忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

いまさら翼といわれても 読書感想

タイトル 「いまさら翼といわれても」(文庫版)
著者 米澤穂信
文庫 384ページ
出版社 KADOKAWA
発売日 2019年6月14日

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この作者の作品で既に読んだもの
・今回の「いまさら翼といわれても」だけ(このブログを書き始めてからは)


<< ここ最近の思うこと >>

いつからなのかわからないけど、このシリーズの1巻と2巻が見つからないとです。
知り合いや友人に貸した気がするけど、最後に誰に貸したのかも思い出せんとです。
「折木さん・・・・・私、気になります!」
きっともう二度と手元には戻ってこないんだろうなぁ~。
映画でもマンガでも小説でも、ソレ自体が好きな人じゃないと媒体に対しての扱いも雑になる気がする。
やはり興味の無い人に貸す時は、寄付するくらいの気持ちでいないといけないね。
(↑とか言ってる自分も誰に貸したのか分からなくなってるじゃん!扱い雑になってるじゃん!!)


<< かるーい話のながれ >>

『箱の中の欠落』
ある日の夜、里志に呼び出された奉太郎はこんなことを相談される。
生徒会会長選挙の開票をしてみたら、正式な有効票が一クラス分多かったと。
そのことで疑いをかけられた一年生の疑惑を晴らすために、力を貸してほしいとのこと。
果たして犯人はどうやって一クラス分もの有効票を紛れ込ませたのか?
アチアチのラーメンを食べた二人は思考を巡らせる。

『鏡には映らない』
中学の同級生とばったり再開した摩耶花は、昔話から卒業制作の出来事を思い出す。
大きな鏡の枠を木彫りのレリーフで飾り付ける卒業制作だったのだが、奉太郎が請け負った部分を手抜きで作って来たせいでクラスの皆から反感を買ってしまい、卒業まで嫌な奴として扱われたのだった。
古典部としてこれまで奉太郎と一緒にすごしてきた摩耶花は、卒業制作で理由もなく手抜きをしたのは「らしくない」と確信して、個人で真相を突き止めようと動き出す。
(誰も死なない殺さない学生物語なのに、残酷なお話造りがうまいなぁ~って思ったよ)

『連峰は晴れているか』
(似た話を読んだことあるような気が・・・救難ヘリを見てマナー違反者達が事故に遭ったことを喜んだ先生の話だったような)
ヘリの音を聞いた奉太郎は「ヘリが好きなんだ」と言っていた中学時代の小木と言う教師を思い出す。
ついでに里志が本人いわく生涯で三回も雷に打たれてたと語っていたことも思い出す。
その言葉を聞いた奉太郎はある種の予感を感じて、珍しくも自分から当時の事を調べ出す。
(まあ、むかし見たアニメ版の内容を勘違いしていただけ、なのかな?)

『私たちの伝説の一冊』』
摩耶花の所属する漫研グループは部長である湯浅が辞めたことにより、読むだけ派と描いてみたい派の溝は深まる一方だった。
そんな時、描いてみたい派の浅沼から有志数名で同人誌を出してみないか?と誘われる。
漫研の中で一番しっかり描いている摩耶花としては断る理由はなかったのだが、浅沼から聞かされた同人誌出版の計画は波乱を生みそうな危うい内容だった。
案の定、浅沼の計画は読むだけ派に露見してしまい・・・。
(『走れメロス』の感想がなるほど。そして漫研のギスギスが怖い、漫研の女子が怖い・・・)

『長い休日』
ある日の休日、朝起きした奉太郎は謎の感覚に襲われる。
「調子がいい」
心身ともに調子のよい奉太郎は散歩に出て、思いつくままに歩いて荒楠神社へとたどり着く。
そこで偶然出会った千反田と一緒に祠の掃除をすることになった。
掃除ついでに千反田は以前から気になっていたことを奉太郎に尋ねてみる。
「・・・・・折木さんはどうして、それを言うようになったんですか」
別に隠すような事でもないし、調子もよかったので奉太郎は語りだす。
小学六年生の時に起こった出来事を。

『いまさら翼といわれても』
市主催の合唱祭当日に、摩耶花から奉太郎に電話がかかってきた。
「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」
合唱祭りでソロパートを担当する千反田は、開催場所の市民文化会館に来てから姿を消してしまった。
奉太郎も現地入りして周辺を観察しつつ、千反田の行きそうなところを考える。
事故か犯罪にでも巻き込まれたのか?
思い返せば夏休みに入る直前の古典部でも、千反田の様子は少しおかしかった。
彼女は今どこにいるのか・・・?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>
///おじさんでも思わず萌えそうになる///
84Pより。
―――誰だって、真っ向から見つめられたら気まずくなる。なんだか恥ずかしいと思うこともあるだろう。それを差し引いても、折木はこのとき、ちょっと頬を赤くした。―――
赤面する奉太郎って珍しいなぁ~って思ったけど、アニメ版だとけっこう赤面してたような気がする。
後々になってその理由が判明した時には、あ~なるほどねそーゆー理由で赤くなったのね!って納得できましたわ。
素直になれない男心におじさんもほっこりしてしまう(*´▽`*)

///胸にグッと来た言葉///
226Pより。
―――「本当はもっと描かなきゃいけなかった。だから、遅かったかもしれないけど、描くためにやめた。あたしには才能がある。ちっぽけでゴミみたいな才能だけど、でも、あたしはそれに仕えなきゃいけなかったんだ」―――
女子高生がこんなにアツいセリフを言ってのけるなんて・・・・・カッコよすぎでしょ( ゚Д゚)
「才能に仕えなきゃいけなかった」かぁ・・・・・小説を楽しめるのも才能の一つかな?
とりあえず小説があれば老後も暇をもてあますなんてことはなさそうだし。
(アニメ版の河内先輩の立ち絵が、カワエエ(*´▽`*))


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///「鏡には映らない」から///
中学の卒業制作を見る為に卒業した中学校へ行く摩耶花。
卒業した身分で中学校に侵入するのを躊躇っているんだけど、普通に職員室に行って挨拶すればささっと入れてくれるんじゃないの?と思った。
「懐かしくなったから卒業制作の鏡を見たいんですけど?」みたいなこと言えば断られないだろうに。
黙って侵入して見つかった時の方がリスク高そうだけどなぁ。

///「わたしたちの伝説の一冊」から///
190Pより。
―――「これ見てて!」と言うと、ふくちゃんが怪訝そうに首を傾げた。
「見るって・・・・・読めばいいってこと?」
とんでもない!
「違う、見張ってて」
「見張るの?」―――
いくら急いでいたとは言え、「そこのノートを誰にも渡さないで」ってことくらい言えたのでは?
まぁ、争いが起こって怪我人がでたのかもって焦っていたから、しょうがないっちゃしょうがないか。
摩耶花は素直な性格すぎて、おっちょこちょいが目立っちゃっうのかな(笑)


<< 読み終えてどうだった? >>


///全体の印象とか///
久しぶりの米澤作品で古典部シリーズ、日常推理系って全然読んでなかったし、昔みたいに楽しめるかな~って思ってたけど・・・・・・めっちゃ楽しく読めちゃったわ!
アニメを全部見ていたから声もキャラクターもイメージしやすくて感情移入もしやすかったし。
ってかほんとうにアニメ見ているみたいにサクサク読めちゃうのが心地いい。
読み終えてから第一期のOPソングを聴き直してみたけど、まさしく奉太郎の歌だね。

///話のオチはどうだった?///
やるせない・・・まったくもってやるせないよぉ。
奉太郎のぶつけようのない怒りがビシビシ伝わってくる!
結局どうなったのかわからないし・・・・・なのにこの満足感はなんなんだ?
(自由が得られたから結果オーライ?いやいや、それで済ませられることじゃないでしょうが!)
とにかく続きが気になる。
小市民シリーズの続きも気になる。
米澤さん早く続きを頂戴よぉぉぉ(;´Д`)
(小市民シリーズについては、コレを描いている時に最新刊が出版されておりましたわわわ)


///まとめとして///
あとがきで「焼きそばからはじまり、中華麺でおわる」と描いてあったけど、米澤さんは執筆中に麺類に嵌っていたのかな(笑)
進みだした奉太郎と立ち止まってしまった千反田、漫画を描くことに対して一つのけじめを下した摩耶花、絶対に「負けました」と言いたくない里志・・・。
神山高校古典部メンバーの今後が・・・・・私、気になります!!
そして誰もが口に出したくなるセリフ「えるきてる」(えるきてる、えるきてる、えれきてる?)
やっぱり氷菓シリーズは面白いってことで満読感89点!
さぁ~て、次はなにを読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>


23Pより。
―――選挙管理委員会の権力に掣肘を加えるために総務委員会として問題に介入しようとしている・・・・・という仮説も成り立たなくはないが、そういう妄想は丸めて燃えるゴミの日に出してしまって構わない。―――
「せいちゅう」
わきから干渉して、自由な行動を妨げること。

68Pより。
―――彼女の得意分野はエッチングだったけれど、彫刻刀をにぎらせてもわたしより上手く、十センチ四方の板二枚ぐらい二人でかかれば朝飯前だった。―――
エッチング
エッチングまたは食刻とは、化学薬品などの腐食作用を利用した塑形もしくは表面加工の技法。

161Pより。
―――正直に言って、読書感想文ってのは読書の感想を書く宿題じゃなくって、どいういう感想を書いたら先生にOKがもらえるか考える宿題だと思っていたけど、蒙が啓かれたね。―――
「もうがひらかれた」
知識や理解が不足している無知な状態を、教え諭されることで知識をもった状態へ導かれること。
啓蒙されること、とのこと。

240Pより。
―――本屋に行こうかと思ったが、今月はいろいろあって手元不如意。何よりポケットの文庫本で今日一日は保つだろう。―――
「てもとふにょい」
手元に金がないという意味。
ポケットに文庫本を入れて持ち歩く高校生・・・・・見たことないなぁ(;^ω^)


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
幼き時の折木姉弟を描いてみたけど・・・・・誰なんだよコレ!?
奉太郎も似てないけど、それ以上に姉の供恵は誰なんだ。
中学生でこんなムチムチボディーって、これじゃもう対〇忍じゃないか(笑)
つーかもう全体的に変だしぃぃ! んほおおおぉぉぉぉ!!!
(あ~あ、キャラクターを描くのって難しいわぁ・・・いや全部難しいわぁ)

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277Pより。
―――そう。あんたは不器用なくせに、器用になりたいのね。あんたはばかのくせに変なところで頭がいいから、嫌な気づき方をしちゃったのね。いいよ、止めない。それでいいんじゃない。あんたの言ってることは間違ってないと思うよ。―――
うむむ!
感じるぞ、おねしょたの波動を(`・ω・´)

 

優しさの理由

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  • 発売日: 2020/03/11
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