忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「ロマンス小説の七日間」 読書感想

 

タイトル 「ロマンス小説の七日間」(文庫版)
著者 三浦しをん
文庫 283ページ
出版社 角川書店
発売日 2003年11月22日

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この作者の作品で既に読んだもの
・今回の「ロマンス小説の七日間」だけ


<< ここ最近の思うこと >>

今回はおじさんが本屋で小説を選んでいた時に何度も目にした作品。
思い出したのも何かの縁と思って、恋愛小説枠で購入してみた~よ。
三浦しをん』を調べてみるとなんとあの「まほろ駅前多田便利軒」の作者だったか!
むかーし読んだなぁ、まあまあ面白かった記憶があるけどそれよりもドラマがヒットしていた気がする。
現実が物語に、物語が現実にって聞くと思い浮かぶのは「ネバーエンディングストーリー」とか「ラストアクションヒーロー」とか、最近だとドラマの「泣くなはるちゃん」とか。
でもコレは恋愛小説っぽいから、エンターテイメントな展開はないだろうけど・・・。
いやでも小説は読んでみるまで分からない、じゃあさっそくいってみよう(=゚ω゚)ノ


<< かるーい話のながれ >>

海外ロマンス小説の翻訳家であるあかりは28歳の独身女性。
いつものように依頼された小説、騎士ウォリックと姫アリエノールの物語を翻訳していると、半同棲中の彼氏である神名が「仕事を辞めてきた」と急に告げてくる。
なんの相談も無しに決めてしまったことに悶々とするあかり。
常連の居酒屋「たんぽぽ汁」の店主の大迫さんと娘(多分)のまさみちゃんは、神名が仕事を辞めたがっていたことを知っていたようで、そのことにも悶々と。
それに神名とまさみちゃんは何だかアヤシイ関係に見えてくるし、実家の父親は腕を骨折するし、さらには神名がもうひとつとんでもないことを考えているし・・・。

あかりのフラストレーションは爆発寸前。
ぶつけようのない感情が向かった先は依頼されたロマンス小説だった。
毎度毎度、同じような展開の話ばかり作りやがって!
え~いこんなストーリーは、改変してやるー!!
ってなわけで、どんどんあかりオリジナルのストーリーになっていくロマンス小説。

果たしてウォリックとアリエノールの物語はちゃんと翻訳されるのか?
あかりと神名の関係はどうなってしまうのか?
オリハルコンの聖剣は誰の手に渡るのかぁ!?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///あかりによるロマンス小説の改変が酷い(笑)///
150Pの所なんか「あーらら、やっちまったなぁ!あかりさん」って心の中でツッコミ入れたし、186Pの所では「ほぉ~、もうこれは昼ドラみたいになってますね、あかりさん」ってまた心の中で・・・。
まあまあ、現実世界で色々わちゃわちゃしていたから同情はするけど、お仕事なんだからちゃんとね(;^ω^)

///動き出すにはアレが必要になるほど///
お互いにちょっと冷静になってから、神名が仕事を辞めた理由を聞いたあかりは彼が「次の動作に向けての貯めの時間」を必要としていることを理解する。
このあかりの考え方が心にスッと染みてくるわ。
206より。
―――止まるのは悪いことじゃない。どんなスポーツにも、ための瞬間はある。それは止まっているわけじゃない。行為の中の、一連の動作なのだ。運動はからきしのくせに、私はそんなふうに考えてみる。―――
確かにその通りだわね。
こーゆーふうに考えるなら、自分探しの旅っていうのも馬鹿には出来ないか・・・。

///しをんキャラにありがちなぶっとんだ性格///
156Pより。
―――神名はベッドの上のクマを抱え上げ、床に下した。「一緒に寝てるってことは、これが今つきあってる男からもらったものなんだろ?」
「ううん。それはこのあいだまでの彼氏のリョウタくん。『別れないでくれ』って泣きながらそれをくれたから、もらっといた。そんで、別れた」
「もらうなよ!」―――
今すぐ捨てなさい!勿体ないなら売りなさい!
歴代の元カレ達からもらったぬいぐるみ達を捨てずに全部取ってあって、それぞれに元カレの名前を付けているまさみっていう女の子・・・いわゆるメンヘラ気味なのかな?
でも悪い子じゃないのは伝わって来るよ!


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///こんなやり方できるのか?///
39Pより。
―――まさみちゃんが声を上げる。「出たっ。カンちゃんの『点滴目薬』!」横を見ると神名が、手を添えずにまぶただけで小さな容器を挟んで支え、上向いて目薬を差していた。―――
器用なことするわなぁ~。
容器の中に瞼の粘膜から色々な菌が入り込んで繁殖・・・とかなんないのかな?
おじさんは絶対に上から落とす派ですわ。

///逃げ水を眺める美人な女友達///
あかりの幼馴染で実家が駄菓子屋の百合という女性。
実は今まで男性とお付き合いしたことが一度もないと打ち明けられてあかりが驚く場面。
中学時代も男子から人気があって、一緒に遊んでいることもあったらしいのに、何故?
あかりは理由を聞かずにいるんだけど、読者としてはやっぱり気になりますわ。
(安直に予想するのなら、名は体を表すってことで・・・百合だから?・・・なわけないわな)

///悪天候こそ狙い目なのか!?///
237Pより。
―――「遊郭。その昔、遊郭は大雨や大雪の日に繁盛したらしいぞ。『こんな天気では、だれも遊びに行かないだろう。今日なら俺も、暇をもてあました綺麗なお姐さんたちに歓待されるかもしれない』と、考えることはみな同じだったわけ」―――
むむむ、これは、あるかも(笑)
大昔から男の考えることは変わらないってことかぁ。
悪天候で何もできずに暇だから、欲望に流されちゃうってのもあるかな・・・)

 

<< 読み終えてどうだった? >>

恋愛小説っていうより、青春系?って感じでもなく・・・たぶん成長(+少量恋愛)物語かなと!
付き合っているカップルのありきたりな七日間を切り抜いただけの物語。
それってどこか面白いの?
魅力的なキャラクター達が物語を面白くさせてくれるんですよ(*'▽')

一番好きなのはやっぱり主人公のあかりだね。
29Pより。
―――ぎゃー!やっぱり!やっぱり予想したとおりのラストシーンだ。これなら訳さなくてもいいんじゃないかしら。翻訳した一章分だけ印刷して、あとは全部白紙でも、きっと読者は的確にその後の展開をラストまで想像してくれる。それじゃ駄目かな。―――
「ぎゃー!」って(笑) このシーンなんておもわず笑っちゃいそうになったわ。
ロマンス小説の楽しみ方は「うっとりとツッコミの微妙な塩梅」だそうで、まさしくこんな感じか。
それにキレて爆発した時も、状況を冷静に分析して全員の靴を放り投げてから逃げる性格も好き。
(どちらかというとラブコメマンガに出てきそうなキャラクターやね)

当たり前だけど学生が主人公の恋愛小説よりこっちのほうが共感しやすかった。
白黒はっきりしないモヤモヤな現実、そうそれこそが現実を生きる人間なのよ。
だから人は妄想ロマンスに惹かれるのかな。

願わくば、割れたモノを合わせたくなる神名の性分を信じて、最後はあかりの元へ戻ることを期待する。
神名が帰ってきてからのエピローグとか読んでみたかった。
てなわけで恋愛成分はあまり補給できなかったけど、恋から愛に変わる時期的なほっこり感を頂けた気がするので、これもまた良しかなと。
今回の満読感はちょっと控えめの78点!
さぁ~て、次はどれを読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

73より。
―――ツッコミを入れながら読む、という楽しみもあるし。現に、「祈ってないでおまえも行け!」といちゃもんをつけながら、喜んで翻訳しちゃってるしなあ。うっとりとツッコミの絶妙な塩梅が、やみつきになってくる。―――
男の子にとってのエンタメはアクション、女の子にとってのエンタメは恋愛ってこと?
コテコテなロマンス小説って何が面白いんだろうって疑問だったけど、なるほどそうやって楽しむのか。

45Pより。
―――「安心しろ、ローディーヌ。俺はおまえの戦馬としての誇りを、ないがしろにはしないぞ」と、自分の葦毛の愛馬の首を優しく叩いた。―――
「あしげ」
馬の毛色のひとつで、 一般に灰色の馬のことらしい。
全体的に白い毛が多い見た目ってことか。

167より。
―――乱戦中のこととて、終油の秘蹟ももちろん授けられていない。司祭による弔いを、はたしてウォリックが必要としているかどうか、わからなかったが。―――
「しゅうゆのひせき」
病人とか瀕死の人に対して、罪の許しや治療の為に使用される秘跡
司教が対象者の五官(目・耳・鼻・舌・皮膚)に塗って祈ってくれるみたい。

197より。
―――「どうせ旅に出るなら、冬がいいでしょ」
「そう?どうして?」私は画面から目を離さずに聞く。
スナフキンだって、冬が来るとムーミン谷から去っていく」―――
理由は分からないけど、スナフキンは確かにそういう行動をするみたいだね。
「孤独」好き設定だから、冬に一人旅をするとより一層「孤独」を感じられるから出ていくのかな?


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>


今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
あえて割った茶碗を接着剤で修復して、底に穴が空いた状態にする・・・・・そうやって出来た鉢植え茶碗を商品として売りに出せば、それなりに話題にならないかな?
う~ん・・・ならないか(笑)
(つーかすでに同じような商品が沢山あるだと!? いやでも割れた茶碗を使った物はまだないからワンチャンあるか!?)

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194Pより。
―――茶碗は接着剤で修復してある。しかしわからないのは、なぜか中に土が入れられ、道ばたの草が寄せ植えになっていることだ。茶碗を持ちあげて底を見ると、親指の爪ぐらいの大きさの鋭角的な穴が空いていた。ここの破片だけ見つからなくて、茶碗は植木鉢になったらしい。―――

ロマンス小説の七日間 (角川文庫)

ロマンス小説の七日間 (角川文庫)