忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

DINER 読書感想

タイトル 「ダイナー」(文庫版)
著者 平山夢明
文庫 533ページ
出版社 ポプラ社
発売日 2012年10月5日

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この作者の作品で既に読んだもの
・「独白するユニバーサル横メルカトル」
・「メルキオールの惨劇」

<< ここ最近の思うこと >>

真っ先に浮かんだのは「パルプ・フィクション」のハンバーガーを食べるシーン。
あーーー!! もうとにかくハンバーガーが食べたい!!!
数年前に本屋でコレを見かけて「またぽっとでのイロモノ小説が出てきたわい、フンだ!」なんて思った自分を貼り倒したいくらい後悔している今日この頃。
ついに・・・・・ついに読む時が来たぞ。
道徳心の欠片もない、しかし人間味のある平山ワールドへ飛び込むのだ(゚Д゚)ノ
さあ、地獄の底にあるダイナーへ行って、極上の味に舌鼓を打とうじゃないか。


<< かるーい話のながれ >>

報酬30万円で軽リスク有りの運転手アルバイトに応募したカナコ。
もちろんマトモな仕事の訳がない。
反社会組織の金を強奪しようとして失敗したD・Dとカウボーイの仲間とみなされて、カナコは生き埋めにされて殺されそうになるが、がむしゃらな一手を打ちだし幸か不幸かカナコに買い手がついた。
彼女を買ったのはボンベロというコックだ。

地下の頑丈なドアに塞がれたダイナーにて、カナコはウェイトレスとして買われたのだった。
しかしその店は殺し屋専用のダイナーで、ボンベロという男も元凄腕の殺し屋。
壁に掛けられている8人のウェイトレスの写真、それはここで死んだ者達だと教えられる。
そしてカナコは近い将来9人目になるだろうと宣言された。

大馬鹿な子、人質、キャンティーン、キッド、瓶と女の取引、菊千代、慈善事業、デルモニコ・レギュレーション、ボイルと犬のボイル、コフィと歌姫、ダイナーの目的、完璧なスフレ、炎眉、ミコト、ゾーラ、心臓の鼓動、魔術師のオヅ、九十九九、子殺しは大罪、ブルーピッグ、無礼図、料理をしろ、ボンベロの背中、義眼、チンパンジーの小便・・・。

地獄に一番近い地下のダイナーにて繰り広げられる、生と死の闇鍋みたいなエンターテイメント。
ある日突然、非日常へと堕ちてしまったカナコ、果たして彼女は生き延びることができるのか?

<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///死体の処理方法になるほど///
323Pより。
―――「死体に重りをつけて捨てるのは素人だ。プロは魚が通れる程度の隙間のある金網に入れる。網なら潮の影響も受けにくいし、腐敗ガスが充満しても浮かび上がることもない。身は魚が綺麗に骨にしてくれるし、網がさびて壊れる頃には骨も崩れて跡形もない」―――
ほぁ~なるほどねぇ( ゚Д゚)
たしかに重りを括りつけて沈めても、ちぎれて体の一部が浮かんできたりしたらアウトだもんなぁ。
マンガの『闇金ウシジマくん』では死体を完全焼却してブロック氷にして海に捨ててたけど、真偽はわからない情報でも納得できる説明があるとグッと重みが出るよね。

///お前のソコはどうなっているんだ?///
467Pより。
―――「公共の安全と秩序を維持する厳しさが、おまえにもわかったか!」―――
カナコと同じ制服を着てあんなことしながら↑みたいなこと言ってもねぇ(笑)
しかしアレってけっこうな長さと太さがあると思うんだけど、よくもまぁ・・・。
さらにその後でカナコが言った―――「あなた、あそこは倉庫じゃないのよ」―――ってツッコミがまたウケるね。
めっちゃハラハラドキドキな場面なのに(笑)

///平山夢明ワールドには珍しいアツい展開///
今までなんとかギリギリのところで生き残ってこれたカナコだけど、今回ばかりは完全におしまいってなってしまった終盤で、こんな展開になるとは予想外だったわ。
いやでもほんのりとは期待していたし予想もしていたよ?
それなのに―――「冗談じゃないぞ!」―――ってところを読み始めたら、もうブワワって沸き上がる感情を抑えきれなくなっちゃうんだよ。
読者の期待にバッチリ答えてくれる王道展開が素晴らしかった!


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///どうしてドアが開いたのか?///
190Pから。
―――プシュッとドアが鳴るとキッドが、ふらふらしながら入ってきた。酷く疲れてい見えるのは帽子が無く、服がなんとなく皺くちゃで破れているからだった。―――
キャンティーンの入り口のドアはライフル弾でも通さない重厚で頑丈な扉になっていて、ボンベロが持っているスイッチを使わないと開閉できないようになっていたはず(たぶん)
なのになぜボンベロが留守の時にドアが開いたのか?

///九はカナコの知り合いだったの?///
433Pより。
―――「俺の知り合いに大莫迦な子っていうのがいてな、ロクな死に方しなかった。あと、水田真理。小田マリっていうのもいたな。みんな、ロクな死に方をしなかった」―――
大鋸屑として連れて来られた九が↑こう言っているけど、カナコ自身は知り合いっていう雰囲気じゃないし、やっぱり他人同士なのかな?
(もしくは九が事前にキャンティーンのことを調べ上げていたから、カマをかけてみただけ?)

///終盤のクライマックス大集合であの人も///
467Pより。
―――顔を上げた途端、私は凍りついた。
「あんた、カナコ?」
男と女が立っていた。ふたりとも忘れようにも忘れられない人間だった。―――
まさかこんなところで登場するとは( ゚Д゚)
あの状態からどうやって生き延びたのか?
どんな恐ろしいことをして生きながらえてきたのか?
その辺を詳しく知りたいわぁ。


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
今まで読んできた平山作品の中で、初めて女性が主人公のストーリー。
カナコ視点で語られる訳だからほとんどダイナーの中だけで話は進んで行く。
外の場面は最初と最後の少しだけだったね。
それなのに中だるみしないで読み進めてしまうのは流石だわ。
連作短編だからってのもあるけど、先の読めないビリビリした緊張感がおじさんを休ませてくれない。
分厚い文庫本なのにずっと集中して読んじゃった。

///話のオチはどうだった?///
まあまあ、エンタメ小説って感じだからなんとなーくこうなるよねって考えてはいた。
だけどその結末に至るまではまったく予測できない展開の連続だった。
終盤の怒涛な展開で思い出すのは映画「レオン」だけど、あそこで料理ってのは凄いチョイスね!
(読みながら頭の中では、スローモーションで銃撃料理シーンが再生されたわぁ)
そして「メルキオールの惨劇」もそうだったように、この作者が描くラストシーンはどうしてこうも、切ないような寂しいような・・・・・それなのに悪くない気分にさせてくれるのか。
(勝手な妄想だけど、エンディング曲は『Mr.Big』の『Shine』が良いかな~って思ったり )

///まとめとして///
おじさんにはどんな靴が合うのかな~?
まだまだ人生迷走中だから、タフで頑丈な靴がしっくりくる人間になりたいわぁ・・・。
ってそんなことはどうでも良くて、コイツはめちゃめちゃ面白いエンタメ小説だったよ!
グロとかホラーとかイケる人なら、間違いなく読まなきゃ損っていう一冊( `ー´)ノ

文庫版のあとがきにて、こんなことが書いてあった↓
―――読者諸氏の一時の憂さ晴らしになれれば、これに勝る幸せはない。―――
んもう、最高の憂さ晴らし小説(=゚ω゚)ノ
「面白かったぜ!ダイナー」って声に出して叫びたくなる一冊よ!
読む前から期待していたのに、読み始めたらそれ以上の興奮を与えられる小説は凄いと思うのよ!
ってことで満読感はもちろん高めな97点!!
さぁ~て、次はどれを読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

「ダイナー」はなんと第28回日本冒険小説協会大賞と、第13回大藪春彦賞受賞作の2つを受賞しちゃっているのです!

「ダイナーⅡ」という作品が連載されているとのこと!
完結するのはまだまだ先だろうけど、楽しみ過ぎるぅ(=゚ω゚)ノ

実写映画がありますよ・・・・・いつか見る機会があるのかな?
(マンガもあるみたい。

深夜アニメかOVAで作ってくれないかなボンベロの声は杉田で)

77Pより。
―――突然、喉が掴まれ、躰がそのまま持ち上げられた。
「ディーヴァ・ウォッカ。あれに触ったのか」―――
スコットランドシェトランド島にある、ブラックウッズ蒸留所がリリースしているウォッカ
北欧産の白樺とダイヤモンドで濾過されたウォッカだが、価値があるのはボトルの中に入っている1億2000万円ほどのダイヤモンドなのでウォッカ自体はほどほどなお値段らしい。
現在では世界第3位くらいのお値段だとか。

103Pより。
―――「メルティ・リッチです」
「ありがとう」
スキンは頷くと本を置いた。表紙にはジェームズ・フレイザー金枝篇』とあった。―――
金枝篇」はイギリスの社会人類学ジェームズ・フレイザーによって著された未開社会の神話・呪術・信仰に関する集成的研究書で完成までに40年かかっていて、全13巻にもなる大作だとか。

124Pより。
―――「店の奢りだ、遠慮するな。そこのジジイが飲んだのと同じ。エストニアスピリタスを超える酒だ。アルコール度数98。一気に飲めよ。ゲップに火がつく」―――
ソビエト時代に作られていたらしいウォッカエストニアはアルコール度数98%で、当時では世界最強度数のお酒だったみたい。
現在では製造されていないらしい。

138Pより。
―――「良いだろ。クルップKK。マグナムの弾だって装填できる。もっとも俺用にだいぶ手を加えたけどな。こいつぁ、水中でも撃てるんだぜ」―――
ネットで検索してみたけど、まったく見つからないよぉ(ノД`)・゜・。
デリンジャーよりも小型な隠し銃なのかな?

271Pより。
―――「兄弟。それは誤解だ。未だにそのような心ない噂があると聴くが、私の仕事における売上と資産は、今や祖父から引き継いだものの三倍強となっている。額の多寡だけで偉大さを推し量ることなどできぬが・・・・・。私はそうしたデマゴギーには常々心を痛めているのだよ、ファキール」―――
「でまごぎー」
相手を中傷して、悪評を招くように流す、虚偽の情報ってことらしい。

356Pより。
―――「俺は医者なんだよ」ソーハが呟いた。「産婦人科だ。それも堕胎専門だったんだ。俺は描き出すのが好きなんだよ」
「だから掻把なのね。趣味が悪い」炎眉が眉を顰めた。―――
「そうは」
治療や診断のために子宮内膜をかきとること。
または人工妊娠中絶のために、子宮内の胎児を体外に出す手術。

370Pより。
―――硬いとばかり思っていた表面は実になめらかなシュー生地だった。なかには小さなマジパンがクリームと蜂蜜のなかに埋まっていた。―――
マルチパンもしくはマジパンは、砂糖とアーモンドを挽いて練りあわせた、餡のような食感と独特の風味がある洋菓子。
スペインのトレドやラ・リオハ、ドイツのリューベックシチリアパレルモの名物として知られているらしい。

442Pより。
―――が、そこらじゅう噴火口のようになってしまった腕には適当な血管が見あたらない、女は口を大きく開けると舌を丸め、注射器を近づけると、その付け根に針を立てた。―――
ドラッグ中毒者が舌の根元に注射をするなんて方法は知らなかったからネットで調べてみたけど、そんな方法は見つからなかったなぁ。
作者が見てきたやり方なのか、誰かから聞いたやり方なのか、どちらにしても恐ろしいわね(・・;)

486Pより。
―――「なんだウッズマンじゃないか。なんでこんな骨董品を」
「ソーハという莫迦が持ち歩いていたんだ。文句を言うな」―――
コルト・ウッズマンは、アメリカの銃器メーカーであるコルト社が1915年から発売した自動拳銃。
競技用に開発された拳銃で、使用弾は威力の低い.22LR弾、装弾数は10+1発。
ウッズマンには膨大なバリエーションがあるみたい。
作中では衰弱した者でも撃てるように、電動歯ブラシと粘着テープを使って引き金を引きやすくしていたみたいだけど、一体どんなふうに組みつけたのか気になるわ。


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
水平二連タイプなのか、上下二連タイプなのかわからなかったけど、おじさんは映画の「マッドマックス」が好きだから水平二連ショットガンをチョイスしたよ。
475Pより。
―――無礼図はショットガンを銃床を下げて折らせると銃身から薬莢を取り出させた。
「味わうが良い」
無礼図は銃身を漏斗代わりにディーヴァを注ぎ込み始めた。―――

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名残惜しくもシャーペン描きは今回で最後。
次回からは初の試み!
ちゃんと描けるからなぁ、描けないだろうなぁ(;'∀')

ダイナー (ポプラ文庫)

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Diner ダイナー

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  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: Prime Video
 

 

少女の時間 読書感想

タイトル 「少女の時間」(文庫版)

著者 樋口有介
文庫 352ページ
出版社 東京創元社
発売日 2019年5月21日

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この作者の作品で既に読んだもの
・「風の日にララバイ」
・「遠い国からきた少年」

<< ここ最近の思うこと >>

忘れもしないシリーズ第一作目のタイトルは「彼女はたぶん、魔法を使う」だった。
あれからもう何年たったのか・・・。
まだ読書初心者だったおじさんが、友人に勧められてとりあえず読んでみた作品。
読み終えての感想は「どーなのこれ?イマイチしっくりこないじゃ~ん」だったのに、気がつけばシリーズ全て購入て(笑)
『永遠の38歳 柚木草平の事件簿』シリーズを、遂に載せる時が来たぜ!!
さぁ~て、今回の美女達はどんなんかな~っと(*‘∀‘)


<< かるーい話のながれ >>

元警視庁捜査一課の警部補で現在はフリーライターの柚木草平(妻と娘は別居中)
娘との旅行費を稼ぐために月間EYEs編集者の小高直海に仕事とお金の打診をしたところ、二年前に起こった強姦魔による女子高生殺人事件の調査を提案された。

特に引っかかることのないような事件だが、当時被害者女子高生と仲の良かったベトナム人留学生が、最近になって捜査している刑事に脅されて震え上がっているらしく、安心させてやってほしいとか。
渋谷にある東南アジアからの留学生支援ボランティア組織に、その人留学生は通っているらしい。
そこで柚木草平は待ち受ける美女達に翻弄されつつも、二年前の事件を少しずつ紐解いていく。

冬休みに奄美大島へ、二年前の大森女子高生殺人事件、PSE、ミス警視庁に選ばれた美人刑事、マリファナ、対韓工作、日本初の女性警視総監、大麻草と預金通帳、里山明依と焼き鳥、利きチチャ、深夜のベタの死闘、グエン・バン・タイン、敵前逃亡は許しません、秋山川での事故、小さい紙包み、六千万円ほど、芦田かほりの殺害犯人、メモリの映像、卑怯者・・・。

永遠の38歳、柚木草平が事件と金と美女に翻弄される青春推理小説
―――『美女からの調査依頼に心は浮き立ち、事件の顛末は俺を哀しくさせる。』―――
帯に書いてある↑の言葉が、染みるねぇ・・・。


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///柚木草平の独特な言い回しを味わえ///
17Pより。
―――雨と人生に辟易はしても部屋へ帰ればシャワーから湯が出て冷蔵庫にはビールがあって、それに退屈という名の自由が待っている。―――
退屈を感じることが出来るってことは、それだけ自由な時間があるってことなのかぁ。
歳を重ねたからこそ、無為に時間を過ごす喜びがわかる・・・・・渋いねぇ。

///吉島冴子の魅力溢れる表現に共感///
133Pより。
―――かるくマティーニをすすり、きれいな首をみせつけるように、冴子が少し顎をあげる。その目をほそめた感じが俺を揶揄しているようでもあり、慈しんでくれるようでもあり、自然に俺は、泣き虫で甘えん坊だった少年時代を思い出す。―――
コレは分かる気がする!
自分にとってタマラナイ美女を見る時って、無条件に白旗上げて甘えたくなっちゃうよね!
(あれ・・・ならない?・・・おじさんだけ?)
小高直海によって持ち込まれたPCのメールアドレスをonnatarashi@に設定するお茶目なところもまたイイね!

///今回はクロスオーバー出演がそこかしこに///
136Pより。
―――店のドアがあいて、背の高い女が顔をのぞかせ、そのまま初老男のとなりへ向かう。安物のスーツに無骨なショルダーバックをかけているが、スタイルはいい。前にも一、二度、この<クロコダイル>で見かけたことがあったか。―――
出ました!「風町サエ・シリーズ」から主人公の風町サエさん!
それに女性刑事の吹石夕子という人物は「枯れ葉色グッドバイ」という作品から。(コレは読んだよ)
枝沢柑奈という人物は「風景を見る犬」という作品から。(コレはまだ読んでな~い)
さらにさらに。
324Pの柚木に義理を感じて秩父のワインを送ってくれる人物というのは、過去シリーズの「探偵は今夜も憂鬱」に収録されている「雨の憂鬱」って話に繋がっているとか。(コレは読んだけど忘れちゃった)
とりあえずファンとしては、「風景を見る犬」を読むっきゃないわな(=゚ω゚)ノ


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///悩める美少女高校生の山代美早が読めない///
お金持ちで美人の母親を持つ絶世の美少女、山代美早という高校生。
数々の美女に出会って来た柚木でさえタジタジになってしまう美早の言動と行動におじさんクギヅケ!
・酔っぱらって夜遅くに柚木の部屋へやって来て、そのまま寝てしまう。
・柚木に自身の母親と結婚して家族になりましょう、などと突然迫って来る。
・「わたし、ファザコンなんでしょうかね」と柚木に聞いてくる。
・柚木の部屋の洗濯機を漁ってアレを見つける。
とにかく予測できない美少女が宙ぶらりんで終わっちゃったから、ちょっと消化不良気味だね~。
(でもでも、なにやら次回作にも登場するようなしないような・・・)

///柑奈さん、なぜアナタは下着を置いていくのですか!?///
PSE理事であり、柚木の担当編集者である小高直海の友人でもある枝沢柑奈(もちろん美女)
彼女は作中で柚木と遊びな関係になるのだが、何故か彼の部屋に自身の下着(下半身)を置いていく。
そのせいで柚木がハラハラドキドキする場面が何度かあるのは良しとして。
なぜそんなことをするのか?マーキングなのか!?
いつだって美女に振り回される柚木、おじさんも美女に振り回されたい(ノД`)・゜・。


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
柚木による喫煙描写と飲酒描写がたっぷりで、煙草はもう大丈夫だけど酒がね・・・。
いたるところでビールやら洋酒やら口にするから思わずおじさんも飲みたくなっちゃう(;^ω^)

それにしても今回は美女&美少女増し増しな内容だったなぁ。
個人的に「柚木草平シリーズ」はキャラクターと捻くれた中年の語りが一番のウリだと思うのよね。
だから大衆向け小説ではない、ような気がする(笑)
(でも数冊読んだらいつの間にかヤミツキになっちゃうかもよ?おじさんがそうなったみたいに)

///話のオチはどうだった?///
酒とつまみを貪る吹石夕子刑事から捜査の報告を聞いた柚木。
疲労から彼女が眠った後、一人で監視カメラのデータを確認していて、事件の真相に気づく。
真実を確信したのはおそらく柚木一人だけ・・・・・いつものように哀しい気持ちにさせる。
野川亜矢子の純粋で正直な『少女の時間』がもっと早くに終わっていたら、こんな事件は起きなかったのかも・・・。
「ほんと、厄ばっかり」ってセリフが染みるわ(ノД`)・゜・。
読了後のしんみり感?哀愁?切ない感じ?そーゆーのがイイと感じるようになったのは、歳のせいなのか人生経験のせいなのか、はたまた諦めることに慣れたせいなのか。

だがしかし!
落ちそうな気持を救ってくれるラストが有り難い。
シリーズ第一作目「彼女はたぶん魔法を使う」を彷彿させるエンディングが、おじさんの気持ちを温めてくれた(´▽`)

///まとめとして///
小学生らしさからどんどんかけ離れていく可奈子の言動。
小高直海ほのぼのローンにまで縋りつく草平の懐具合。
政界進出に意欲を燃やしはじめている?知子。
冴子との関係もこれでおしまいになってしまうのか?
金も美女も現れては消えていく人生に流されるまま、柚木草平とクロコダイルの武藤がいつか夜明けのコーヒーを二人で飲む朝がきてしまうのか!?

次回作は「うしろから歩いてくる微笑」というタイトルだ(=゚ω゚)ノ
今回も柚木草平ワールドをたっぷり堪能できたので満読感90点!
さぁ~て、次はどれを読もうかな・・・。

<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

9Pより。
―――だからといってケータイの事実を知子に知られたら、朝昼夜の区別もなくあの舌鋒に追いまわされる。―――
「ぜっぽう」
言葉のほこ先、または鋭いものの言い方のこと。

14Pより。
―――「リザンテラはラン科の花でね。本当に地下で花を咲かせるの。これまではオーストラリアにしかないと思われていたけど、奄美大島でも見つかったの。―――
「りざんてら」
芋のような太い茎と150もの小さな花が密生した花茎を持つこの花。
深いものだと地下30センチもの深さにその姿の一切を隠し、地中の菌類や樹木から栄養を吸収しているとか。
花とは思えないような姿ですな。
ネットで検索したところ、奄美大島で発見されたっていう話は見つからなかった( ;∀;)

36Pより。
―――文化村通りをはさんだ北側は松濤で、路地を二十メートルほど入ったあたりにある山代ビル意外に間口の広い四階建て。―――
「しょとう」
渋谷区の南西部に位置して町域内の多くは住宅地として利用される。
東京都心を代表する高級住宅地の一つとしても知られている。
「松濤」はかつてこの地に茶園「松濤園」があったことに因み、茶園の名が町名となった珍しい例とか。

87Pより。
―――「草平ちゃん、チチャって知ってるの?」
「いや」
「トウモロコシの噛み酒よ」―――
「チチャ」
南米ペルーで良く飲まれているお酒。
原則として発酵を止める作業をしないので賞味期間はきわめて短いみたい。
飲み頃になってから1週間もすると舌を刺すくらい酸っぱくなってしまうってことらしい。

176Pより。
―――そのわりにはずいぶんラーメン屋の多い町で元祖ナントカだの青竹打ちカントカだの、いたるところにラーメン屋の看板が出ている。―――
佐野市ホームページにも紹介される佐野らーめん。
全国的にも有名な佐野市のご当地ラーメンで、佐野市の美味しい水を利用した澄んだスープ、麺に適した良質の小麦、青竹打ちによる製麺技法が独自の味とコクを引き出るとか。
佐野市らーめんマップを見てみたけど、確かに多いね(;^ω^)

190Pより。
―――そこから<マダムと奇人と殺人と>というフランス映画を選択し、グラスに氷を落としたとき、部屋のチャイムが鳴る。―――
97分の映画で舞台はベルギーのブリュッセル
美大生連続殺人事件”の捜査に乗り出したレオン警視のお話。(なかなかに個性的な内容みたいね)
へえ~草平さんはこーゆー映画が好きなのか。
(このあと突然やって来た意外な美女が、また面白い展開にしてくれる)

256Pより。
―――「ジャガ芋って数奇な運命なのよね。青木昆陽もサツマ芋ではなくてジャガ芋を普及させていれば、東北の飢饉は防げたし江戸幕府も倒れなかったと思うわ」―――
江戸時代中期の幕臣御家人書物奉行儒学者蘭学者
サツマイモの普及を図り、甘藷先生(かんしょせんせい)と呼ばれていたらしい。
おじさんも美人学者の柑奈さんとお食事したい!
じゃなくて、当時ジャガ芋って日本にあったのかな?

258Pより。
―――俺にはどうでもいいことだが、柑奈の解説も、もしかしたら学術的に高邁なのか。口調にも表情にも力みがなく、茶飲み話のように淡々と専門知識を披露する。―――
「こうまい」
志が高い、他の人達よりぬきんでているということ、らしい。

291Pより。
―――カマボコの生ウニ和えがなかなか乙な味で、この次は醤油の代わりに梅干しにしてみようと思ったとき、部屋のチャイムが鳴る。―――
これはお手軽そうだし今度作ってみようかな。にしても生ウニ常備とは、ええもん肴にしてるなぁ。
(このあと突然やって来た意外な美女が、またまた予想外な話を持ってくる)

319Pより。
―――「サムサというウズベキスタン料理をご馳走するわ」
ウズベキスタン料理?」
「去年ちょっと行ってきたのよ。イスラム教徒の国なのに、みんなワインを飲むの。可笑しいでしょう」―――
ミートパイみたいな料理。
サムサはウズベキスタン料理で、三角形の形のものもあれば丸い形のものもあり、中身は肉やカボチャなど。(隠し味で生地の中にウォッカを入れたりもするとか)


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
159Pから始まるプチ修羅場をチョイスしたぜ。
(女性のヘアスタイルバリエーションを増やす鍛錬が必要だなぁ・・・)

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捜査情報を共有する為に柚木の部屋にやって来た吹石夕子刑事と、記事が正式な依頼になったことを報告に来た小高直海が鉢合わせになる場面。
無言で睨み合ってからの口喧嘩になってしまう二人に、タジタジになってしまう柚木。
2人の言葉の応酬がまた読んでいてオモシロくってさぁ(笑)

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「女戦士・フレア伝(2) 絶海の黄金郷(エルドラド)」 読書感想

 

タイトル 「女戦士・フレア伝(2) 絶海の黄金郷(エルドラド)」(kindle版)
著者 友成純一
推定ページ数 180ページ
出版社 アドレナライズ
発売日 1990年11月1日

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この作者の作品で既に読んだもの
「凌辱の魔界」
「獣儀式」
「ナイトブリード」
「肉の儀式」
「肉の天使」
「獣革命」
「女戦士・フレア伝(1) 邪神殿の少女」
「人獣裁判」
「宇宙船ヴァニスの歌」


<< ここ最近の思うこと >>

フェリーで旅行するのってイイよね!
中学生ぐらいの時に一泊乗ったけど、甲板も風呂も食事も萎びれたゲームコーナーも良い思い出。
接岸時のグラグラ揺れるのはハンモックみたいで面白かったけど、長時間続くとヤバいのかな?
歳をとった今でも、もう一度乗船してのんびりクルーズを楽しみたいなぁ。
今回のフレアは船旅メインのお話かな。
今と違って昔の船旅はとにかく危険で常に命がけ。
フレアの貞操も危機一髪の連続!
ではでは、血と暴力が渦巻くファンタジー世界に飛び込んでみようぜ(=゚ω゚)ノ


<< かるーい話のながれ >>

故郷を追われて散り散りになった種族アマゾネスを捜して旅を続けるフレア。
(長身でタフな肉体と覇剣イスカンダルを持つとびきりの美少女)
ふらりと立ち寄ったカデスの町は少し前から北の民族バーサーカーによる襲撃を受けていた。
その日の夜も襲撃が行われ、フレアはハーフオークのポルク(カデスの嫌われ者)と共にこれを撃退した。これ以上襲撃を防ぐことに限界を感じたカデスの民は議論して、海を渡り肥沃な大地を持つ南の大陸へ移住することに決定した。
戦士としての腕前を買われたフレアも、船旅の間だけ傭兵として行動を共にすることになった。
300人を乗せた巨大移民船の航海は決して順調にはいかないだろう。

バーサーカー、ウォーシャ号、放浪船と悪魔の船長、ワインコブ島のブードゥー、快楽地獄の迷宮、プロバンス、地獄の泡沫、生贄と風、ブントの街、そしてバーサーカー再び・・・。

手にしたものは世界を支配すると言われている覇剣イスカンダル
その持ち主に選ばれたアマゾネスの末裔フレア。
予測できない危険な冒険の第二幕が始まる!


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

///脱ぐのはちゃんと理由があるんですっ///
素っ裸の戦闘スタイルになるほど。
他にも血を吸った服は摩擦が増えて肉が切れやすくなる、素肌に血糊がついていたほうが滑って切られずに済むなど説明はあった。
昔の服ってストレッチ性能とか無さそうだし、張り付いたら運動性ガタ落ちになるだろうね。
位置№ 447より。
―――白兵戦では敵を切り、返り血を浴びる。脂肪分の多い粘っこい血を浴びると、着衣が身体に張りつく。そのせいで、手足の動きが拘束されてしまう。だから血を浴びる戦いでは、裸の方が有利なのだ。―――
それにフレアの極上ボディーな裸体が目の前にあったら、戦いにも集中し辛いだろうし(*´ω`)
男相手なら効果抜群やね。

///今回のグログロ展開はいかほどに?///
廃墟と化したラケルの町にて。
町の様子を知るために上陸した数人の戦士とフレア。
二人一組で探査していると、生き残っている飢えた餓鬼たちに遭遇してしまい、フレアの相棒の戦士は恐怖のあまり気が狂ってしまう。
子供相手に必要のない殺戮を続けてしまい、遂には多勢に無勢で倒されてしまう。
一斉に倒れた相棒に群がる餓鬼たち!
刃物で切り刻まれたり、切り取ったり抉り取ったり、串刺しにされたり・・・。
それでも致命傷が与えられずなかなか絶命しない相棒は、生きながらに餓鬼たちに喰われていく。
(フレアは相棒を助けられない判断して、餓鬼たちを威嚇しながら素早く逃げることに成功した)
う~む、相変わらずの展開に満足(笑)

続いてコチラ。
ブードゥーの術に誘われてワインコブ島に引き寄せられてきたウォーシャ号。
魅力的な謎の島に偵察に出た戦士と女僧侶の集団が、幻術に惑わされて地下の迷宮に迷い込んでいく。
15人の女僧侶(男を知らぬ美少女達)と4人の戦士も術に嵌って欲情してしまい乱交パーティーに!?
と思ったら女僧侶の処女はブードゥーが頂くので、戦士達を抑えつけて男の体を興味津々で弄りまわす女僧侶達。
戦士達は興奮と快楽で果て続けるが、ひとしきり弄んだら女僧侶達も地下の迷宮へ向かって行った。
残されたのは、興奮のあまり肉体の各所を破壊された四人の戦士達・・・。
しかし未だに術が解けていないのか、血まみれになりながらも表情を蕩けさせていた。
なんちゅう羨ましいハーレムだって思っていたけど、やっぱり友成ワールドはそんな甘くない!
具体的には書かないけれど、文字通り再起不能にまで無茶苦茶にされていたわわわ(/ω\)


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

///悪魔の船長のウワサはガセネタだったのか///
突然の嵐の中に現れた放浪船。
物凄いスピードですれ違う時、町長のブエノスだけが放浪船に居た船長を見ていた。
後にそれは有名な放浪船で、悪魔と取引した船長を見てしまった者は悲惨な死を遂げるというウワサが。
だけど最後までブエノスは生きていたし、しょせんはただのウワサだったのかな?
(まさか作者様がこの設定を途中で忘れていたとかは・・・・・ないよね?)

///装備はいつの間に?///
陸地に上陸したカデスの民達がある作戦を実行するまでの間、情報漏洩防止のためにフレアを拘束していたんだけど、皆が寝静まったスキを見てポルクがフレアの元にやって来て拘束を解いて逃がしてやった。
その時に愛剣イスカンダルをどうしたのか気になった。
拘束しているんだから剣を一緒に置いておく訳ないし、ポルクがこっそり持って来たって描写もない。
まあおそらく逃げる時にフレア自身が回収していったんだろうけど。
(実際にその後の旅でもフレアはイスカンダルを持っていたようだし)
にしてもフレアとイスカンダルの出会いが気になるね、いつか語られる時がくるんだろうか?


<< 読み終えてどうだった? >>

///全体の印象とか///
フレアがもちろん主人公なんだけど、今回はカデスの民達とポルクのお話がメインって感じ。
バーサーカーの襲撃に耐えられなくなった彼らが巨大船で船旅をして、定住先を見つけるまでが描かれており、フレアはその船旅に御一緒しただけだね。
もちろん毎度のことながら、フレアは貞操の危機に何度も遭うしイスカンダルも狙われちゃう。

あといつものようにあとがきが面白いのよ。
コンバット・シューティングの話とか、中国射撃旅行の話とか、貴重なコーラの的当て話とか、永井豪との出会いの話とか・・・・今回も興味深く読ませていただいた。
(文庫版?フレア伝シリーズの表紙絵を永井豪が担当していたようで)

///話のオチはどうだった?///
てっきり全滅ENDになると思っていたんだけど、ああいうふうになるとは予想外だった。
木乃伊取りが木乃伊になる・・・いや、逞しくなったから良しと言うべきか・・・)
第二の主人公ポルクの結末も寂しいものだった。
フレアもこうなるぞって事前に教えてあげれば良かったのに・・・・・でも幸せ絶頂期のポルクはそんな話聞かないだろうし、なによりそんなお節介はフレアのキャラじゃないわなぁ。
(がんばれポルク!一人旅する流れ者になって、行く町々で女を抱きまくるんだ)

///まとめとして///
思わぬところでアマゾネス達の居場所が判明したぞ!(真偽のほどは不明だけど)
かなり離れてはいるが、フレアの旅に一筋の希望が見えた!
がんばれフレア!アルビョンの南西端のさらに南西にある、プロバンスという土地に向かうのだ。
そこにアマゾネス達がいる・・・らしいぞぉ。
やっぱりおじさんには友成ファンタジー小説が合っているんだなぁってことで満読感84点!
さぁ~て、次はどれを読もうかな・・・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

位置№ 1551より。
―――「うおお、うおお、うおおおう」ピードゥーは頬を震わせ、身悶えしながら、女肉を虐めてゆく。あの女には平手を食わせ、この女は踏んづける。その女は拳骨で地面に殴り倒し、この女は乳房に噛みついた。―――
魂のない女体達を相手に一人で興奮して無茶苦茶に暴れ回るブードゥー・・・・・だけとここでいきなりの「ピードゥー」だと!?
誰なんだコイツは(笑) まあ、ただの誤植なんだろうけどね。

位置№ 1976より。
―――この浮島ワイコンブ島の地下迷宮の最大の苦しみは、孤独地獄だった。たった一人で、誰とも接触することなく生きてゆかなければならないという、とてつもない寂寥感との戦いだった。―――
「せきりょうかん」とは物悲しい気持ちや様子のことを表す言葉とのこと。

位置№ 2374より。
―――「誰、何者か!?」クトビアはベッドから起き直った。素っ裸の上に黒い法衣をまとうと、誰何した。そしてどこかに身を隠す場所はないかと、素早く周囲に目を走らせた。―――
「すいか」とは相手が何者かわからないときに、呼びとめて問いただすこと。


<< 作中場面を勝手に想像したお絵描きコーナー >>

今回はコチラの場面を描いてみた(=゚ω゚)ノ
相当に寝相の悪いフレア。
男の戦士達と同じ部屋で雑魚寝して、あっちの男に抱きついたりこっちの男に足を絡めたり・・・・・少しでも変に触ろうものなら強烈なお仕置きをくらうので、男達は悶々としつつただ耐えるのみ!
↑この部分も気になったけど、今回は↓の場面で。

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位置№ 2055より。
―――「イスカンダルを、俺にくれ。そしたら、お前もアマゾンの許に辿り着ける!さあ、そいつを、俺に寄越せ!!」
頭が、おかしい・・・・・この魔術師・・・・・。
フレアは、イスカンダルを縦に倒した。
そう、倒しただけだ。力も何もいれていない。―――