忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

殺戮摩幻楼 読書感想

タイトル 「殺戮摩幻楼」(kindle版)
著者 友成純一
ページ数 247ページ
出版社 アドレナライズ
発売日 2014年11月21日


<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・「凌辱の魔界」
・「獣儀式」
・「ナイトブリード」
・「肉の儀式」
・「肉の天使」
・「獣革命」
・「女戦士・フレア伝(1) 邪神殿の少女」
・「人獣裁判」
・「宇宙船ヴァニスの歌」
・「女戦士・フレア伝(2) 絶海の黄金郷(エルドラド)」
・「宇宙船ヴァニスの歌(2) 恐怖の暗黒魔王」
・「女戦士・フレア伝(3) 虚空の要塞島(アルバロン)」


<< ここ最近の思うこと >>

仕事のストレス、人間関係のストレス、将来の不安などなど募るばかりで一向に解消されない毎日。
そろそろ友成純一成分を補給して飛んじゃおう飛んじゃおう。
最近は『ヴァニス』や『フレア伝』のシリーズものばかり読んでいたから、『獣儀式』のようなガツンと来る単発品を読みたい今日この頃。
なんにしようからな~ってつらつら探していたら、面白そうなあらすじを発見!
完全武装のコマンド、凶悪犯、超現象が巻き起こる異空間・・・・・良いじゃないか。
武装兵士とスプラッタ怪異現象の映画って意外とないよね?おじさんが知らないだけかな?)
兎にも角にも、久しぶりの友成純一単発作品、期待するなって方が無理じゃ~い!でもぶつ切りエンドの覚悟はしておくんじゃ~い!
ではでは、血と臓物と暴力がみっちり詰まったアッチの世界へ飛び込むぜよ(=゚ω゚)ノ



<< かるーい話のながれ >>

凶悪犯罪が頻発し国内に銃火器が蔓延、そして殺人事件が当たり前になり始めた日本。
会社へ向かう通勤者達が溢れる商店街にて連続通り魔事件が発生。
犯人は複数の死傷者を出しながら逃走していく。
そして行き着いた超高級マンションに侵入し、三百人近い住人達を人質に立てこもった。

警察が総力を挙げて事件解決に取り組む中、マンション警備を担当する警備会社から四人の隊員が派遣されてきた。人命よりも依頼主の資産を重視する過激な武装警備会社。
彼らはその中でも選りすぐりと噂される隊員達だった。

東海警備保障、キング・キラー、人殺しくらいするのが当然なのだ、出刃包丁、シャトー成城、モンキー・ダンス、緒方隊、予知者、とんでもない魔界、蜃気楼、いるのよ、子供だ、精液溜まり、本物のジャングルだ、瞳まで濁った白、巨大な夕焼け空、キング・キラーの罠、見つけた、開かずの間、次元振動、次に彼が動くのは、入ったら終わりだ・・・。

裕福層達の歪んだ欲望が蔓延する高級マンションに通り魔が侵入した結果、異次元の扉が開き予測もできない現象が隊員達に襲い掛かる。
犯人を討ち取るのが先か、命を刈り取られるのが先か、地獄と化した高級マンションの中で生き残るのは誰なのか!?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///今回のベスト・グロ描写はここだ!///
警察の特攻班からの連絡が途絶えて、次の一手に悩む特捜本部の黒須。
その時、上階のエレベーターが一階ロビーに向かって降りてきた。
住人か、特攻班か、それとも犯人か・・・・・・エレベーターの扉が開いた。
位置№861Pより。
―――首都圏の警察官が、玩具にされた死体を見つけたくらいで、驚いたりはしない。そいつは、死体ではなかった。そんな有り様になってもなお、まだ生きていたのだ。―――
なんかもう手足も首もねじ曲がって体に巻き付いて、内臓まで飛び出して肉塊な状態なのにまで生きている被害者。
まだ生きている!?・・・・・スゴいね人体。
じゃなくて、一体何をされたのか?誰にやられたのか?気になるところは多々ありますわ。

///東海警備保障の緒形は伊達じゃあない///
突然現れた異空間、そして仲間達は消えて一人残された緒方。
混乱してしまうのが当然の状況でも、先ずは冷静になって考えることが重要だと理解していた。
位置№2175より。
―――「ジャングルの広さ、探ってみるかな。キング・キラー、住人たち、津山や水城、先に来た刑事たち・・・・・そして、出口。何を探すにしろ、とにかく動かなければ話にならないじゃないか・・・・・」
フランキを、肩に担いだ。―――
さすが実戦経験豊富で様々なトラブルに遭遇してきた緒方隊長。
ここからバシバシ反撃に転じていくんだろうなぁ~ってワクワクしてきたら、あらら?
あれよあれよという間に・・・・・さすが友成純一作品だわね(^^;)

///今回もあとがきが充実している///
間違った記事とかでっち上げのコラムなり文章なりをメディアで流しちゃった時って、作った人が悪いのか流しちゃった人が悪いのかどっちなんだろうね。
(個人的にはどっちもどっちだと思うけど)
位置№2822より。
―――ある時、原稿の内容で―――それは志賀島の海に関する原稿だったが―――私は決定的な誤りを仕出かした。明らかに私のミスだったが、私は編集部に対しても読者に対しても、謝らなかった。
以来、西日本新聞とはさっぱり縁が切れた。―――
手書きに拘る頑固な姿勢とか、途中で横やり入ったらもう一切書けないとか、最大の被害者である山口君とか、本編とは全然関係ない日常話だけど楽しませてもらいましたわ。
(それにしても西日本新聞志賀島のミスが気になる・・・・・一体どんな原稿だったのか)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///マンション内で一体何があったのさ///
警察やマスコミ野次馬が取り囲む中、突然響き始めた悲鳴とマンション壁の爆発。
上空から落ちてきたのはガラスやコンクリート、そして赤黒い肉塊だった。
位置№1185より。
―――「ああ・・・・・こいつは、大人じゃない。子供だ、子供の死体だ・・・・・」―――
強化防弾ガラスと分厚いコンクリートを突き破って落ちてきたのは子供だと?
なにがどうなってそうなったんだよ(笑)
エレベーターの重傷者や謎の獣化現象など気になる部分が多かったけど、理由は説明されずfin。
これぞ友成純一ワールドですね(;´∀`)

///同一人物のはずだよね///
緒形隊唯一の紅一点である水城真理子。
彼女の姿を表現する場面で、ちょっと気になるところがった。
位置№121より。
―――乱暴に刈り込んだらしい、もじゃもじゃのショート・カットが、その体格と身なりに、ぴたりと決まっていた。嫌悪というより、嫉妬だった。その女に対する感情は。―――
最初の登場場面ではショートカットとして語られている。だがしかしもう少し後の場面では長い長髪になっているだと?
位置№528より。
―――腰のあたりまである長い黒髪と、一メートル七十ある長身が、特徴だった。―――
おそらく同一人物の水城真理子なはずなんだけど、どういうことなのか?
(まさか別人・・・・・いや単なる執筆ミスなんだろうけどさ)

///いつからそんな装備を付けていたんですか///
シャトー成城の中で異次元に飲まれた津山。
尽き果てぬ波のように押し寄せてくるナニカに向かって、射撃して手榴弾まで使用するが焼け石に水
位置№2100より。
―――腰の手榴弾を抜き、そこいら一帯に投げ散らかした。だが、爆風で自分が吹き飛びかけただけ。押し寄せる人間モドキは、微塵も影響されなかった。―――
最初の装備紹介部分では、各員SPAS12とコルトのコンバット・コマンダーとバックマスター・ナイフの装備だったはず。
いつから津山だけ手榴弾を持っていたんだ?
こっそり私物を持ってきていたのか?作中の日本ならあり得るし、津山という人物ならやりそうだけど。


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
作りとしては、物語が進むにつれていろんな人物をスポットにした第三者視点で語られている。
まあいつも通りな友成先生の小説ですな。

マンション内で巻き起こる超常現象、襲い掛かる異形の怪物達、それらに対して銃と暴力で抗っていくコマンド部隊って展開をしていたけど、これはあまりにも一方的過ぎたねぇ(;´∀`)
(雰囲気としては映画『MEMORIES』の「彼女の想いで」が近い感じかなぁ・・・違うかなぁ)

///話のオチはどうだった?///
友成先生恒例の投げっぱなしエンドを恐れていたけど、オチまでちゃんと書かれていたから良かった。
エピローグの後でシャトー成城がどうなったのかはわからないけど、ホラー作品として考えたらこーゆー終わり方も納得できるかなと。
(いやーしかし、夢も希望もないオチだったなぁ・・・・・そういや津山は結局どうなったのか)

調べてみると他の作品である『淫獣軍団(1) 凌辱都市』や『獣革命 首都圏大パニック』と絶妙に話が繋がっているのかいないのか、世界観が一緒なだけかもしれないけど似ている箇所が多いね。
どうせなら次は『淫獣軍団』を読んでみちゃるかぁ。
(地獄の堕天使によるデパート占拠事件・・・・・あの話、気になっていたのよ)

///まとめとして///
今回も「電子版あとがき」のクオリティーが充実していて楽しめたわ。
執筆中は取り扱い注意の友成先生エピソードや、先にも書いた西日本新聞とのゴタゴタ、そして海外に行くならカードスキミング対策を万全にってな感じで、本編に一切関係ない話がいっぱいだった(笑)

『殺戮魔幻楼』の日本は人々から思いやりが擦り減って、代わりに無関心と銃器が蔓延した国になっちゃっていたけど、なんでか今の日本がその世界観へ近づいているような気がする・・・根拠はないけど。
救いのない酷い話はフィクションの中だけで充分!
心が荒んできなばらば、友成作品を読んで良くないモノをデトックスしちゃいましょってことで満読感7点!(10点満点中)
( 人によっては余計に心が荒んでしまう作品なので、読み扱いには気を付けてくださいまし(^^;) )
さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

位置№50より。
―――「お客さん、いい銃が入ってますぜ。ハイスタンダード・モデル10B、警察向けのライアット・ガンでさ。全長七十センチもないから、コートの下に吊って歩ける。―――
アメリカのハイスタンダード社が1967年から製造していたブルパップセミオートショットガン。
マグナム弾しか使用できない、動作不良多し、ブルパップ構造故の問題などから一時は警察に採用されたもののわずかな期間で退役しているらしい。

位置№597より。
―――何しに負う、東海警備の緒形隊である。アメリカ陸軍が、接近突撃兵器として開発中のH&K/アチソンCAWSでも、使わせてくれるのではと期待した。―――
1980年代に提唱されたCAWS(Closed Assalt Weapon System)計画によりH&K社が試作したフルオートショットガン。
3点バーストを組み込んだモデルや、キャリングハンドル内にスコープを内蔵するモデルも試作されたらしいけど、CAWS計画が凍結されると同時にこの散弾銃も開発中止となったみたいで。

位置№641より。
―――丸い爺むさい眼鏡の奥で、金壺眼を光らせていた。その眼鏡のせいか、年齢より十歳は老けて見られた。―――
「かなつぼまなこ」とはくぼんで丸い目という意味らしい。

位置№918より。
―――強烈な陽射しに対抗し、精いっぱい粋がって殺気を振りまいているみたいで、なおさらこの装甲車〝リンクス〝は、可愛らしく見えた。―――
小型で装甲車のリンクス・・・・・だと?
調べてみたけどまったく見つからないぞい。「ルクス」っていうドイツ陸軍で使用されている八輪駆動・操舵の偵察を主目的とした装輪装甲車はドイツ語でオオヤマネコ(リンクス)を意味するらしいけど、これなのか?

位置№2305より。
―――齢九十歳を超えてようとしていた。明治に生まれ、大正デモクラシーのなかで育ち、昭和の前半を反政府の政治活動に従事してきた。―――
大正デモクラシーとは、日本で1910年代から1920年代にかけて起こった、政治・社会・文化の各方面における民本主義の発展、自由主義的な運動、風潮、思潮の総称とのこと。
社会の授業で習ったはずだけど、この年になって初めて意味を知った気がする(;'∀')


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
位置№1574より。
―――その目が、大きく見開かれた。昏倒している水城のことを、瞬間、忘れた。
津山と遠藤の姿を見失ったのだ。いや、見失ったのではなく、消えた。たった今まで目の前にいた二人が、ふっ、消しゴムでこすったみたいに消えてしまった。―――


特に描写がなかったから描かなかったけど、普通はヘルメットか帽子被ってるよね。
あと無線も付けてるよね。
まあそんなもんあったところで、あのマンション内では役に立たないだろうけど(;^ω^)
改めて感じたことだけど、霊能力者と特殊部隊のチームが魔窟へ突入するストーリーって、めちゃくちゃワクワクする設定じゃない!?
ハリウッドとかで映画化してくれないかな。

殺戮魔幻楼

殺戮魔幻楼

Amazon