忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「肉の儀式」読書感想

「肉の儀式」(キンドル版)
著者 友成純一
紙の本の長さ 162 ページ
出版社 アドレナライズ
発売日 2014年08月12日

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<< かるーい話の流れ >>

「肉の儀式」は山奥の小さな村が舞台のお話。
誰も見たことのない長老をトップとして三人の村長が支配する村では、ある夫婦がシュラと呼ばれる予言的に良くない赤子を産んだので評定と称する若妻凌辱会を行うところから始まる。
このシュラの出産を予言したのが長老一族の予言者なのだけど、預言者は長老にこのままだとシュラに負けてしまうと伝えた。
それを聞いた長老は自らを打ち倒す力を持ったシュラに勝つために、一度作って飲んだ不老不死薬をもう一度作って更なるパワーアップを狙う。
ベルセルクのガニシュカ大帝みたいね)
その秘薬制作に必要な材料は、女や子供を責め抜いて絞り出した体液だった!
次々に拉致されて搾り取られる村の女性や子供達。
果たして村の運命は?
長老とシュラの戦いはどうなるのか!?

「狩人日記」は現代の日本(1990年代くらい?)が舞台。
冴えないキモメン系なSM作家の男が主人公。(SM作家とな・・・)
フラストレーションの溜まりきったある日、彼は死んだ祖父が隠し持っていた実銃モーゼルと実包を使って次々と女や男や子供を脅して殺して死体で遊ぶ狂人へと変貌する。
殺すことでSM小説の筆が進むからもっと殺しを求めるのだが、だんだんと主人公の頭はおかしくなっていって自分の頭の中から、他の自分の声が聞こえ始めてきてもう完全なるキチガイさんになってしまう。
果たして彼の凶行はどこまで続くのか?
日本の警察さん、早くとっ捕まえてください!!


<< 特に良かった部分・良かったセリフ・シーンなど >>

まずは肉の儀式より。
不老不死の秘薬を作ろうとするんだけど、その作り方が雑なんだよねΣ(・ω・ノ)ノ!
女子供と赤子をたっぷり苦しめて、その時に出された体液を混ぜて作るだけ?だったかな。
でもその単純さが逆に面白くて良かったよ。
単純な分、様々な責めや拷問をしながら絞るシーンはもうね(; ・`д・´)
昔に観た映画で「ホーリー・マウンテン」でも錬金術師が似たような方法で黄金を錬成していたことを思い出した。
ちょっとおかしな人達の思考は全世界共通なんだろうか(笑)

またまた同じく肉の儀式より。
オープニングの評定が行われるシーン。
これがかなり良いね!男性だったらグッとくるものがある(笑)
荒縄に縛られて裸体を卑猥に晒す若妻。
三人の長老に言葉責めされながら普段から嫌っている役人達にいやらしく責め立てられる描写は流石ポルノ小説家って感じ。
(長老達は触りたいけど触れない生殺し状態。何故なら若妻は穢れているから役人しかお触りダメってことだから)

山人のクソクライちゃんも可愛かったなぁ。
すごく酷い名前だけど、体を綺麗に洗ったら美少女に変身するってのはやっぱり良いんだよね~。
そんなかわいい子があんな目に遭うなんて・・・友成さんはほんま鬼やでぇ( ;∀;)

あとは狩人日記より。
妊婦の若い男に対する考え方と、主人公の妊婦に対する考え方がなんか面白かった。
まあ程度の問題はあるけどお互いの意見に同意できる部分もあるかなぁ・・・・・・いやいや、やっぱり主人公側に対しては共感しちゃいけないって理性はちゃんとあるよ!
とにかく、こんなの読んだら怖くて外出なんてできませんわ。
世の中どんな危険人物がウロウロしてるかわかんないからね(´-ω-`)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

「肉の儀式」なんだけど、さあこれから面白くなってきたぞ~ってところで物語は終了(;´Д`)
この小説自体が、グロくて嫌~な描写を楽しむのがメインなんだってわかってはいるんだけど、それにしてもあまりにも唐突に終わりすぎだよねぇ。
続きが読みたいなぁ。

狩人日記のほうはとにかく短期間で色々な殺人と鬼畜非道を見せつけられた作品だったけど、ちょっと殺してからの解体っていうパターンが多くて読んでいて慣れてきちゃう部分があったかな。
すぐに殺しちゃうとやっぱり単調になっちゃう気がする。
まあ、このイカレた主人公は死体相手じゃないと好き勝手に出来ないっていう小心者だから仕方ないかもしれないけどねぇ。


<< 読み終えてどうだった? >>

「肉の儀式」はそれなりにしっかりしたストーリーがあって楽しんで読めた。
だからこそ最後までしっかり書き上げてほしかったんだけどなぁ。
しかしエロの描写がなかなか濃厚でグッとくるものがあったねぇ。
序盤の評定シーンにしろ、クロクライちゃんが神の超能力によって観させられた秘薬製造過程にて犯される女性にしろ、拉致された村長の娘が受ける淫らな責めにしろ、ムクムクと沸き上がるモノが(;^ω^)

責めや拷問を行うのも秘薬を作る為っていうちゃんとした理由があるのが良いと思う。
なんの意味もなくただやられるだけだと、読み手も飽きてきちゃうからね。
しかし・・・・・仙人率いる武装村人と神の戦い、しつこいくらいに言うけど読みたかったなぁ。

「狩人日記」はこれまた昔に観た映画の「フォーリング・ダウン」みたいだった。
とくに起伏のあるストーリーって訳じゃないから、警察に捕まるまでの短期間で大暴れしまくるっていう短さが丁度いい感じかな。
しっかし二話連続で妊婦解体の描写がしっかり描かれていたけど、作者はこのシチュエーションに嵌っていたのかな?
こっちのほうは肉の儀式と違ってちゃんと最後まで書き上げていたから読み終わったっていう満足感がしっかりあった。

まあだとしても、どちらの話も読み終わってスッキリ爽快な内容じゃあないからね(^^;)
最後の死体浄化水を飲み続けていた住人達は体調不良とかにならなかったのかな?
この人の作品は月に一冊くらいで読むとちょうどいい感じになるかもしれないと思った今日この頃。
(何がちょうどいい感じなのか謎だけど)

 

<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

電子書籍のあとがきにて、当時の官能メインなポルノ小説界にグロ描写メインでいきなり登場して有名になった作者は、その界隈の大物達に挨拶などしなかったとか諸々の細かい事情で、結構目を付けられたり出る杭を打たれるみたいな感じになったことを後悔しているとのこと。
ポルノ小説業界もいろいろめんどくさくて大変なんだなぁ。

同じく電子書籍のあとがきにて、本人も書いていたけど続きを書かずにほったらかしになっているのが沢山あるようだ。年だし精神的にも肉体的にも辛いかもしれないけど、シリーズの続きをなんとかして書いてほしいよ。
メールでも送ってみようかな?
(っていうかスキューバする体力があるなら肉体的には問題ないだろうに!)

位置№581より。
―――呟きながら、心の中で淫性中音が笑い声をあげている。嬉しそうに身悶えている。―――
なんかこの人の作品によく出てくる言葉みたいだね。意味はネットで調べたけど見つからなかったよ。
ちなみに「中音」は↓
(高くも低くもない音。音楽で、アルトまたはテノールってことなんで、おそらく中性的なイヤラシイ笑い声ってことかと思われ~。

位置№656より。
―――スルスル巻き上げられてゆくクサビ。娘は、全身を重々しく揺すり立てて上がってゆくクサビを見つめ、大声で叫んだ。―――
V字形にとがった木片とか鉄片。
木石を割り広げたり、重い物を押し上げたり、物のつぎ目に打ってとめたりするのに使う。
仰向けで拘束された女性、その上空でゆらゆらゆれる大きく重いクサビ。
気紛れに留め具を外されて体の上に落ちてくる先端・・・・・こりゃ気が狂っちゃうわ(/ω\)

「狩人日記」より。
SM作家が持っていたルガーP08はドイツで開発された自動拳銃で「 P08」はドイツ軍での制式採用名。
原型が作られたのは1893年で、上部が独特な動きをする機構から「尺取虫」なんて呼ばれてもいた。
口径は9mm、装弾数はシングルカラム・マガジンによる8+1発。
(どんだけ予備の弾丸があったんだろうねぇ)


<< 挿絵で見たい場面や物など >>

「狩人日記」から。
自宅アパートの窓から見下ろす位置にある駅。
上客を沢山乗せて走る電車に向かって、SM作家が部屋の窓からルガ―を乱射するシーン。
もちろん何発か当たって電車はストップ。とんでもない騒ぎになって駅は大混乱。
我慢しきれずにその様子を見に行くSM作家。