忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

オルタード・カーボン 上 読書感想

タイトル 「オルタード・カーボン 上」(文庫版)
著者 リチャード・モーガン
文庫 448ページ
出版社 アスペクト
発売日 2010年3月27日

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<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・今回の「オルタード・カーボン上」だけ


<< ここ最近の思うこと >>

何を見て購入したのかわからないけど、手元に届いてから調べたらこの小説は賞もとっているしネトフリで実写ドラマにもなっているし、アニメにもなっている超有名作品やん。
海外ドラマ化している小説って、原作を読んでからでも見てみたくなる不思議(笑)
(だって日本と違って細かい所までクオリティが高いし!)
海外小説にも少しづつ慣れてきた感じがするから、ちょっと厚めのこの小説でもきっと大丈夫だろう。
あらすじを読んで、まず最初に思いついたのは攻殻機動隊の設定味を感じる・・・?
でもアッチは脳の電脳化だし、今回はその先入観を切り捨てて読むとしよう(=゚ω゚)ノ


<< かるーい話のながれ >>

27世紀の世界では、人類は銀河系の惑星に住み拡がっていて、魂はスタックと呼ばれる小さな記憶媒体に収めることが一般化されていた。

犯罪を犯して100年以上もの保管刑になっていたタケシ・コヴァッチ(元特命外交部隊員)は、目を覚ますと186光年も離れた地球に移送されていた。
彼を仮釈放させたのは地球の大富豪であるローレンス・バンクロフト。
六週間前に自殺した彼はバックアップデータから魂を再生しており、自分は自殺したのではなく殺されたのだと主張する。
警察も状況的に自殺しか説明がつかないと結論付けていて役に立たない、なのでタケシの経歴を見込んで真相を究明するために仮釈放したのだった。

成功すれば報酬は充分で刑期も消滅してくれる、しかし依頼を断ったり満足できない結果に終わったらすぐ保管刑に戻される。
金に物を言わせた断れない依頼だった。

二分、ベイ・シティ、仮釈放の条件、ダウンロード症候群、犯人はプロ、くそメト、サイカセック、オークランドの淫売、戦術海兵隊員、やめてほしいの、お前の人生のどんづまりだ、精神力学、取引、ちょっとばかりダメージを与える、R・Dだ、崇拝、何が望み?、カドミン、ラザフォード、格闘競技場、へたを打ったやつ。

元エンヴォイで重犯罪人のタケシ・コヴァッチが27世紀の地球で静かに熱く疾走する。
永遠の命を手に入れたメトの自殺事件は、タケシをどのような結末へ導くのか!?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///造られた最高の美女に誘われたい///
ローレンス・バンクロフトの妻であるミリアム・バンクロフトが堪らんね。
マージ・ナインという共感薬を分泌できる最高の美女(実はもう100年以上生きている)と、あんなことやこんなことを・・・・・タケシが羨ましいわ。
218Pより。
―――これは最新の生化学技術を駆使した<ナカムラ・ラボ>製で、わたしはマージ・ナインを分泌することができるの・・・・・興奮すると。汗と一緒に、唾液と一緒に、愛液と一緒に」―――
ミリアム個人が所有しているハーレムのような島にも行きたい!今すぐ行きたい!

///セレニティ・カーライルの買物論///
229Pより。
―――「人は好きなのよ、買いものすること自体が。買いものは遺伝子的なレヴェルで人間の基本的な所有欲を満足させてくれるのよ。わたしたちが狩猟採取時代から受け継いでいる何かをね。」―――
どれだけ文明が進んだ未来社会になろうとも、買い物という行為がなくなる訳ではない。
柔軟になって不確実さを愉しむことが大切ってことらしい。
確かに金に余裕がある時の買物は愉しさがあるわなぁ。
(でも目当ての物に出会えなかったりしたら時間を損した気分になるし・・・いや、その不確実さも大切なのかな?)

///デジタル人間保存による拷問の過激化///
280Pより。
―――が、デジタル人間保存は、人を死ぬまで拷問してはまた最初から始めることをも可能にした。そして、そうした選択が可能になると、催眠と薬物による尋問は早々と捨て去られた。―――
文字通り死ぬほどの苦痛を何度も永遠に味わうことになるのか(゚Д゚;)
さらにどれほどのタフガイだったとしても、何の力も無い一般女性のスリーブに入れられて、屈辱と苦痛の限りを与えられたら・・・・・。
(デジタル人間の記憶を調べても断片的な設定?ぐらいしか判らないみたいで、秘密にしていることなどはしっかり語ってもらわないといけないみたい)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///どーゆー態度なのかわからない///
304Pより。
―――命あっての物種という態度がこの世界ではどうしてあまり人気がないのだろう?それはすなわち、地球では自殺願望が多すぎるということか。―――
必死になって命乞いをしないってことなのかな?
この部分以外にも海外翻訳小説特有の、読み取りにくい表現がいくつかあるからその度にちょっと悩んでしまうのよね。

///一体誰のことを言っているのか?///
391Pから392Pより。
―――「いいわよ。実際、ライカーもそんな調子だったし。ひとことですむときは絶対ふたことは言わない人よ。相手がカス野郎のときにはただ相手を見るだけだった」
「ミッキー・ノザワ・タイプなんだ?」
「誰、それ?」
「なんでもない」―――
ミッキー・ノザワ?誰なのダレ?
架空の人物にしろなんにしろ、名前を出したのならそれなりの説明紹介が知りたいわ。
気になるじゃないの~( `ー´)ノ

///みんな同じヘアスタイルの警官達///
443Pより。
―――「ひとつ教えてくれ。あんたらはみんな同じヘアドレッサーのところに行ってるのか、それともそれは何かチームの固い絆の証しかなんかなのか」―――
ベイ・シティ警察の警官達はみんなモヒカンのヘアスタイルなんだけど、理由が割引料金でやってくれるからとのこと。
だとしてもモヒカンにしようとは思わないだろうに、さらにみんなとお揃いなんてねぇ。
未来の人々の価値観がわからん(笑)


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
タケシ・コヴァッチの視点でじっくりお話が進んで行く。
海外SFだから聞いたことのないカタカナ単語が沢山出てくるし、上巻だからとにかく調べまわる場面が多くて、正直ダレ気味になってしまう部分もあった。
だけど中盤を過ぎるくらいから襲撃者や拉致、報復の虐殺といった目の覚めるような激しい展開が待ち受けていたので安心しましたわ。

///話のオチはどうだった?///
ばっさりと急な終わり方で驚き(笑)
上下巻の海外小説慣れしてないから、こーゆー区切り方に違和感を感じるだけなのかな?
オチを語るにはまだ判らないことだらけでなんとも言えず、だがしかし、おじさんの好奇心をがっちり掴むくらいの危険な香りがする展開になってきたのは間違いなし!
下巻を早く読みたいぜ(`・ω・´)

///まとめとして///
叩けばいくらでも埃が出そうなバンクロフト、何が目的なのか判断できないミリアム、ズタズタのオルテガとライカーのスリーブ・・・。

一体誰がなんのためにバンクロフトを殺したのか?
タケシ・コヴァッチを付け狙う者の目的は?
イカーは何をしていたのか?
真実を求めて下巻に突き進むしかない!
場は静かにアツくなってきた、下巻では激しく沸騰する展開に期待して、満読感84点!
さぁ~て、次はなにを読もうかな・・・・・って下巻を読むに決まってるっしょ(゚Д゚)ノ


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

『オルタードカーボン』は2004年のフィリップ・K・ディック賞受賞作なのです。

80Pより。
―――ヴァージニア・ヴィタウラの金科玉条のひとつに、道具を選ぶまえに仕事の性質を見極めろ、というのがある。―――
「きんかぎょくじょう」
この上なく大切にして従うべききまりや、金や玉のように立派な法律って意味らしい。

227Pより。
―――そういった一般的な不定愁訴に対して、最近はおれもあまり破壊的ではない反応を示すようになっている。―――
「ふていしゅうそ」
強く主観的な多岐にわたる自覚症状の訴えがあるものの、検査をしても客観的所見に乏しく、原因となる病気が見つからない状態のこと。
なんとなく怠い、疲れた、なんだか体調が悪いって感じかな?

308Pより。
―――拷問がおれの閾下に埋め込んだ激しい怒りに突き動かされ、おれは数秒でそれらの情報をしっかり頭に叩き込んだ。―――
「えんか」
刺激が小さくて生体に反応の起こらない状態。意識していない状態ってことみたい。

347Pより。
―――しかし、私としては新しいスリーブで新しい世界にやってきたきみにまずするべきことが、私の人生をひとつひとつ説明することだとは思わなかった。畢竟、そいういうことだ。―――
「ひっきょう」
つまるところ、結局、っていう意味らしい。

377Pから378Pより。
―――子供には今でもラディカルすぎると考えられている後期のより重たい政治的な作品のかわりに、学校で習ったのだ。―――
「ラディカル」
過激、極端、急進的っていう意味かと。


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた。
300Pより。
―――光線が命を得たように下に伸び、銃の反動遮断装置が働いたときにはもう女の左脚の大半を切り裂いていた。女は痛みというより怒りの叫び声をあげた。おれはすかさず銃口を上に向けて撃った。―――

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移送される車内にて起死回生の行動に出るタケシ・コヴァッチ。
男の方は拳で頭を殴りつけて殺し、女の方は銃を奪って沈黙させる。
にしても拳骨一発で殺すってどれほどの威力なんだろう、ニューケラム入りのスリーブだから強烈な一撃なのかな?
(っていうか、この絵だと右足を撃たれとるやないかい!!いまさら気付いても手遅れよ~)