忘れないでね 読んだこと。

せっかく読んでも忘れちゃ勿体ないってコトで、ね。

「レフトハンド」 読書感想

「レフトハンド」(文庫版)
著者 中井 拓志
文庫 486ページ
出版社 角川書店
発売日 1998年12月1日

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<<ここ最近の思うこと>>

20代前半の時、スノボをやっていて人生二度目の左腕骨折!
そのせいでしばらくギブスを付けていたのだ。
カチカチのギブスに包まれた左腕が日にちが経つにつれて痒くなってくるのよ。
でもギブスの上からいくら掻いても叩いても痒みは解消されないから、細長い針金を手首の隙間から差し込んで左腕を掻いていた。
ようやく痒い所を刺激できた時は思わず「ああぁ」と艶っぽい声が(*´▽`*)
この小説を読んでいる時に、そんな記憶が呼び起こされたわ。
蛹の中身が痒くなっても掻くに掻けないないもどかしさ・・・。
想像しただけで左腕が痒くなるぜよ(; ・`д・´)


<<かるーい話の流れ>>

製薬会社テルンジャパンの埼玉研究所三号棟にてLHVウイルス漏えい事故が発生。
70名以上が建物内で被爆して死んだ。
漏えい事故の後で研究主任を務めていた影山という人物が、研究の継続と協力をしないとウィルスを建物外へ放つと言って三号棟に立て籠もった。
影山と数人の研究者達は、ウイルスの発症を何とかギリギリ抑える効果があるカクテルという薬を服用しているが、それも焼け石に水な状態。

ある日、影山の要求によって一般人二名が自衛隊によって封鎖・隔離された三号棟に入れられる。
試薬バイトの名目で募集した)
影山がクリーンな検体の細胞や血液を求めた結果、テルンジャパンが用意した一般人だった。
しかしそのことが事態を大きく変化させる。

何の情報も与えられない検体二人がストレスから脱走しようとして、運悪く少女の検体がLHVに感染してしまう。
さらに男の検体も感染してしまい、研究員達もカクテルの効果虚しく発症する者が出たり、厚生省の研究員は責任放棄して情報を外に漏らしたり、ある者はカンブリアの妄想に取りつかれたり・・・・・・。
さらにさらに、影山をテロリストに仕立て上げた三号棟奪還作戦が決行されて、特殊装備の自衛隊達がLHVと「左腕」が蠢く三号棟に突入していくのだが、さあどうなる!?

果たして、埼玉はLHVがばら撒かれて死体と「左腕」だらけになってしまうのか!?
LHVとは一体どこからやって来たのか!?
感銘を受けたLHVウイルスの研究所所長になりたい津川の進退やいかに!!?


<<印象に残った部分・良かったセリフ・シーン>>

とにかくLHVウイルスによって脱皮した「左腕」が凄いインパクト大大大!!
感染すると数日で左腕がうろこ状に裂けて変な汁が滲み出てくる。
その汁が固まってデカい鍾乳洞のようになってからさらに数日後・・・。
鍾乳洞の蛹の中から猛烈な痒みが発生して、やがて蛹を割って出て来たのは異形になった意思を持つ左腕型生物。
ひとしきり暴れたら感染者の心臓ごと引っこ抜いて、独立した生き物になって勝手に動き回る。
もちろん感染者は死亡。
(脱皮した左腕は、付け根に心臓を包んだ袋をぶら下げて、脇の部分から触手を生やし、その奥にある食孔と棘で獲物を食べる)
「左腕」さんの詳しい生体が気になった人は今すぐ「レフトハンド」を読んでちょーだいな!
個人的には映画「エイリアン」の誕生シーンよりもインパクトある描写だったよコレ( ゚Д゚)

この作品の主人公(おそらく)厚生省の学術調査員である津川清太郎の愉快なキャラクターっぷりを紹介。
157Pより。
―――「ここはカンブリアの海だ。わかるか?カンブリアなんだよ」「・・・・・カンブリ?」財前はしかめっ面した。「でもここ、埼玉ですよ?」―――
LHVにより脱皮した左腕の死体を観察してきて興奮しきっている津川と、LHVの出所を特定して出世することしか興味の無い財前のやりとりがまったく噛み合っていなくて笑える。
これまで長々と津川視点によるLHVの描写と考察が真面目に描かれていたのに、この場面のオチがこんな会話で終わるのがギャップ強くて面白かった(笑)

213Pより。
―――津川はしばし呆然とした。なぜ居ない?連中いったい何考えてやがる。待ち合わせにすっぽかされたことなど初恋以来だった。―――
検体二人に脅されて脱走に協力させられた津川。
しかし三号棟内部には脱皮した左腕達が沢山蠢いており、さらに検体達は絶対にセーフティーには戻らないと言って聞かない、酸素ボンベの残量も少ない。
津川が単体でセーフティーに戻って予備の酸素ボンベを抱えて二人の立てこもる場所に戻ってみると、居ないじゃん!って場面。
めちゃめちゃ緊迫した場面でいきなり変なこと書かれているから、ちょっとテンポ開けてから笑いが込み上げてきたわ。
(初恋ですっぽかされるって、なかなかに酷い仕打ちだなぁ)

369Pより。
―――すべてはうまく運んでいる。津川は恍惚とした。LHVとともに栄光の道を進んでゆく自分の姿を見ることができた。ところで、彼がコーヒーを求めた自販機は故障していた。彼は一口すすって、あまりの苦さに栄光の白日夢から叩き起こされた。―――
獲らぬ狸の皮なんちゃら的にほくそ笑みながら飲んだんだろうなぁ(;^ω^)
ちなみに津川さんは砂糖とミルクをしっかり入れる派の人ね。
ブラックがダメな人だから、不意打ちな苦みで探偵物語並みに噴出したのかな(笑)

387Pより。
―――こうして、応接テーブルに三つのロゴマークが並んだ。二枚の写真に見られるロゴマークは、ちょうどメモ用紙のそれを左手で書き直したようなものだった。―――
この表現方法には素直に驚かされた!
小説を読み慣れた人ならすぐに気づくだろうけど、おじさんはまったく見当違いな形を想像していたからさ・・・・・思わず確認し直したよ。
(まあ知ってしまえば大したことないけどね。ガンダムUCのラプラスの箱みたいなもんかな?)


<<気になった・予想外だった・悪かったところ>>

影山は健康な人間の細胞とか血液を実験用に要求していたけど、わざわざ三号棟の中に一般人を入れずとも外から随時届けてもらっとけば良かったのでは?
なんて考えたんだけど少し読み直してみたところ、狡い人達による思惑があったことを理解したわ。
まーったく、なんて酷い奴らなんだけしからん(`・ω・´)

LHV感染者の左腕が蛹になる前に切り取ってしまったらどうなるんだろ?
蛹化は起こらないけど、内臓類は溶けたり変態してやっぱり感染者は死んじゃうのかな?

これはおじさんの想像力が足りないのが問題なんだけど・・・・・三号棟の簡単な地図が欲しかったな。
地上二階、地下四階建ての三号棟内部でほとんどストーリーは進んで行くんだけど、なかなか内部の説明が分かりにくくてさ(;´・ω・)
推理モノとかもそうなんだけど、簡単な見取り図のページが欲しいわぁ。


<< 読み終えてどうだった? >>

いや~~~めっちゃ面白かったよコレ!!
バイオハザード的な、モンスターパニック的な、がっつりホラー系な内容なのに、所々で笑わせてくれるのが素晴らしい!
過去に同じ作者の作品「アリス」を読んで、途中リタイアしたおじさん。
でも「レフトハンド」は読みやすくて飽きない展開がドキドキさせてくれるから、あっという間に読んじゃったわ。

こういう色々な責任転換の事件について、中年連中に共感したり仕方ないよねぇなんて思っちゃうのは歳のせいかな(;´・ω・)
逆に検体として送られてきた若者二人の考え方や行動が全然共感できずに、なーんで大人しく言うこと聞いておかないのかなぁ~って呆れたりしてしまった。
会社や省が一番悪いのに、まあそうなるのも世の中だねぇなんて思っちゃう自分がちょっと惨めになったよ(ノД`)・゜・。

なんにせよ今後から左腕に何か違和感がある度に、心臓をくっつけた動き回る「左腕」のことを思い出しちゃうのは間違いないだろうね(笑)
読了感は・・・・・・どこにも救いはない終わり方なのに、なんでかそれほど後味悪くないのさ。
ホラー小説でグロテスクな内容だからさぞかし酷いオチになるんだろうなぁ~って思っていたけど、これは予想外なエンディングだったからなのか?
おじさんも今年の夏は海へ行って癒されたいなぁ~なんて思っちゃった。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

78Pより。
―――あのバカはわからないのか?三号棟で起こっていることは、カンブリアの逆襲なのだ。―――
「カンブリア」
カンブリア紀古生代前期における区分の一つで、約5億4200万年前から約4億8830万年前までらしい。
この時代の岩石が出土し研究された最初の地であるウェールズラテン語名「カンブリア」から、アダム・セジウィックによって命名されたらしい。

337Pより。
―――今から遡ること四十数億年、太古の海がまだ無機質のスープだった頃、天から落ちる稲妻からRNAが合成された。―――
「RNA」
リボ核酸は、リボヌクレオチドがホスホジエステル結合でつながった核酸
RNAは生体内でタンパク質合成を行う際に必要なリボソームの活性中心部位を構成している。
体内での行動や造りから様々な分類がされているとか。

同上ページより。
―――またある時は、いともたやすく他者の海のシステムを破壊し、他者の体内環境を錯綜させる。―――
「さくそう」
物事が複雑に入り組んでいること、入りまじっていることって意味かと。

427Pより。
―――半世紀構想のサブタイトルは、「ゲノム・ショット」。テルンジャパンではこの長期プロジェクトを「ムーン・ショット」になぞらえて考えていたのである。―――
・ ムーンショットとは、困難だが実現によって大きなインパクトになる、壮大な目標や挑戦のこと。
近年、シリコンバレーから広まったビジネス用語として注目されているとか。
・ ムーンショットという言葉は、アメリカの第35代大統領ジョン・F・ケネディが次のように述べたことに由来するらしい。
「我が国は目標の達成に全力を傾ける。1960年代が終わる前に、月面に人類を着陸させ、無事に地球に帰還させるという目標である」

448Pより。
―――彼らはウーキーの向こうの本部と喧嘩したり、機材を右から左へ運んだり、焼き払った『左腕』の死体を片付けたりしながら、『女王』の周囲を右へ左へ行き交じった。―――
スターウォーズのチューバッカがウーキー族と呼ばれる種族なのはわかったけど、この小説に出てくる「ウーキー」はぜったい違うものだよね?
調べてもなんなのかまったく分からない(;一_一)

458Pより。
―――ここで彼女に正直に告げたところで、何になる?俺はインフォームド・コンセントの思想に反しているだろうか?―――
インフォームド・コンセントとは、「十分な情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念。
特に、医療行為や治験などの対象者が、治療や臨床試験・治験の内容についてよく説明を受け十分理解した上で、対象者が自らの自由意志に基づいて医療従事者と方針において合意すること、らしい。


<< 登場したモノを描いてみたコーナー >>

393Pより。
―――最前列に並んだ四体のゴム装備は、肩に火種のくすぶる火炎放射器をかついでいた。―――

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今回は自衛隊が装備している「火炎放射器」の絵を描いてみた。
自衛隊演習で発射される火炎放射器は威力あり過ぎだから、室内では使えないでしょ(・・;)
って思ったけど、射出量を調整出来たりするのかな?
もしくはこの小説で使用されているのはインドア戦用の火炎放射器とか?

「独白するユニバーサル横メルカトル」 読書感想

「独白するユニバーサル横メルカトル」(文庫版)

著者 平山夢明
文庫 318ページ
出版社 光文社
発売日 2009年1月8日

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<< ここ最近の思うこと >>

最近邦画を見ていないんだよねぇ~。
だって観たいって思う作品がぜんぜんないしぃ・・・(´_ゝ`)
って思っていたけど「無垢の祈り」はちょっと気になる今日この頃。
今回は上記の短編も収録されている、ネットで話題のコレをついに読む時が来た!
はたして噂通りの恐ろしい内容なのか?
メチャグロ超展開の「獣儀式」を読んだおじさんにもっと激しいエネルギーを感じさせてくれ!!


<<かるーい話の流れ>>

「C10H14N2(ニコチン)と少年――乞食と老婆」
普通の家庭で普通に暮らす心優しき少年が、ある日いきなりイジメッ子のターゲットにされてボッチになってしまう。
イジメッ子は市長の妾の子らしくて教師も誰も少年を助けないし、親にも言い辛い雰囲気。
ある日、少年は子供の死体が見つかった立ち入り禁止区域にて暮らすホームレスおじいちゃんと出会い、交流していくのだが・・・。

「Ωの聖餐」
交通事故で全てを失った元数学者の主人公は、ヤクザに紹介されて死体を食べる大食い巨漢のオメガの世話仕事をすることに。
地獄のような環境に早くもギブアップ寸前の主人公だったが、オメガは意外にも高い知性と教養が備わっていて助言をしてもらいながらなんとかお世話をこなしていく。
実は食べた脳の記憶と知性を吸収できるオメガ。
それを知った主人公はあることを計画するのだが、オメガからも交換条件を出されて・・・。

「無垢の祈り」
新興宗教に縋る母親とDVクズ義理父親の家庭で暮らす主人公の少女。
学校でもいじめられて精神をすり減らす毎日を過ごすうちに、彼女は近所で起こった殺人事件の現場へ足を運ぶようになる。
そこで彼女は連続殺人犯に会いたいと願い、メッセージを残す。
いくつもの現場にメッセージを残し続ける彼女は、果たして犯人に会えるのか?
殺人犯に出会った時、少女は何を願うのか・・・?

「オペラントの肖像」
あらゆる芸術が禁止されて排除された平和な世界。
しかし隠れ芸術信者は常に存在しており、見つかれば危険な思想を持つ者として矯正施設送りに。
主人公は優秀な芸術取締官だが、彼は調査にやって来たある家庭の娘に恋をしてしまう。
娘が芸術を愛していることを確信した彼は、何とかして彼女だけでも救おうとするのだが・・・。

「卵男」
女性を殺害して食べてしまう連続殺人犯(主人公)が美人捜査官に運悪く捕まってしまい、洞窟のような死刑囚独房に入れられてしまう。
隣の房には気の弱い死刑囚が入っている。
美人捜査官から被害者の遺体(骨)を隠した場所を言えといわれ、交換条件として自由の身にしろと要求する主人公。
交渉を成立させるためにも遺体の場所を知られてはならないのだが、どうにも隣の死刑囚が怪しい。
恐らく場所を聞き出すために送られたスパイだと勘ぐる主人公だが・・・。

「すまじき熱帯」
恋人と一緒に洋服店を開業するための資金を貯めていた主人公。
しかし不動産屋に資金を騙し取られてしまい、偶然出会ったクズ父親の誘いに乗って、ある男を殺す仕事を一緒にやることに。
遠い海外の熱帯ジャングルにやって来た二人は、危険だらけの川を進んでいる最中に敵の襲撃にあって捕まってしまう。
連行された場所で二人が見たのは、ターゲットの男を崇拝する現地民達で作られた集落だった。
果たして二人の運命や如何に・・・。

「独白するユニバーサル横メルカトル」
タクシー運転手に長年愛用されてきた地図帳が主人公のお話。
ひょんなことから真面目で誠実な主人が殺人を犯してしまい、それから殺人行為の虜になってしまった主人を心配しつつも捕まらないように色々手を尽くす地図帳。
しかし不運な事故で主人が死亡してしまい、地図帳は息子の手に渡ってしまう。
やがて地図帳にこれまでの遺体埋葬現場がチェックされていることを知った息子は、自身もその現場に向かいさらには父親と同じく殺人行為の虜になってしまうのだが・・・。

「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」
組織のボスに仕える忠実な拷問師の主人公。
拷問という仕事を続ける者は、誰でもすぐに精神を病んでしまうのだが主人公だけは平静でいられる術を持っている。
ある日、若い女を拷問しろと命令される。生死は問わず、絶望を与えるようにと。
女は今までの人生で変態ばかりの相手をさせられて体中が傷だらけで、特に顔面は無茶苦茶だった。
いつも通りに拷問を行っていくのだが、その時から主人公の平静は揺さぶられて崩れ始めていく。
一体何が起こっているのか?
主人公は現実と夢の中で原因を探すのだが・・・。

ふい~~~、思わず全部のあらすじを書いちゃうくらい面白かったわ。


<<印象に残った部分・良かったセリフ・シーン>>

もう全話に印象的なシーンがあったからさ、今回はズラッといっちゃうよぉ~(=゚ω゚)ノ

「C10H14N2(ニコチン)と少年――乞食と老婆」より。
22Pの「酷い目に遭って、それをだれにも告げずにいることほど身体に毒なことはないからねぇ」ってセリフはまさしくその通りって共感したんだけど、一番印象的なシーンはやっぱりこれかな。
36Pの「じじい!俺の話を黙って聞け!」ってところ。
もうね、読んでいて思わずフフッて笑っちゃたわ。衝撃的で笑劇的な展開が気に入った!

「Ωの聖餐」より。
70Pのオメガの脚を切り落とすシーンが凄まじい!
不衛生な環境で不健康にブクブク太り続けるオメガはちょっとした傷でもすぐに化膿して腐ってしまう。
死なせてしまうと親分に殺されるから、緊急的な処置で腐った部分の片足を切り落とすことになったんだけど、ギチギチに縛ってチェーンソーでガリガリやって最後に化膿止めのガスバーナーってのが、もう十分です結構でございますすみませんでした!と言いたくなるくらいしっかりと描かれている。
読んでいるだけで疲れる場面って凄い!

「無垢の祈り」より。
やっぱりラストでしょ!
珍しく救われた?感じの結末でホッとした&スカッとしたシーン。
それまではずっと読んでいて辛すぎる展開だったからねぇ(;´・ω・)

「オペラントの肖像」より。
140Pの堕術者の末路である発電システムがほんとうにヒドイ!
変率スケジュールによって餌が出てくるタイミングを管理された人間。
その姿は利き腕一本を残して四肢を切断された状態だ。
彼らは一心不乱に壁に付けられたレバーを動かし続けて発電を続ける。
見学者に理解させる為に監視員がボタンを押すと、レバー稼働回数のカウンターがゼロに戻されて言葉にならない悲鳴を上げる肉の発電機。
生理的に嫌気のしてくるこの設定に作者の才能を感じるぜよ!

「卵男」より。
181Pのカレンのガラス越しのキスがゾクゾク来るね!
エッグマンの顔と声帯を薬品で焼いて、両目を摘出、右腕と左足と生殖器を切除して街に釈放してあげると嬉しそうに説明する彼女のサディスト的性格が怖いけどタマラナイんだなぁ(*´ω`)

「すまじき熱帯」より。
何匹もの人食い泥鰌に顔面を喰われながら川に自殺しに行く女性のシーンも強烈だったけど、覚せい剤を密輸するために赤ん坊の生皮を剥いで防腐処理した後、それに覚せい剤を詰め込んで密輸するってのが衝撃だったけどなるほどとも思った。
ベビーカーで大人しくしている赤ん坊をわざわざ起こしてまで検査しないだろうからねぇ。
麻薬取締犬はそういうのも嗅ぎ分けれるのかな?

「独白するユニバーサル横メルカトル」より。
市街道路地図帳の主人公が、詳細編み図(おそらく女性かな?)を自身に挟み込み、怯える彼女をなだめながら一緒にくっ付いて一冊になってしまおうと言うんだけど、窓を開けながら走行する車内に入り込んできた旋風が一瞬にしてページをめくり編み図を車外へ吹き飛ばしてしまう場面。
地図帳にとっては想い人?を失う悲しい場面なんだけど、その風景を想像すると何故か笑いそうになっちゃうんだよね(;^ω^)
その時の怒りで主人の為と言いつつ、復讐することを決意した地図帳が人間らしくて憎めない奴(笑)

「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」より。
この話が読んでいて一番のめり込んだわ!
とくに296Pのカニューレとトロカールを使った拷問が・・・もうね・・・おじさんが今まで読んできた小説のエグイ描写ランキングで堂々の一位に輝くくらいに壮絶だったと記しておきます(>_<)
んでもってこんな切ない終わり方が待っているなんてさぁ、すんごいお話だと思うよコレは!
紙に描くコテージに、いつかひょっこりやってくるのを待ちながらってのがロオマンスだわねぇ。


<<気になった・予想外だった・悪かったところ>>

気になるとこで二つほど。
「無垢の祈り」の続きはが知りたいんだけど、あれで終わりなんだろうなぁ。
いやあそこですっぱり終わったからこそ綺麗にまとまっているんだろうなと思ってすっぱり納得しよう。

「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」にて。
MCの夢の中に現れたのは結局なんだったのかな?何者かの侵入なのか、MCの思い込みなのか・・・?
あとココの正体は何者だったのかってのもハッキリ描かれてはいない感じだったと思うけど。
(まあでも、正体はやっぱりアレだったんだろうなぁ・・・)


<< 読み終えてどうだった? >>

はあぁぁ~(*´▽`*)
短編集で全部面白かったのは初めてだったよ!
どれもこれも生理的に精神的に嫌気のする場面や設定が作られていて、さらに結末もハッピーエンドじゃあない物語ばかり。
だけど、それが良いんです(=゚ω゚)ノ
全部の話が主人公視点のみで語られているからめっちゃ入り込んじゃうのだ。
んでもって酷い結末を迎えた瞬間、自分はただの読者で本当に良かったって心の底から感じるのが快感になっていたのかも。

それにキャラクター達がまたいい味出してて、生き生きしているのよ。
「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」の主人公MCがおじさんのお気に入りで、ずーっと磯部勉メル・ギブソンの声優をよくやる人)の声でセリフが脳内再生されていたんだ。
ほんとに映画を観ている気分で読んじゃってたね。

もっと早くにこの作者の小説を読んでいたら良かったのに・・・。
だけどこれから未読作をズバズバ読み漁れるから逆に良かったのかも?
さてさて、今回の読了感は・・・どうせ作り物だろうなぁと思って入った見世物小屋で本物の衝撃を食らってしまった感じだぞ。
うーむ、何言っているかわからないよね(^^;)
溢れんばかりの膨大なエネルギーの熱に当てられて、読了後しばらく脳内がぽーっとトリップしてた。
つまりすんごいどハマりしちゃった、久しぶりに声に出して面白かった!と言いたくなる短編集だたよ。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

「独白するユニバーサル横メルカトル」は第59回日本推理作家協会賞受賞作!!

36Pより。
―――「克己心!これに勝る兵法なしじゃ。わしがあんたぐらいの時にはまだこの國も健康で生き生きとしておった。―――
「こっきしん」
自分の感情・欲望・邪念などに負けないこと。打ち勝つこと。

50Pより。
―――処理を請け負った人間を喰ってる・・・・・大食いだからな。奴にすりゃあ、昔取ったキネヅカってわけだ。―――
昔取った杵柄とは、若い頃に身に付けた技量や腕前のこと。
または、それが衰えていないこと。

61Pより。
―――テバは素封家の出だったが病的とも言える対人恐怖症のため会社勤めはできなかった。―――
「そほうか」
大金持ちとか、財産家という意味らしい。

62Pより。
―――リーマン予想、俗にRHと呼ばれているそれは1とそれ自身しか割ることのできない素数について予想したものであった。―――
数学において、リーマン予想はリーマンゼータ関数が負の偶数と実部が 1/2 の複素数にしか零点を持たないという予想ってことらしい。
ドイツの数学者によって提唱されたため、その名前が付いているとか・・・。

―――なぜならばリーマン予想の利用は、それだけで人類史上かつない”最強の暗号”を手にすることができるからである。――― 
↑ネットで調べてみたけどぜんっぜんおじさんには理解できましぇん(ノД`)・゜・。
友人に聞いてみた所、単純に誰も知らない公式を使った暗号は作った本人しか解けないから最強の暗号になるんじゃないか?とのこと。
な、なるほど・・・・・確かにその通りだわな(;´・ω・)

63Pより。
―――先生の薫陶を受けた者同士だからね。君にも同じ閃きがやってこないとも限らない・・・―――
「くんとう」
すぐれた人格で感化し、立派な人間をつくること、らしい。

138Pより。
―――人には恐怖や感情など存在しない。あるのはただ皮膚の電気反応と2.2ボルトの不随意筋震動のみである―――
「ふずいいきんしんどう」
自分の意志によって動かすことができない筋肉で、主に自律神経の支配を受けている。
内臓や血管の壁の筋肉、心筋などがそうみたい。

143Pより。
―――それに私は君が活躍し、お父上の瑕疵を自らの手で是正するのを願ってもいるのだ。―――
「かし」
傷、または欠点など。
または法律や当事者の予期するような状態や性質が欠けていること。

167Pより。
―――どちらにせよ情報開示とオンブズマンに対するお互いの見解が違いすぎるわ―――
「おんぶずまん」
国民に代わって行政活動を監視して、また国民からの行政機関に対する苦情を処理する人。
スウェーデンから始まったとか。

225Pより。
―――たとえ御質問があったにせよはっきりと答える術が此方にはないのでございます。どうかこの身の浅陋を御嗤笑下さいませ。―――
「せんろう」
知識や考えが浅くて狭いこと。

257Pより。
―――その時、タタルは獲物の腕の動脈を結紮し、MCは皮を取り去った上腕筋をバーナーで焼いていた。―――
「けっさつ」
血管をしばって血行をとめること。

290Pより。
―――君もいよいよ場末の娼婦らしさを醸し出してきた。わたしにもそれに付き合えというのだ。<刑吏なら刑吏らしく>と。―――
「けいり」
刑、特に死刑の執行にあたる官吏(旧制度の役人)のこと。


<< 登場した地域・道具・姿・形などの気になった画像 >>

307Pより。
―――それからきっちり二十六時間後、喪失の極みにいMCは生きることを決め、自宅でグレープルフルーツ用のスプーンを使って―――

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今回は「グレープフルーツスプーン」で!
しかし・・・・・なにもこんなギザギザした形状のものを使わなくとも。
まぁ抉り出すことには特化しているけどさ・・・(・・;)

「祝山」 読書感想

「祝山」(文庫版)
著者 加門七海
文庫 245ページ
出版社 光文社
発売日 2007年9月6日

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<< ここ最近の思うこと >>

数年前からちょいちょいと友人達と登山に行ったりしているおじさん。(最近はあんまりだけど)
初登山の時に参加しなかった友人から(ギャグのノリで)「山を舐めるな!」と言われたなぁ。
登山中の事故の危険っていう他に、こういう危険もあるのかぁってリアルガチで怖くなったわ。
次から登山する時は必ずお守りを持っていこうと決意させるくらいゾクッとする小説だったよよよ(>_<)


<< かるーい話のながれ >>

ホラー作家・鹿角南(かづのみなみ)という女性が主人公。
次回作で肝試しに行ったら酷い目にあった若者達の話を書こうとしているが、なかなか筆が乗らずにぬんぬんと悩んでいる。(面白半分で肝試しに行くような奴らは自業自得じゃいっていうスタンス)

そんなある日、鹿角のもとに矢口という友人からメールが届く。
しばらく疎遠になっていた矢口は、「最近肝試しをしたら色々おかしなことが起こり始めたから話を聞いてほしい」と依頼してきた。
あれこれいろいろ悩んだ末に、好奇心に勝てなかった鹿野は矢口&肝試しメンバーに会いに行くことに。
集まった場で肝試し現場の廃墟を写した写真をいくつか見るのだが、特におかしな写真は無かった。
(ちょっと変なのはあったけどね)

しかしそのメンバーの中で一人だけまともそうな若尾という女性から改めて話を聞くと、肝試しの時に自身が奇妙な現象に遭遇したことを鹿角に打ち明けて来た。
本能的にガチなヤバい系かも知れないと悟る鹿野。
それから次第におかしくなっていく肝試しメンバー達。
若尾だけは変わらないのだが、異常な雰囲気に怯え始めて鹿角に助けを求めてくる。
お節介焼きな鹿角は断り切れずに奇妙な現象の原因を探し始めるのだが・・・。

急に襲ってきた苦痛に倒れる鹿角、監禁状態で助けを求める若尾、変わり果てた矢口、腕の病気が治らない田崎、廃墟の写真撮影の虜になる小野寺、そして鹿角と矢口の共通の友人である里美!(←里美はあんまり関係ないけど・・・)
彼らに訪れる結末とは如何に!?


<< 印象に残った部分・良かったセリフ・シーンなど >>

序盤の鹿角の心境について、心霊スポット巡りをして酷い目に遭う連中を貶したくて仕方ないっていう考え方に共感したね。
曰くのある場所で遊ぶ馬鹿者たちは、酷い目に遭わなきゃ治らないってずっと思っていたし。
だけど読み終えてから、ほんとになんでそんなことしたんだよって感じの悲しさがあったわ(´-ω-`)
被害者の周りの人々も悲しませることになるから、怪しい所には行かないほうがいいんだよ。

つづいて印象に残った部分から。
ホラー小説なんだからホラーシーンに決まってるだろ(=゚ω゚)ノ
肝試しメンバー達が務めている輸入食品会社の小売店「ガイア・バザール」にて。
最近、店舗の中に入ると嫌な気分になると訴えてくる若尾。
確認する為に鹿角と若尾の二人で閉店後の「ガイア・バザール」に入ってみる場面。
なんの変哲もない狭い店舗だと思って入ってみたら・・・・・急にガクッと!!
そしてちょっとオコな気持ちになった鹿角は気合を入れ直してもう一度入店。
不気味な空気を醸している場所を見つけて事務所に入ってみると・・・・・
そこに置いてあるパソコンがぁぁぁ(; ・`д・´)
もうここを読んでいる時は体を小さく丸め込みながら、ドキドキのガクブルで読んでいたわ。
(きっと周りの人に変な目で見られていたんだろうなぁ)
いや~しかし、正体や目的が分からないモノの恐怖ってスゴイよね。


<< 気になった・予想外だった・悪かったところ >>

怪奇現象の正体だとか、ナニカが何をしたかったのか?とか、あの人達は結局どうなったの?っていうのがはっきりと分かるオチではなかったのがちょっと(;^ω^)
からしっかりハッキリしたオチの好きな人には不向きだろうね。
(おじさんも設定ハッキリ派だけど面白ければ良しとします)
でも逆に最後まで正体や原因が不明っていう設定がリアルな怖さの秘訣なのかも。

続いて、終盤の若尾が鹿角に助けを求める場面にて。
あの程度の監禁状態なら、若尾の親に電話して「誰ぞが危篤だからすぐに帰ってこい」とか演技してもらえば脱出できたんじゃ・・・。
それ以外でもやり方はいろいろあったと思うけどね。
でもそれじゃ話が面白くならないわなぁ。

あとあと、こいつはいつもおじさんが思うことなんだけど、鹿角は心霊関係も信じていて怖がりでホラー作家の仕事もしているのに、何の備えもしていないのが気になっちゃうよ。
普段からお守りもつとか、怪しいところに行くときはより強力なお守りだとか小道具を持つとか、知り合いの強力な力を持つ霊媒師に相談だとか・・・・・・
いや、この小説に霊媒師の登場はナシだな(ヾノ・∀・`)ナイナイ

最後にこちら。
読んでいて思ったけど、句読点がちょっと多めについている文章だった。
この文章にリズムを合わせて?読み進めるテンポを合わせて読めば、ひょっとしてもっと臨場感たっぷりに楽しめたかも。(熱中するとどんどん読むスピードが上がるから難しいけどね)


<< 読み終えてどうだった? >>

はあぁぁぁ~、おもろかったぁ(*´▽`*)
なんで怖いモノはこんなに面白いんだろう?
そしてホラー小説だとなんでこんなにのめり込んで読んじゃうんだろう?
きっとフィクションだと分かり切っているからかな。
安全なところから怖い物を眺めるのって、安心して好奇心を満たすことができるやん。

「祝山」を気に入った理由はもひとつあって、意外にもポジティブな主人公、鹿角南さんというキャラクターがとても楽しませてくれたんだ。
自分に何かしらの攻撃をしてきたモノに対して「入院費くらい払え」と憤ったり、意味深なメールが来ているのを見て「うわ、わ」と奇妙な悲鳴を上げるとメールを開かずにすぐ消去!そして「消しちゃった・・・」と呟いて力なく笑ったり、マジでやばい肝試し現場にもう一度行こうと誘われて電話を切った後に「誰が行くかバカヤロウ」と呟いてみたり。
最初はかなりひねくれ者な女性作家なんだと思っていたけど、読み進めていくと凄く魅力のあるキャラクターなんだと気づかされた。
そんなんだから、最後なんて矢口さんよりも自らの行いを後悔している鹿角さんに対して同情してしまうおじさんがおりましたわ。

ホラー小説としては・・・・・最後のオチ部分で凄くゾクッとさせられるよ。
え!・・・これなんだかんだで実話系だったの!?ってことで急に身近な現実として祝山の恐怖を感じたしホラー小説として綺麗に終わったと思う。
(まあ裏表紙に著者の実体験を下敷きにしたって書いてあるんだけどね。事前にそこを読んでなかったからさ)

さてさて、いつもの読了感としては短い小説なのに中身は濃厚な恐怖と先の読めない展開&イイ感じの後味の悪さで大満足でしたわ!
だけどちょっと切ない気分。
いつか鹿角さんが「無事でよかった」と言って、肩を叩ける日が来ると良いけどねぇ(ノД`)・゜・。


<< 聞きなれない言葉とか、備考的なおまけ的なモノなど >>

8Pより。
―――即ち怪談、ホラー、オカルト。格好好く言うなら、フォークロア。―――
フォークロア
古く伝わる風習・伝承、またはそれらを対象とした学問。
あとは人づてに語り継がれて形成された都市伝説を指す用語ってことらしい。

14Pより。
――― 一時期は、結構、頻繁に会っていた。それが間遠になったのは、彼女が転職したからだ。―――
「まどお」
間隔が時間的または空間的に離れていること。
または織り目や編み目、結び目が粗いってことみたい。

19Pより。
―――ミステリーほどではないにしろ、好事家のみならぬ一般読者を獲得したという点で、―――
「こうずか」
ものずきな人、または風流な事柄を好む人って意味かと。

231Pより。
―――山中他界という言葉がある。または、マヨイガという伝承がある。―――
「さんちゅうたかい」
古来日本では、死者の霊魂は高いところへと昇っていく性質を持つと考えられていて、それは山の頂や高所にとどまって、子孫を見守ると信じられていたみたい。
死んだ人の魂はまったく別の世界へ行ってしまうわけではなく、現実の山の中に死者の霊が集まる他界があるという考え方、らしい。

8Pより。
―――「え、そうなの?私、地獄の釜が開く日って、幽霊がこの世に、ゾロゾロ出てくる日なんだと思ってた」―――
正月の十六日と、お盆の十六日は、みんな仕事を休みなさい。
旧暦の1月16日と7月16日は地獄で鬼が罪人を煮るための釜の蓋を開けて休んでいるので、 この世でも仕事を休んで閻魔さんにお参りをしなさいってことらしい。
商売をしている家では、使用人に休暇を与え仕事を休ませていたようで。

77Pより。
―――いわゆる「眉唾」という語もそれで、眉に唾液を塗れば、魔物にだまされないという俗言に、その由来がある。―――
「まゆつば」
昔は眉に唾をつければ狐きつねや狸たぬきにだまされないと信じられていたらしい。
そのことからだまされないように用心することって意味かと。「眉唾物」の略みたいね。

89Pより。
―――「好奇心は猫を殺す」という。私だって、それは承知している。―――
イギリスのことわざで、猫は九つの命を持っているってのがあるみたい。
そんなニャンコでさえ持ち前の好奇心が原因で命を落とすことがあるっていう意味だとか。
それが変化して『過剰な好奇心は身を滅ぼす』っていう言葉で伝わってもいるとか。


<< 登場した地域・道具・姿・形などの気になった画像 >>

45Pより。
―――朽ちた家は木造家屋だ。かなり本格的な造りで、上がり框などは、檜の一枚板を使っている。建てた当時は、さぞ贅沢な建物だったに違いない。だが、それも今は昔の話だ。―――


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「上がり框」の絵を描いてみたけど・・・。
しまった!
この絵じゃ一枚板じゃなくて、一本柱くらいになっちゃってるじゃん(笑)