忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

予言の島 読書感想

タイトル 「予言の島」(文庫版)
著者 澤村伊智
文庫 352ページ
出版社 KADOKAWA
発売日 2021年6月15日

 

<<この作者の作品で既に読んだもの>>

・「ぼぎわんが。来る」
・「ずうのめ人形」


<< ここ最近の思うこと >>

ちょっと前に『見える子ちゃん』てアニメを見たのよ。
いやほんと意外な展開の連続で楽しめたわ、まさか遠野先生があんな人だったとはねぇ~(;´∀`)
すっかり騙されたし、みこちゃん可愛いし、続きが気になる終わり方だし。

話変わって、今更だけど劇場版『呪術廻戦』の「一途」がカッコイイわぁ。King Gnu曲で一番好き。
マンガもアニメも見たことないけど、『呪術廻戦』は名前からして呪いがテーマなんだろうか?

散らかったお話はここまでにして、今回はオカルトホラーな作品で有名な澤村伊智の小説!
Twitterでちらほらオススメされていたので購入しちゃった。
今のところハズレなしの澤村作品だから、この小説にも期待しちゃうのは仕方ない。
それでは、不気味な予言が的中するのかい?しないのかい!?今すぐ確かめにいこうぜ(=゚ω゚)ノ


<< かるーい話のながれ >>

瀬戸内海の霧久井島に旅行で訪れた天宮淳と友人ら。
その島は有名な霊能力者の宇津木幽子が、二十年後《霊魂六つが冥府へ堕つる》という予言を残した場所だった。淳たちは予約していた旅館に到着するが、「ヒキタの怨霊が下りてくる」という理由で宿泊を断られてしまう。
運良く別の宿に泊まれた一行だったが、翌日に友人の一人が居なくなってしまい・・・。

ヒキタの怨霊、硫化水素、生涯最後の予言、やめたほうがええですよ、そういう慣わし、くろむし、自然への畏敬の念、当たってるやないの、祖母の形見、今すぐ逃げろ、その程度なら私にもできる、サイレン、何も知らない連中、死の真相、六人死んだらそこで定員や、二人だけで・・・。

何もない老人だけの霧久井島に残る「ヒキタの怨霊」とはなんなのか?
宇津木幽子の不吉な予言は的中してしまうのか?
予言と呪い、怨霊と民間伝承、霊能力者とコールドリーディング、予言者とショットガンニング・・・・・霧久井島の惨劇は八月二十五日の未明から始まった。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///リアリティやロマンを求めてるのかも///
宿泊予定の旅館に断られた淳たちだったが、運よく代わりの宿泊施設を見つけられた。
そこへ向かう道中、宇津木幽子は「ヒキタの怨霊」に祟り殺されたのか?と話題に上がった。
77Pより。
―――しかし土俗的な風習や民間伝承には、この歳になっても惹かれるものがある。歴史の重みや、日本人の琴線に触れる何かを感じ取ってしまう。少なくとも霊感や霊能者、予言といったものより普遍性がある。そして少しばかり恐ろしく思える。―――
昔はテレビで心霊番組が頻繁に流されてたし、再現ドラマやVTRも中々に怖い作りだったと思う。
今ではクレームがくるのか知らないけど、ぬるいモノばっかになったよね。
そのせいなのかわからないけど、おじさんも現在では土俗風習や民間伝承系のホラーが好みだから共感したなぁ。(年のせいかもしれないけど)

///まさかの豹変にドキドキしてくる///
霧久井島にて死人が出てしまい、天候不良のため警察も来られない状況なので死体を連絡所に一時保管していたのだが、数美は事故死と判断された死体を注視していて・・・。
127Pより。
―――「・・・・・まあ、確かめてみるか」
そう言うと、数美は〝くろむし〟を摘まみ上げ、勢いよくブランケットを捲った。
ばさりと大きな音がする。―――
今までおっとり系のぽっちゃり系で頼りないほんわか系女子だった数美が急に(´゚д゚`)
飴ちゃんやら検死やら説得力ある言葉やら、一体どうしちゃったの?
でも頼もしい女性キャラが好きなおじさんとしては、めっちゃアリアリの展開でテンションアゲアゲで熱読しちゃった。(テンションアゲアゲて・・・興奮してましたスミマセン)
そしてここから面白さがグングンと加速していくから読むの止まらなくなっちゃうよ!

///まさかの展開にワクワクが噴火しそう///
島中に響き渡るサイレンが鳴り響き、一人で疋田山に行った数美から意味不明のショートメールが送られてきた。しばらくして、数美が雨でずぶ濡れのまま、息を切らして淳たちの部屋にやってきた場面。
209Pより。
―――「怨霊が下りてくる。早く逃げないと死ぬ、島の人たちも避難してるの、してる最中なの。ここにいるみんなは見殺しにされかけてる」―――
あの頼もしい数美が必死になって逃げろと言うなんて、しかも怨霊が下りてくるだと!?
霊とか超常現象に否定的だった彼女がここまで取り乱して訴えるってことはまさかほんとに・・・。
この展開にもうおじさん胸のときめきが抑えきれなくなっちゃったわよ(゚Д゚)ノ
(しかし霧久井島で大人数がいっぺんに死んだりしたら大問題になると思うけど、どうするつもりだったんだろ?)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///能力を超えた質問だったら?///
不可解なことが連続して起こり、霊子は宇津木幽子の予言は本物だったと皆に宣言する。
それでも納得しない者達に対して彼女は自身の能力を披露するが・・・。
169Pより。
―――「予言だけちゃう、霊能力もや。試しにうちのを軽く見せたろか。例えば麻生さん、あんた若い頃ヤンチャしとったやろ?」―――
占い師とか予言師が使うテクニックは身に着けておいて損はしないと思う。
(特に異性に対して絶大な効果を発揮するのでは・・・)
じゃなくて、例えばコールド又はホットリーディングを披露した後に調べようのないこと、分からないことを尋ねられた場合はどうやって返すんだろう。例えば今まさに心の中で考えてることは何?とか。
そーゆー場合は屁理屈を言って煙に巻くのかな?

///小さなことだけど気になった///
終盤にて、予言通りになるのであれば更に人が死ぬに違いないと思い、放置してあった包丁を・・・。
308Pより。
―――さりげなく教卓に手を伸ばし、包丁を掴んだ。ポケットに仕舞う。―――
おそらくごく普通サイズの包丁だと思うけど、よくポケット収まったなと思った。
刃を下にして入れたら穴が開いて落ちちゃいそうだし、柄を下にしたら危ないし・・・。
ひょっとしたら鞘付きの包丁だったのかも知れないか。

///確かな事実は霧久井で起こったことだけ///
読み終わってから考えてみたけど、宇津木幽子の霊能力や予言が本物だったのかどうかはっきりしないまま終わってしまったのが少し残念に思う。
どう考えても本物の気がするけど、理屈で説明されると不可解ではないかもってなるし、でも霊子だって数珠の持ち主をズバリ言い当てたし・・・。
このモヤモヤする気分を楽しむのも『予言の島』の隠し味ってことなのかな(^^;)


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
プロローグとして霧久井島での心霊番組撮影から始まり、淳たち一行が島を訪れて惨劇が起こる本編、ネタ明かしのエピローグっていう作り。
所々に挟み込まれている超常現象系のテレビ番組や書籍ネタ、霊能力者ネタなどがリアリティを高めてくれるから良いスパイスって感じだね。
織田無道とか冝保愛子とか懐かしいなぁ・・・とんねるずとちょいちょい繋がりがあったのかね。イワシ占いの白女は全く知らなかったけど)


全体的に「比嘉姉妹シリーズ」のようなホラー的雰囲気よりも、連続殺人ミステリーのような読み心地だった。だから心霊的なゾクゾクッとする恐怖を求めている未読者は、読む前に少しだけ注意しておいたほうがよろしいかと。

///話のオチはどうだった?///
終盤のネタバラしパートにて「はぁ? こんなんアリなの? むっちゃくちゃやないのぉ!」って、興奮と混乱が溢れて声に出してしまいそうになった。
ちょっとこのやり方はズルいんじゃないですか~?どこがどうって上手く説明できないけど、なんだかなぁ~って思っちゃうのは、まったく想像もできなかった仕掛けに対しての悔しさなのか、伝わってくる狂気への恐れなのか(; ・`д・´)

兎にも角にもすぐにいろんな箇所を読み返すべく、前ページをパララッパララララって桐山君のM10ばりにめくり返しまくったのは言うまでもない。

///まとめとして///
基本的に同じ小説を二度読むことはしないおじさんなのよ、だが『予言の島』は別だ。
いつか老人になって毎日暇になった時、もう一度読んでみたいと思う。
だって間違いなく二度目の方が楽しめそうだし。
それくらい細かく随所に散りばめられたネタに完敗したよ。

読み終わった直後は納得できないって文句いっぱいだったけど、有須間玲の解説を読んだら気持ちが落ち着いた。霊能力者の家族ってのも大変なんだねぇ。
澤村伊智は「いっぺんからかってやろうと思って」なんて語っていたらしいけど、ほんとはどんな思いでこの小説を書いたのか・・・・・はじめてこんなこと気になっちゃったってくらい印象に残るホラーミステリってことで満読感8点!(10点満点中)
さぁ~て、次はどんな小説を読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

31Pより。
―――近隣の豊島、犬島を合わせた三つの島にはいくつもの美術館があり、屋外のいたるところに芸術作品が展示されている。
「意外なチョイスやな。まあ、たまには芸術もアリかもしれんな」淳がそうつぶやくと、
「ナシじゃ。あんな汚い島」春夫が鼻で笑った。―――
アートの島に対して汚い島て(笑)なんのこっちゃと思っていたら108Pで説明されてたわ。
島を再生させる方法がなぜアートだったのか謎だけど、春夫ほど潔癖ではないので改善方向に進んでいるのならいいんじゃないのって思ってる。

46Pより。
―――噂とは、事故の直前その列車に乗ろうとした人が「見知らぬ女性に制止された」というものだ。―――
事故の翌日に書かれてた新聞記事にて、内容的には若い女性が交際相手に会うために電車に乗っていたが、突然老女に「この電車には乗ってはいけない」と腕を引っ張られ無理やり降ろされたとのこと。
そして、乗っていた電車が数分後に脱線事故を起こした。
真偽のほどは不明だけど、大災害や大事故の後にこういった予言の噂が良く出るらしい。
実際、自分が未来の事故を知ったとして、ソレをどうやって周りに信じてもらえば良いんだろうか?
(サラ・コナーも大変だったろうに・・・)

82Pより。
―――「りんたろうと熊太郎には勝てんかったんかな」春夫が言った。
釣りエサに使うミミズの商品名だ。―――
1箱300円~500円で購入できるが、よほどの釣り好きでないと大概余ってしまうみたいね。
余ったミミズを所かまわず捨てると生態系を壊す恐れがあるので、ミミズコンポストなどに使用したりしてポイ捨てしないようにしましょう。

89Pより。
―――「もちろん。そうやない時は大抵〝キャップ〟か〝ムラマツキャップ〟」
「せやろな思たわ。岬春夫です」
ハハハと笑い合う。やり取りの意味はさっぱり分からないが、距離は近付いたらしい。―――
1966年から放送された特撮ドラマ『ウルトラマン』に登場した科学特捜隊隊の隊長がムラマツキャップ。その役を演じた小林昭二は後輩役者の面倒見がいいという面でも信頼され、初代『ウルトラマン』の出演者やスタッフからは普段から「キャップ」と呼ばれ親しまれていみたい。

166Pより。
―――「ママさん、テレビ観すぎとちゃいます?おおかたジョー・マクモニーグルとかナンシー・マイヤーみたいなんを真に受けてはるんやろけどね。FBIからお墨付き貰った超能力捜査官みたいな連中のことを」―――
ジョゼフ・マクモニーグルは、元陸軍諜報局に務めていた情報官。スタンフォード研究所に配属され、米軍のための遠隔透視のプログラムに従事していた。
ナンシー・マイヤーはアメリカのニューヨーク市出身の人物で、超能力者を自称する女性。アメリカの超能力者ジョゼフ・マクモニーグル同様にその能力で未解決事件の捜査に協力しているようで。
「ジョー」なのか「ジョゼフ」なのか、まあどっちでもいいのかな。

278Pより。
―――「産後の肥立ちが悪かったってやつだけど、祖母はそうなることを予言してた。もちろん偶然よ。ただそう読み解ける文言を事前に残したってだけ。でもあの人の中では違う。―――
「産後の肥立ち」とは、出産した女性の身体が日増しに健康を回復することをいう。 正式な医療用語ではなく、女性の産褥期の状態を指す昔ながらの表現とのこと。

295Pより。
―――「イタコはね。でも〝恐山のイタコ〟が出てきたのなんて七十年代、たかだか四十年前だから」
「うそ」淳は目を見張った。
「本当。そもそも恐山は仏教―――天台宗のお寺が制定した霊山で、イタコは民間信仰のシャーマン。だから本来は関係ないの。ごっちゃになったのは国鉄のキャンペーンの結果よ。ディスカバー・ジャパンって分かる?」―――
「恐山のイタコ」なるものは存在しないようで、恐山がイタコを管理しているわけでもなければ、イタコが恐山に所属しているわけでもない。
イタコさんというのは基本的に個人業者で、本来は自宅に人を招いて行うものらしい。
北東北地方の神社仏閣で大きな祭礼や法要があるとそこには人が多く集まるから、『出張営業』に来ているのみたいで、参拝や観光で訪れることができる恐山の開山期間にはイタコさんももちろん出張営業に来ているとのこと。
し、知らなかったわ・・・(; ・`д・´)

337Pより。
―――幼い頃、酔って小突かれたことが一度だけあったが事故のようなもので、しかもすぐ泣いて謝られた。淳は何一つ気にしなかったが、母親は小針棒大に騒ぎ立てた。―――
些細ささいな物事を、おおげさに誇張して言うこと。針ほどの小さいものを棒ほどに大きく言う意。

白紙ページより。
―――白上矢太郎へ―――
土屋隆夫の小説、光文社『天狗の面』に出てくる登場人物。
なにか思い入れがあるのだろうか・・・わたし、気になります(`・ω・´)


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
135Pより。
―――「あんた」霊子が震える指で数珠を指した。「それはまさか」
「確かめてみたら?」数美は数珠を左手首に巻き、翳してみせる。
「見えたり感じたりするんでしょう?」―――


HD画質で描いていると保存と読み込みの時間がちょっとだけ、一瞬だけ遅くなった気がする。
やっぱりデータサイズがそれだけ大きくなっているのかな、絵自体のクオリティは変わらないのに(;´Д`)
蛍光灯の明るさ表現でグラデーションを使ったけど、予想外にしっくりくる出来栄えだったから嬉しくなっちゃってニヤついていたおじさん(お酒飲んで描いていたせいもあるけど、飲酒時の作業は要注意!)

 

 

 

一途

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