと思われ~。

位置№656より。
―――スルスル巻き上げられてゆくクサビ。娘は、全身を重々しく揺すり立てて上がってゆくクサビを見つめ、大声で叫んだ。―――
V字形にとがった木片とか鉄片。
木石を割り広げたり、重い物を押し上げたり、物のつぎ目に打ってとめたりするのに使う。
仰向けで拘束された女性、その上空でゆらゆらゆれる大きく重いクサビ。
気紛れに留め具を外されて体の上に落ちてくる先端・・・・・こりゃ気が狂っちゃうわ(/ω\)

「狩人日記」より。
SM作家が持っていたルガーP08はドイツで開発された自動拳銃で「 P08」はドイツ軍での制式採用名。
原型が作られたのは1893年で、上部が独特な動きをする機構から「尺取虫」なんて呼ばれてもいた。
口径は9mm、装弾数はシングルカラム・マガジンによる8+1発。
(どんだけ予備の弾丸があったんだろうねぇ)


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

「狩人日記」から。
自宅アパートの窓から見下ろす位置にある駅。
上客を沢山乗せて走る電車に向かって、SM作家が部屋の窓からルガ―を乱射するシーン。
もちろん何発か当たって電車はストップ。とんでもない騒ぎになって駅は大混乱。
我慢しきれずにその様子を見に行くSM作家。

「アイの物語」読書感想

「アイの物語」(文庫版)
著者 山本弘
文庫 584ページ
出版社 角川書店
発売日 2009年3月25日

f:id:mitemite753kakuyo:20190301211559j:plain f:id:mitemite753kakuyo:20190301211609j:plain


<< かるーい話の流れ >>

遥か未来の地球にて人類はロボットとの戦争に敗北して、各地のコロニーにて細々と生活をしている。
主人公はそんなコロニーを旅しては旧世界の記録である映像作品や物語などを伝える伝道師のようなことをしている青年。

ある日、彼はアイビスというアンドロイドに発見されて格闘戦の末に敗北して拉致される。
連れてこられた場所は清潔で設備の整った人間用の治療施設。アイビスやロボット達が何を考えているのか分からずに困惑して警戒心バリバリの主人公に、アイビスは治療が終わるまで(足の骨折)フィクションの物語を聞かせると言う。
(生き残っている人類や主人公はロボットの語ることが全てプロパガンダだと信じているから)
語られていく人類とロボットの物語にだんだんと心を動かされていく青年。
最後の物語を聞き終えた時、青年は観念して人類とロボットの真実の歴史を教えてほしいと願う。

そして最終章「アイの物語」が始まる・・・・・・・これぞ求めていたSF小説!!
おじさんの感性に狂いは無かったよ~!買ってよかったぁ~( ̄▽ ̄)
どうしてこういうSF作品にはルイ・アームストロングの「ファット・ア・ワンダフル・ワールド」がもんのすごく合うのだろうか?


<< 特に良かった部分・良かったセリフ・シーンなど >>

もう良すぎた部分が多すぎて選び辛いけど、一番心ににグイッと来た部分を上げてみますね。

353Pの「すべての人は認知症なのです」から始まる詩音の言葉。
―――「論理的帰結です。人は正しく思考することができません。自分が何をしているのか、何をすべきなのかを、すぐに見失います。事実に反することを事実と思い込みます。他人から間違いを指摘されると攻撃的になります。しばしば被害妄想にも陥ります。これらはすべて認知症の症状です」―――

老人介護施設に研修に来たアンドロイドの詩音が教育係りの神原に対して、秘密の持論を伝えるシーン。
もうぐうの音も出ないくらいにそのとおりですとしか言えない自分が居ましたわ(;´・ω・)

同じく「詩音が来た日」から。
388Pの「瑠璃色の地球」を心込めて歌う詩音。
―――私が訪ねると、彼女はにっこり笑って答えた。「この歌は正しいです」―――
施設に来たばかりの頃は完全にスピーカーとして歌っていただけの歌が、研修の最終段階になるころにはちゃんと想いを込めた歌い方が出来るようになっていた詩音。
そんでもって、このセリフだよ。もうアンドロイド萌えですわ( *´艸`)

あとは「インターミッション7」から396Pの物語の力を主人公に説明するアイビス
―――「ええ。あれはみんなフィクションだけど、真実よりも正しい。私はそう思っている」―――
確かに残酷な現実よりも、皆が幸せになれるフィクションのほうが正しいに決まっている。
なんだか上手く言えないけど、希望を想像する力ってのが人間には大切なんだと思います!
(うーむ、イマイチ分かりやすくまとめられない。けど好きな部分なんだよ)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

あえて言うなら、「ブラック・ホール・ダイバー」のイベントホライゾンとかの説明が難しくてイマイチ理解できなかったかな(^^;)
ホールに近づくほど時間は遅くなって、外から眺めたらずーっと止まって見えたりするのはなんとなくわかるけど(ごめんホントは分からんの)重力とか引っ張る力とか観測出来ない境界線とかもぉ~わからんです。でも面白いです!

あとは「アイの物語」の虚数iを用いたAI同士の会話が理解できない(゚Д゚;)
文章として成立していないようなAI会話部分が結構描かれているからほぼ分からないまま読み進める部分もあった。
まあ人間には理解できないって作中に書いてあるんだけどね。


<< 読み終えてどうだった? >>

もうね、どの話も全部おもしろかったわ!読み進めるほどにどんどん物語(というかアイビスに引き込まれていくし、気づけば主人公に成りきって語られる話を味わっていたね。

作中で言われていた「人は感動したモノを真実だと思い込みたくなる」っていう言葉がすごく共感した。
フィクションだろうとそれが素晴らしいことなら感動するじゃん、そういう気持ちが大事なんだなぁ。

随所で目から鱗というか、アンドロイドの完璧さというか、人間の駄目さというか、人間として色々考えてしまうことばかりなんだけど、その答えも作中でしっかり描かれている。
理解できないものは退けるのではなく、ただ許容すればいいだけのこと。
それだけで世界から争いは消える。
それが「i」だ。
(屁理屈はいくらでも出てくるけど、そんなこと考えて読んでても気持ちよくないからさぁ)

読了感はもちろん大満足の大満腹。
分厚く内容量たっぷりなのに、最後まで飽きずにのめり込んだままだったな。
主人公に感情移入しやすい設定のお話で、話の構成も一話ずつに何かを感じる内容で、インターミッションになる度に主人公とアイビスの関係もだんだん変わっていくのがとても良い作りだね。

これだからSF物は止められないって言いたくなる作品だったわ(*´▽`*)
っていうかオチアイビス達の目的)も素晴らしい!!
こういうフロンティア精神があるSF物は今のところハズレ無しです。
間違いなくこの小説は正しいフィクションですだよ!!


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

紹介文にて。「千夜一夜物語
むかーしのアラビアの王様が毎晩処女を呼び寄せては明け方に首をはねていた。
見かねたある娘が進んで王様の元へ行って、お話を聞かせることに。
その語られる物語はどれも面白い内容で、王様は続きが聞きたくて娘を生かし続けた。
それは千一夜にも続いた・・・・ってのがアラビアンナイト千夜一夜物語)の物語だそうで。

327Pより。
―――扱いやすくはなったものの、入所者がおびえているのはやはり望ましいことではないわけで、痛し痒しだ―――
「いたしかゆし」
両方に同程度の良い面と悪い面があって、どちらか片方を取るのに迷ったり苦しんだりすることのたとえらしいです。

350Pより。
―――私は笑った。いくら横紙破りの伊勢崎さんでも、民放までは変えることはできまい。―――
「よこがみやぶり」
決まりを破って自分のしたい事を無理にでもすること。わがままを通すこと。そういう性質の人、など。

354Pより。
―――「『間違ってる』というのは、倫理的に間違っているという意味ですか?」―――

「りんりてき」
人として守り行うべき道とか、道徳やモラルなどのことかと。

ブラックホール・ダイバーより。
―――事象の地平面―――
「じしょうのちへいめん」
ブラックホールに近づいて行って、ある距離まで近づくとそれ以上の観測が一切できなくなる境界線。
向こうからもこちらからも何一つ情報伝達が出来なくなってしまうポイントって感じかな(;^ω^)
(気になる人は映画「インターステラー」を観てみると面白いぞい)


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

571Pより。
宇宙空間で華麗に舞う白い銀髪のレイヴン(一対の翼と白い下着のようなコスチューム)を宇宙船の窓越しに眺める青年とアイビス
翼を駆使して宇宙空間で自由に舞う姿を見てAMBACという概念を理解した青年。